「おやつを分けよう」が練習に! 就学前にやりたい算数の勉強

 

 

春からの小学校生活の心配事のひとつが、学校の授業にうまく適応できるかどうか。数字に苦手意識のある保護者の方は、「算数」についてハードルの高さを感じているかもしれません。前回に引き続き、今回も現役の小学校教員である遠藤裕美子先生に取材。小学校入学直後の算数の授業内容や、入学前にやっておきたいことについてお聞きしました。

 

 

●入学直後の算数の授業、何をするの?

 

前回は、小学校に入ったばかりの子どもたちが受ける国語の時間についてお聞きしました。今回は、算数の授業について教えてください。

 

「算数の授業は、まず数の概念を学ぶところから始まります。数字の1は、『1』という文字であらわされ、『いち』と読み、うさぎなら『1羽』、○のような抽象物は『1つ』、ブロックなら『1個』といった量をあらわすのだということを、くりかえし学習します」(遠藤先生)

 

なんだか難しそうですね……とつぶやくと、遠藤先生は実際の教科書を見せてくれました。あれ? 意外と初めは楽しそうな絵でいっぱいなんですね。

 

「そうなんです。例えば、森の中に猿が1匹、ウサギが2羽、くまが3頭……というようにさまざまな動物が描かれているページがありますよね。これを見ながら、『何がいる?』『猿がいた!』『猿は何匹いるかな?』などと会話を展開して、数字に触れていくわけです。

 

その他、『1』という数字の書き方を練習する、おはじきをケースから1つ出してみる、ブロックをケースから1個出してみる、といったように、さまざまな角度から数を認識していきます」(同)

 

進み方は、1時間につき1~2数字程度。国語と同様、45分を1単位として、初めは12~13分ごと、5月ごろからは20分ごとに内容を変えて、授業を展開していくのだそうです。

 

「数字がわかったら、今度はものの量を比較しながら、数の概念を理解していきます。黄色いおはじきが4個、赤いおはじきが5個あったとき、小1の初めだとパッと見で量が判断できなかったりするんです。それを並べて数え、比較して、『数が5個だから、4個より多いんだな』と量の感覚を身に着けていきます。

 

同じころに習うのが、番号です。間違えやすいのは、『順序としての番号』と『数としての番号』の違い。『前から3人目』と『前から3人』は、混同する子どもが多いですね」(同)

 

大人からすると当たり前でも、数について1から学ぶのはとても大変そう。うまくフォローしてあげたいものです。

 

 

●「おやつを分けよう」で数の感覚を学ぶ

 

算数の勉強に役立つことで、就学前に家庭でできることはあるのでしょうか。

 

「国語と同様、前もって数字を覚えるといった予習は必要ありません。やはり、生活の中で算数の理解につながる経験をしておいてほしいなと思います。例えば、おやつを分けること。保護者の方やきょうだいと2人で、半分に割れるアイスを分ければ、『等分』を学ぶことができますよね」(同)

 

いちごやぶどうなど、粒で分けやすいものを複数人で同じ数ずつ分けるのも、数を学ぶ近道とのこと。「きっと一つひとつ数えながら分けてくれるので、最後に『いくつずつあった?』と聞いてみてください」(同)。

 

「日常生活では、量の感覚を学ぶこともできます。いちご狩りに行ったなら『私よりお父さんのほうが多く採った』、お風呂のあとの牛乳を『僕のほうがお母さんよりたくさん飲んだ』、紙飛行機を飛ばしたら『僕のほうがお兄ちゃんより遠くまで飛んだ』、おばあちゃんの家に遊びに行って『車でいつもより長い距離を移動した』といった具合です。

 

経験を通して数、かさ、距離などを感覚的に理解しておくと、学校で知識として整理する際の理解度、定着度が高まります。保護者の方も、一緒に数を数えたり、『多い・少ない』『長い・短い』『遠い・近い』などの言葉で物事を語りなおしたりしてあげるといいと思います」(同)

 

確かに、生活のなかに数があることを示していけば、算数の授業も身近なものと感じられそうですね。

 

 

●時間の感覚は、小学校生活全体の基礎にもなる

 

さらに、算数の勉強にも、なおかつ小学校生活にも欠かせないのが『時間の感覚』だといいます。

 

「そもそも、小学生の生活は何をするにも時間が決められています。時計の読み方は2年生の算数の授業でも習いますし、時間を指示する際は『長い針が○になったら……』という話し方をするので、前知識がなくても問題ありません。ただ、実生活での時間の“感覚”は身に着けておいてほしいんですね」(同)

 

例えば、給食の時間は20分間と決められていますが、自分が20分でどれくらいの量を食べられるのかを感覚的にわかっていないと、時間内に給食を食べ終われずに苦労することもあるとのこと。

 

「細かく管理する必要はもちろんありませんが、入学前から『1時間経ったね』『○時に出ようね』といった声掛けをなんとなくしておくといいですね。お子さんの体に時間の感覚が刻まれると思います」(同)

 

生活のなかに、授業内容を深く理解するための材料が、こんなにもあるとは驚きです。親自身が日々、数や量を意識することで、ちょっとした声掛けもできるようになるのかもしれません。そのほか、前回も触れたように、しっかりと鉛筆を握ったり椅子にまっすぐ座ったりできるよう、たくさん運動をして『勉強に向いた体づくり』も忘れずに行いたいですね。

 

最終回となる次回は、国語や算数の宿題に保護者がどう向き合えばいいかをお聞きします。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 


関連記事はこちら

楽しんで言葉を経験しよう! 就学前にやりたい国語の勉強

家庭でできる保育園児の入学前準備4つのポイント

生活スタイルと関係あり!姿勢の悪い子が増えている理由

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

楽しんで言葉を経験しよう! 就学前にやりたい国語の勉強

 

 

年長児生活も終わりが見えはじめ、来春の小学校入学が気になり始める時期。特に初めての体験となる学校の授業については、不安を覚える保護者の方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、小学校入学直後の国語の授業について取材。授業内容のほか、入学前に準備しておきたいことについても、現役小学校教員の遠藤裕美子先生にお聞きしました。

 

 

●入学直後の国語の授業、何をする?

 

幼稚園、保育園と小学校との一番の違いは、座学での「授業」が始まること。まず、小学校に入ったばかりの子どもたちが、国語の時間にどんな授業を受けるのか、教えてください。

 

「『授業』というと堅苦しいイメージですが、小1の初めの授業はコミュニケーションをベースに進行します。教科書も絵で構成されていて、文字はありません。絵を見ながら『くまさんは何をしているのかな?』『うさぎさんとおさるさんは何のお話しをしているんだろう?』といったように、想像したことを自分の言葉で話す練習から始めます」(遠藤先生)

 

実際に教科書を見せていただくと、ポップで楽しそうなイラストがたくさん。最初の数十ページは、文字もほとんどありません。「よみかき」を始める前に、まずは考えたことを言語化することを学ぶのですね。

 

「そうですね。入学して少し経って、先生や友達の発言は静かに聞く、発言するときは挙手をするなど、授業の進み方がわかってきたところで、ひらがなの練習が始まります。1日1文字、多くても2文字のペースで進むので、1学期が終わる前にはすべてをマスターできることになります。そのほか、先生が読んだ文章について意見を言ったり、先生が読んだ文章を復唱したり、ひらがなが読めるようになったら音読をしたりします」(同)

 

1時間の授業は、どんな構成で進むのですか?

 

「授業は45分が1単位ですが、子どもの集中力を加味すると、初めは12~13分ごとに区切って雰囲気の違う3つの内容で構成するようにしています。5月ごろになって慣れてきたら、20分ごとの前後半に。また、新生活を送る子どもたちは『いつものパターン』に安心するので、私はよく前半に、やり方がパターン化しやすいひらがなの練習、後半はお話を読んだりといった構成にしています」(同)

 

なるほど。小学校に上がったばかりの子どもたちが飽きずに授業に取り組めるよう、工夫されているのですね。

 

 

●ひらがなの先取りより、外遊びで「勉強に向いた体づくり」を

 

国語の勉強をスムーズに始めるべく、就学前に家庭でしておくべきことはありますか? 今は早くからひらがなの読み書きのできるお子さんが多そうですが……。

 

「ひらがなに関しては、入学時に自分の名前が読めて、なおかつ書くことができれば十分です。幼稚園、保育園では持ち物をマークでも判別できたかもしれませんが、小学校の名前は文字のみ。自分の道具も増えるので、名前が読めないと困ります。また、ペーパーなどに名前を書いて提出する機会も増えるので、ぜひそれだけは練習してきてください。

 

それ以外は、特別な『勉強』はしていなくて大丈夫です。というのも、練習をしてきたばかりに鏡文字やおかしな鉛筆の持ち方が定着してしまい、なかなか直せないということもよくあるんですよ」(同)

 

先取り学習も、やり方を間違えると逆効果になりかねないのですね……。では、そのほかに家庭で準備できることは何かありますか?

 

「最近の子どもたちは、鉛筆がしっかりと握れなくて筆圧が弱かったり、体幹が弱くてまっすぐ座れなかったりという傾向にあります。これらは、体を使った遊びが減ったせいだといわれます。もししっかり準備をしたいと思っているならば、たくさん運動をして『勉強に向いた体づくり』にぜひ取り組んでほしいですね」(同)

 

小学生になると、子ども自身も何かと忙しくなり、親子で触れ合う時間も減ると聞きます。子どもとめいっぱい遊べる最後の機会だと思って、4月までは一緒に外遊びを楽しんでみるのもいいかもしれません。

 

 

●楽しい経験を通して言葉に触れるのが何よりの国語の勉強に

 

国語力を高めたいなら、遊びを通して語彙力を磨くのも一つの手だそう。

 

「しりとり、ものしりとり(山手線ゲーム)、連想ゲームなどの遊びやゲームを通して、家族で楽しみながら多くの言葉に触れられるといいですね。もちろん絵本を一緒に読むのもおすすめです。お子さんが興味のある物事について調べ物をしてみたり、経験を積んだりするのも、とても役立ちます」(同)

 

こうして生活の中で積んだたくさんの言葉の経験が、授業によって体系化され、知識として定着していくのだそう。

 

「また、自分の興味に沿って物事を学ぶ楽しみを知っている子は、素直に聞き入れる気持ち、できるまで頑張ろうという気持ちが育ちやすい。そういう子は、いろいろなことをスポンジのように吸収して伸びていくんですよ。

 

反対に、知識を単なる知識として詰め込んだ子は、学ぶ楽しみを知りません。また、先取りして知識を詰め込むと、新しいことに触れても『知ってる』と言って取り入れようとしないこともあります」(同)

 

最後に「生活での経験を学校で知識として整理し、学校で身に着けた知識を生活の中で生かす。学校と家庭とで、そんな役割分担ができれば」と話してくれた遠藤先生。これは、入学前だけにとどまらず、入学後も心にとめておいたほうがいいことかもしれません。

 

次回は、算数について就学前にしておきたいことをお聞きします。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 

就学時健康診断、学校側は何を確認しているの?

 

 

毎年10~11月にかけて、翌年就学予定の年長児を対象に行われる「就学時健康診断」。入学予定の小学校に足を踏み入れる初めての機会ともなるこの健診で、学校側は何を確認しているのでしょうか? また、保護者のすべき準備、当日気を付けることは? 現役小学校教諭の遠藤裕美子先生にお聞きしました。

 

 

●健康診断と三者面談が行われます

 

小学校に入学する前年の10~11月に行われる就学時健康診断。まずは、当日の流れを簡単に教えていただけますか?

 

「初めに受付をして、番号が呼ばれたら最初は健康診断。各教室を回り、内科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科と、校医の先生に健康状態をチェックしてもらいます。予防接種はきちん受けているか、虫歯はないか、視力などに異常がないかなどを確認します」(遠藤先生)

 

受付を済ませた後は、親子で一緒に教室を回るケースもあれば、親子が別れて子どもは上級生のお兄さん・お姉さんに付き添ってもらうケースも。やり方は、小学校によって異なるそう。

 

「その次に、面談で子どもの様子、心身の発達などをみます。いくつか方法がありますが、私が経験したのは2パターン。1つは、子どもと一対一で行うもの。名前を確認した後、検査の用紙などを使って『丸を書いてね』『飛行機はどれかな?』と質問していきます。やり取りをしながら、はっきりと発音できているか、質問が聞き取れているか、緊張で固まったりしていないかなどを確認します」(同)

 

もう1パターンは、4~5人の小グループで行う形式。やりとりをする先生と観察の先生の2人がつき、順に名前を言わせたり、『好きな食べ物は?』などの問いに答えさせたりするのだとか。

 

「この場合は、全員に算数ブロックを配って、箱からブロックを取り出して数えたり、箱にブロックをしまったりする活動の様子を見るなどして、集団の中で過ごす際のその子の特性を見極めます」(同)

 

面談が終わると保護者のもとへ。遠藤先生の経験では、その後は子どもと保護者、先生の三者面談をして終了というパターンが多いそう。

 

「この面談は、就学後について心配事はないか、お互いに確認する機会と考えてください。小学校に入学する意思はあるか、引っ越しの予定はあるか、他校を受験しているかどうか、入学に際してのお子さんの心配事はあるか、アレルギーはあるかなどをお話しします」(同)

 

面談というと「何を聞かれるのか……」と身構えてしまいそうですが、その必要はないとのこと。「むしろ心配事、悩みごとを解消する機会にしてくださいね」(同)。

 

 

●就学時健康診断は、その子に最良の環境を用意するための準備

 

そもそも、就学時健康診断は何が目的なのでしょうか?

 

「就学時健康診断の目的は、お子さんの今の状況を、保護者の方と学校側の両方が把握すること。これは、入学後の環境をその子にとって最良のものにする準備といえます。

 

小学校は、幼稚園や保育園に比べて建物は大きいし、人数も多い。仕組みも違いますし、先生との関わり方も変わります。こうした変化に戸惑わない子どもはいません。だから、できるだけ適応しやすいように環境を整えてあげたいのです。悩みの種になりそうなことは、入学前にできるだけ少なくしておきたいですよね」(同)

 

例えば、健康状態。予防接種の接種漏れがあるまま、落ちた視力に気づかないまま、虫歯を治療しないままで新生活を迎えてしまったら、子どもの新生活に余計な負担を増やしかねません。逆に、入学前にそれらを発見していれば、4月までに解消できるものもあるはず。もしすぐに治らないことであっても、親が把握しているといないとでは大違いでしょう。

 

6年続く小学校生活、できるだけスムーズにスタートを切るためには、まず子どもを最良の状態でスタートラインに立たせてあげることが大事なんですね。

 

 

●保護者は小学校入学へのわくわく感を高めてあげて

 

最後に、就学時健康診断に来る保護者へのアドバイスをいただけますか?

 

「就学時健康診断が、入学する小学校への初訪問になる方も多いですよね。お子さんも保護者の方も緊張すると思いますが、お子さんの緊張には私たちは慣れているので、ご家庭で練習をしたり、お子さんに『しっかり答えなさい』とプレッシャーを与えたりはしなくて結構です。できれば、小学校入学に期待が高まるような声掛けをしてあげてください」(同)

 

学校を一緒に探検するような気持ちで来てほしいと遠藤先生。来る前には「春から入る小学校に行くよ、楽しみだね」、帰り道には「学校、広くて面白そうだったね」「先生が優しかったね」「校庭広かったね」「いろいろな教室がありそうだったね」などと声掛けをして、わくわく感を高めてあげてほしいと言います。

 

「もし心配性なお子さんなら、事前に当日何をするかを予告してあげると安心できるかもしれません。『お医者さんが体を診るけど、痛いのはないよ。そのあと、学校の先生とお話しして、学校を見て帰ってこようね』と話せば、受付後に親と別れるときもスムーズにいくはずです」(同)

 

服装に関しては、子どもは一人でも脱ぎ着がしやすい上下が別れたものを。内科検診でおなかを見せるため、ワンピースやつなぎの服は避けたいところです。

 

「当日は、待合室で順番を待つ時間があると思います。学校ではゲームやお菓子はもちろん、大きな声でおしゃべりをしたり、走り回ったりするのはNG。親子ともども、学校であることを意識して節度のある行動をお願いします。

 

待機の時間は、子どもの新たな一面を発見する機会にもなります。新しい大きな集団に入ったときにその子が緊張してしまうのか、意外にどっしり構えていられるのか、落ち着かなくなってしまうのか、無口になってしまうのか……。保護者の方の目で観察しておくと、入学後にその子とどう向き合うかの参考になると思います」(同)

 

就学時健康診断が終わったあとでも、心配事があればいつでも区や市、そして学校に相談をしてほしいとのこと。入学前は、だれしも不安で当たり前。学芸会、展覧会などイベントごとのほか、学校公開など見学の機会はたくさんあるそうです。保護者も子どもも4月に安心して新生活をスタートできるよう、準備しておきたいですね。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 

苦手野菜が克服できる? 食と農業を学ぶ「食農教育」とは【後編】

 

 

食が持つさまざまな役割の大切さを伝える「食育」。これをさらにパワーアップし、「食」を支える根本である「農業」まで学ぼうという「食農教育」が新たに注目されています。前編では「食農教育」の基本的な意味や、実際の取り組みとしてJA横浜が行っている「あぐり塾」について、JA横浜・地域ふれあい課の福島亜紀代さんと飯島美智子さんにお話を伺いました。今回は、おうちで気軽に取り組める「食農教育」について、引き続きお二人に伺います。

 

 

●親子で気軽に挑戦できる「キッチンガーデン」

 

「食農教育」については、全国の農協で農業体験などのイベントが行われているとのことでした。こうしたイベントに今すぐには参加できない場合、家庭で「食農教育」に取り組むとしたら、どんなことができるでしょうか?

 

「プランターで手軽に野菜が作れる『キッチンガーデン』がおすすめです。広い庭がなくても、ベランダやキッチンでお子さんと楽しく野菜を育てることができます。まずは、育てるのが簡単な葉野菜から始めてみるのがいいでしょう。とくにハーブ類は、香りが強くて虫がつきにくいので人気ですよ」(福島さん)

 

初めて挑戦するなら、ホームセンターで買える家庭菜園セットを活用するのも手。さらに、野菜の残った部分を使う再生栽培なら、今すぐ始めることができます。

 

「豆苗やかいわれ大根は、残った根っこ部分を水に付けておくだけでグングン成長します。大根やにんじんも、切り落としたヘタの切り口の部分をコップなどに入れて水に浸しておくと、1週間ほどで葉が出てきます。大根やにんじんの葉は、お味噌汁の彩りなど、使いたいときにサッと使えて意外と重宝しますよ」(飯島さん)

 

テーブルやキッチンに置いておけるので、お子さんもこまめに観察できて楽しいですよね。また、それらのお世話係を子どもにお願いしてみるのもいいかもしれません。

 

「自分たちがごはんを食べるのと同じで、野菜にとっては水がごはん。野菜が水を欲しがっているよと教えてあげると、そのうち積極的に水の交換をやってくれるようになると思います。それから、今の子どもたちは土に触れる機会が少なくなったと言われているので、プランターの種まきや土いじりも積極的にお手伝いしてもらいましょう」(福島さん)

 

公園での砂遊びと同じで、いざ土いじりを始めると、楽しくて熱中してしまうお子さんも多いよう。手や服が汚れるのはグッと我慢して、夢中で取り組んでいる姿を見守ってあげたいところです。

 

 

●スーパーや直売所への買い物の時にできること

 

今は「親戚に農家がいる」という家庭も減ってきているかもしれません。子どもに「農業」を身近に感じてもらうため、親として何かできることはあるのでしょうか?

 

「ぜひ親子で行ってみてほしいのが農協の直売所です。農家の方が毎朝採れたての野菜を届けてくれるので、いつも新鮮な野菜が並んでいます。一年中同じ野菜が置かれているのではなく、その地域で穫れる季節ごとの野菜だけが並んでいるのが特徴で、子どもたちにも旬を感じてもらうことができると思います」(飯島さん)

 

家庭での「食農教育」で何よりも大切なことは、親も子どもと一緒になって「食」や「農業」に興味をもつことだそう。

 

「例えば、毎日の食材の買い出しの時に、スーパーに行って食材を見ながら『これで何が作れるかな〜?』とクイズ感覚で一緒に献立を考えてみましょう。それだけでも、その日のごはんがますます楽しみになると思います。簡単なことからでいいので、子どもが「食」や「農業」に興味を持つきっかけを、親が作ってあげられるといいですね」(福島さん)

 

JAのホームページでイベントの情報収集をしたり、ホームセンターの家庭菜園コーナーに行ってみたり、まずはお母さんが興味をもつところから始めたいですね。

 

(取材・執筆/高野理恵)

 

 


関連記事はこちら

年長で身に付けておきたいこと【第1回】学びの基礎となるのは「体験」

子どもの小食・偏食、どう対処したらいい?

ベランダの広さと方角と相談しながら、家庭菜園を始めてみよう!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

苦手野菜が克服できる? 食と農業を学ぶ「食農教育」とは【前編】

 

 

「食育」という言葉が広く浸透し、小学校や地域でも「食」にまつわる取り組みが盛んに行われるようになりました。そんな食育の一環として新たに注目されているのが、農業まで含めて食の大切さを教える「食農教育」です。では、いったいどんな教育なのでしょうか。今回は、地元の農家と子どもたちの架け橋となるべく、様々な農業体験イベントを企画・運営するJA横浜・地域ふれあい課の福島亜紀代さんと飯島美智子さんにお話を伺いました。

 

 

●「食」と「農業」のつながりの大切さを教える「食農教育」

 

「食農教育」とは、どんな教育ですか?

