子どもだけでのお留守番、注意するべきことは?

 

 

新生活のリズムができ、気持ちに余裕が出てくる2学期。子どもが親の手を離れて行動することも多くなり、そろそろお留守番デビューさせてみようと考えている人もいるのでは? でもはじめてのお留守番は心配事も多いですよね。そこで今回は、全国で体験型安全教室などを行うステップ総合研究所・主任研究員の堤紘子さんに、子どもだけで留守番をさせる際に気をつけたいことを聞きました。

 

 

●親との約束が守れれば、留守番デビューのタイミング

 

そもそも、子どもに何歳くらいからお留守番をさせても良いという目安はありますか?

 

「人それぞれですので何歳から大丈夫と一概には言えませんが、『鍵をかける、来客や電話に応答しない、火を触らない』といった約束が守れるようになれば、お留守番の練習に入って良いと思います。

 

ただ、いきなり長時間のお留守番を体験させるのは不安なので、まずは新聞を取りに行く間、ゴミを捨てに行く間など、子どもの想像が及ぶ範囲での外出からはじめましょう。それができたら子どもが知っている近くのお店に買い物に行く時など、5分程度からお留守番をさせて、少しずつ時間を延ばして練習するといいですね。

 

大切なのは、『親がなぜ、どこに出かけているかを子どもが知っていて、親も時間までには必ず帰ってくる』というような親子の信頼関係を、細かいステップで築いて行くことです。子どもだけでお留守番する前に、お友だちのおうちで預かってもらい「よそのおうちでお留守番練習」をするのもよいでしょう。お互いの家で預かりあうことは、お留守番の仕方を学ぶ良いチャンスです」(堤さん)

 

 

●来客や電話には対応させないのが無難

 

お留守番では防犯面も気になりますが、具体的に、一人でお留守番をさせるときに気をつけたいのは、どういったことでしょうか?

 

「はじめてのお留守番の場合、来客や電話には一切応答させないのが無難だと思います。子ども一人では対応できないことも多いですし、保護者の不在をいいことに不審者が上がりこんでくる可能性も考えられます。必ず施錠して、誰が訪ねて来てもインターフォンに応答せず、ドアを開けないことを約束させましょう。

 

家の電話は留守電にしておきます。ナンバーディスプレイなら、子どもにもわかりやすいように『お母さん』などの名前で登録しておき、あらかじめ決められた相手以外の電話は出ないように教えましょう」(同)

 

はじめてのお留守番は、来客や電話に応答せず家の中で過ごすのが、一番簡単かつ教えやすい方法ですね。さらに、「子どもは普段なら思いつかないような事でも、親が不在の時にこそ思いつく事があります」と堤さん。親自身が「危ない事」をどれだけ具体的に想像できるか、それにどう対策しておくかも、親側ができる大切な準備と言えそうです。お留守番には、子どもの成長だけでなく、親の方にも満たすべき要件があるのですね。

 

 

●留守番中より、無人の家に入る瞬間がもっとも危険!

 

子どもが一人でお留守番するときにもっとも注意してほしいのは、実は家にいる時よりも、家に入る瞬間なのだとか。

 

「学校から帰ってきた子どもが自分で鍵を開けて家に入る場合、保護者の不在が犯罪者に知られてしまうと一緒に押し入られる可能性があります。家の鍵を開けるときは、周りに誰かいないか注意深く確認する習慣をつけましょう。

 

よく家の前でランドセルを地面に降ろして鍵を取り出している子どもを見かけることがありますが、犯罪者に『子どもが一人で家に入りますよ』と示しているようなもので危険です。ランドセルに取り付ける専用のキーケースなどを使って、スムーズに鍵を取り出せるように練習しましょう。さらに、家に入る時は誰もいなくても『ただいま!』と大きな声をあげるよう教えておきましょう」(同)

 

侵入のリスクを減らすには、保護者の不在を外部からわかりにくくすることも大切なのだそう。家を留守にする際には、テレビや電気を付けっぱなしにしておいて、人がいる雰囲気を演出しておくといいそうですよ。

 

 

●留守番中の大地震、家具の転倒から身を守って

 

子ども一人のお留守番では、防犯面だけでなく、火事や地震などの防災面も心配です。

 

「まず、『大人がいないときに火を触らない』というのは、お留守番のルールとして必ず徹底してください。

 

また、地震はいつ起こるかわかりません。家具の転倒による負傷を回避するには、揺れ始めから8秒以内に、テーブルの下などの安全なところに身をおくようにと言われています。カタカタと揺れ始めたら様子を見ずに、すぐに行動することが大切です。子どもが一人でも身の安全を確保できるように、地震のときに身を置く場所を家の中でも確認し、日頃から練習しておきましょう。もちろん、あらかじめ家具などを固定しておくことも大切です。

 

お留守番に慣れないうちは、「今なにしてる? 困ったことはない?」と、外からこまめに連絡を入れてあげることも大切だそうです。頻繁にお留守番するなら、キッズケータイを持たせてやりとりできると便利ですね。家に帰ったら「留守番してくれてありがとう」と声をかけて、たくさん褒めてあげましょう。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

 

 


関連記事はこちら

通学路での不審者対策、親子で気を付けたいことは?

