元杉並区立保育園園長。東京都の福祉サービス第三者評価の評価者として約500件以上もの保育園の評価を実施。子育てアドバイザーとして、子育て支援のシンポジウム・講演会なども行なっている。
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学校・まなび
年長 2018年11月16日の記事
家庭でできる保育園児の入学前準備4つのポイント
保育園っ子ママの入学前の気がかり・後編
前回は、元公立保育園園長の野田友子先生から、最近の保育園での「教育」への取り組みについてお話を伺いました。今回は、家庭でできる入学前準備について、引き続き、公立保育園の元園長・野田友子さんにアドバイスをいただきます。
●その1:イスに座って作業をする時間を作る
最近は保育園でも就学前教育が行われているそうですが、その程度は園によってまちまち。もし、入学に向けて家庭で準備をするとしたら、どんなことを行えばいいのでしょうか? 就学前教育と聞くと、ドリルなどを買ってきて、文字や数を教えなければと思ってしまいがちですが、それよりもまずやっておきたいのが、「集中力」を養うことなのだとか。
「お勉強もそうですが、学校生活全般で必要なのは集中力です。中でも一定時間イスに座っていられることが重要。お子さんが保育園で、毎日イスに座っている時間が少ないないようなら、まずは、家でイスに座って何か作業をする習慣をつけるようにしましょう。ゲームなどではなく、鉛筆やクレヨンを持ってできることがいいですね」(野田さん)
目標は30分ですが、いきなりだと厳しいので、まずは5分から始めて。文字や数を書くのが嫌なようなら、最初は絵を描いたり、塗り絵などでも構わないとのこと。
「お母さんがゲームを作ってもいいですね。例えば、○をいくつも書いて、子どもが線でつなげていく。あまり簡単だとすぐに飽きてしまうので、例えば『必ず曲がり角を作りながらゴールに辿り着くこと』といったルールを作ったりして。ゴールしたら、『よく考えたね』『こんなにいっぱい曲がり角ができたんだ、すごいね』などと具体的にほめながら、子どもの大好きなキャラクターを書いたり、シールを貼るなど、できたマークをあげましょう。とにかく少しでも長く机に向かって集中できる時間を作れるようにすることです」(同)
線をなぞることで、集中力に加え、文字を書くための基礎となる運筆の力を養うこともできるのだとか。文字の練習や数字の勉強も、お母さんが点線で書いた文字や数字をなぞらせたりすれば、子どもも楽しく取り組めそうです。
●その2:人(先生)の話を聞く習慣をつける
「どれだけ効果があったかはわかりませんが、私自身の子育ての経験では、入学後は毎日子どもに『いい? 先生とにらめっこして、お顔をじーっと見てお話を聞くのよ』と、口を酸っぱくして言っていました」と野田先生。授業がわかるかどうかということだけではなく、いかに先生の話を聞けるかも重要だからです。
「以前、仕事で小学校の見学をしたときの話ですが、1年生の授業中に歩き回っている子が数人いたので、その子たちに『どうして先生の話を聞かずに歩いているの?』と聞いたことがあります。すると『だって(授業の内容は)わかってるもん』という答えが返ってきたのです。もちろん授業がわからず歩き回っている子もいましたが、授業の内容はわかっているからと、話を聞かないくせがついてしまったという例もあるようです」(同)
こうなってしまっては、入学直後は理解できていた勉強が、先生の話を聞かないでいるうちについていけなくなってしまいます。勉強を先取りすることよりも、まずは人の話に耳を傾ける習慣をつけておくようにしたいものです。
●その3:会話の中に「ものの名前」を入れる
さらに、ふだんの生活では、親子の会話の中にできるだけ具体的な「ものの名前」を入れるようにしたいと野田先生は続けます。
「汁物はなんでもみそ汁とか、何でもスープだと思っている子もいたりします。毎日食事の際に『今日はミートソーススパゲッティよ。どうぞ』と、献立名や材料名を添えて子どもと会話ができるようにするといいですね。ほかには、クローゼットに『くつした』『しゃつ』など名前を書いたシールを貼るのもおすすめです」(同)
ものの名前への興味が、文字を書いたり読んだりすることにつながっていくのだそうです。ほかにも、お出かけのときには、電車で止まる駅の名前を1つずつ教えてあげたり、『1たす1は?』と、親子で計算の競争をしたり(親は手加減してください)するなど、毎日のちょっとした時間を利用してできることはたくさんありそうです。
●その4:ひとつだけ、自分の得意なことを作る
何かひとつ得意なものを作って、自信を持たせることも大切だそうです。
「入学前に何かひとつ、得意なものを作ってあげましょう。なわとびでも、かけっこでも、絵や歌でもいいし、まったく遅刻をしないで園に行くということでもいいんです。ほかの子よりも、自分はなんでも劣っていると感じて自信をなくさないようにすることが大切。その自信があれば、たとえ勉強のスタートダッシュに遅れても、きっと乗り越えられるに違いありません」(同)
また、学力につながる集中力や思考力を養うなら、絵本の読み聞かせが一番効果的だとか。入学に向けて、親子で無理なく、楽しくできることを、少しずつでも続けて行きましょう。
(取材・執筆:坂本洋子)
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★家庭でできる年長児の入学準備[その2]ひらがなの練習 後編
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