 

「『食』がもつ様々な役割の大切さを教える『食育』をパワーアップして、『食』を支える根本である『農業』までを含めた教育です。食べることの重要性だけではなく、普段食べているものがどこからやってくるのか。どう育ち、食卓に並ぶまでになるのか、そういったことの大切さも体験を通して学んでもらいます」(福島さん)

 

「食農教育」を学ぶことは、子どもにとってどんなメリットや効果がありますか?

 

「『食農教育』の柱でもある農業体験では、普段食べている野菜が畑でどう育つのか、そしてどんな人が作っているのかを知ることができます。生産者の顔がわかって、その人が大切に育ててくれた野菜だと思うと美味しさも格別! 残さず食べようという気持ちにもなりますよね。それから、自分で栽培や収穫をした野菜には愛着がわくので、農業体験後に苦手だった野菜を食べられるようになったという声も聞きます」(飯島さん)

 

楽しく農業体験できて、さらに苦手野菜も克服できるとくれば、参加させない手はないですね。

 

 

●“栽培・収穫・食べる”が体験できる「あぐり塾」

 

食農教育の一環として行っているイベントなどがあれば教えてください。

 

「JA横浜では、小学生親子を対象とした『あぐり塾』という栽培・収穫イベントを定期的に行っています。例えば一昨年は、親子で一緒に大根やじゃがいもの栽培に挑戦しました。3か月の期間中に毎月1回ほど活動日があり、種をまいて、育つ過程を見て、収穫するという一連の農作業を体験できるのが『あぐり塾』の特徴で、最後は収穫した野菜を調理して食べるという楽しみもあります」(飯島さん)

 

子どもだけではなく、家族で農業体験ができるのも魅力的ですね。そして、自分で収穫したものを「食べる」時間は、子どもたちにとって最高のご褒美!

 

「今年の夏に開催したトマトの収穫イベントでは、採ったトマトをジャムにして、パンケーキにつけて食べました。収穫だけで終わらせるのではなくて、採ったものをどうやって食べるかというところまで体験してもらいます」(福島さん)

 

「あぐり塾」は毎回テーマを変えて不定期で開催しており、告知は農協のホームページや直売所で行っているそう。また、全国の農協でも同様のイベントが行われているので、気になる方は、自分が住んでいる地域の農協に問い合わせてみてください。

 

 

●苦手だった野菜も好きになる! 農業体験のマジック

 

イベントには毎回たくさんの応募があるようですね。では、イベントの前後で、子どもたちの「食」や「農業」に対する意識の変化を感じることはありますか?

 

「先程もお話ししましたが、家では残してしまう苦手な野菜も、自分で収穫したものには愛着がわくようで、採った野菜で作ったごはんはみんな残さずモリモリ食べています。これには、一緒に参加した保護者の方もびっくりしているようです」(福島さん)

 

苦手だった野菜を克服できて、親としても嬉しい収穫ですね。さらに、普段は捨ててしまうことが多い部分も、実はおいしくいただけるという新たな発見があったり、自家栽培ならではの食材が楽しめることも。

 

「大根を栽培するときは、途中で葉っぱを間引きしないといけません。間引きした大根の葉っぱって、なかなか食べる機会がないですよね? 『あぐり塾』では、間引きした葉っぱを持ち帰って食べてもらいます。おひたしにしたり、お味噌汁に入れると、みんな喜んで食べてくれるみたいです。普段は食べない部分も実際に食べてみるとおいしくて、それがきっかけで野菜を好きになるお子さんも多いようです」(飯島さん)

 

大根の収穫イベントでは、葉っぱで作ったふりかけが大好評。そんな、楽しくておいしい農業体験ですが、実は失敗から学ぶこともたくさん。

 

「みんなで同じように種をまいても、自分だけ芽が出ないということがたまにあります。そこで子どもたちは初めて、種をまいたからといって必ず芽が出るとは限らないということを体験します。でも、だからこそ芽が出たときは喜びも大きく、育てることにますます興味がわくようです」(福島さん)

 

スーパーや八百屋さんに野菜が並ぶまでには、農家の方の計り知れない苦労があると学べることも、農業体験の大きな価値と言えそうです。

 

福島さんによると、全国の農協が主催する「食農教育」のイベントのほかにも、個人の農家さんや自治会が行っている農業体験イベントもたくさんあるようです。インターネットでどんな農業体験があるのか調べたり、地元のスーパーや地区センターなどでイベントの告知をしていないかチェックするなど、普段からアンテナを張っておくといいかもしれません。

 

(取材・執筆:高野理恵)

 

 


関連記事はこちら

年長さんから、子どもに料理のお手伝いをさせよう!

食器や献立、食育……どう変わった?「給食」タイム

1年で食べることへの意欲が育ちます!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

2020年度から変わる小学校授業。家庭で必要な対応とは?【後編】

 

 

前回は、2020年度の新学習指導要領の完全施行で始まる英語の必修化について、その内容や目的などを現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。今回は、同じ年に必修化される「プログラミング教育」や、新しい授業に対して家庭でやっておくことなどについてお聞きします。

 

 

●各教科に横断的に取り入れられる「プログラミング教育」

 

前回取り上げた英語の授業のほか、2020年に必修化の方針が打ち出されているものに「プログラミング教育」があります。具体的にはどんなことを学ぶのでしょうか?

 

「『プログラミング的思考』とよばれるものを育成するため、コンピューターに意図した処理を行うよう“指示することができる”ということを体験させるもので、必ずしも『コーデイング(プログラムを作る方法)』を覚えることが目的ではないようです。むしろ、ある先生によれば『子どもたちが、ある目的を達成するための手続きについて、筋道をたてて考え、よりよい方法を考えられるようにしたい。そのための教材としてパソコンを使いましょう』というスタンスのようです。こうなると、算数科の目標である「筋道を立てて考えられる数学的思考力を高める」というねらいに近い印象がありますね」(舟山先生)

 

ちなみに、「プログラミング」という独立した教科ができるのではなく、例えば、算数の時間に図形を作図する、音楽の時間に音楽を作る、理科の時間に電気の性質や働きを学ぶ…など、各教科の特質に応じてプログラミング教育の取り組みを実施するようにとされているのだそうです。さらに言えば、どの教科や学年に取り入れるかは、各校に委ねられており、現状では指定研究校になっている学校などが先行的な実施をしている段階で、ほとんどの学校はこれから、といったところのよう。

 

「プログラミング教育は、新学習指導要領の中でも耳目を集める言葉なので、気になっている親御さんも多いと思いますが、学校では、パソコンの基本的操作(タイピングやソフトの使い方など)は行っても、その先何をするかの方針がはっきりしていなかったり、情報や事例を集めたりしている段階のようです」(同)

 

 

●ICT活用の背景にある「アクティブラーニング」とは

 

また、プログラミング教育と同じように、パソコンを使う印象があるのが「ICT授業」、つまり「情報コミュニケーション技術(Information and Communication Technology)」を活用した授業です。

 

「ICT授業として一般的なのは、デジタル教科書を使用したり、児童にタブレットやパソコンを持たせたりして授業を行うことです。国語・算数から体育・図工・音楽・総合的な学習まで、いまやどの教科でも使用しています。昔の、視聴覚教材が進化した形態といってよいかもしれません」(同)

 

写真や動画などの映像を始め、図書館の資料や児童の書いたものを拡大器やプロジェクターでスクリーンに表示したりするのもICTの活用と言えるのだそうです。

 

「プログラミング教育の必修化やICTの積極活用がいわれるのは、新学習指導要領のキーワードとなる『アクティブラーニング』に備えてのことでしょう」と舟山先生。

 

「アクティブラーニングとは、教師が一方的に教えるのではなく、児童が能動的・主体的に参加して、仲間と深く考えながら課題に取り組む学習法のこと。先生の話を受け身で聞く座学での学習と対極にあるものとされています。ICTの活用によって、児童が興味をもって自発的に学ぼうという意欲が出ることが期待されているのだと思います」(同)

 

舟山先生によれば、生徒の主体性という側面の一方で、いかにこどもの学びに向かう姿勢を引き出せるか、意欲的に学習に向かわせることができるのかという教師側の姿勢も、アクティブラーニングの重要な鍵になるようです。

 

 

●自ら学ぶ姿勢を育てるために、家庭でできること

 

とはいえ、今後の教育の流れとして、子どもたちの自ら学ぶ姿勢が重視されることは確か。そして、子ども自身が学校の授業に対して、自発性や積極性という「やる気」をもつためには、家庭での声かけや工夫も大切になると先生は言います。

 

「まずは、お父さんやお母さん自身が読書などで学ぶ姿を見せてほしいと思います。また、日常のニュースを見てわからないことを親子で一緒に調べるとか、社会で起きている問題をテーマに家族で話しをするとか、子どもの質問をもとに会話が広がるような環境を作ると良いでしょう。これらは低学年のうちからやっておくに越したことはありません」(同)

 

大切なのは、子どもだけに勉強しろというのではなく、学ぶことはいつでも必要であり、何かをわかったり、できるようになるのは楽しいものだと、自然な形で子どもに伝えること。まずは興味のあることからでも、親自身が学ぶ習慣をつけて、子どものお手本になれるといいですね。

 

 

●英語やプログラミングの習い事より、まず育てたい「2つの力」

 

英語やプログラミング教育の必修化というと、早期教育の教室などに通わなければいけないのかなと思う方もいるのではないでしょうか。これに対して舟山先生は、「少なくとも低学年のうちは、学習の先取り以上に、先を見通す力(段取りの力のようなもの)や日本語の力を育てることが大切」と言います。

 

「例えば、調べ学習の課題に取り組むとき、どのような見通しをもって、どんな段取りで行うかをわかっていないと、単にPCをいじっておしまい……ということになる可能性もあります。また、日本語の読解力がなければ教科書がしっかり理解できず、プログラムに求める機能の仕様書などもわかりません」(同)

 

では、先を見通す力や、日本語の力をつけるためにはどうしたらよいのでしょうか。舟山先生いわく「日常生活で基本的なことをしっかりと身につけることが重要」とのこと。

 

「朝のしたくなど、身の回りのことを自分でやることは、先の見通しを持って段取りを整える力を養うことにつながりますし、家族との豊かな会話は日本語の力を育みます。そしてこれには、家庭の力が欠かせません」(同)

 

また、アクティブラーニングの元となる「やる気」を育てるためには、好きなことだけでなく、苦手なことに対してねばり強く物事に取り組む姿勢も必要とのこと。そのためには、毎日規則正しい生活を送る、小さいうちからお手伝いをして家族の役割を担う、といったことも大事なのだとか。

 

「これからの時代に通用する技術や能力を身につけ、存分に活かしていくためにも、まずは毎日の生活を大切に過ごす、ということを意識していただければと思います」(同)

 

親としては、どうしても成績が気になるものですが、1年生のうちは、成長して社会に出た後に役立つ力を育てる時期と考えていきたいですね。そして、2020年以降はよりそうした力が身に付くように、学校の授業も変化していきそうです。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 

6年間撮り貯めた子ども写真、上手に整理するコツは?【後編】

 

 

卒園・入学の忙しい季節が来る前に、6年間撮り貯めた子ども写真を整理しちゃいましょう! というわけで、前編では、モチベーションを上げるための「写真整理の目的・メリット」の再確認と、整理が苦手な方におすすめの「アルバム1冊+バックアップデータ」という保管方法についてご紹介しました。

 

後編となる今回は、子ども写真の上手な選び方と、データを貯めないために、今後できることについて、引き続き写真整理アドバイザーの西塔薫さんにお話しを伺います。

 

 

●アルバム用の写真選び、5つのポイント

 

前回、おすすめとしてご紹介頂いたのが「生まれてから現在まで、1か月に1枚ずつ写真を選んで、銀塩のL判でプリントする」という方法。1か月に1枚というと、かなり厳選することになりますが、選ぶ際の注意点を聞きました。

 

・誕生日や旅行などの大きなイベントは、多めに選んでもOK。ただし、2~3枚で十分

・アップの写真を選びがちになるので、“引き”で良さそうなものがあれば、積極的に入れる

・同様に、目線バッチリの写真だけでなく、遊びに熱中しているところ、寝顔など、目線を外した写真も意識して入れる

・よく遊ぶおもちゃや絵本など、子どものお気に入りグッズが写った写真もおすすめ

・同じシーンなら子ども単体の写真より、家族や友達と一緒に写っているものを選ぶ

 

「分かりやすく、結婚式で流れる“生い立ちムービー”で考えてみても良いかもしれません。目線バッチリのアップ写真ばかりだと、単調でつまらない一方、大人数でワイワイと楽しんでいる写真だと『こんな遊びが好きだったなぁ』『こんなところへ行ったなぁ』『こんな友達と遊んでいたなぁ』と本人にとっては思い出の起爆剤になるし、周りの人も、その人となりを理解しやすいですよね。

 

また、家族写真がある場合は積極的に入れましょう。大人になったときに見返して嬉しいのは、自分のアップの写真より、家族との写真です。親としては可愛い我が子のアップ写真ばかり入れたくなる気持ちも分かりますが…だとしたら別で、親が我が子の成長を楽しむ用のアルバムを用意したほうが良いかもしれません。実は私も、家族のアルバムとは別に『子どもの寝顔セレクション』を自分用に作っていたりします(笑)」(西塔さん)

 

確かに、言われなければ「気付いたらアップ写真ばかりに…」となってしまいそう。事前に聞けて良かったです! ちなみに、誕生日などのイベントがあって、1か月で2~3枚の写真を選んだ場合は、他の月をその分減らしても良いし、「見開き12ポケットで1年」に固執せず、ページの途中から次の一年が始まる…としても全く問題ないそうです。

 

 

●写真を貯めすぎないためには、まず「連写」を見直そう

 

貯まった写真の整理術について詳しくお話しを伺ってきましたが、実際にこの方法で、現在に至るまでの「家族アルバム」を1冊作ったとして、今後、写真整理をラクにするために、できる工夫はあるのでしょうか?

 

「まず、撮影に関しては『連写をしすぎない』ということ。そもそも写真が好きで『運動会のかけっこも脚立を立てて置きピンで…』という方なら話は別ですが、そうでないなら、例えばかけっこなら2~3枚撮って、あとはムービーで残すというような切り替えも大事だと思います。違いが微妙な写真が何十枚と並ぶと、選ぶときも決め手が分からず無駄な労力を使いますからね。

 

撮影後は、できるだけその日のうちに、いらない写真をパパっと消しておけるといいですね。スマホなら同時に、良さそうなものに『お気に入り』マークを付けるとベター。帰りの電車や、夕食後のコーヒータイムなど、ちょっとした隙にやるクセを付けると、あとがラクですよ。

 

そして、1か月に1回、写真整理の日を作りましょう。厳密に何日と決めなくても、土日、子どもが習い事に行っている間…など、なんとなく自分で目安を作るといいでしょう。スマホやSDカードのデータをパソコンなどにバックアップして、あとは「今月の1枚」を選んでネットプリントや写真屋さんに注文するだけ。これなら数十分でできますよね」(同)

 

一度ルールを決めてしまえば、あとはルーチンで、楽しくこなせそうです。再び「やらなきゃ…」という義務感に襲われないためには、貯めずにこまめにやること、あとは、無理のない範囲で、できる方法でやるようにするといいでしょう。

 

 

●ポケットアルバム以外で、フォトブックのサービスを利用する手も

 

メインの「家族アルバム」はポケットアルバムが便利そうですが、先ほど話に出た「子どもの寝顔セレクション」のような目的別のサブアルバムを作る場合、フォトブックなどを利用する手もあるそうです。西塔さんおすすめのサービスをいくつかご紹介します。

 

【アルバス -ましかく写真プリント】

http://albus.is/

・iOS、Androidアプリからのみ利用できる。スマホ撮影がメインの方におすすめ。

・月8枚、無料で銀塩プリントできる

・その名の通りましかく写真なので、集合写真は横が切れることも…

・リマインド通知がでるので、「今月頼み忘れた!」のリスクが少なくなる

・写真だけが送られてくるので、別でアルバムを用意する必要アリ(専用品も購入可)

 

【sarah つながるフォトブック[サラ]】

https://sarah-book.jp/

・24ページ/250円からあるので、手軽なフォトブックとして便利

・写真を選ぶだけで、撮影日時などを自動判別し、最適なレイアウトを提案してくれる

・写真の追加や削除、コメントの記入も可

・かわいらしい作りは、一緒に写っているお友達や祖父母へのプレゼントにも◎

 

他にも、老舗の富士フイルムが提供する「Year Album」や、家族写真入りのオリジナル防災手帳が作れる「TOLOT(トロット)」など、便利なサービスはたくさんあるとのこと。「家族のアルバム」を完成させて写真整理の楽しさに目覚めた方は、いろいろ利用してみると良いかもしれませんね。

 

デジタル時代とは言え、特に家族写真に関しては、アナログな「プリント写真」がまだまだ大きな意味を持ちそうです。年内、このタイミングで整理してしまえば、年末年始にみんなで眺めて楽しむこともできるかも! ぜひ、タイミングを作ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

(取材・執筆:ママノート編集部)

 

 


関連記事はこちら

親子での海外旅行、行先選びやプランニングのコツは?

毎日の親子の会話で、人の話を聞ける子に

年長さんから、子どもに料理のお手伝いをさせよう!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

6年間撮り貯めた子ども写真、上手に整理するコツは?【前編】

 

 

産声をあげた瞬間から、事あるごとに撮り貯めてきた我が子の写真。誕生会や旅行などのイベントはもちろん、ふだんの何気ないシーンまで含めると、気づけば数千枚の写真データがスマホやSDカードにそのまま…という親御さんも少なくないと思います。その大量の写真データ、卒園・入学を控えたこの時期に、一気に整理しちゃいましょう!

 

そこで今回は、写真整理について数々のイベントや教室を主催している写真整理アドバイザーの西塔薫さんに、撮り貯めた写真データを賢く整理するコツについてお話しを伺いました。前編では、写真整理の目的とオススメの整理方法についてまとめます。

 

 

●授業で使用することも…! 写真整理をしておきたい2つの理由

 

大量の写真データ、どうにかしなきゃ…と思ってはいるものの、取り掛かったときの大変さを想像して、なかなか手を付けられない方も多いと思います。

 

「目的が曖昧なままだと、なにごとも取り組みづらいですよね。そこでまずは、写真整理の目的やメリットを考えてみましょう。まず挙げられるメリットは、一度すべて整理してしまえば、ママ自身の気持ちがスッキリするということ! 『やらなきゃ…』という義務感が解消して気持ちも軽くなりますし、一度整理の仕方を確立してしまえば、あとは同じ方法で、こまめに整理すれば良いだけですから。

 

次に、写真が探しやすくなるということも大きなメリットです。私自身、小6になる双子の母ですが、小学校では授業で『写真を持ってきて』と言われることも多いです。生活科の授業や“二分の一の成人式”などで、子ども自身が、写真で自分の成長を振り返るんですね。そんなとき、時系列で写真が並んでいれば、生まれたとき、七五三…など、欲しい写真をサッと探すことができます。分かりやすく整理されていれば、子どもだけでも探せます」(西塔さん)

 

SDカードやパパ・ママそれぞれのスマホなど、あちこちに写真が散らばったままでは、確かに子どもだけで探すのは難しいかもしれません。時系列で取り出しやすいというのが、まず大事なポイントなのですね。

 

 

●目指すべきは「子どもが自分の写真を見返しやすい状態」

 

さらに、写真整理の際、一番の目的として念頭に置いてほしいのが「家族みんなが気軽に見れる状態にすること」だと西塔さんは続けます。

 

「写真は『こっち向いて、笑って~』と撮るときから、『こんなに小さかったんだね~』と見返すときまで、子どもとのコミュニケーションツールや愛情表現としても優秀な手段です。

 

最近では、プリントした写真を子どもが見やすい場所に飾り、その写真をきっかけに子どもを褒めたり、コミュニケーションを取ったりする『ほめ写プロジェクト』というのが教育評論家の先生を中心に立ち上がったりしています。写真を通じて子どもの自己肯定感を向上させることが目的です。

 

ホームドラマなどで見るように、欧米だと家中のあちこちに家族写真が飾ってあったりしますよね。写真を通じて、自分のルーツや家族からの愛情を感じることが、子どもの成長にプラスに働くとしたら、スマホやSDカードに入れっぱなし…という状態は避けたいですよね」(同)

 

 

●写真整理が得意じゃないママにもオススメな「アルバム1冊+データ」方式

 

とは言え、6年間写真を貯めてしまうというのには、時間がなかった、整理する習慣がなかった…などいろいろな理由があると思います。そんな方でも比較的取り組みやすい整理方法というのはあるのでしょうか?

