塩谷 京子(しおや きょうこ)
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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生活・しつけ
小学1年生 2018年6月7日の記事
小学校に入学して2ヶ月が過ぎました。多くの小学校では、「朝の読書」活動が始まっているのではないでしょうか。そういえば音読の宿題以外で本を手にしている姿を見かけない! うちの子、もしかして本嫌いになってしまっているかも…と気になっている人もいるのでは。そこで今回は、子どもに本を親しませるための方法を、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に詳しく教えていただきました。
多くのママは「子どもにたくさん本を読んでほしい」と言います。おそらくそれは、本を読むことによって多くの学びを得られ、将来の学習意欲や語彙力の向上につながるからではないでしょうか。しかし、読書も泳ぎや自転車と同じように、日常の中で少しずつ慣らしていかなければ身につかないと塩谷先生は言います。
「自転車に乗れるようになるためには、親が手本を見せたりはじめは補助輪をつけて何回も練習したりして、少しずつ一人で乗れるようにしていきます。泳げるようになるには、スイミングスクールに通うのもひとつの手ですが、まずは水への恐怖心をなくすために、小さな頃からお風呂やプールで水に慣れることから始めると思います。つまり、日常の中に組み込んで、少しずつできるようにするための努力をすると思うのです。
そう考えると、読書も日常と切り離されていては、本を読むようにはならないということです。まずは、日常生活の中で子どもの視野の中に読書があるか?ということを振り返ってみましょう」(塩谷先生)
「家の中に本が見当たらない、親や身近な人が雑誌や本を読んでいる姿を目にしていなければ、子どもは読書が『当たり前』のものと捉えることができません。親がテレビを見る、スマホを使っている。だから、テレビやスマホは日常的に必要なものだと認識する。同じように、親が本を手にとっている姿を一日数分でも目にしていれば、子どもは本を読むことが特別なことではなく、当たり前のことと認識できます」(同)
なるほど。自分でも振り返ってみましたが、おそらく、かなり少ないと思います…。
「もし家族の中での読書の時間がゼロだったら…子どもは本を読む必要性を感じられないでしょう。ママがお料理の本を見ながら夕飯を作っている、お風呂上がりに雑誌をパラパラとめくっている、朝パパが新聞を読んでいる、たったそれだけで構いません」(同)
もちろん、親だけではなく、きょうだいや祖父母、友達など身の回りの人すべてから影響を受けますが、年齢が小さいときほど親の影響が大きいものだと塩谷先生。まずはパパやママが本に触れる時間を作ることが、子どもを本嫌いにさせないファーストステップのようです。
身近に本がある環境づくりのほかに、もうひとつ大切なことがあるのだとか。それは、「動と静のバランスを意識して整えること」だと塩谷先生。
「すごく活発な子、静かに遊ぶのが好きな子、子どもによってタイプはいろいろですが、外遊びもする、でも静かに過ごす時間も作るといったように、『動と静』を振り子のようにしてバランスよく体験させることが大切です。有名なスポーツ選手は読書家であることが多いですし、運動系の部活動では、朝じっくり本を読む時間を作っているところもあります。
静かに過ごすことが好きな子には、お散歩に連れ出すなどして『動』の環境を与えるといいですね。普段外でばかり遊んでいる子には、静かに時を過ごして感性を育む『静』の時間を意識的に作ってあげましょう。映画や演劇を観る、博物館や科学館に行く、その中の一つに読書があります。読書はしないけどDVDなら喜んで観る、これでもOKです。『動』は体を動かして現実を生きる時間、『静』は過去の遺産や先人たちの言動を文字や映像で体験する時間。この相反することを意識しながら、体験できる環境を親が作って促すことが大切です」(同)
「子どもに本を読ませたいからといって特効薬を求めるのではなく、ゆっくり時間をかけて環境を整えていくことが、逆に一番の近道になります」と塩谷先生。まずは毎日の中に本の存在を作ること。そして、静かな過ごし方のひとつとして読書を提案してあげること。これが、子どもを本好きにする第一歩のようです。
次回は、具体的にどのように子どもに本を勧めていけばよいか、読書から得られる子どもの成長も含め、引き続き塩谷先生にお話を伺います。
(取材・執筆:水谷映美)
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