年長・小1の親子防災、チェックしておきたいことは?

そろそろケータイを持たせた方がいい? どんなタイプを選べばいい?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

小学校の体育が楽しくなる! 幼児期からできる親子の運動遊び

 

 

近年よく耳にする、子どもの運動能力低下。子どもの基礎的な運動能力を伸ばすために、幼児期から親ができるサポートはあるのでしょうか?『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)などの著書を持つ、筑波大学附属小学校の平川譲先生にお聞きしました。

 

 

●手足の操作を巧みにできない子どもが増えている

 

近年、子どもの運動能力が低下しているという話題を耳にします。実際に、どんな傾向があるのでしょうか。

 

「ここ10年以上、問題視されているのは、子どもの体の動きが不器用になっているということ。特に、手足を操作する際の巧みさが低くなっています。具体的には、両手両足を地面について歩く“クマ歩き”のような動きが苦手ですね。また、投力が低下しているというデータもあります」(平川先生)

 

こうした傾向は、小学校入学時点ですでに見られるとのこと。その原因は何なのでしょう?

 

「運動能力は、いろいろな動きの積み重ねで高まっていきます。つまり、原因は幼少期からの経験不足。車の走行量が多くなったり、子どもを狙う事件が増えたりしたことで、外遊びで思いっきり体を動かす機会が少なくなってしまったからでしょう」(同)

 

親がかまいすぎのケースもあるのではないかと、先生は続けます。

 

「例えば、転ぶときに前に手が出ない子どもは、日常生活の中で親御さんが過度に手を出して、転ぶ経験を極端に少なくしているのではと感じます。明らかな危険は避けるべきですが、運動能力を高めるためには、多少の冒険をさせることも大切です」(同)

 

 

●公園遊びに取り入れたい! 運動能力を伸ばす運動遊び

 

では、子どもの運動能力を伸ばすために、親はどんなサポートができるのでしょうか? 平川先生に、小学校入学前後の子どものための基礎的な運動遊びを教えていただきました。

 

〇スキップ

苦手な子どもには「ターン!タ!ターン!タ!ターン!」と声に出してリズムを取ってあげたり、手をつないで一緒に跳んであげたりしてリズムをつかませる。手をつないで、太ももを上下に動かすリズムを合わせるようにアドバイスするのが有効。

 

〇けんけん

まずは10メートル片足跳びけんけんができるように。次は、大股ジャンプをするように、片足ずつ大きく跳んでみる。大きく跳べると走るのが速くなる。跳ぶときに、手や上げたほうの足を大きく振って弾みをつけるのがポイント。

 

〇壁ぶつけ

投げる力をつける(例.右利きの場合)

1)壁から2~3メートル離れ、ボールを持って左側を前にして横向きに構える。

2)左足を一歩出したら、ボールを持った右手のひじを肩より上に上げる。

3)左足に体重を移しつつ、体をしっかりひねって投げる。狙いは、壁の地面から1メートルぐらいの高さ。

※投げる力が強くなってきたら、壁からの距離を遠くしてもよい。

 

〇クマ歩き

両手両足を地面につけ、膝を上げた状態でクマのように歩く。腕の力をつけ、逆さの体勢に慣れることができる。

 

〇登り棒

1)両手で棒を握り、足(太ももやすね)で棒を挟む。

2)足で体を支えたら、腕を伸ばす。

3)手で高いところをつかんだら、体を引き上げる。1)~3)を繰り返して上っていく。

腕や足の力を強くする。苦手な子には、親が棒を手で握って足場を作ってあげて。

 

〇鉄棒 “前回り”

1)低い鉄棒を順手で握る。

2)軽く飛んで下腹部を鉄棒に乗せ、胸を張って両肘を伸ばす。

3)前に体を倒す。

4)ぐるっと半回転したら、ひじをしっかり曲げて手でぶら下がる。

5)足からゆっくり着地。うまくできるようになったら、3回続けて素早くできるように。

大人は鉄棒を挟んで前側に立ち、回るときは肩、着地のときは腰を支えてあげて。

 