 

「目的や、細かい作業が得意かどうかなどによってベストな方法は千差万別ですが、今回の場合、銀塩プリントでアルバムを1冊作って、データはバックアップとして保存しておくというのはどうでしょうか。アルバムの作り方から説明すると、

 

1.誕生~現在まで、1か月につき1枚、写真を選ぶ

2.ネットプリントや写真屋さんで、それらをすべて銀塩のL判でプリントする

3.見開き12枚が入るポケットアルバムに、時系列順に写真を差し込んでいく

4.写真と同じサイズで年齢カードを作って、見出し代わりにポケットに差し込んでも◎

 

 

(出典:西塔さんのブログ「写真のきもち」

 

以上です。思ったより簡単そうですよね? しかもこのアルバムは、ちょっとしたバックアップの意味も持ちます。皆さん、データで取ってあれば大丈夫と思っている方も多いですが、実は東日本大震災のときも、最後まで残ったのは『銀塩写真』だったそうです。同じプリントでも、インクジェットなどは紙なので、水でふやけてしまいますが、銀塩写真の印画紙は水に強いんです。

 

しかも、プリントした写真からは、実は焼き増しもできます。町の写真屋さんに持参すれば、データを使った焼き増しと遜色なく仕上げてもらえるんですよ。保存性も高く、バックアップデータとしても優秀な銀塩プリント。値段も、ネットプリントならL判1枚10円くらいからあり、写真屋さんでも30~40円前後とお手頃です」(同)

 

ポケットアルバムでの管理なら、焼き増しするときや学校に持参するときもサッと出せるし、「やっぱりこっちの写真を…」と入れ替えることも簡単。整理が苦手な方や面倒くさがりの方でも、取り掛かりやすそうです。

 

 

●写真データの整理は、完璧を求めないこと

 

写真“データ”としては、どのように保管すれば良いのでしょうか。

 

「写真データについては、どこまで厳密にやるかが問題です。『孫の代までデータで残そう』と思うと、かなりの労力や、出費も必要になります。というのも、パソコンの内蔵ハードディスクや外付けハードディスク、DVDなどは、メーカーの定める耐用年数が5~10年だったりするので、厳密にやるなら、5年ごとにデータをお引越ししなければいけません。無料のクラウドサービスも補償は期待できませんし、いつ有料に切り替わるかもしれません。

 

検索性の高さを考えたとき、写真データとして理想的なのは、撮影日時順にきちんと並んでいること。でも、それぞれのスマホやSDカードのデータをパソコンに取り込むと、フォルダがそれぞれ分かれてしまったりしますよね。逆に、それをすべて一つのフォルダにまとめて時系列で並べようと思うと、かなりの手間隙がかかります。検索性はアルバムに任せて、データは万が一のバックアップ…としておくのが、シンプルなのではないでしょうか」(同)

 

ただし「一つだけ断言できるのは、スマホやSDカードに入れっぱなしはNGということ」と西塔さん。スマホは常に持ち歩くものなので、水濡れや落下のリスクも高く、データのバックアップ場所には向かないとのこと。また、SDカードも、そもそもが一時的に記録するための媒体なので、静電気やふとした衝撃でデータが消える可能性があるそう。厳密にデータを整理するにはかなりの時間と手間を要する印象ですが、最低限、パソコンやハードディスク、クラウドなどにバックアップしておく必要はありそうです。

 

次回は、アルバムにする写真の選び方や、フォトブックなどの手軽なサービスについて、引き続き西塔さんにお話しを伺います。

 

(取材・執筆:ママノート編集部)

 

 

2020年度から変わる小学校授業。家庭で必要な対応とは?【前編】

 

 

2020年度から施行される新しい学習指導要領では、3・4年生で英語の授業が必修になったり、タブレットやコンピュータを使った新しい授業の方法が導入されてくるそうです。新しい授業ではどのようなことが行われ、どういう力が重視されるのか、気になるところ。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●3・4年生で週に1時間、英語の授業が行われるように

 

2020年度から大きく変わる小学校の授業。なかでも3・4年生で「外国語活動(英語)」が始まるということは、トピックスとしてご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

そもそも公立小学校での英語の授業については、すでに5・6年生で2008年度から「外国語活動」として始まっており、2011年度には「必修化」されて現在に至ります。移行期間として、すでに2018年度から5・6年生での「教科化」が導入されていたり、自治体によっては、3・4年生だけでなく1年生から週に1時間、英語の時間を取り入れていたりと、現時点では、様々な取り組みが行われているようです。

 

「2020年度からの新学習指導要領では、5・6年生は週に2時間、3・4年生は週に1時間の『外国語』の時間が取り入れられるようになります。特に5・6年生は、これまで必修ではあっても『教科』ではなかったので、成績はつきませんでしたが、新学習指導要領では教科になるため、国語や算数と同じように規定の教科書を使い、成績評価の対象になります」(舟山先生)

 

成績については、ほかの教科のように「できる」「できていない」とはっきり評価されるのではなく、どのような活動をして、その時どのような態度で取り組んでいたのかを表記することになるようです。

 

「早いうちから英語に親しむことで、将来的に、実際に英語を使ったコミュニケーションがスムーズにできるようになることが期待されています」(同)

 

 

●3・4年生は英語に「慣れ親しむ」活動が中心に

 

今の1年生が3年生になる年に、英語授業が完全必修化されるわけですが、具体的には、どういったことを学習するのでしょうか。

 

【3・4年生】

名称…「外国語活動」

目標…外国語に慣れ親しむ・外国語学習の素地を養う

授業内容…聞くこと・話すこと(言葉のやりとり・発表)

 

【5・6年生】

名称…「外国語科」

目標…聞く・読む・書く・話すの素地を養う

授業内容…聞くこと・話すこと(言葉のやりとり・発表)・読むこと・書くこと

 

3・4年生と5・6年生で、多少違いがあるようですが、最初のうちは、動物や色の名前、簡単な動詞(生活に密着した言葉。例えばeat、drink、sing、sleepなど)に触れることなどから始まるのだそう。単語の意味を解説したり、発音を意識したりということはなく、あくまで英語に慣れ親しむための活動が重視されます。すでに行われている英語の授業では、歌やゲームなどを取り入れているケースも多いようです。

 

「英単語をたくさん知っているなど、あらかじめ知識がたくさんあることよりも、異文化の言語に対して、積極的に学びに向かう態度が重視されます」と舟山先生。英語の授業が始まるからと、先取りしていろいろ教え込むよりも、まずは異文化に興味を持って、楽しく学ぶマインドを育てておくことが大切なようです。

 

「そのためには、異文化への知識や、それと比較するための日本語や日本語文化の理解が基盤になります。日頃から家庭で『いちごは英語ではストロベリーだけれど、バナナは英語でもバナナと言うね。カタカナで書いてあるのは、外国から来た言葉が多いんだよ』『カステラは、カタカナだけど英語じゃなくて、ポルトガルから来た言葉なんだって』『ハロウィーンは、お母さんが子どものころは、今みたいにやっていなかったよ。昔からあったのは、七夕かざりを作ったり、鬼のお面を作って節分の豆まきをしたことかな…』といった話をすることでも、外国語や異文化(多文化)に興味をもつ素地を養えるのだと思います」(同)

 

親子で楽しく会話しながら、子どもの興味を深めていけるといいですね。

 

次回は、同じく必修化される「プログラミング教育」についてのお話や、これからを見据えて家庭でやっておくとよいことなどについて、引き続き舟山先生に伺います。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

幼児期からの英語教育、どんな教材を選べばいい?

2020年からのプログラミング教育を、おもちゃで先取り

東大・京大生を育てた母が子育てで大切にしたこと

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

先輩ママに聞きました!「卒園対策委員」経験エピソード

 

 

秋の運動会が終わると「卒園対策委員」に選ばれたママたちの活動が本格的に始まります。通称「卒対」と呼ばれる「卒園対策委員」は、その名の通り、保育園や幼稚園の卒園式関連のイベントを取り仕切る役員のこと。謝恩会会場の予約やイベントの企画・飾り付け、先生に渡すプレゼントの手配やアルバム制作など、やらなくてはいけないことが盛りだくさん。さらに、「卒対=大変そう」というイメージがあるせいか、毎年立候補者が少なく、クジ引きでメンバーを決めるという園もあるようです。

 

そこで、実際に大変な仕事なのか、一体どんなことをするのか、「卒対」のリアル事情を先輩ママに聞いてみました!

 

 

●保育園や幼稚園によって、謝恩会のスタイルはさまざま

 

卒対委員の大きな仕事の一つが謝恩会の準備。ただ、ひとえに「謝恩会」といっても、行う場所や形式など、そのスタイルは保育園や幼稚園によって異なるようです。

 

「卒園式のあと、クラスごとに教室で行います。お弁当を食べたあと、ゲームをやったり歌をうたったり、担任の先生と最後に楽しい時間を過ごすのが目的です」(横浜市・私立幼稚園 Rさん)

 

「年長の園児は全員で80名と多いため、幼稚園のホールを使って卒園式とは別の日にやります。卒園式と別の日なので、会場の準備などはわりとゆっくりできますね」(東京都・私立幼稚園 Sさん)

 

「毎年、ホテルの大広間でやるのが恒例です。なるべく早い時期に会場をキープしておかないと、予約で埋まってしまうことも…」(東京都・認可保育園 Nさん)

 

「その年によって、全体でやるのかクラスごとにやるのかアンケートで決めます。私達のときは4クラス合同で、幼稚園の体育館でやりました。担任の先生だけじゃなく、お世話になった他の先生ともお話しできたので、個人的には全体でやって良かったと思います」(川崎市・私立幼稚園 Tさん)

 

クラスごとにアットホームな雰囲気でやるのか、それとも全体で賑やかにやるのか。それぞれにメリットがありそうですね。そして、ホテルなど外部の施設で行う場合は早めの予約が必須とのこと!  早い園では、この時期から徐々に動き出しているようですよ。

 

 

●謝恩会では「何をやるか?」が一番の悩みのタネ

 

卒園式の前後に、謝恩会などのパーティーを行う園がほとんどのようですが、どう盛り上げるかは卒対委員の腕の見せ所ですよね! そこで、先生ウケも子どもウケもバッチリだった、大成功プログラムを教えてもらいました。

 

「卒対委員の中に映像関係の仕事をしていたママがいて、オリジナルDVDを制作してくれました。音楽会や運動会など、1年間の行事をみんなで振り返ることができて良かったです」(横浜市・私立幼稚園 Kさん)

 

「園児から先生に歌のプレゼントをするとき、間奏のところで先生への感謝の言葉を入れることにしました。うちのクラスには何人か転入生がいたので、短い間だったけどいい思い出を作ってもらおうと、その子たちに言葉をお願いしました。先生もその子のママもとても喜んでくれました」(東京都・認可保育園 Mさん)

 

「先生や子どもたち、保護者のみんなで“じゃんけん列車”をやりました。じゃんけんに負けた人は勝った人の後ろについていって、最後に列の先頭になった人がチャンピオン! みんなで長~い列車を作ったので、一体感が出て盛り上がりました」(川崎市・私立幼稚園 Aさん)

 

「先生に似顔絵を書いてもらって、これだ〜れだ?と当てるゲームが大好評でした! 全員分の似顔絵は時間的にもできなかったのですが、それに対しての不満はありませんでしたね。何より子どもが大爆笑だったので結果オーライです」(東京都・私立幼稚園 Tさん)

 

みんなでできるゲームは盛り上がること間違いなし! 子どもたちから先生への歌のプレゼントも定番ですが、替え歌や間奏部分で先生の名前を入れたり、感謝の言葉を入れると、より感動も増すようです。

 

 

●みんなの時間が合わない、制作物の材料が揃わない…といった苦労も

 

忙しいママ・パパが時間を作って進める卒対の準備は、もちろん苦労もあるようです。

 

「フルタイムで働いているママが多かったので、メンバー全員が揃う日がほとんどなく、話しがなかなか進まないのがやきもきしました」(東京都・認可保育園 Hさん)

 

「考えていた飾り付けやラッピングの材料がなかなか見つからず、あちこち探しに行きました。まわりの保育園や幼稚園も準備を進めている時期だったので、100円ショップなども品薄でした」(横浜市・私立幼稚園 Kさん)

 

「アルバム担当だったので、クラス全員の保護者に個人ページの制作をお願いしました。フォーマットを配布→回収というこの作業が一番疲れました。インフルエンザが流行っている時期だったので、欠席の子が多く、なかなか回収できず…」(横浜市・私立幼稚園 Aさん)

 

「卒園式→保護者と卒園児でランチ→謝恩会という流れなのですが、飾り付けの準備でバタバタしていたためお弁当を食べられませんでした。結局、子どもひとりで食べることになり、かわいそうでした」(川崎市・私立幼稚園 Hさん)

 

保育園はもちろん、幼稚園でも働くママが増え、全員が集まる機会をなかなか作れないのが現状。延長保育を利用して夕方に集まったり、たまたま習い事が同じメンバーだったのでその時間を利用して打ち合わせをしたという例もありました。制作物や出し物などはこだわりすぎず、「あるもので、いかにラクしてやるか」を優先したほうがスムーズに行くかもしれませんね。

 

とは言え、今回お話しを聞いた先輩ママのほとんどは「卒対委員、やってよかった!」「またやっても良いかも」と楽しんで取り組まれていたよう。特に「卒対で一緒に苦労したママは、卒園後何年経っても、良きママ友としてお付き合いしてます」といった、ママにとっての得るものも大きいようです。大変…なのは間違いないですが、ぜひそれだけで尻込みせず、関われそうな部分から参加してみてはいかがでしょうか。

 

(取材・執筆:高野理恵)

 

 


関連記事はこちら

「卒園対策委員」経験者に本音を聞く、先輩ママ座談会【第1回】

手づくり初心者ママ必見! ミシンの選び方と最新機能

家庭でできる年長児の入学準備[その1]ひらがなの練習 前編

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

材料は少なめOK! 初心者でも失敗せず作れる、おやつレシピ本3選

 

 

子どもたちの大好きなおやつタイム! 大好きなものだからこそ、体によいお菓子を食べさせたいのが親心……。でも、お菓子作りは材料が多く、プロセスも複雑で手間がかかりそう! 忙しいからと、手作りおやつを諦めているママも多いことでしょう。

 

今回は、時間がなくても簡単に作れるおやつのレシピ本を3冊選びました。少ない材料で、手間をかけずに時短で作れるレシピがいっぱいの本ばかり。作り置きできるものや、子どもにもお手伝いしてもらえるような、手軽なものもありますよ!

 

 

●フライパンや電子レンジ、炊飯器で作れる! Twitter発のイラストもかわいい一冊

 

「オーブンを使うのが苦手」という理由で、お菓子作りを避ける人は多いはず。温度も時間もきっちりと設定したはずなのに、なぜか焦げてしまって、それまでの工程が台無しになった経験があると、不安になりますよね。そんなママたちに優しいレシピ本があります。

 

『ぼくのおやつ おうちにあるもので作れるパンとお菓子56レシピ』ぼく(ワニブックス)

 

 

 

 

著者の「ぼく」さんの本業はイラストレーター。Twitterに公開したレシピイラストが人気を博し、20万人を超えるフォロワーを獲得しています(2018年10月5日現在)。アザラシのシェフ「マロ」くんと著者の「ぼく」さん(鈴カステラのキャラクター)が、ふたりでレシピを解説しています。愛らしい絵に子どもたちの目も釘づけになりそう!

 

本書の特徴は、オーブンを使うレシピがひとつもないこと! 材料を混ぜたら、電子レンジにかけるだけでできるカップケーキやクッキー、ガトーショコラをはじめとし、炊飯器でできるバナナケーキ、フライパンで作れるフォンダンショコラやバームクーヘン、さらに混ぜたら冷やして固めるだけのプリンやゼリー、マシュマロなど、定番レシピが驚くほど簡単に作れます。

 

さらに、食事代わりにも楽しめるパン系のレシピも充実! フレンチトーストは、市販の食パンだけでなく、ベーグルやイングリッシュマフィン、クロワッサンを使った提案もされていて、それぞれ卵液に浸す時間や浸し方のアドバイスがついています。市販のホットケーキミックスを使用したパンケーキは、フワトロに仕上げたり、分厚く仕上げたりするコツもいっぱい。また、スコーン、ワッフル、蒸しパンなど、家のフライパンで作れる簡単なパンのレシピも掲載されています。

 

どのレシピも、材料は身近で調達できるものばかり。材料の数も少ないので、思いついたときにスーパーに行けば、すぐにそろえられるのが嬉しいです。

 

 

●料理がへたでもできる! 小麦粉や卵、乳製品を使わないのに簡単&おいしくできる一冊

 

子どもに食べさせるおやつは、できるだけ体への負担が少ない食材を使ったものにしたい。とくに卵や乳製品などにアレルギーを持つお子さんの場合、おやつも手作りできると安心ですよね。でも「料理下手だから……」と嘆いているママのために、最適な一冊がこちらです!

 

『へたおやつ 小麦粉を使わない白崎茶会のはじめてレシピ』白崎裕子(マガジンハウス)

 

 

 

 

本書は、神奈川県の葉山で「予約のとれない料理教室」として知られる、オーガニック料理の教室「白崎茶会」を開催する白崎裕子さんによるレシピ本です。タイトルの通り「へた」でも簡単に、おいしく作れるように、さまざまな工夫がされています。

 

おやつ作りでは、具材の混ぜ具合が大切ですが、初心者は「ちょうどよいあんばい」がわからず、混ぜすぎてダマになったり、固く仕上がったりしてしまうことも。でも、本書では小麦粉の代わりに米粉が使用され、小麦粉と違って混ぜすぎても上手に作れます。また、多くのレシピで、プロセスごとに写真が添えられているので、そこで必要な材料や仕上がりのイメージも一目瞭然。「計量から焼き上げまで、一気にあわてて作らなくていいようにできています」の言葉通り、ひとつずつ順を追って丁寧に作ることができます。

 

掲載されているのは、型抜きせずに作れるクッキーや、陶器やシリコンなど好きなカップに入れて作るケーキ、指で押して敷き詰めるだけの生地を使ったタルト、混ぜた材料を10分~一晩寝かせて、好きなタイミングで焼けるケーキなど、不器用さんでも簡単に作れるレシピがいっぱいです。

 

すべてのレシピが小麦粉の代わりに米粉や大豆粉、アーモンドプードル、オートミールなどを使用。また、牛乳の代わりに豆乳を使ったり、バターや卵も使わなかったり、砂糖ではなくてんさい糖やはちみつ、メープルシロップが使用されたりと、体にやさしいおやつ作りが徹底されています。

 

 

●全プロセスが写真つき! 定番の焼き菓子や冷たいお菓子がわかりやすく作れる一冊

 

マドレーヌやパウンドケーキ、クッキー、チーズケーキ、プリン、ゼリー……お菓子作り初心者なら、まずは定番の味からトライしたいところ! 定番のレシピがたっぷりと載っていて、かつ初心者でも失敗しないように、丁寧に解説している一冊がこちらです。

 

『ムラヨシマサユキのお菓子 くりかえし作りたい定番レシピ』ムラヨシマサユキ(西東社)

 

 

 

 

本書を手に取って、まっさきに思ったのは「なんて丁寧な本!」ということ。お菓子作りの失敗で多いのは、「どんなふうに混ぜればいいのか」「どのくらいの色になるまで焼けばいいのか」など、ほどよい「加減」がわからないとき。

 

でも、本書に掲載されているレシピは、プロセスのひとつひとつに写真が載っているので、とてもわかりやすい! 混ぜ具合や焼き具合だけでなく、「泡だて器はこんなふうに持って使うと混ぜやすいのか」「こういうヘラを使うと、なめらかに仕上がるのか」「ここは手を使ってしまってもよいのか」などの発見もたくさんあります。また、下準備もまとめて記載されているので、調理前にしておくべきことが一目瞭然。添えられた解説も簡潔で、作りながら横目でチラチラ見やすいのが嬉しいです。

 

なかでも3章にある「冷たいデザート」には、簡単なレシピがたくさん。みかんのミルクゼリーやババロア、いちごジャムのヨーグルトムース、パンナコッタ、かぼちゃプリンは、とくに初心者でも試しやすいはず。同章にはレアチーズケーキやティラミスなど、一見難しそうなものも掲載されていますが、レシピを読むと意外なほど簡単に作れることがわかって、ぐっとハードルが下がります。

 

なお、4章には「作ってみたい あこがれのお菓子」として、いちごのショートケーキやミルクチョコレートケーキ、カスタードシュークリーム、モカエクレアなどの簡単レシピが掲載。普段のおやつはもちろん、特別な日のお菓子にも大活躍の一冊になるでしょう!

 

いかがでしたか? どの本も「初心者でも簡単に作れるように」と、たくさんのアイデアや工夫がこらしてある本ばかり。子どもたちが大好きなおやつだからこそ、体に優しくておいしいお菓子を手作りしてみてください!

 

(選書・執筆:富永明子)

 

 


関連記事はこちら

初めての親子クッキングに挑戦!おすすめレシピとは?

帰宅して10分で作れる!お夕飯“時短”レシピ本5選

苦手なものも楽しく食べたくなる!ユーモア絵本

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

公的な学童保育と民間学童、放課後子供教室の違いは何?

 

 

近年、習い事を兼ねた「学童保育」とうたう民間サービスや、地域住民の協力を得るなどして学校等で行われる「放課後子供教室」といった従来の学童保育とは違う事業やサービスが増え、その違いがわかりにくくなっています。安心して子どもを預けられる場所を選ぶためには、それぞれの違い、役割を知っておきたいですよね。全国学童保育連絡協議会・事務局次長の佐藤愛子さんに教えていただきました。

 

 

●公的な学童保育と民間企業が経営する学童保育の違い

 

学習塾などが「学童保育」と称して運営しているサービスも増えているようですが、公的な学童保育と、どのような違いがあるのでしょうか。

 

「公的な学童保育(放課後児童クラブ)は、厚生労働省の所管です。児童福祉法にのっとった放課後児童健全育成事業の届け出をし、厚生労働省が定めた省令基準に基づいて、市町村が定めた基準のもと、運営されています。

 

運営は、公営が約33.2%。この他に、行政から委託されて、団体(社会福祉協議会、父母会、NPO法人、私立保育園、社会福祉法人、私立幼稚園や学校法人など)や企業などが運営主体となって運営する民営があります(2018年・全国学童保育連絡協議会調査)。

 

一方、最近では塾や習い事教室などを運営する企業が、放課後などに小学生を預かる施設を開設するケースも増えています。そのような場合、指導員の人数や施設設備などには国や市町村の基準は適応されません」(佐藤さん)

 

一方、民間企業が経営する学童の場合、夕食の提供、延長保育、送迎など様々なサービスが充実しているのも特徴。また、習い事をさせたくても、平日の放課後に送り迎えができない共働き家庭では、習い事や塾と併設されているほうが便利という声もあるそう。その分、費用は、数万円~10万円ほどかかるそうです。

 

 

●「学童保育」と「放課後子供教室」の役割の違い

 

2014年、政府によって「放課後子ども総合プラン」が策定され、学童保育(放課後児童クラブ)の受け入れ児童数を5年間で30万人増やす目標が立てられました。この目標はほぼ実現していて、2019年からの5年間でさらに30万人を増やす目標が定められています。このプランにより、学童保育との連携が進められているのが「放課後子供教室」です。

 

学童保育と放課後子供教室は、何が違うのでしょう。

 

「学童保育と放課後子供教室は、次のように目的、関わる大人などが異なります。

 

■学童保育(放課後児童クラブ) 

所管:厚生労働省

対象:保護者が就労などで昼間家庭にいない小学生

目的:適切な遊び、および生活の場を提供すること

子どもに関わる大人:放課後児童支援員の有資格者、補助員

 

学童保育は、保護者が仕事などで昼間家庭にいない小学生のための『生活の場』。放課後児童支援員という資格を持った指導員が子どもに関わります。

 

■放課後子供教室 

所管:文部科学省

対象:保護者の就労の有無にかかわらず、全ての子どもが対象。学童保育の子も希望すれば参加できる場合も

目的:地域の人の協力を得て、学習や様々な体験・交流活動、スポーツなどの機会を提供すること

子どもに関わる大人:市区町村が雇用した放課後子供教室主任(コーディネーター)が管理・運営。体験教室の講師は、地域のボランティアが関わる

 

放課後子供教室は、全ての児童が参加できる『活動の場』。活動の内容や日によって関わる大人が変わることも多いです」(同)

 

学童保育と放課後子供教室がそれぞれ『単独型』ではなく、『一体型』で行われている場合もあると聞きます。この一体型とは何なのでしょうか?

