野井真吾(のい しんご)
日本体育大学教授。「子どものからだと心・連絡会議」議長。子どもの体の変化や問題について、教育や保育の現場の声から発せられる実感・実態を重視しながら、調査・研究を行なっている。中学生と小学生の2人の娘さんの父でもある。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年4月14日の記事
親は、授業中の子どもの姿をなかなか見る機会がない分、きちんと椅子に座れているか気にかかります。子どもの姿勢が悪化してきているという話は以前から聞きますが、実際今の子どもたちの状況はどうなっているのでしょう。日本体育大学の野井真吾先生にうかがいました。
まず、姿勢の悪い子が増えているというのは本当なのでしょうか?
「実は、子どもの姿勢が悪くなっているということを実証するデータはないのですが、私が所属する『子どものからだと心・連絡会議』では、1978年から約5年ごとに「子どものからだの調査として、教師や保育者の実感調査を行っています。
2015年度の調査では、『椅子に座っているとき、背もたれに寄りかかったり、ほおづえをついたりして、ぐにゃぐにゃになる子』が『最近増えている』という回答が、小学校では63.9%、幼稚園で73.1%、保育所で72.4%にのぼり、70以上ある質問項目の中でも上位に5項目に入っているほどです」(野井先生)
実感調査とはいえ、たくさんの子どもたちを見てきている教師や保育者たちの証言です。子どもの姿勢が悪くなっているということはほぼ間違いなさそうですね。
では、なぜ姿勢が悪い子が増えているのでしょうか。その原因とは?
「私たちがまず考えたのは、背筋力の低下です。重力にさからって姿勢を保つには、背筋力が必要だからです。事実、ここ50年間に行なわれた子どもの背筋力の調査のデータを見ても、あきらかに子どもの背筋力は下がり続けています」(同)
これは生活が便利になりすぎたことが原因ではないかと野井先生。
「以前は畳の部屋が中心で、立ったり座ったりの移動距離が大きいため、自然と筋力がついていました。しかし現在は椅子に座る生活スタイルが中心ですよね。しかも、エレベーターやエスカレーターがあちこちにあり、長い階段を上り下りすることも少なくなっています。日常生活の中で筋力をつける機会がなくなってしまっているんですね」(同)
確かに、大人でも日常の運動量が減っていると感じます。姿勢を良くするには、日頃から階段を使ったり、部屋では椅子やソファではなく床に座る生活にするなど、日常生活を見直すというのが1つの方法だと野井先生は言います。
もう1つ、姿勢が悪くなる原因になっているのが、机と椅子のバランスだそうです。
「子どもの姿勢が悪くなる原因には、もう1つ、机と椅子の問題もあります。まだ事前調査の段階ですが、ある小学校では、ほぼ全員の子の体に、机と椅子が合っていないという結果が出ています。
予算やグループ学習などの問題もあるので、学校現場ではすぐに解決はできないでしょう。でも、少なくとも家庭では、できる限り調整してあげてください」
例えば食事のテーブルと椅子が合っていなくて、子どもがおかしな姿勢で座っているようであれば、クッションや座布団を1枚加えて座面を高くするなどの配慮をしてあげるだけでもずいぶん改善されるそうです。
次回は、姿勢と脳の意外な関係についてうかがいます。
(取材・執筆:坂本洋子)
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