 

「国は、『全ての児童の安全・安心な居場所を確保するため、同一の小学校内等で両事業を実施し、共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が放課後子供教室の活動プログラムに参加できるもの』が『一体型』であるとしています」(同)

 

放課後子供教室は、全児童が対象。中には100人、200人と登録人数が多いところもあり、利用する子どもは毎日顔ぶれが変わります。一体型でも子どもが落ち着いて過ごせる生活の場としての機能があるかどうかは、どこをチェックすればいいのでしょうか?

 

「一体型となっていても、学童保育は市区町村が条例で定める基準に基づき生活の場として実施されます。しかし、市区町村のなかには、役割の異なるふたつの事業をひとつにした運営(同じ場所、同じ職員が対応する)にしてしまっている場合があるようです。学童保育専任の指導員配置になっているか、専用室があるかなどを確認してみてください」(同)

 

「学童保育は、子どもたちに安全で安心できる生活を保障するために、家庭と同じような雰囲気のなかで過ごせる居場所。継続的に同じメンバーで生活できること、学童保育の専用の施設・区画が設けられていること、子どもの保育に責任をもつ指導員が継続的に配置されることが必要となります」と、佐藤さんは話します。

 

選択肢が増えてきた放課後の子どもの居場所。子どもの体と心が大きく成長する小学校時代、子どもに合った環境を選んであげたいですね。

 

(取材・執筆:掛川ゆり)

 

学童保育の申し込みはいつから? どんな審査がある?

 

 

共働き家庭やひとり親家庭の増加などにより、学童保育でも生じていると言われる待機児童の問題。子どもの小学校入学に向けて、学童保育に入れるのかドキドキしているママもいるのではないでしょうか。学童保育探しは、早めの情報収集が大切! そこで今回は、一般的な申込み方法や審査基準について、全国学童保育連絡協議会・事務局次長の佐藤愛子さんにお話をうかがいました。

 

 

●学童保育探しをスタートするタイミングは?

 

学童保育は、いつごろから探しはじめればいいのでしょうか?

 

「入学前年の10月半ば頃から、小学校で就学時健康診断が行われます。この頃が学童保育を探しはじめるタイミングです。学童保育の入所申込み時期は自治体によって異なりますが、早いところでは11月ぐらいから申請を受け付けているところもあるようです。お住まいの自治体に早めに問い合わせ、学区内の学童保育がどこにあるのか、どこが運営しているのか、申し込み先などを調べてみてください」(佐藤さん)

 

自治体に、直接申し込めばいいのでしょうか?

 

「公営の学童保育の場合は、各学童保育もしくは市区町村に申し込みます。公営以外の学童保育(社会福祉協議会、地域運営員会、父母会、NPO法人などが運営)は、各施設で直接申し込みを受け付けているところが多いようです」(同)

 

申し込みをする前に、施設の見学はできますか?

 

「子どもが毎日通う場所なので、事前に見学をして環境、雰囲気を見ておきたいですよね。公立公営も民営も、施設に直接電話をして確認すれば、見学させてもらえることが多いと思います。

 

また、早めに学童保育について調べておきたいという方は、お子さんがまだ年長児ではなくても見学させてもらえるか、問い合わせてみてはいかがでしょう。

 

定員数や、何人の指導員が子どもを見てくれるのか、開設時間(平日の放課後、土曜日、夏休みなど長期の休みについてそれぞれ)、お迎えが必要かなど、気になることを質問してみてくだい」(同)

 

 

●申し込み後、どんな審査があるの?

 

学童保育の入所申込みでは、どのような審査があるのでしょうか?

 

「自治体によって異なりますが、審査を行っている場合、保護者の勤務日数・時間、子どもの学年、家族構成などが審査項目に含まれています。定員を設けていて、地域入所希望者数が定員を上回る地域では、定められている『入所審査基準の指数』『調整指数』に基づいて審査されます。それらの指数を満たしていれば、必要性が高い人から入所できます。

 

また、民営の施設で直接申し込みを受け付けている場合、先着順になることもありますので、いつから申込みが可能か施設に直接問い合わせてみてください」(同)

 

正社員ではなく、パートの仕事をしている場合でも学童保育に申し込めますか?

 

「正社員、パートといった雇用形態は入所審査基準の指数に影響しません。月の勤務日数、日中の就労時間数などによって指数が異なり、勤務日数が多くて就労時間が長いほど入所審査基準の指数が高くなります。

 

また、調整指数は小学1年生が高く、学年が上がると下がります。学童保育の入所基準は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体に問い合わせると、詳しく教えてもらえるのではないでしょうか」(同)

 

もしも審査に落ちてしまった場合、待機児童として自治体に登録し、空きが出たら入会できるのでしょうか? また、子どもが小学生になって仕事をはじめた場合は、年度途中に入会することもできるのでしょうか?

 

「設けられている定員に空きがあれば随時、あるいは空きが出た時点で通いはじめることができます」(同)

 

 

●学童保育は何年生まで通えるの?

 

学童保育は、何年生まで対象なのでしょうか?

 

「かつては、小学校を卒業するまで通い続けられる学童保育もあれば、児童福祉法で対象児童が『おおむね10歳未満』となっていたために、『3年生まで』『4年生まで』としていた市町村も少なからずありました。その後、児童福祉法の改正により、2015年4月からは原則6年生までが対象となっています。

 

ただし、定員を設けている学童保育の多くは、毎年度、入会の申請をして審査を受けなければなりません。高学年を受け入れる学童保育が増えてきているものの、定員を超える場合は、低学年を優先して受け入れるところが多いと思います」(同)

 

地域によって、学童保育の待機児童の状況は違います。もしも入所できなかった場合、祖父母など家族の協力を得たり、ファミリーサポートを利用したりするなどの方法を考える必要も。学童保育を検討しているママは、早めに情報を収集して見学へ行き、入所の申込み方法や審査の基準を確認しておくといいでしょう。

 

(取材・執筆:掛川ゆり)

 

 


関連記事はこちら

宿題、外遊び、おやつetc.学童保育での過ごし方とは?

よく聞く“ファミサポ”ってどんなもの?【前編】

先輩ママに聞く、「小1の壁」ってどんなもの?[Vol.1]後編

公的な学童保育と民間学童、放課後子供教室の違いは何?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

先輩ママに聞きました! 就学時健診ではどんなことをするの?

 

 

入学前に実施される「就学時健康診断」。10~11月に行う自治体が多いようですが、一体どんなことをするのでしょうか? 事前に準備は必要なの? ということで、小学生の子どもを持つ先輩ママたちに、実際に体験した就学時健診の様子を教えてもらいました!

 

 

●入学前の11月末までに、身体測定と面談が行われます

 

就学時健康診断とは、小学校に入学する前に行われる健康診断のこと。学校保健安全法で定められていて、各市町村の教育委員会で行うことが義務化されています。就学前年度の11月30日までに行われ、基本的には、子どもが通うことになる小学校で実施されます。

 

内容は各自治体で多少異なりますが、事前に届く書類に「ごはんは3食食べるか」「寝る時間・起きる時間は?」「アレルギーはあるか」などのアンケートがあるので、記入をして持参し、当日は、身体検査と面談を行うことが多いようです。

 

「身長・体重測定→聴覚→視力→歯科→内科→面談という順番で、各教室を移動しながら検査を済ませます。洋服の着脱などもあるので、親は流れに沿って一緒に付き添います」(Yさん)

 

身体検査で、体の疾患などがなく健康かどうかと、成長を確認。面談では、精神面やコミュニケーションの面から見た発達を確認します。

 

 

●面談は、生活習慣などについての簡単な質問がメイン

 

この中でも、親が気になるのが面談。やり方は学校や自治体によってさまざまのようで、親は参加せずに子どもだけが数人まとまって先生から話を聞かれる「集団面談」や、親・子・先生で行われる「三者面談」などのパターンが。

 

「親は控え室に残り、子どもだけが呼ばれて4~5人ずつ先生が別室に連れていき、10分ほどしたら戻ってきました。子どもに何を聞かれたかたずねると『どんなことをして遊ぶのが好きか』『トイレは1人で行けるか』といった質問のほか、絵を見てその絵が何かを答える、といった形式のものもあったよう。うちの子どもはお話が得意な方だったので『すごくしっかりしているね、と褒められた』とも言っていました」(Kさん)

 

「うちの学校は三者面談でした。1つの教室に3つのブースがあって、割とオープンな様子。それぞれ校長先生、教頭先生、ベテランの男の先生がいて、空いたところに呼ばれるという流れです。1家庭5分ほどで、先生から子どもに『お友達はたくさんいるかな?』『おうちでは誰と住んでいるの?』といった質問があり、最後に親に対し何か疑問点がないか聞かれて終わりました」(Yさん)

 

聞かれることは、基本的な生活習慣や、幼稚園・保育園での様子についての内容が多いようです。面談に向けて、何か準備すべきことはあるのでしょうか?

 

「子どもの学力などをはかるものではないので、特に必要はないと思います。ただ、警戒心が強かったり、人見知りが激しい子は、集団面談のときに泣いてしまって親から離れず大変そうだったので、事前に、今日はどんなことをするのか話しておいてあげると、心の準備ができていいのでは」(Uさん)

 

「受け答えの際に『好きな遊びは?』『サッカー』などと答えると、『サッカーです、と答えようね』と注意されている子がいました。マストではないし、大人が苦手だと緊張して難しいこともあると思いますが、~です、~しますなどの丁寧語は使えるように練習しておくといいかもしれません」(Gさん)

 

「親が先生に質問できる時間もあるので、心配なこと、気になることがある場合はまとめておいたほうがいいかも。うちは文字に興味がない子で、この面談時までひらがなもカタカナもまったく読み書きができなかったので、先生に入学までにどのぐらいできればいいのかを思い切って聞きました。『入学後に、あ行から順番に習うので、自分の名前だけ読み書きできるといいですね』と教えてもらい、11月から3月まで、名前の読み書きだけを猛練習しました!」(Mさん)

 

また、「少し落ち着きがない」など、子どもの言動に心配事がある場合も、あらかじめ話したいことをまとめておいて、質問時間に担当の先生に伝えておくと安心です。

 

 

●待ち時間にゲームはNG。入学前に親も気を引き締めて

 

その他、就学時健診で、注意することはあるのでしょうか?

 

「新1年生ほぼ全員が受ける健診なので、多いところでは200人近くが一挙に集まることに。『早く行かないと2時間近く待つことになる』という先輩ママのアドバイスで、受付時間の10分ほど前に小学校に到着。早々に終えて帰ることができました」(Dさん)

 

「待ち時間が長いと聞いて、絵本を持っていきました。読んでいたら先生に『教室の後ろにある本も読んでいいよ』と声をかけてもらったりも。ただこれは学校によると思うので、事前に学校や先輩ママに確認した方がいいかもしれません」(Kさん)

 

多くのママから「待ち時間が長い」という声があがりました。中には、

 

「ゲームを持参して子どもにやらせている親がいて仰天。見回りの先生に注意されていましたが…」(Kさん)

 

「控え室でママ友同士で大きな声で話していて、ちょっと目立っていました」(Aさん)

 

なんて目撃談も。病院などの待ち時間ならゲームで気を紛らわすのもアリかもしれませんが、あくまで学校での活動なので、親も気を引き締めなければいけません…。

 

「就学時健診を受けると、一気に入学モードになる」というママも多数。小学生への第一歩として、親も子もいい緊張感でのぞめるといいですね。

 

(取材・執筆:野々山幸)

 

 


関連記事はこちら

最近増えてる「学校公開」とは? 入学前に見学に行ってみよう

年長で身に付けておきたいこと【第1回】学びの基礎となるのは「体験」

先輩ママに聞く、「小1の壁」ってどんなもの?[Vol.1]前編

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

成長とともに対人トラブルも複雑化。保護者はどう対処する?

 

 

第1回第2回では、小・中・高の12年間、学習面、精神面、肉体面で子どもがどう成長していくのかを、4年単位で解説してきました。最終回となる今回は、それぞれの4年間で起こりやすい対人トラブル、そして子どもと接する際の親の心構えについて取り上げたいと思います。

 

引き続き、子どもの心身の発達に合わせた独自の4-4-4制を採用する開智学園総合部(埼玉県さいたま市)に取材。有田祐介先生にお話しを聞きました。

 

 

●小1~小4の対人トラブルは「その場の感情」が原因

 

第2回では精神面・肉体面について、子どもが4年ごとにどのような発達段階にあるのかをお聞きしました。集団行動のなかでは衝突がつきものですが、それぞれの時期に起こりやすい対人トラブルの特徴というのはあるのでしょうか。

 

「小1~小4の時期は心身が未熟な分、トラブルも単純です。例えば、嫌なことがあったらつい手が出てしまう、誰かが気に入らないことを言ったらその場で仲間外れにするというような、即時的なトラブルがほとんどです」(有田先生)

 

トラブルの原因は何なのでしょうか。

 

「この頃の衝突の多くは、その時々でうまく感情をコントロールできないことが原因。なので、その場その場できちんと話をして、都度、解決していけば大きな問題にはなりません。教員が間に入り、『なぜ叩いてしまったの?』『これが悪かったね、今度はこうしよう』とお互いに話をさせられれば、『ごめんね』と互いに謝りあって仲直りできるんです」(同)

 

小1~小4ぐらいの子どもは「けんかするほど仲がいい」を地で行くのだそう。「保護者の方から『いつも○○ちゃんとけんかして困るんですよ』と聞くけれど、教員からすると学校ではすごく仲が良かったりすることも多いんです」と有田先生。学校でトラブルが起きてしまったら、保護者は子どもにどんな態度を取ればいいのでしょう?

 

「そもそも、この時期の子どもは、事実を整理して話すことがまだ難しい面があります。また親に話すときには、自分に都合のいいようにごまかしたり、正直に言えなかったりすることもあるでしょう。

 

ですから、まずは本当のことをきちんと話せる親子関係を目指してほしいなと思います。そのうえで、どんなトラブルでも、なぜそのトラブルがあったのか、どうしてトラブルにつながる行動を取ったのか、どういう気持ちでそうしたのかなど、話を聞いてあげてください。そして、『今のことを学校の先生と話してごらん』と提案していただけると助かります」(同)

 

自分の感情をコントロールできない時期だからこそ、まずはトラブルという形で出てしまった感情について、受け止めるべきなのかもしれませんね。

 

 

●小5~中2の対人トラブルは『自我・自立心の揺らぎ』が引き起こす

 

思春期を迎える小5から中2の時期は、どんな対人トラブルが考えられますか?

 

「そもそも思春期は、友人同士の仲が良くなったり、悪くなったりと大きく揺れ動く時期。けんかひとつとっても、対人トラブルは複雑化しがち。当然、小4までのように『ごめんね』『いいよ』では解決しませんし、放置すれば仲がこじれてしまいます。

 

さらに万が一、いじめに発展してしまうと、メールやLINEなどで別の友人に『仲間外れにしよう』と言ったり、さらにその履歴を消去して証拠隠滅したりと、手段も巧妙になります」(同)

 

難しい時期ですね。トラブルが起きてしまう原因は何なのでしょう?

 

「この時期は、自我や自立心がまだ揺らいでいます。多感で自意識が強く、人の価値観に引っ張られたり、劣等感を抱いたりしがちなんです。『人は人、自分は自分』と考えられる子は、まだまだ少ない。他者と比べて気持ちが揺れるし、他者に頼りたくもなるんですよね。

 

また、自分を客観視しはじめるため、自分を取り巻く環境について理解したり、悩んだりもする時期。けんかや言い合いも、目の前の友達が原因ではなく、『友達と会う前に部活で嫌なことがあった』とか『ここ一週間、保護者と意見が衝突している』といったことが原因だったりもするんですよ」(同)

 

そのため、ときには教員がじっくり腰を据えて話を聞いたり、相談に乗ったりすることで解決につながるケースもあるそう。家庭での接し方については、「お子さんに信頼していることを伝え、見守ってあげてください。過干渉でもなく、放置でもなく、話を聞いてほしいと言われたら親身になって応じるような接し方がいいと思います」とアドバイスをいただきました。

 

 

●中3になると、人間関係も折り合いが付けられるように

 

さらに、中3~高3という年齢になるといかがでしょう。

 

「一般的には、人間関係について自分なりの折り合いのつけ方を学んでいく時期ですよね。中3ぐらいになると、ある程度は自我が確立し、自分と他人を切り離せるようになってきます。そこで、うまくいかない人とほどよい距離で付き合ったり、嫌な人の言葉を受け流したりができるようになるのです。ただ、それには中学時代までの人間関係の経験があってこそだと思います」(同)

 

この時期もやはり、保護者には信頼して見守ることが求められるとのこと。「干渉したくなる手を止め、大人として扱ってほしい」と話してくれました。

 

 

●4年ごとの発達段階に合わせ、保護者も接し方を変えていくべき

 

最後に、それぞれの世代の子どもに対し、保護者はどう関わっていけばいいのかを教えてください。

 

「前提として、どんな年齢であっても、子どもの主体性、興味・関心を受け止めてあげてほしいです。ときどき、幼少期からいろいろなことをやらされすぎている子がいますが、そういう子は物事に主体的に関わる楽しさを知らないことも多いです。授業にも身が入らないし、すべてを嫌々やっているように見えます」(同)

 

子どもに多くの経験をさせてあげたいと考える保護者には、耳の痛い話かもしれません。そのうえで、小1~小4の時期の心構えとは?

 

「特にこの時期は、スポーツでも芸術でも勉強でも、やりたいこと、得意なことを思いっきりやらせてあげることです。1つのことしかやりたがらないタイプもいれば、興味・関心がうつろいやすいタイプもいるでしょう。どちらにしても、それはそれで学びになると思って、子どもがやりたいことを体験させるというのが大事です」(同)

 

小5以降は、前述のような「見守る姿勢」が保護者に求められるそう。子どもを思い通りにしようとするのではなく、ある程度は突き放して責任を取らせるよう心がけてほしいとのことです。さらに中3を過ぎたら、自我が確立した一人の大人として尊重しはじめてあげてほしいとのこと。

 

大人になってしまった保護者にとって、子どもの12年間を体感することはできません。しかし、4年ごとの発達を知ることは、子どもとの適切な距離を知る手がかりになりそうです。4年ごとに保護者の方もうまくスイッチを切り替えることで、子どもののびやかな自立を後押しできるのかもしれません。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 


関連記事はこちら

男女別:友達同士のトラブル例と親のサポート法

「ママハラ、パパハラ、親ハラ」。ハラスメントの中で一番多いのは親による子どもへのハラスメント

親として、子どもを見守るということとは?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

 

小4までは親のサポートが必要? 子どもの自立心の育ち方

 

 

小・中・高の12年間をかけて、子どもは少しずつ保護者から自立していくもの。特に、思春期にあたる第二次性徴を迎える時期は、親子の関係性が変化する一つのターニングポイントとして知られているのではないでしょうか。

 

そこで今回は、そんな子どもの心身の発達に合わせ、通常の6-3-3制とは異なる独自の4-4-4制の12年一貫教育を採用する開智学園総合部(埼玉県さいたま市)に取材。開智小学校の有田祐介先生に、4年ごとに訪れる、子どもの心の成長と変化についてうかがいました。

 

 

●小1~小4は、まだまだ自立の手前にある時期

 

前回、開智学園総合部では、小・中・高の12年間を4年ごとに「プライマリー」「セカンダリー」「ターシャリー」と分け、それぞれの発達に合った学習指導を行っているとお聞きしました。精神的、肉体的な面で見ると、それぞれの4年間について、どのような特徴があるのでしょうか。

 

「小1から小4は、精神的にも肉体的にも未熟な時期。自立の手前にあり、勉強や生活に関して、ある程度までは保護者や教員のサポートが必要です。例えば、教員は『忘れ物をしないよう、必要なものを連絡帳に書いておきなさい』と指導しますし、それに対して子どもは素直に従います。自分のことを自分でできるように訓練する4年間ともいえます」(有田先生)

 

また、「他者との接し方を学び始める時期」でもあるそう。

 

「彼らは、まだ自分の世界を中心に生きています。特に小2ぐらいまでは、他者についてあまり意識することがないかもしれません。小1から小4にかけての時期は、他者と接することで人間関係を学び、また自己と他者の違いを理解していく過程にあります。それが、いずれやってくる自我の発見につながるのです」(同)

 

それゆえ、「集団での振る舞いにも未熟さがある」と有田先生。

 

「本校では、公立の小学校のような1年1組、2年1組という概念がなく、小1~小4の4学年、小5~中2までの4学年で異学年齢学級を編成しています。各学年10人、計40人で1つの『Team(ティーム)』を作り、ティームごとにホームルームや給食、掃除の時間を過ごします。

 

ティームでは最上級生がリーダーとなって運営し、上級生がリードしながら全員で役割分担をして行動します。ただ、生徒の自主性によって滞りなく物事を進められる『セカンダリー』(小5~中2)のティームと違い、小1から小4までのプライマリーの場合、教員のサポートはかなり必要です」(同)

 

小学校に入学すると、つい子どもに「自分のことは自分で」と期待しがち。でも、いろいろなことを一人でできるようになるのは、まだまだ先の話なのですね。

 

 

●小5~中2は、自我が目覚め、自立心が強まる時期

 

小5から中2は、ちょうど思春期にあたる時期ですね。この頃の子どもには、どんな特徴があるのでしょうか。

 

「10歳ごろを境に、子どもは自我が目覚め、同時に自立心が強くなっていきます。自分で考えて行動したいと思うようになり、保護者や教員に対して、時には反発心を抱くように。早い子は小5、遅い子でも中2の初めごろには反抗期を迎えます。これは男女とも同じです。

 

本校では、小5になると教員の接し方もガラリと変わります。小4まではサポートが前提でしたが、小5以降は求められれば助けるというスタンスに。実際に、責任を持って行動できる年頃になりますから、学習面でも生活面でも、自分のことは自分でできる大人として扱います。『自立心』と『責任感』を養っていく4年間ともいえますね」(同)

 

思春期は、他者を強く意識する時期でもありますよね。

 

「自我が目覚めた分、他者との違いを気にする年代ですよね。一方で、その違いがわかることで、他者と役割分担をしたり、協力し合ったりすることもできるようになってきます。

 

異学年学級であるティームの運営でも、求められなければ教員が過度に口出しをすることはありません。むしろ自分たちの責任においてティームを運営することを求めます。小5から中2のティームは、さながら大人の組織といった様子ですよ」(同)

 

肉体的には、第二次成長期に差し掛かりますね。

 

「そうですね。男女ともに体つきはぐっと大人に近づきます。男子ならば声変わりが始まったり、女子ならば生理が始まったり。性に目覚めていく時期でもあり、異性を意識したり、誰かを好きだという話をしたりも耳にしはじめます」(同)

 

反抗期は子の成長の証ともいわれます。この頃になったら、保護者も少しずつ子どもを大人扱いしはじめるべきなのかもしれません。

 

 

●中3~高3は、個としての自立に向けて成長する時期

 

最後に、中3から高3の精神面について教えてください。

 

「中3から高3までは、自我が確立し、個としての自分を磨く時期でしょう。選挙権が18歳以上と考えると、社会の一員になる準備の時期とも言い換えられるかもしれません。肉体的にも急成長する年齢ではなくなり、大人に近い体格になってきますね」(同)

 

対人関係はどのように変化するのでしょうか?

 

「自己と他者からさらに一歩進み、自己と社会との関わり方を考える年頃といわれます。小1~小4ならティーム内の他者だけ、小5~中2までなら学校内の他者だけを意識していたのが、中3以降になると社会全体の他者へまで目を向けはじめます。自分がどう『個』として社会へ貢献していけるのかを考えることが、精神的に成長していく上での課題になります」(同)

 

段階を踏んで徐々に成長していく子どもに対しては、保護者もその都度、距離感を変えて接していく必要がありそうです。第3回では、それぞれの4年間で起こりがちな対人トラブルと、保護者が子どもと接する際の心構えについてお聞きします。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 


関連記事はこちら

子どもがマイペースなので、小学校生活が心配!

評判の良くない友だちと遊ぶのをやめさせたい

子どもの学校の顔と家の顔、違っていても大丈夫

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

子どもの口臭予防にも。「モンダミンKid’s」などを5名様に!

 

 

●子どもの口腔内の心配事で、意外と多い「口臭」のお悩み!

 

 

最近では毎月のように実施するところも多いという園や小学校での歯科検診。検診結果は何だか親の通信簿のようで、見るたびに「良かった、新しい虫歯はできてない」とホッとしたり、「みがき残し注意か…最近仕上げみがきサボってたからなぁ」と反省したりと、つい一喜一憂してしまいます。

 

自分の歯以上に気になる、我が子の歯の健康。しかし、口腔内のトラブルは虫歯だけに限りません。そこで、ママノートでは「子どもの口腔内の心配事」についてアンケートを実施。122人から回答を得た結果が次のグラフです。

 

子どもの口腔内の心配事

 

 

 

 

「子どもの口腔内の心配事は何ですか?」と複数回答で聞いたところ、グラフのとおり「虫歯」(57.4%)が最も多く、僅差で歯並び(55.7%)、口臭(35.2%)、歯の色(28.7%)が続くという結果に。

 

虫歯や歯並びについては歯科検診でも指摘されますが、口臭は朝起きた時に症状が出やすいということもあり、ママや家族などの身近な人の方が気付きやすいもの。我が子の口臭が気になると「学校でお友だちに何か言われちゃうのでは…」なんて心配もしてしまいますが、口臭はみがき残しが原因のことも多いので、気付いたらなるべく早めにケアしてあげたいですね。そうすれば虫歯予防にもなります。

 

 

●口臭予防の効果も期待できる子ども用洗口液『モンダミンKid’s』

 

気になる子どもの「口臭」対策。一番大事なのは、低学年のうちは親がしっかり仕上げみがきをすること。口臭の原因となる食べ物の残りカスをなくすべく、みがきにくい奥歯の側面や歯の隙間までしっかりみがいてあげましょう。また、口臭は睡眠中に唾液の分泌が減ることにより、口内細菌が増えることも原因のひとつ。朝の忙しい時間帯、なかなか歯みがきに時間を割けないときは、殺菌効果のある洗口液を利用するのも良いかもしれません。

 

「お口クチュクチュ」でおなじみの「モンダミンKid’s」には、虫歯予防だけでなく、口臭防止の効果も。ノンアルコールタイプでピリピリした刺激がなく、味も子ども好みの「ぶどう味」と「いちご味」。キャップで計量したら、薄めずにそのまま使えるので、年長~低学年の子どもなら、自分一人でやる毎日の習慣にもできそうです。

 

・使用方法…日常の歯磨きに加え、約10mLを口に含んで、20~30秒程すすいでからはき出します。使用後、水ですすぐ必要はありません。キャップが計量カップになっています。

 

 

●アンケートに答えて、モンダミンKid’sをもらおう!

 

子どもの歯のケアについて、ぜひご意見をお寄せください。

 

アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に、「モンダミンKid’s」と、布団やソファにスプレーするだけでダニを駆除・予防できる「ダニアーススプレー ソープの香り 300ml」をセットにしてプレゼントいたします。

 

 

応募は終了いたしました

 

 

応募締切:2018年11月30日(金) ※発送をもって発表に代えさせていただきます

 

***************

「モンダミンKid’s ぶどう味 250mL」

洗口液/医薬部外品

250mL、381円+税

★商品情報はこちら

 

「ダニアーススプレー ソープの香り 300mL」

防除用医薬部外品

300mL、798円+税

★商品情報はこちら

 

 


 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

「4-4-4」に学ぶ、子どもの発達に合わせた学習方法

 

 

小学校の6年間は、いわずと知れた一つの区切り。しかし、早い子になると10歳ごろに思春期を迎えたり、第二次性徴が始まったりと、小4から小5の間に大きな発達の区切りがあることも知られ始めています。

 

小1ママにとっては、まだまだ先の話かな…と思いつつも、小学校生活に慣れてきたこの時期だからこそ、我が子の先々の成長について気になる瞬間もあるのではないでしょうか。そこで今回は、通常の6-3-3制をとらず、子どもの心身の発達に合わせた4年ごとの区分で12年間一貫教育を行っている開智学園総合部(埼玉県さいたま市)に取材。第1回となる今回は、学習面における各段階での成長について、開智小学校の有田祐介先生にお聞きしました。

 

 

●小1~小4は好奇心と学びへの意欲を育てる時期

 

多くの公立校は、小・中・高の6-3-3という年数で区切られています。開智学園総合部が、この12年をあえて4年ごとに区切る「4-4-4制」を取っているのはなぜなのでしょうか。

 

「学習面、精神面における発達の大きな区切りが、10歳ごろと14歳ごろにあると考えているからです。そのため本校では、1~4年生(7~10歳)までの『プライマリー』、5~8年生(11~14歳)までの『セカンダリー』、9~12年生(15~18歳)までの『ターシャリー』の3つに分け、12年一貫教育を行っています」(有田先生)

 

それぞれの段階で発達にどんな違いがあるのか、学習面から教えていただけますか?

 

「小1から小4までにあたる『プライマリー』は、『読み・書き・計算』のような基礎学習と合わせて、好奇心や学びに対する意欲を育てることが重要。というのも、好奇心や学びへの意欲が、その後の学習の大切な基礎となるからです。

 

例えば、アサガオを育てるにしても、名前や生態など図鑑的な知識を身に着けることよりも、種を植えて『芽が出たよ!』と驚いたり、『葉っぱの形ってどうなっているんだろう?』『この花はなぜ紫色なんだろう? 他の色はないのかな?』などの疑問を持ったりできることを重要視しています」(同)

 

好奇心や学習意欲を伸ばすために、具体的にどんなことが行われているのでしょうか?

 

「この年代では『体験』をキーワードにおいています。座学にとらわれず教室の外に出かけていき、生活に密着した作業や遊びを通して学習を進めます。例えば、小3では農家の方の指導のもと、1年間かけて米作りを体験。農家の人々の暮らしを体験したり、田んぼにいる生き物と出会ったり、ご飯を炊いたり、わら細工をしたりと、実践的な探究からさまざまな学びを得ます。各学年に宿泊学習があるのも同じ意図です」(同)

 

小1~小4の時期は、お家でも長期休みなどを利用して、積極的にさまざまな体験をさせてあげたいですね。

 

 

小5~中2は、体験を通して幅広く・深い知識を身に着ける時期

 

小5から中2にあたる「セカンダリー」では、学習面でどんな変化が訪れるのでしょうか。

 

「小5から中2までは、一生で一番記憶力がよく、また記憶が定着する時期と言われています。体験に基づいた、幅広くかつ深い知識を身につけさせたいですね。小4までに育くんだ好奇心や学習意欲が、深い知識を身につけるための基盤となります。

 

また、思春期の初め頃になると、抽象的な概念を理解できるようになります。『優しさとは何か』『愛とは何か』といった概念を操作し始めるため、今までの経験を言葉として理解できるようになるのです。さまざまな経験や知識を、自分の意見とともに『言語化』する力を身に着けていくのが、この時期ではないでしょうか。もちろん、ペーパーテストで求められるような学習能力もしっかり身に着けたいですね」(同)

 

小1~小4までに体験し、学習したことが、一段階レベルアップするのがわかります。開智学園の場合、具体的なカリキュラムにはどんな特徴があるのでしょうか。

 

「キーワードは『探究』。深い知識を身に着けるには、教師が一方的に知識を与えるのではなく、自らが行動して体験することが大切。そのため、小5では『磯』、小6では『地域』、中1では『森』をテーマにフィールドワークを行います」(同)

 

最終学年となる中2は、各自で探究テーマを設定。それぞれ仮説を立てて検証したり、調査計画を立ててフィールドワークに出かけたりして、最終的には探究結果をプレゼンテーションするのだそう。大学の研究室などに自分でアポイントを取り、学び方から学ぶのだと言います。

 

家庭でも、子ども自身が興味・関心のある分野に対して主体的に関われる環境づくりをしたいですね。ワークショップやイベント、サマースクールなどを一緒に探し、参加させてもいいかもしれません。

 

 

●中3から高3までは、専門分野を深く学ぶ時期

 

最後に、中3から高3までにあたる「ターシャリー」について教えてください。

 

「中3から高3までは、自分の進みたい未来に向けて専門分野を深く学ぶ時期。本学では、目前に控えた大学受験勉強を進めながら、高2までは探究型の学びも同時進行で行います。

 

高2のフィールドワークでは海外へ行き、高1までに積み上げてきた探究テーマについて現地の大学生にプレゼンテーションを行ったり、ともにディスカッションをしたりするんです」(同)

 

小4までの4年間で培った好奇心や学習意欲が、小5から中2までに身に着けるべき深い知識を呼び、自らの学びたいテーマを見つける力になる。そして中3からの4年間で、そのテーマをより深く学び、自分の将来につないでいく…。

 

公立校でも「せいかつ」の授業などは遊びの要素を含むものが多く、「ちゃんと“勉強”しなくていいの?」と感じている保護者の方もいるかもしれません。しかし小中高の12年間を見通すと、この時期の「楽しい学習」は5年先、10年先の学びにしっかりつながっていることがわかりました。4年ごとの発達に合わせた学習法は、どの家庭でも子どもの『好き』や『得意』を伸ばすヒントとして役立ってくれそうですね。

 

次回は4年区切りでとらえる「精神面の発達」について、引き続きお話しを伺います。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 


関連記事はこちら

できないことはやってあげればいい。「やってあげると自立できない」は迷信

小学生の「中間反抗期」「ギャングエイジ」とは?

「外遊び」と「興奮体験」で、子どもの姿勢を改善!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

年長で身に付けておきたいこと【第4回】基礎体力が学力にもつながる

 

 

小学校入学に向けて、年長の間に準備しておきたいことをお伝えするこの連載。第1回はさまざまな「体験」が学びの基礎になること、第2回は家庭内の「会話」が語彙力向上のカギになること、第3回では生活習慣や集団でのルールを身に付けるために大切な「順番」の意識についてご紹介しました。

 

最終回となる今回は、学習を進める上で必要となる基礎体力について、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。

 

 

●「握る」「支える」力が身に付いていれば、すべての学習で困らない!

 

小学校に入っていろいろな授業を受ける前に、たとえば数字やひらがななど、最低限覚えておきたい知識とはどんなものでしょうか?

 

「年長のお母さんたちが一番気になるのがそこですよね。先に先にと進めておきたい気持ちはわかりますが、その前に身に付けておきたい大切なことがあります。それは、基礎的な体力です。

 

たとえば、鉛筆を持って文字を書くには、手に力が入らないとできません。つまり、鉛筆を『握る』力がとても大切だということです。

 

それから、背骨の周りの筋肉がしっかり発達していないと、正しい姿勢を保つことができませんよね。机の前に座っていても、すぐにダラっと姿勢が崩れてしまうのは、『支える 』力がついていないからだと考えられます」(塩谷先生)

 

正しい姿勢を長時間保つだけの筋力が無ければ、勉強にも集中できないということですね。そういえば、昔はHBやBの鉛筆がメインでしたが、最近は2Bの鉛筆を用意するように学校から言われます。これは、子どもたちの筆圧が弱くなっているからだと聞きました。

 

「その通りです。最近の子どもたちは、驚くほど筆圧がありません。握る力が弱いのです。いくら文字を知っていても、握る力が備わっていなければ、うまく書くことはできません。一定時間同じ姿勢を保つことが難しいという子も多いのが現状です。そのため、知識を身に付ける前に、健全な体と基礎体力を作っておくことが大切なのです」(同)

 

 

●遊び、お手伝い…日常生活の中で「体を使うこと」を意識しよう

 

基礎体力を身に付けるには、積極的にさまざまな遊びを体験させることが大切だと塩谷先生。

 

「たとえば、縄跳びは握る力、体を支えてジャンプする力が身に付きます。公園にあるアスレチックなどの遊具は、全身の筋力の発達を促します。そのほかにも、砂遊びならシャベルを握って砂を掘るので手首の運動になりますし、歩いたり走ったりすることだけでも十分な基礎体力が身に付きますよ。たくさんの遊びを通して、握る・体を支える力を養っていってほしいと思います」(同)

 

家の中でもできることはありますか?

 

「もちろんです。ブロックやパズル遊びは手先を動かす練習になります。それに、遊びに限らなくてもいいんですよ。たとえば、お手伝いだってそうです。お料理を一緒にしたり、食器を運んだりすることでも、握力や体を支える力を付けることに繋がります。外に行かなくても、家の中でできることはたくさんありますよ。日常生活の中でどれだけ体をしっかり使っているかがとても大切なのです」(同)

 

文字や数字などの知識を教える前に、さまざまな遊びや経験を通した体力作りを重視した方がいいということですね。

 

「知識は、必要な年齢になれば自然と頭に入っていきます。子どもたちの吸収力は素晴らしいですから。しっかりと鉛筆を握る力があり、正しい姿勢で座っていられる筋力があれば、あっという間に覚えられますよ!」(同)

 

 

●大人の姿を見せることで、子どもはコミュニケーション法を身に付けていく

 

最後に、学習面以外の不安点として「子どもが挨拶をしない」「返事をしない」といった声も耳にしますが、挨拶や返事も小学校で大切なことだと思います。そのような場合のアドバイスがあれば教えてください。

 

「先生の話を聞く、名前を呼ばれたらハイと返事をするなどは、すでに幼稚園や保育園で教えてもらっていることだと思います。ただ、言葉として知っていても、どんなときに使えばいいのかが、わからない場合があります。

 

人と人がコミュニケーションをとる際に、言葉は必要です。『ありがとう』という言葉を知っていても、どんなときに『ありがとう』と使ったらいいのかは、親や周囲の人の姿を見て覚えていくのです。

 

そして、子どもが使う場面を理解して実際に自分でも使えるようになるには、少し時間がかかります。『ありがとうって言わないといけないでしょ』などと教えるのではなく、お母さん自身が折にふれて『ありがとう』と言っていれば、自然に子どもも使えるようになると思いますよ」(同)

 

入学前に多くの知識を習得しておけば安心だと思いがちですが、その前に基礎的な体の作りや力を備えておくこと、そして親子での密なコミュニケーションが大切なのですね。

 

塩谷先生に教えていただいた「年長の間に身に付けておきたいこと」は、どれも難しいことではありませんでした。たくさん遊び、たくさんの経験をさせることこそが、楽しい小学校生活への第一歩。限りある年長の1年間を有意義に過ごしましょう!

 

(取材・執筆:水谷 映美)

 

 


関連記事はこちら

年長さんから、子どもに料理のお手伝いをさせよう!

年長でお片づけの習慣づけを!子どもが片付けやすい部屋づくり

シーン別に解説!年長児のイヤイヤ対処法[その1]

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

1年生の算数、つまずきポイントと克服方法は?

 

 

1学期は1桁の足し算・引き算を学習した1年生。2学期からは繰り上がり・繰り下がりのある計算や100までの大きな数の理解、時計の読み方がさらに難しくなるなど学習の範囲が広がります。前に習ったことを元に次の学習が進む算数は、わからないポイントをそのままにしておくと、どんどん理解するのが難しくなってしまいます。そこで、1年生の算数のつまずきポイントと克服方法を、岡山県鏡野町立上齋原小学校教頭の影山知美先生に聞きました。

 

 

●2学期からは繰り上がり・繰り下がりの計算がスタート

 

そもそも小学1年生の算数では、どんなことを教えているのでしょうか?

 

「1年生の算数では、はじめに数の意味や表し方について理解し、足し算や引き算を習います。そして、数量を言葉、式、図などに表すことができるようにします。1学期では、1桁の足し算と引き算を学習してきましたが、2学期からは繰り上がりのある足し算 ・繰り下がりのある引き算がはじまります」(影山先生)

 

一桁の足し算、引き算はすらすらできていた子でも、繰り上がり・繰り下がりで急についていけなくなってしまうことも多いそう。子どもが算数の授業でつまずいているかどうかは、どうしたら知ることができますか?

 

「授業で使ったノートを毎日一緒に見返して、『今日はどんなことを習ったの』と聞いてみてください。もし何を勉強したのかわかっていないようであれば、その時間のねらいそのものが理解できていないのかもしれません。そんな時は、親が教科書やノートを見て『こんなことを習ったのかな?』と導いてあげるといいでしょう」(同)

 

その日のノートを親子で一緒に見返す習慣をつけて、わからないポイントがあればすぐに復習して、ひとつずつ理解を深めていきたいですね。

 

 

●1年生の算数、つまずきやすいポイントは?

 

小学1年生は実際に、どんなポイントでつまずいているのでしょうか。影山先生に具体例をあげてもらいました。

 

「1学期で習った一桁の足し算、引き算がぱっとできるようにならなければ、繰り上がりも繰り下がりもできません。この部分のつまずきは上の学年で大きく響きます。

 

文章題では、文意を読み取る力がないために、状況をイメージできず、『足し算なのか引き算なのかわからない』となってしまう子どもも多いです。何を聞かれているのか情報の全体像を把握したうえで、数字や単位など細かな部分まで読み取る、または図に表しながら読み取ることが難しいようです。

 

また、列の何番目かを考える問題では、順番はわかっても、『花子さんの前に3人、後ろに3人並んでいます。列は全部で何人でしょうか』のような、何番目かを手がかりにして全体を把握する問題は苦手な傾向があります」(同)

 

さらに、2~3年生の子どもがよくつまずく問題を見ていると、1年生の時にこそしっかり押さえておいてほしいポイントがいくつかあるのだそう。

 

「時間や単位の学習は、2〜3年生での大きな課題になっています。時間については、1年生で1分刻みの『◯時◯分』の読み方までは習います。ここで正確に読めるようにしておかないと、2年生以降で習う『3時半の45分後は何時何分か』といった時間の概念や、分から秒への単位換算などにスムーズに進めません。

 

また、1年生ではどちらの辺が長いかを考える『長さ比べ』、入れ物に入る水の量を考える『かさ比べ』を学習します。こちらも長さや量の概念をきちんと理解しておきたいです。上の学年で習う、長さの単位(cm、mmなど)やかさの単位(l、mlなど)の量感が掴めなくなったり、単位換算も、単なる数の操作はできても、量感を伴うきちんとした理解ができなくなるかも知れません」(同)

 

1年生で学習する内容は全て次の学年につながっていくもの。ひとつずつ丁寧に苦手をなくしていきたいですね。

 

 

●つまずきポイントの克服法は?

 

では、それぞれのつまずきポイントはどうやって克服していけばいいのでしょうか?

 

<計算問題>

「一桁の足し算、引き算は九九と一緒で、繰り返しやることで克服できるもの。ただし、定着のさせ方として、プリントに書かれた問題を解くのが得意な子ども、カードで繰り返しやる方が入りやすい子ども、耳から聞いて覚えるのが得意な子どもがいるので、どの方法が一番覚えやすいのか様子を見つつ、パッと答えられるまで何度も練習して欲しいと思います。

 

繰り上がり・繰り下がりは、数え棒を使った場合と紙に書いて計算した場合をつなげて考えることができるようにします。繰り上がりや繰り下がりを表す数字を式に残しておいたり、確かめ算を必ずする習慣をつけて欲しいと思います」(同)

 

<文章題>

「まずは文章題の場面のイメージを掴むことが大事です。そして、問題の中で何の数がわかっていて、聞かれているのは何の数なのかを理解することからはじめます。場面をイメージしていないと、ただ数字上の問題を解くだけになって、実生活につないで考えることができません。繰り返し解いて、問題を図や式に表すことに慣れていきましょう」(同)

 

<何番目の問題>

「何番目を問われる問題では、教室で実際に子どもたちを並ばせてイメージを掴んでもらうことがあります。『Aさんの前には4人います。後ろには5人います。全員で何人でしょう』といった問題では、列の図を書いて理解していきます。その図もどこから書いたらわかりやすいのか(はじめにAさんを書き、後から前後の人を書く)を考えてみてほしいです」(同)

 

<時計>

「1年生では、問題に時計の絵が書いてあることがほとんどです。その時計に書き込みながら解くことで、針の動きをしっかり理解させます。これは実際の時計を動かして考えた方がわかりやすいと思います。時刻と時間は、日常の生活の中で『今何時?』などとたくさん声をかけてあげることで定着していくと思います」(同)

 

 

●家庭でも数や量を意識して、楽しみながら算数を学習しよう

 

楽しみながら算数に取り組むために、家庭でもできることがあれば教えてください。

 

「算数は、数字上の処理だけではなく、実際の生活の場面で活用できるようにしたいものですが、普段から算数の考え方を使う経験をしていない子が多いように思います。例えば、『今さっきまで5人いたよね。3人帰ったから、今何人に公園にいるのかな?』『このジュースは、コップに何杯入るかな?』『一時間たったらおやつにするよ。何時かな?』などと、普段からちょっとした声かけをすることで、幼児期のうちから遊びの中で学ぶことができます。

 

身の回りの数字や単位に気づかせたり、物の長さをはかってみたり、飲み物の量でかさを実感させたりと、普段の生活の中にも算数の考え方に触れる機会はたくさんあるので、ぜひ意識してみてください」(同)

 

ほかにも、物を等分に配ったりお金を計算したりと、算数で習ったことが必要な場面はたくさんあります。身近なところでの数や量を意識して、楽しみながら算数を学んでいきたいですね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

 

 


関連記事はこちら

1年生の国語、つまずきポイントと克服方法は?

どう変わる? ついていける? 夏休み明けの授業

ごはんは脳のエネルギー源。朝食にごはんがいい理由とは?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

オンライン英会話レッスン「クラウティ」を、読者モニターが体験!

 

 

子どもの習い事として、多くのパパ・ママが一度は考える「英語・英会話」。特に2020年から小学校5~6年生で英語が「教科化」することもあり、より関心度は高まっています。オンライン英会話についても「送迎が必要ない」「イングリッシュスピーカーに習える」「料金が通学型と比べて安い」といった理由から検討する人が増えているようですが、実際のところ、使い勝手や効果はどうなのでしょうか。

 

そこで今回は読者の方に、学研のオンライン英会話サービス「クラウティ」を約1か月間お試しいただき、リアルな声をレポートしてもらいました。

 

 

●学研のオンライン英会話サービス「クラウティ」の特徴

 

まず「クラウティ」は、他のオンライン英会話と比べて、2つの大きな特徴があります。1つは、家族で最大6名までアカウント登録でき、登録した家族であれば、レッスンは既定の回数を誰が受けてもいい。つまり、家族みんなでレッスンを分けられるということ。2つ目は、日本人スタッフが常駐しているオフィスに出社するフィリピン人講師が教えてくれるということ。つまり、講師への教育体制も万全で、万が一のトラブルにも日本語で対応してもらえるので安心です。

 

では、ここから、実際にクラウティでレッスンを受けていただいたご家族の感想をご紹介していきます。

 

 

●簡単な単語も難しかったのが、文章で受け答えできるように!

 

 

 

 

「保育園のクラスにフィリピンから転校生がやってきたことがきっかけで、子どもが英語に興味を持つようになりました。英語は習ったことがなく、まったく何も知らないところからのスタートでしたが、画面の向こうのフィリピン人の先生がみんな優しくて笑顔なので、楽しく始めることができました。また、子どもの集中力が切れたときも上手に対応してくれてありがたいです。はじめは簡単な単語のリピートも難しかったのが、しばらく続けると、ちょっとした文章での受け答えもできるようになりました。

 

子どもに英語を教えられるようになりたいと思い、私(ママ)自身も平日はできるだけ毎日レッスンを受けました。こちらの会話力が低くても一生懸命聞いて、丁寧に対応してくれるので、頑張ってしゃべってみようという気が湧いてきます! 親子それぞれ、面白いほど上達していくのが感じられるので、今後もぜひ続けてみたいです」

(C・Oさん/千葉県在住/メインの利用者…5歳長男)

 

 

●先生達の質が高く、しかも合う先生を子ども自身が選べる!

 

 

 

 

「利用してみて一番感じたのは、先生の質の高さです。初めての英語で子ども自身、不安も大きかったようですが、いざ始まると、先生が歌やぬいぐるみを使った遊びの中で授業を進めてくれ、気付けば本人もハイテンションに。レッスンが終わると先生との楽しかった時間を惜しみ、うわーんと泣き叫ぶほどでした。

 

私自身も試してみて、自分の英会話力の低さを自覚…。『もっと勉強しないと、子どもに教えてあげられない!』とハッとさせられました。クラウティは先生を選べるシステムですが、私の好みは細かい間違いをしっかり指摘してくれる先生。親子で合う先生のタイプが違うんだな~というのも新たな発見です」

(Y・Sさん/東京都在住/メインの利用者…7歳長男)

 

 

●答えに詰まったときに、日本語で説明してくれるので安心

 

 

 

 

「7歳の長女は、小学校で英語の授業が始まり、本人も『英語を習いたい』と言っていたところでした。ただ、下の子もいるし送迎が大変だなと思っていたので、家でできるオンライン英会話に、すごく魅力を感じました。クラウティはふだん使っているiPadでできるので、子どもも身構えることなく始められ、レッスン内容も身近な話題の繰り返しで、分かりやすく楽しめるようです。

 

レッスンはテンポも良く、子どもが答えに詰まったときには先生が日本語で説明してくれるので安心して任せられました。2日に1回のペースでやっていましたが、挨拶などは毎回のことなので目に見えてできるようになるのを感じ、我が子の進歩に感動です」

(N・Aさん/東京都在住/メインの利用者…7歳長女)

 

 

●画面上に直接文字を書き込め、テキスト要らずなのが便利です

 

 

 

 

「他のオンライン英会話もやっていますが、いろいろ比較してみたくてモニターに応募しました。クラウティは文字を直接画面に書き込めるので、子どもはすごくやりやすかったようです。週1~2のペースで、自己紹介のしかたを中心に学びましたが、先生とお話するのがとても楽しいと言っていました。

 

家族6人までサービスをシェアできるということで、ママ(私)も受講。フリートークが盛り上がって、あっという間にレッスン時間の25分が過ぎてしまいました。子どもにとっては、勉強のテーマが分かりやすいというのも良かったようです」

(K・Iさん/千葉県在住/2人きょうだい/メインの利用者…9歳長女)

 

 

●兄弟で一緒に習えるのがありがたい!

 

 

 

 

「ちょうどオンライン英会話に挑戦したいと思っていたところ、兄弟で使えるというのがとても魅力的だったので利用させていただきました。子ども達は『英語なんて話せないよ~』と言いながらも、『男の先生がいいな~』などと先生を選ぶところからワクワク。親が近くにいると『何て言えばいいの?』と聞いてくるので、席を離れて一人でやらせていましたが、先生たちが皆さん優しく丁寧で、レッスンはとても楽しかったようです!

 

他の兄弟が騒がしく聞き取れないこともあったので、2回めからはヘッドセットを使用。先生とお揃いなのも嬉しそうで、集中してできるようになりました。他の兄弟がやっている間は、残る2人も『あ、この間教えてくれた先生だ!』と興味津々に周りをウロウロ(笑)。レッスン後の講評も、英文ですがとても的確でためになりました」

(R・Yさん/神奈川県在住/メインの利用者…6歳次男)

 

 

●初めての英語学習なので、先生が優しそうなのが何より

 

 

 

 

「英語教育にはずっと興味があったものの、小さな子ども3人なので通うのが難しく断念。自宅でできるというオンライン英会話も気になっていたところでした。6歳の長男は、初めの2週間くらいは1日2回、その後の夏休み期間は1日1回、子どもの興味に合わせた数字・乗り物・食べ物などのテーマを選んで受講しました。

 

最初は戸惑っていたものの、優しそうな先生で親子とも『ホッ』とひと安心。初めての英語で、幼いこともあり、ママが隣にいないとなかなか進められませんでしたが、目いっぱい英語に触れさせてあげることができたと思います」

(E・Mさん/東京都在住/メインの利用者…6歳長男)

 

モニターの方の意見を見てみると「自宅でできる」「イングリッシュスピーカーの発音を学べる」「コスパが良い」といったオンライン英会話のメリットはもちろん、さらにクラウティならではの特長である「家族でシェアできる」「テキスト不要で、直接画面に書き込める」「講師の質が高い」といった部分にも魅力を感じたという方が多かったようです。外国語の習得も、母国語と同様、まずは耳にして親しむところから。家族みんなで学べる「クラウティ」を活用すれば、ゆくゆくは家族同士で英会話…というのも夢ではないかもしれませんよ。

 

(取材・執筆:編集部)

(SPONSORED BY 学研プラス)

 

 


 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

年長で身に付けておきたいこと【第3回】集団生活に順応していくには?

 

 

来春の小学校入学に向けて年長のうちに準備しておくべきことについて、第1回 ではさまざまな「体験」が学びの基礎になること、第2回 では家庭内での「会話」が子どもの語彙量アップにつながるということをお伝えしました。今回は、基本的な生活習慣や集団でのルールを身に付けるために意識しておきたいことについて、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。

 

●何事においても「順番」を意識することが大切

 

小学生になると、何かと親がそばでサポートしていた園のときとは違って、子ども一人で集団生活になじんでいかねばなりません。小学校で基本的な生活習慣や集団生活のルールを守るために必要なこと、キーワードとなるのは「順番」なのだと塩谷先生。

 

「小学校のようにたくさんの子どもがいる場所では、『順番』を元に皆が行動しているからこそ混乱が起きないのです。そのため学校では、何をするときでも先生が順番をきっちり伝えています。

 

たとえば、学校についたら

1.ランドセルの中の物を引き出しに入れる

2.手提げを机の横に掛ける

3.ランドセルをロッカーにしまう

というように、3つくらいの順番で説明しているはずです。

 

この『順番』を理解して行動できるということが、集団生活に順応していけるということなんです」(塩谷先生)

 

確かに、授業参観の様子を見ていると「1番目に◯◯、2番目に◯◯、3番目には◯◯をしましょう」というように、先生が順序立てて説明をしていました。

 

「物事の順番を意識して行動できるようになると、次に何をしたらいいのかという見通しが立てられるようになります。次の行動が読めると、子どもにとって生活がぐんと楽になりますよね。行き当たりばったりではなく、ゆとりをもって生活できるようになるのです」(同)

 

●身に付けさせたいことの「順番」をイメージさせる

 

実は年長から小学校低学年くらいの子どもは、順番がものすごく頭に入る年齢なので、家の中でも物事の順番を意識していくことが、生活習慣を身に付けさせる秘訣なのだそう。

 

「おそらく、幼稚園や保育園でも折にふれて順番を意識して生活しているはずです。『うちの子は何回言っても◯◯ができない』という場合は、◯◯を行う順番のイメージができていないことが多いのだと思います。

 

外から帰ったら、まず『ただいま』と言う、2番目に靴を揃える、次に手洗い・うがいをする、というように、多くても3つくらいの順番で子どもに覚えさせましょう。3つは覚えられないという子の場合は、もちろん2つでも構いません。『幼稚園では、お外から帰ってきたらどうしてる?』と園での様子を聞きながら、家の中での順番を親子でイメージしていくといいと思います」(同)

 

例えば、着替えを一人でできるようにさせたい場合、まずはお着替えの順番を決めていくということですね。

 

「順番通りにできるようになったら、その生活習慣は身に付いたということ。1つ身に付いたら、次に身に付けさせたいことの順番決めに進んでOKです。そうやって、それぞれのシーンでの順番を日常生活の中で少しずつ増やしていくことが、小学校に入ってから必要となる生活習慣が身に付くことにつながります」(同)

 

●TPOによって「順番」が違うことも体験させよう

 

園と家の中の順番はできるだけ同じにした方が子どもは順応しやすいですが、時にはその順番が変わるという体験もさせることが必要だと塩谷先生。

 

「物事の順番は、TPOによって変わります。たとえば食事をする前、園や家ではまず手を洗うのに、レストランに行くと手を洗わない人もいる。かわりにおしぼりが置いてある。もちろん、お手洗いに行って手を洗うのが一番ですが、『これだけ大勢のお客さん全員が手を洗いに行くのは難しいよね、だから、かわりに手を拭くためのおしぼりがあるんだよ』と説明しながら、場面によっては決められた順番が変わることもあると理解させることも大切です。

 

私たちは日常生活の中で、さまざまな変化に対応しながら生きています。状況を把握して、その都度適応していく力を養っていくためにも、時には順番が変化するということを体験させてあげるといいですよ」(同)

 

順番通りにすることを押し付けるのではなく、子どもと相談したり状況を見たりしながらひとつずつ身に付けていくことで、集団生活にもなじんでいけるのですね。次回は、文字を書く、先生の話を聞く、挨拶など、学習の基礎となる大切な準備事項について伺います。

 

(取材・執筆:水谷 映美)

 

 


関連記事はこちら

〈入学準備〉着替えの後、服をたたむことも教えたい

年長でお片づけの習慣づけを!子どもが片付けやすい部屋づくり

家庭でできる年長児の入学準備[その1]ひらがなの練習 前編

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

日本語の美しさや、面白さを感じられる絵本5選

 

 

読者のみなさまから投稿いただいた「子育てのお悩みや疑問」のヒントになる絵本をご紹介していく当連載。第3回のテーマは「日本語の美しさや、面白さを感じられる絵本」。小学生になって活動領域が広がると、子どもは良くも悪くも、いろいろな言葉を覚えてきます。「子どもの言葉遣いが乱暴になった」「悪い言葉を使うのが楽しいみたいで……」とお悩みのママも多いよう。

 

そこで、悪い言葉を注意するのはもちろんですが、もっと楽しい言葉や、つい口にしたくなるようなフレーズを、親子で一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか? 日本語の美しさ・楽しさが伝わってくる絵本を5冊ご紹介します。

 

◆今回ご紹介する絵本

『キリンさん』(小峰書店)

『どうぶつえんはおおさわぎ』(文研出版)

『おてらのつねこさん』(福音館書店)

『さかさことばでうんどうかい』(福音館書店)

『これはのみのぴこ』(サンリード)

 

 

●まどみちおさんの詩の言葉がかがやく『キリンさん』

 

 

 

 

「ぞうさん」などの童謡で知られ、104歳で亡くなった詩人、まどみちおさん。まどさんの詩はとても平易でありながら、心の奥底に語りかけてくる力を持っています。『キリンさん』(まどみちお 詩、南塚直子 絵)はまさにそんな詩と可憐な銅版画のコラボレーションがすばらしい一冊。「なみとかいがら」「さかな」「コオロギ」「てんとうむし」といった身近な題材で、声に出して読めば、耳をすませたくなる言葉がいっぱい。日常でざわざわと荒れたり浮いた心を、静めてくれます。個人的なおすすめは「くまさん」。冬眠から目覚めたくまの子が「ええと ぼくは だれだっけ」「そうだ ぼくは くまだった」「よかったな」と自分自身をうれしく思う姿にほのぼのします。ふっと肩の力をぬいて、美しい詩に出会えます。第4回日本絵本賞受賞作。

 

 

●「ゾウ」が「ソウ」になっちゃった!?『どうぶつえんはおおさわぎ』

 

 

 

 

ある朝、動物園からあるものがこつ然と消えてしまいます。それは動物じゃなくて……「テンテン」! 点々がなくなってしまったせいで、「ゾウ」は「ソウ」に、「どうぶつえん」は「とうふつえん」になってしまいました。他にも「ゴリラ」は「コリラ」になり、飼育係と園長の話す言葉からも「テンテン」が消え、会話はめちゃくちゃ。「ソウのしいくかかり」は消えた「テンテン」を必死に探しまわりますが……? 『どうぶつえんはおおさわぎ』(二宮由起子 文、あべ弘士 絵)は、私たちが日頃話している日本語の中の「テンテン」や「マル」がいかに大事かを教えてくれます。「テンテン」が消えたり増えたりする奇妙な世界に、思わず笑ってしまう一冊。

 

 

●手の甲をつねって、こちょこちょ……! わらべうた絵本『おてらのつねこさん』

 

 

 

 

『おてらのつねこさん』(やぎゅうげんいちろう 作)は、わらべうたの「おてらのつねこさん」から生まれた絵本。登場人物は「たぬきさん」「あかりちゃん」「ねこさん」。お寺の本堂でたぬきさんが昼寝をしていたら、あかりちゃんとねこさんが掃除にやってきます。たぬきさんが座布団に化け、様子をうかがっていると、あかりちゃんとねこさんは「おてらのつねこさん」をして遊び始めました。「おーてーらーの つーねこさんが かいだん のぼって こっちょこちょー」と、手の甲をつねったあと腕をのぼって、脇の下をこちょこちょ。たぬきさんも一緒に遊びたくてたまらなくなり……。せりふ回しはユーモアたっぷりで影絵風の絵もユニーク。「わらべうた絵本って面白い」と目からウロコの絵本です。

 

 

●上から読んでも下から読んでも同じ文。『さかさことばでうんどうかい』

 

 

 

 

『さかさことばでうんどうかい』(西村敏雄 作)は、上から読んでも、下から読んでも、同じ「さかさことば」でできている絵本。選手入場からパン食い競走、騎馬戦、跳び箱、最後はリレーに表彰式まで……「ぞうくん ぱん くうぞ」「たっくる くった いたいよ いたい」「いちい だれだ いちい」「いがいや いがい いやはや はやい」と動物たちが大活躍。『バルバルさん』『うんこ!』などほのぼのとしたユーモラスな絵でファンが多い、西村敏雄さんのセンスが光る絵本。

 

 

●谷川俊太郎さんの一風変わったロングセラー絵本。『これはのみのぴこ』

 

 

 

 

『これはのみのぴこ』(谷川俊太郎 作、和田誠 絵)は、「これは のみの ぴこ。これは のみの ぴこの すんでる ねこの ごえもん。これは のみの ぴこの すんでる ねこの ごえもんの しっぽ ふんずけた あきらくん」「これは のみの ぴこの……」といったふうに、ページをめくるごとに言葉が連なっていく絵本。作者は、日本を代表する詩人の谷川俊太郎さん。「あきらくんの まんがよんでる おかあさん」や「おだんごやさんに おかねをかした ぎんこういんと ぴんぽんをする おすもうさん」など意表をつかれる組み合わせにわくわくします。発売以来約40年に渡るロングセラーで、今も子どもに大人気。言葉の面白さを体験できること間違いなしです。

 

いかがでしたか? わらべうた、さかさ言葉、早口言葉のような「これは のみの ぴこ……」など、子どもはちょっと変わった響きの言葉が大好きです。気に入ったら何度でも、繰り返し真似をするかもしれませんよ。まどみちおさんのなにげない詩にかくれた美しさや、「テンテン」が消えた世界の可笑しさも、親子で声に出して存分に味わってくださいね。

 

 

(選書・執筆:大和田佳世)

 

 


関連記事はこちら

★連載「親子で読みたい!子どもの成長を応援する絵本」

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

パパの家事・育児への参加度は? 読者アンケート結果を発表!

 

 

100人の子どもがいたら、100人それぞれ顔も性格も違うように、家族の形や家事・育児の分担も、家庭によってベストなやり方は違うもの。ただ、そうは言っても「もうちょっとパパに協力してほしいけど、専業主婦世帯はこんなもの…?」「我が家はやってくれてる方だと思うけど、実際どうなんだろう…」と、まわりと比べた相対的な評価を知りたくなるのも事実。そこでママノートでは、読者である子育て中のママたちに、「パパの家事・育児参加に関するアンケート」を実施。今回はその結果をダイジェストでお知らせします。

 

●パパの家事・育児参加度は、共働き世帯の方が低いという意外な結果に

 

今回アンケートに答えてくれた方のうち、40.5%が会社員・パート・アルバイトなどで働くママで、59.5%が専業主婦のママ。では、ママが働いているかどうかで、パパの家事・育児参加は変わってくるのでしょうか。共働き世帯・専業主婦世帯それぞれで見てみたいと思います。

 

Q「パパは家事・育児に積極的な方だと思いますか?」

 

・共働き世帯(パート・アルバイト含む)

 

 

 

 

・専業主婦世帯

 

 

 

 

パパが家事・育児に積極的かどうかを聞いたところ、「はい」と答えたママが共働き世帯では58.8%、専業主婦世帯では64.0%と、いずれもかろうじて「いいえ」を上回る結果に。また、それぞれを比べてみると、専業主婦のママの方が「パパの家事・育児参加度」に満足しているということがうかがえます。ただし、積極的と感じるかどうかは、あくまでママの主観によるもの。ひょっとすると、共働き世帯のママの方が、パパの家事・育児への参加に対して、評価が厳しいことの現れかもしれません。

 

パパが家事・育児に積極的でない理由としては「仕事が忙しい/あまり家にいない」というケースが最も多く、他にも「面倒臭がっている」「言えばやるが、自主的には動かない」「そもそも家事が何かを理解していない」などが挙げられていました。一方「専業主婦がやるのが当たり前」「外で稼ぐのがパパの役目」と割り切った意見も少数ですが見られました。

 

Q「パパが担当する家事・育児は全体の何%くらいですか?」

 

・共働き世帯(パート・アルバイト含む)

 

 

 

 

・専業主婦世帯

 

 

 

 

では実際、パパは家事・育児をどのくらいの割合で担当しているのでしょうか。現状について聞いたところ、上のグラフのようになりました。共働き世帯でも、パパとママが半々という家庭はわずか1割強。逆に、パパの負担は5~19%という家庭が6割近くにも上りました。

 

 

●パパが担当している家事は「お風呂掃除」「子どものこと」が多い

 

では次に、パパはどんな家事・育児を担当しているのでしょうか。自由記述方式で聞いたところ、約3割の回答に「お風呂掃除」の一言がありました。他の家事についての回答を見てみると、「ゴミ出し」は意外にも1割強にとどまり、「料理」については「朝食の準備」や「休日はパパ担当」などを合わせると2割強ほど。「洗濯」と答えた方はちらほら数える程度でした。

 

また、合わせて聞いた「パパに担当してほしい家事・育児は何ですか?」という質問に対しては、約4割近くの方が「掃除・片付け」「お風呂掃除」「水回りの掃除」と答える結果に。お願いしたい理由としては「掃除は後回しになりがちなので、フォローしてほしい」「自分が得意ではないから」「体力のいる家事だから」「短い時間でできる家事だから」といったものがありました。

 

育児についてはどうでしょうか? 実はパパが担当している家事・育児で、お風呂掃除に次いで多かったのが育児に関する仕事。「一緒に遊ぶ」「勉強を見る」「お風呂に入れる」「習い事の送迎」などをすべて合わせると、約半数のパパが子どもに関する何かしらの担当を持っているようです。これを、多いと見るか、少ないと見るか…。

 

また、「お願いしたい家事・育児」への回答を見てみても、3割弱のママが「もっと子どもと遊んでほしい」「勉強を見てほしい」「体を使った遊びをしてほしい」など、子どもにもっと関わってほしいと希望しているよう。自分とは違ったアプローチで子どもに接することを期待するママが多いようです。

 

 

●「子どもがパパとやりたいこと」は外遊びがダントツ!

 

では、子どもの方から見てみるとどうなのでしょうか。「お子さんがパパと一緒にやりたいと思っていること」を自由記述で聞いたところ、「外遊び」「スポーツ」「公園に出かける」「サイクリング」「バーベキュー」「虫捕り」「野菜や植物のお世話」などなど、半数以上のご家庭で、子どもがパパとの外遊びを楽しみにしていることが分かりました。意外にも「ゲーム」という回答はごく少数。また、「高圧洗浄機での掃除」といったユニークな回答や、「外遊び、おしゃべり、なんでも! 一緒に笑い合う時間」というパパがジーンときちゃうような回答もありました。

 

 

●結局、ママはパパの家事・育児参加について、どう思っている!?

 

最後に「パパの家事・育児について、日頃思っていること、希望や期待などを教えて下さい」という設問で、自由に回答してもらいました。その一部を抜粋してご紹介します。

 

・「もっとやってほしい」といった意見

「言えば快くやってくれるが、できれば自主的にやってほしい」

「好きなことしかやってくれないのは、正直不公平だと思う」

「子どものことだけでなく、家のこともやってほしい。でも雑だったりするので複雑です」

「いればやってくれるだろうけど、いないのだから仕方ない」

「仕事が忙しいのは分かるけれど、もっと家のことにも興味をもってほしい」

 

・「やり方を見直してほしい」といった意見

「協力的ではあるけれど、洗濯物のシワを伸ばさず干したり、洗い物がきれいになっていなかったり、結局やり直すので二度手間になる」

「子どもと出掛けても帰ってくるのが早すぎる! もっとゆっくり掃除などしたいのに…」

「出来合いのものを買ってくるだけでなく、ちゃんと料理もしてほしい」

 

・ママの復職に関連した意見

「仕事復帰したら家事・育児の分担がどうなるのか、非常に不安。パパは、できるときにやれば良いという考えなので、『できる時間がないからやらない』になってしまいそう」

「専業主婦スタートの結婚だったので、お互いに家事は100%、妻がやるのが当たり前という認識。でも、子どもの成長に合わせて私が働きに出るようになったら、パパの不満が募らないか、また、自分自身も今まで確立してきた家事を人に任せられるのか、2つの意味で気がかり」

「専業主婦のときは非協力的なパパに不満があったが、パート勤務を始めてから、まずは子どものこと、次第に家事も分担するようになり、今ではお互い感謝の念を持って協力し合えているし、良い関係が築けていると感じる」

 

・育児についての希望など

「子どもの“お世話”は100点だけど、もっと“遊び”にも付き合ってあげてほしい」

「時間を大事に使うことを子どもに教えたいので、ゴロゴロするのもそこそこに、何か一緒にやり遂げてほしいなと思う」

「もっと成長や悩みを分かち合ったり、共感してほしい」

「子どもが泣いても気長に向き合ってほしい」

「パパにしかできないことを子どもにしてあげてほしい」

 

他にも、「もう期待するのはやめた」「子どもの反面教師にするだけ」といった厳しい意見がある一方で「特に不満はなし」「満足、いつも感謝しています」という声もちらほら。「ねぎらいの言葉をかけてくれるだけでいい」というママもいました。

 

回答の中にもありましたが、子どもの成長やパパ・ママを取り巻く環境の変化にともない、家族のあり方もその都度変わっていくもの。その時々でのベストなやり方を探るときは、ぜひ今回のアンケート結果も参考にしてみてください。

 

(取材・執筆:ママノート編集部)

 

 


関連記事はこちら

復職についてのアンケート実施! 復職へのハードルってどんなこと?

先輩ママに聞く、「小1の壁」ってどんなもの?[Vol.5]前編

帰宅して10分で作れる!お夕飯“時短”レシピ本5選

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

1年生の国語、つまずきポイントと克服方法は?

 

 

ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きから文章の書き方まで、国語の基礎を学ぶ1年生。覚える内容も多く、出だしからつまずいてしまう子もちらほらいるようです。でも、ここでつまずきを解消しないまま先に進んでしまうと、国語に苦手意識を持ってしまうかもしれません。そこで、1年生の国語のつまずきポイントと克服方法を、岡山県鏡野町立上齋原小学校教頭の影山知美先生に聞きました。

 

 

●2学期からは漢字やカタカナ、作文の学習がスタート

 

そもそも小学1年生の国語では、どんなことを教えているのでしょうか?

 

「国語の授業ではおもに、話す・聞くこと、書くこと、読むこと、の3つの力を育てることを目標としています。具体的には、順序を考えて話したり、簡単な構成を考えて文章を書いたり、楽しみながら読書をする、といったところです。1学期では、その基礎となるひらがなの読み書きに、拗音(きゃ・きゅ・きょなど)、長音、促音(小さい『っ』)、句読点などのルールを学習してきました。2学期からは引き続き、基礎としての漢字やカタカナの学習がスタートするほか、実際に作文を書いたり、長めの物語を読み始めます」(影山先生)

 

2学期からは難易度があがり、つまずく子も増えると聞きますが、子どもが国語の授業でつまずいているかどうかは、どうしたら知ることができますか?

 

「自宅では一緒に教科書を見ながら『これを読んでどう思ったの?』と聞いてみたり、習った文字を書かせてしっかり定着しているか復習してみてください。その日にどんなことを学習したのかは、教科書やノートからもわかります。具体的なつまずきポイントがわからない場合は、担任の先生に直接聞いてみてもいいと思います」(同)

 

2年生以降で必要になる学習の基礎が作られる1年生。子どもがつまずいていることに気がついたら、早めに手を差し伸べてあげたいですね。

 

 

●1年生の国語、つまずきやすいポイントは?

 

小学1年生は実際に、どんなポイントでつまずいているのでしょうか。「話す・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3つにわけて、具体例をあげてもらいました。

 

<話す・聞くこと>

「語句の量(語彙)が少なく、自分の気持ちや見たこと、経験したことを上手に話すことが苦手な子がいます。その場合、『~のような』『~みたいな』と、何かに例えて表すことが苦手だったり、人の話をしっかりと聞く、相手の人に伝わるように話す、聞いたことをつないで自分の考えを言うという意識が低いように感じます」(同)

 

<書くこと>

「一年生では、ひらがな、カタカナ、漢字を学習しますが、言葉で話す時と違って、書くことが苦手という子がいます。特に、促音や拗音は、読めても書けないことがよくあります。鉛筆を間違った持ち方で書いていると、ひらがなのはらい、『る』『あ』など手首を回して書くこと、長く書き続けること、姿勢を保ち続けることが難しくなってしまいます。

 

また、自分の経験を思い出して文章を書く際に、その時の周りの様子やどんな順番だったのか、どんなことを思ったのかをうまく思い出すことができません。活動したことと、楽しい・嬉しい・悲しい・悔しいなどの気持ちを繋ぎ合わせることが苦手なのだと思います」(同)

 

<読むこと>

「普段から絵や文字に親しんでいないのか、本を最後まで読み切ることができない子どもが多いです。また、文章をそのまま読むだけならできても、あらすじを考えたり具体的な感想を言うのは苦手で、『すごかった!楽しかった!おもしろかった!』と単純に答える子どもも多いです。物語を読むときに自分の経験と重ねて考えたり、挿絵の表情から感情を読み取るのが苦手なようです」(同)

 

親にとっては、つい、ささいな事かと思って見過ごしがちなものもありますね。しかし、こうやって改めて「ここがつまずきポイントだよ」と指摘されることで、気付かされる部分も多いように感じます。

 

 

●つまずきポイントの克服法は?

 

では、それぞれのつまずきポイントはどうやって克服していけばいいのでしょうか? 

 

<話す・聞くこと>

「話を聞いたり、相手に伝える技術は、日々の会話の上に成り立っているもの。つまり、日頃から人間関係を大切にすることで、緊張感を持って人の話を聞いたり、自分の考えや思いを相手に伝えることができるようになります。

 

たとえば、友達を大事にしたい気持ちがあると、友達の考えを聞きたい、友達に伝えたいという思いがわいてきますよね。親子でも、一緒に遊んだり体験したことなどを話し合う機会を多く持ってみてください。また、日常で目にしたものや図鑑、本などから、その物がどんな特徴をもっているのかを観察し、言葉にしてみるのも効果的です。つたない部分は大人が言葉を補完しながら、より詳しく表現する練習をしましょう」(同)

 

<書くこと>

「基礎的なことですが、正しい鉛筆の持ち方ができるように繰り返し練習しましょう。書くスピードも大切です。というのも、書くのが遅いと書くことだけに集中してしまい、次の活動に遅れたり、先生が話していることを聞き逃しがちになるからです。

 

ひらがな、漢字の書き順には似通っているところがあるため、幼児期のうちに家庭学習をするなら、ひらがなの書き順には気をつけましょう。適当に覚えてしまっていると、漢字を学習する際に正しい筆順を覚えるのに苦労します。

 

また、自分の経験を文章にする際には、『どんなことしたの? その時何を思ったの?』と子どもと一緒に振り返りをします。経験したことを言葉にすると、その時の様子や気持ちが一緒になって心に残り、文章にまとめやすくなると思います」(同)

 

<読むこと>

「小学校では学習したことに関連づけて、複数の本や図鑑を並行して読む『並行読書』を行っています。つながりのある本を同時に複数用意することで、興味や関心を持って読み進めることができるからです。本を読むときには『単に楽しんで読む本』と『じっくり読ませたい本』に分けています。『じっくり読ませたい本』は、登場人物の気持ちを想像し、自分だったらどう思うのかを考えさせるようにしています。国語の時間だけではなく、日常の様々な場面でも自分ならどうするかを考える習慣をつけてみてください」(同)

 

 

●家庭でも楽しみながら、国語を学習しよう

 

親としては、できれば楽しみながら学習してほしいもの。国語を好きになるために、家庭でもできることがあれば教えてください。

 

「無理に文字を覚えさせようとするのではなく、目に入った文章を一緒に読んでみるなど、文字を楽しんでほしいなと思います。本を読んだらどんな話だったか聞いてみたり、読んだ本を表にまとめてあげると子どものモチベーションが上がると思います。家庭でも楽しみながら読む工夫をしてみましょう。

 

そして、毎日5分だけでもいいので、子どもと向き合い、話を聞く時間を作ってあげてください。自分の話を大事に聞いてもらっている子どもは、友達の話も大事に聞くことができると思います」(同)

 

幼稚園のうちにひらがなの読み書きを完璧にマスターしている子もいれば、あやふやな子もいるのが1年生。スタートはそれぞれ違えど、教科としての国語はまだまだ始まったばかり。つまずいている様子があれば、早めにしっかりサポートしてあげたいですね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

 

 


関連記事はこちら

読書嫌いの我が子、どうしたら本を読むようになる?【前編】

年長で身に付けておきたいこと【第2回】国語力を高める「会話」のコツ

どう変わる? ついていける? 夏休み明けの授業

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

年長で身に付けておきたいこと【第2回】国語力を高める「会話」のコツ

来春の小学校入学に向けて、年長のうちにどんな準備をしておいたらいいのかは、ママたちの大きな関心事です。前回は、さまざまな「体験」が学びの基礎になることをお伝えしました。今回は、子どもの語彙を増やして国語力や言葉の理解力を高めるための「親子での会話」のポイントについて、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。

 

 

 

 

●いろいろな言い回しを会話に盛り込むことで子どもの語彙力が向上する

 

先々に向けて、今のうちから少しでも子どもの語彙量を増やしたい、国語力を高めたいと思うママは多いものですが、何か対策はありますか。

 

「何より大切にしてほしいのが、子どもとの『会話』です。

 

小学校低学年くらいまでの年齢は耳が非常に良く、目から入る情報よりも耳から得ている情報量がはるかに多いことをご存じですか? まずは、子どもたちが日常生活で触れる言葉の数を増やしてあげることが大切です。言葉はすべての学びのおおもとになるもので、語彙が増えることによって、理解力が上がるからです。

 

私たちは、普段使っている会話の中でさまざまな言葉を省略しがちです。そこで、ただ『暑いね』と言うだけではなく、『今日はうだるような暑さだね』とどのような暑さなのかを表現するなど、意識的にママたちが使う言葉を増やしていってほしいと思います」(同)

 

あまり難しい言葉は使わない方がいいかなと思っていましたが、耳にすることで語彙量が増え、理解力が高まっていくのですね。意識してみます。

 

 

●子どもの質問には「例文」を挙げて答えよう

 

 子どもから、わからない言葉の意味を質問されることも多いのですが、どう説明したらよいのか、いつも悩んでしまいます。

 

「極論を言えば、単語の意味を無理に説明する必要はありません。そのかわり、その言葉を文章の中で何回も使ってください。

 

たとえば、『見事』という言葉の意味を聞かれたとします。『ビックリするくらい完璧な様子』などと言い換えて説明するのも良いですが、そこで終わらず、文章の中に『見事』という言葉を入れて使ってみましょう。つまり、言葉自体の説明よりも、その言葉が入った文章を例としていくつか挙げることが効果的です。

 

『この絵の細かい模様は、とってもキレイだね。本当に見事だね』『テストで100点を取ったの? お見事!』というような例文を言ってみせることで、ただ単語を覚えるのではなく、使い方や背景まで理解できます」(同)

 

言葉を理解するというよりも、身に付くというイメージですね。

 

「それから、子どもが質問してきた言葉を、その後も意識的に使うこともおすすめです。スポーツニュースを見ていてサッカーのゴールシーンが流れたら、「わ! あのシュート見事だね!」といった具合です。すると、子どもは言葉の意味や使い方を自然と習得することができるでしょう」(同)

 

使い方が間違っている場合も多いのですが、そんなときはどう修正してあげたらよいでしょうか。

 

「子どもは新しい言葉、難しい言葉を使いたがるものですよね。もしも使い方が間違っていたら、『それは違うよ』と頭から否定するのではなく、『難しい言葉を知ってるね! こうやって使うといいよ』と正しい使い方を教えてあげるといいですね」(同)

 

例文を考えることで、ママの方も勉強になりますね!

 

 

●「体験」と結びつくことで「言葉」が身に付いていく

 

 さらに、「体験」が学びの基礎になるという点について前回お伝えしましたが、そこに言葉が結びつくことで、より子どもの大切な基礎力が養われていくのだとか。

 

「耳で聞き知った言葉は『体験』が加わることで初めて、イメージを持った言葉として使うことができます。

 

たとえば、『バケツをひっくり返したような雨』という表現はよく使われますが、『バケツ』という物の名前を知っていても、実際にバケツをひっくり返すとどのような勢いで水が出てくるのか、そしてどれくらい激しく降る雨のことを表現するのかは、体験したことがないとわかりませんよね。言葉として知っているだけでは、実際に使っていくことは難しいのです。

 

小学校に入り、知識が増えると、なぜ?どうして?という不思議や疑問も生じます。小さな頃は「なぜ」を具体的に言葉で表すのが難しかったものですが、さまざまな体験を通して言語化していけると、抱いた疑問をパパやママに質問することができ、解決につなげていけますよね。より理解も深まりますし、もっともっと疑問が膨らんでいくかもしれません。楽しみながら、学ぶ意欲も増していくでしょう。

 

そういった意味で、より多くの言葉に触れること、そしてたくさんの体験をすること、この2つが掛け合わさることが、就学後も子どもの学びの意欲の根底となっていくのだと思います」(同)

 

ちなみに、語彙力を高めるために、小学生になったら子ども用の国語辞典を買い与えて自分で調べる癖をつけさせたほうがいいかな?と考えていたのですが、「まずは耳からたくさんの言葉が入っていかないと、いきなり辞典は難しいでしょう」と塩谷先生。年少から小学校低学年の子どもたちは主に耳から語彙を習得するので、親や周りの大人たちが使う言葉や家庭内の会話こそが入学に向けての基礎力を身に付ける上でとても重要だということがわかりました。

 

次回は、基本的な生活習慣や集団ルールを身に付けるために大切なことについて、引き続き塩谷先生に教えていただきます。

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

「保育園育ちは小学校入学後に不利」の噂は本当?

登園拒否が続く息子。入学してからが不安です

家庭でできる年長児の入学準備[その1]ひらがなの練習 前編

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

急な引っ越し…子どもを不安にさせないケア方法とは【後編】

 

 

 

急に引っ越しが決まると、さまざまな環境が一気に変わるので、子どもの心も不安定になりがち。前回は、引っ越し前にできる子どもとの接し方についてご紹介しました。今回は、引っ越し後に注意すべき点や子どもの心のケア方法について、引き続き、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。

 

 

●引越し後の生活で気をつけるべきこと3つ

 

引っ越しで転園・転校するとなると、親としてまず気になるのは子どものメンタル面ですよね。でも実は、健康面や安全面でも配慮したいポイントがあると塩谷先生。そこで、まずは引っ越し後の生活で気を付けたいこれらのポイントについて、教えてもらいました。

 

1.アレルギーに気をつける

 

「引っ越しなどで環境が変わると起こりやすいもののひとつに、アレルギーがあります。新しい家の建材や近所に生えている草木、そのほかさまざまな要因で、アレルギーが出やすいと言われているのです。

 

今まで何かしらのアレルギーがあった子はもちろん、たとえアレルギーとは無縁だった子でも、引っ越し後のしばらくは特に、子どもの様子をよく観察しておいてください」(同)

 

引っ越し前後はホコリがたくさん出るのでくしゃみや鼻水が増えたり、環境の変化や体調不良から思わぬ食べ物で湿疹が出たり…と、何かしらのアレルギー症状があらわれてくるケースもありそうです。子どもの体調はしっかりチェックしておきましょう。

 

.近所の病院情報を集めておく

 

「アレルギーにも関わってきますが、子どもは急に体調を崩します。そこで、できるだけ早く近所の病院情報を集めて、把握しておきましょう。急に必要になることがほとんどなので、できれば引っ越し前、または引っ越してすぐに周辺の病院情報をリサーチしておくと安心です」(同)

 

実は我が家も、引っ越し直後に家族全員で胃腸炎にかかり、大変な思いをしたことがあります。引っ越してまだ数日で病院がどこにあるのかもまったくわからず、とっさに保育園の入園案内に書かれていたかかりつけ医を思いついて駆け込みました。

 

そのときのお医者さんによると、普段なら平気な菌でも、疲れていたり寝不足が続いていたりして免疫力が下がっていると、大きな病状として出てくるのだとか。まさに引っ越し前後は体調を崩しやすい環境だと言えるのかもしれません。

 

我が家が引っ越しをしたときには、同じマンションに住んでいるママに早めに声をかけ、「小児科はどこに行っていますか?」と尋ねて教えてもらった経験があります。新しい土地では、積極的に近所のママに話しかけたり、ネットなども駆使して、早めにかかりつけ医を見つけておきたいですね。

 

.近所を子どもと一緒に歩いて危険エリアを見つけておく

 

「引っ越したばかりの土地は、土地勘もなく、わからないことだらけです。前の学校では一人で登下校していたお子さんでも、はじめのうちは、親も必ず一緒に行動しましょう。車通りが多い道、死角が多い交差点、夕方になると人通りが少ない場所など、親子で歩いてしっかり確認しておくと安心です」(同)

 

我が家でも、引っ越した後は必ず「探検に行こう!」と親子で散歩がてら近所を歩き回っています。思わぬ遊び場を発見することもありますし、とても危険な坂や小道を見つけることも。今後、子どもだけで遊びに出かけることが増える前に、ママも一緒になってしっかりと確認しておくと安心です。

 

 

●前の学校の友達の話をしてもOK。そのうえで「今」の楽しみに目を向けさせよう

 

引っ越しで親が一番気になるのが、子どものメンタル面。仲の良かった友達と遊べなくなってしまうので、悲しい思いをさせてしまうのでは?と心配になるママも多いと思います。

 

「子どもは、過去にはあまりとらわれません。『今』が楽しければ、柔軟に対応していくので安心してください。『思い出すと悲しくなるかな…』と気遣って、前の学校の話やお友達の話を不自然に避ける必要もありません。それはそれとして、今の楽しいことにフォーカスしていけるといいでしょう。

 

例えば交友関係も、子どもは『友達になろう』と言って仲良くなるのではなく、同じ遊びをしていて自然に友達になるもの。特に年長や一年生の頃は、遊びを通じて仲良くなるので、学校の休み時間はもちろん、家に帰ってきてから公園などに行き、近所の子と遊ぶことを促してあげるといいですね」(同)

 

無理に友達を作るように親が仕向ける必要はなく、あくまでも遊びを通じて、子どもは自然にコミュニケーションがとれるということがわかり、少しホッとしました。親はあくまでも、新しいお友達ができるきっかけづくりをサポートすればいいのですね。

 

引っ越しは、親も子どもも負担が大きくなりがちです。だからこそ、事前にチェックしておくべきポイントはおさえて、時には前の園や学校のお友達の話もしながら、子どもが「今」を楽しめるようにさりげなくサポートしていきましょう。新生活、親子ともに楽しい毎日になりますように!

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

急な引っ越し…子どもを不安にさせないケア方法とは【前編】

年長・小1の親子防災、チェックしておきたいことは?

どう変わる? ついていける? 夏休み明けの授業

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

一緒に歌ってストレス解消! ママ向けミュージカル映画3選

 

 

長い夏休みが終わり、ホッとひと息ついたのもつかの間、秋は運動会や遠足、学習発表会など学校行事もめじろ押しで、何より日々の家事育児はエンドレス。ママの忙しい日々は続きます。今回は、そんな毎日を頑張っているママたちが、心身ともに元気になれそうな楽しいミュージカル映画を3本ご紹介します。歌って踊ってストレスも解消! ママが笑顔になれば家族もハッピーになれるはず!

 

 

●シスターと一緒に歌って踊ろう「天使にラブソングを」

 

殺人現場を目撃して追われる身となったクラブ歌手が、潜伏先の修道院で巻き起こす騒動を描くコメディ。ノリノリで歌うシスターたちの美しいコーラスと、ポップにアレンジされたゴスペルが楽しい、1993年の大ヒット映画です。

 

ネバダ州リノのナイトクラブで歌手をしているデロリスは、クラブのオーナーでマフィアのボス、ヴィンスの愛人。ある日偶然、ヴィンスが裏切り者を始末する現場を見てしまい、愛人の身から一転、ヴィンスから命を狙われる身になってしまいます。警察に駆け込んだ後、修道院にかくまわれることになったデロリスですが、厳格すぎる暮らしにウンザリ。そんなデロリスが自分の歌手としての経験を活かして、ヘタな聖歌隊を大特訓! パワフルでポップに生まれ変わったゴスペル聖歌隊は評判を呼びますが、そのせいでヴィンスに居場所が知られ、デロリスはヴィンスの手下たちにさらわれてしまいます。シスターたちは一致団結してデロリスを助けに向かいますが……。

 

「劇場やカジノは面白いから人が集まるの。だったら教会も面白くしたらいいんじゃない?」というデロリスのアイデアで、閉鎖的な修道院が開放的な場所になっていく。歌う喜びと楽しさ、仲間と一緒に何かを成し遂げる充実感など、人生の楽しさに目覚め、イキイキと輝いていくシスターたちを見ているだけで幸せな気分になります。そう、楽しい場所には楽しいことや人が集まる! ママが楽しければ子どもも家族も楽しくなる! そんな風に思える、元気をもらえる映画です。

 

 

 

 

<データ>

■天使にラブソングを

1992年/1時間40分/アメリカ/監督:エミール・アドリーノ/出演:ウーピー・ゴールドバーグ、マギー・スミス、ハーヴェイ・カイテル

 

 

●ペンギンたちのキレッキレの歌とダンス「ハッピー・フィート」

 

皇帝ペンギンたちがまるでブロードウェイのミュージカルスターのようにポップやロックの名曲に合わせて歌い踊る、ユニークなCGアニメーションです。氷の世界、南極大陸を舞台に、落ちこぼれペンギンの男の子マンブルの熱く壮大な冒険を描きます。

 

同じ相手と一生を添い遂げる皇帝ペンギンの使命は、“心の歌”を歌って運命の相手を見つけること。けれどマンブルは音痴過ぎて学校ではいつも落ちこぼれ。真面目なパパをガッカリさせてばかりいます。音痴だけど、タップダンスが誰よりも上手なマンブルは、歌の代わりにダンスで気持ちを表現しようとしますが、頭の固い長老たちはそんなマンブルを認めません。魚不足などの南極の災難はすべてマンブルのせいだと言い、マンブルを国外追放してしまいます。かくして自分の無実を証明するため、マンブルは仲間たちと果てしない冒険の旅に出ます。

 

笑っちゃうほど上手なマンブルのタップダンスはもちろん、短い手足で魅せるペンギンたちのキレキレのダンスと美しく揃ったパフォーマンスが最大の見どころです。CGアニメとはいえ、フワッフワの毛並みがリアルで、特に子ペンギンの愛らしさはたまりません! そんなペンギンたちが、プリンス、クイーン、スティービーワンダーやビートルズなどの往年のロックやポップスのヒット曲を熱唱し歌い踊る姿がキュートで楽しくて、タイトル通りハッピーになれる作品です。誰に何を言われても自分らしくいようとするマンブルから、自分を信じること、そして子どものありのままを認める親の姿勢の大切さにも気づかされます。

 

 

 

 

<データ>

■ハッピー・フィート

2006年/1時間48分/アメリカ/監督:ジョージ・ミラー/声の出演:イライジャ・ウッド、ロビン・ウィリアムズ、ブリタニー・マーフィー、ヒュー・ジャックマン、ニコール・キッドマン

 

 

●歌とダンスで偏見なんて吹き飛ばせ!「ヘアスプレー」

 

黒人への人種差別が残る60年代のアメリカ、ボルティモア。歌とダンスが大好きなぽっちゃり女子、トレーシーが憧れのダンスショーに合格し、その天真爛漫さで周囲を変えていくというお話です。1998年のオリジナル同名映画を元にしたミュージカルを再映画化した2007年の作品です。

 

高校生のトレーシーの夢は人気のダンス番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演すること。母の反対を振り切ってオーディションに参加するも、太っていることが理由で不合格になってしまいます。その後、ひょんなことから番組に出演できることになったトレーシーは一躍人気者に! そんなトレーシーのことが気に入らないのが出演者のアンバーと、その母親であるプロデューサー、ベルマ。母娘は、さまざまな手を使ってトレーシーを番組から降ろそうとするのですが……。

 

オープニングの「グッド・モーニング・ボルチモア」を筆頭に、思わず口ずさみたくなる60年代オールディーズ風のナンバーが満載。体系なんて気にしない、いつも明るく前向きな主人公トレーシーが本当に魅力的で、ダンスが好き!という気持ちが画面いっぱいに弾けているのが何より気持ちいい作品です。カラフルな60年代ファッションもママの乙女心をくすぐります。『サタデー・ナイト・フィーバー』など、70年代に大ヒットしたダンスムービーの主演であるジョン・トラボルタが、ダイナマイトバディの母親役で踊りまくる、という遊び心も。底抜けに明るいミュージカル映画ですが、“差別の愚かさ”もテーマのひとつで、差別する側の傲慢さ、見た目や肌の色で差別される側が感じる理不尽さも描いています。見た目なんて関係なく“好き”でつながる幸せを、ポップな演出の中に表現していて、ちょっと気分を上げたいとき、元気になりたいときに観たくなる1本です。

 

 

 

 

<データ>

■ヘアスプレー

2007年/1時間57分/アメリカ/監督:アダム・シャンクマン/出演:ニッキー・ブロンスキー、ジョン・トラボルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、ザック・エフロン

 

イライラが収まらなかったり、ちょっと落ち込んだりしたときにパワーをくれるミュージカル映画。もちろん、出てくる挿入歌も本格的なものばかりなので、ママが一人ゆっくり観るも良し、芸術の秋、スポーツの秋、お子さんと一緒に歌って踊って楽しむのも良いかもしれませんね。

 


連載「親子の会話がはずむ、年長児とママのための映画ガイド」

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp 

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

急な引っ越し…子どもを不安にさせないケア方法とは【前編】

 

 

9月末から10月初旬は、会社の期が変わるタイミングであることから、急な転勤が決まるケースが多く、引っ越し軒数が増える時期です。実際に家族で引っ越すことになった場合、ママとして気になるのは子どものことですが、園や学校など環境が変わることで、子どもの心にどのような変化が起きるのでしょうか。適切なケア方法もあわせて、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。

 

 

●友達と離れる寂しさは、親の態度でカバーできる

 

私自身、これまでに何度も引っ越しを経験してきましたが、子どもが生まれてからの引っ越しは、とにかくやることが山積みで目が回るほど忙しい!というのが率直な感想です。

 

「引っ越しって、本当に忙しいですよね。荷造りはもちろん、役所で行ういろいろな手続きも多々あります。やることが山程あるから、ママの目が子どもに向かなくなってしまう。ここが、子どもの心を不安にさせる大きな原因となるのです。

 

ママがいつもと違う、遊んでくれない、かまってくれない。つまり『いつものママと違う』と感じることで、子どもは、なんだか急に距離を感じてしまうのです。もちろん、ママが忙しくて子どもの相手ができないのには理由があるのですが、子どもには引っ越しだから役所に行って手続きをして…なんていう背景はなかなか理解できません」(塩谷先生)

 

確かに、我が家もいつもは毎日のように公園に連れて行っていたのが、引っ越し前後は家の中で我慢させることが多く、一緒に遊ぶ時間もほとんど取っていませんでした…。

 

「引っ越しの準備にはリミットがあるので、子どものことはつい後回しにしてしまいがちですよね。気づけば、子どもの対応が疎かになってしまうことが多いものです。話しかけられても、『後でね』ばかりになってしまったり…。そうなると、子どもの心は次第に不安になり、引っ越すことを説明されても心が受け付けない、ということが起こりうるのです。

 

引っ越しでお友達と離れ離れになってしまうと、子どもが寂しがるのではないかと心配になる親御さんもいると思いますが、友達より何より、身近な人の存在、つまりパパやママが一番なのです。パパやママがいつもと変わらなくて、しっかり自分を見てくれていると感じられれば、引っ越すことに対しての不安はあまり感じないのだと思います。いろいろな準備などで忙しく、時にはイライラすることもあると思いますが、あくまでも『いつもと変わらない』ということを意識してみてください」(同)

 

 

●子どもを不安にさせないケア方法3つ

 

では、具体的にはどのようなことを意識したらいいのでしょうか。塩谷先生いわく、「無理のない範囲で、次の3つのことを心がけてみて」とのこと。順に見ていきましょう。

 

1.引っ越しの準備を一緒にやる

 

「荷造りは子どもには無理」「邪魔になるから向こうで遊んでて!」と、最初から引っ越しの手伝いをさせないようにしてしまいがちですが、意外にも一緒にできることはあるのだと塩谷先生。

 

「たとえば、荷造りよりも前の段階、処分する物と持っていく物を決めるとき、特におもちゃの取捨選択などは、まさに子どもの出番です。『どれがいる? いらないものはこの袋に入れてね』とお願いしてみましょう。ただし、危険な物が置いてあったりホコリがたくさん出たりする場所もあるので、安全面と健康面は気をつけておいてくださいね。自分だけが邪魔者ではなく、ママと一緒に作業できることが、子どもの心を満たすことに繋がります」(同)

 

.引越し後のワクワクすることを1~2つ挙げて伝える

 

引っ越しは、子どもにとっても初めてのこと。引っ越しがどういうものか、経験していない以上イメージができないものです。そこで、「マイナスなことではなく、プラスになるようなことを子どもに話しましょう」と塩谷先生。

 

「はじめから『引っ越すと○○くんと会えなくなっちゃうね』などとマイナスなことを伝えてしまうと、子どもの中に『引っ越し=嫌なこと』と印象づいてしまいます。そこで、引っ越し先の良いところを具体的に挙げてみましょう。

 

『次のお家はお風呂が広いから、家族みんなで入れるね! 楽しみだね!』『新しいお家のすぐ近くに広い公園があるよ。いつも行く公園と同じ遊具もあるかな?』というように、今までできなかったことができるという点でもいいですし、今楽しんでいることが向こうでもできるという点をアピールしてもOKです。あまりたくさんの要素を挙げるとワクワクが分散してしまうので、2つくらいを挙げて話すのがおすすめです」(同)

 

.新しい生活を「一緒に楽しむ」ことをアピールする

 

引っ越して住む場所が変わると、いろいろなことが変化してしまうのでは…という漠然とした不安を抱える子どももいると思いますが、塩谷先生いわく「ママが引越し先での生活を“一緒に”楽しもうと伝えていると、子どもの不安は小さくなっていきます」とのこと。

 

「繰り返しになりますが、ママの表情や自分との接し方が変わらないと確信できれば、子どもは引っ越しの不安をあまり感じなくなります。

 

そのうえで、ママも引っ越しを楽しみにしているよ、ということを折に触れて伝えてほしいです。『新しい家の近くの公園で、一緒に遊ぼう』とか『近くに野球場があるみたいだから、パパも楽しみにしているって』というように、パパやママも引越し先の生活を楽しみにしているということを加えることで、子どもはより安心でき、ワクワク感がアップするでしょう」(同)

 

急に引っ越すことになった場合は難しいかもしれませんが、できるだけ計画的に準備を進めることで、ママの気持ちにも余裕ができ、子どもの心に寄り添いながら、新しい生活へと目を向けて行けそうですね。次回は、引越し後の生活の注意点や子どもの心のケアについて、引き続き塩谷先生に伺います。

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

リーダータイプの子が目立たない存在に……なぜ?

お家の中の整理・収納、プロに依頼するメリットは?

親子じゃれつき遊びでキレない子になる

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

年長で身に付けておきたいこと【第1回】学びの基礎となるのは「体験」

 

 

年長の子どもを持つママたちにとって、「来年から小学生」と意識する機会が少しずつ増えてくるこの時期。そこで、小学校に入ったらどんなことをするのか、また入学までに準備しておきたいことについて、元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に全4回にわたり教えていただきました。第1回では、小学校でのさまざまな学びの基礎となる「体験」について、詳しくお伝えします。

 

 

●小学校側の「受け入れる体制」は整っています。まずは安心して

 

幼稚園や保育園のときと違って、小学校では授業がありますし、集団生活のルールもしっかりと決められていると感じます。その分、子どもがうまく順応していけるか不安なママも多いと思うのですが…。

 

「幼稚園や保育園は、園によってカリキュラムも違いますし、方針もそれぞれですよね。もちろん子どもによって出来ることにも差があります。そんなさまざまな園から子どもたちを迎えるにあたって、小学校側も、子どもたちが学校生活を楽しく過ごせるような基盤をしっかり整えていますので、あまり不安に感じなくて大丈夫ですよ」(塩谷先生)

 

そう言ってもらえると安心です。具体的には、どのような工夫がされているのでしょうか?

 

「学習内容も、4月から夏休み前までにかけては、比較的ゆっくりと予定が組まれており、一気に勉強が進んでいくということはありません。また、『生活』といって、校庭でシャンボン玉を作って遊んだり、学校の中や校外を探検したりするなど、理科的な体験と社会科的な体験を双方含んで繋いでいくような内容の授業もあります。まずは学校になじめるよう、そして勉強することや小学校に行くのが楽しみになるような工夫がされているのです」(同)

 

 

●幼稚園・保育園でのさまざまな“遊び”が、就学後の学習につながります

 

子どもたちがなじめるように学校側が体制を整えてくれているとはいえ、授業についていけるよう早めに勉強の準備を始めたほうがいいのかな?と気になっているママも多いと思います。何か今から入学に向けて準備すべきことはありますか。

 

「実は、小学校の勉強は日々のたくさんの遊びの延長線上にあり、幼稚園や保育園で体験してきたことこそが、小学校に入ってからの学びの基礎になるのです。そこで、より多くの体験ができるようなきっかけづくりや環境づくりを、まずは整えてあげてほしいと思います」(同)

 

具体的には、どのようなことを意識すればいいでしょうか。

 

「子どもの好きなジャンルで、幅広い経験に触れさせてあげることです。

 

子どもが好きなこと、興味関心があるジャンルってありますよね。たとえば、電車が好きな子であれば、普段から駅や線路沿いまでお散歩をして電車を見に行くことが多いかもしれません。そこで次は、『電車の写真がたくさん載っている本を見に行こうか!』と図書館に誘ってみてはどうでしょうか。電車や新幹線を題材にした映画があれば映画館に行ってみる、また鉄道博物館などの施設に足を運んでみるのもいいですね。『電車』という子どもが興味を持っていることを軸足にすることで、無理なくより幅広い世界に触れさせることができます。

 

一方で、興味関心があることに、時間を気にせず思い切り没頭させてあげることもおすすめです。体験のバリエーションを増やすと同時に、好きなジャンルをとことん深めていくことも貴重な財産となっていきます」(同)

 

ほかにも、「その季節でしか味わえないことやイベント、お家でのお手伝い、友達との遊び、アウトドアなど、毎日の中でのさまざまな体験が、国語・算数・生活(理科・社会)・図工・家庭科・体育などあらゆる学習に興味を持つきっかけとなり、土台となっていきます。だからこそ、たくさんの体験を惜しまずさせてあげてほしいと思います」と塩谷先生。遊びを通して得た体験が小学校に入ってからの学習の基盤となるとわかれば、少しでもいろいろな体験をさせたい!と思えますね。

 

 

●実際に体験できないことは「疑似体験」をしよう

 

イベントや旅行などのお出かけを含め、できるだけたくさんの体験をさせたいとは思うものの、時間的に難しいという家庭もあると思います。そんなときは、どうしたらいいでしょうか?

 

「実際に体験できないことは、『疑似体験』をすることです。たとえば本を読む、読み聞かせをすることで、子どもたちはさまざまなことを疑似体験できます。本の中でなら、普段は行けない外国や宇宙、過去や未来にだって行けますよね。今後小学校の授業で出てくることや先生が話すことと、実際の体験もしくは疑似体験が結びつくと、より興味を持って学習に取り組めるのではないでしょうか。きっと、学びの楽しさへと繋がっていくことでしょう」(同)

 

さらに、「物語を読むことで、感情を疑似体験することもできます」と塩谷先生。たとえば、欲しかった物をプレゼントしてもらったときの「うれしい」、何かを成し遂げたときの「うれしい」、お友達を助けたときに「ありがとう」と言われて「うれしい」など、「うれしい」気持ちにもバリエーションがあるということを子どもは知ることができるのだとか。そう考えると、読み聞かせをすることが、これまで以上に意味がある大切なものだと感じ、よりたくさんの本を一緒に読みたいなと思えてきますね!

 

 

●机に向かう練習より、興味の幅を広げることが大事

 

45分間もある小学校の授業時間、飽きずに机の前に座っていられるかも気になるところですが、「子どもは興味が持てることであれば、何分でも座って集中していられますよ」と塩谷先生。

 

「植物を育てる体験をしてきた子は、生活の授業に興味を示すでしょうし、物を組み立てることが好きで夢中になって取り組んだ経験がある子は、算数や図工の時間がより楽しく感じられるでしょう。机の前に座る練習をするのではなく、入学前からいろいろな体験をしておくことで、無理強いすることなく、学校での勉強が楽しめると思いますよ」(同)

 

小学校に入ると、宿題や学校の行事、さらには習い事などで一気に忙しくなりますが、年長のうちは、まだ比較的時間があります。何かを先取りで勉強しておくことよりも、積極的に多くの体験をさせることに意識を向けたいですね。次回は、子どもの語彙力を高めるための「親子の会話」について、引き続き塩谷先生に教えていただきます。

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

入学準備の本格スタート! 就学時健康診断

「保育園育ちは小学校入学後に不利」の噂は本当?

きのかんちの「まいぺーす入学準備マンガ」第1回

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