〇大人の人と逆上がり

逆上がりの練習になる。最後、子どもが回って下りるとき、大人は手を少し下げること。

1)大人と向かい合って立つ。

2)大人の両手の親指を向かい合う手でつかむ。その上から大人に手を握ってもらう。

3)大人の体に足をついて登り、ぐるっと一回転する。

 

〇ウサギ跳び

しゃがんだ状態から両手を伸ばして前方に手をつき、そのまま軽くジャンプ。手の近くに足を引き寄せる。これを繰り返して跳んで進む。必ず手をついてから、足を引き寄せるように行うこと。足だけで着地しないよう注意して。跳び箱が得意になる。

 

〇前転

しゃがんだ状態から、おへそをのぞき込むようにして回る。後頭部を床につけるのがコツ。

 

〇よじ登り逆立ち

1)壁に背中を向けて立つ。

2)床に両手をついてしゃがみ、足で壁を登るようにして逆立ち。

3)足を少し開いて5秒間キープ。

逆さになる感覚を身につける。

 

〇うま跳び

1)大人が両手両ひざをつき、子どもに対して横向きにうずくまってうまになる。頭は手の間に。

2)うまの手前で両足を揃えて踏み切る。

3)うまの背中のなるべく奥に手をつき、グッと押して跳び越える。

跳び箱の練習になる。手で力強くうまを押せると、上手に跳ぶことができる。

 

〇縄跳び “前回し跳び”

1)縄は、真ん中を両足で踏んで、左右のグリップがわきの下ぐらいの長さになるよう調節。

2)両足を揃え、軽くかかとを上げてつま先で構える。

3)わきを締め、肘から先で小さな円を描くつもりで縄を回す。

4)つま先で真上に跳ぶ。長く跳べるように繰り返し練習する。

 

 

●体を操作する基礎能力は、子どもの人生を豊かにする

 

教えていただいた運動は、どれも公園遊びなどで取り入れられそうです。子どもと一緒に取り組む際のコツはありますか?

 

「とにかく、ほめることです! 子どもは、できることが増えるとうれしいもの。少しでも伸びたところを見つけてほめてあげれば、能力もやる気も伸びていくはず。幼稚園や学校では、先生にずっと一対一で見てもらうことはできません。ですから、保護者が一対一で取り組み、ほめてあげることで、運動に対する好感情も育つと思いますよ。ぜひ、これらで一緒に遊んでみてください」(同)

 

実際に取り組む際は、いくつかのメニューを用意して「何をやる?」と選ばせるのがいいとのこと。また、複数のメニューを短時間ずつで取り組むと、子どもは飽きずに楽しむことができるそうです。

 

「体育や美術、音楽などは、その子の人生の豊かさにかかわる教科です。小学校の体育は、基礎的な運動感覚を身に付けるのが目的。自分の体を操作する力をバランスよくつけておくと、いろいろなスポーツを楽しむための基礎的な能力がつき、ひいては人生をより豊かにする可能性を広げることになるのです」(同)

 

確かに、「このスポーツをやってみたい」と思えること、そしてそれにチャレンジする基礎能力があることは、人生をより楽しくする要素ですよね。秋の心地いい気候の中で、親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

 

 


関連記事はこちら

子どもの「運動嫌い」を克服するには?

学校で「ケガ」をした・させてしまった時どうする?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

小学校で行われる「引き渡し訓練」ってどんなことをやるの? 

 

 

 

現在は毎月のように行われているという小学校の避難訓練。東日本大震災以降は、さらに保護者に対して子どもの『引き渡し訓練』を実施する学校も増えているのだとか。その内容について現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●保護者も参加して行われる「引き渡し訓練」

 

災害時に、子どもを保護者に確実に引き渡せるようにとの目的で行われる「引き渡し訓練(引き取り訓練)」。幼稚園や保育園で経験したことのある方もいると思いますが、ここでは、舟山先生がこれまで勤務した小学校で行っていた引き渡し訓練の様子から、具体的な内容をご紹介します。

 

「訓練当日は給食後、帰り支度を終えた1時半頃に『避難訓練です。地震が起きました。ただいまから引き渡し訓練を行います』と放送が流れます(9月1日の防災の日、始業式後に行う学校であれば、お昼前の11時頃から避難訓練が始まります)。

 

避難する先は、校庭や教室などいろいろなパターンで行われますが、校庭で行う場合は、子どもたちは並んで校庭に避難します。

 

保護者の方には、学校から事前にプリントなどで集合場所や時間などが連絡されており、引き取りに来た保護者の方々は、定められた場所に、クラスごとに並んで待つことになります。 

 

校長先生の話を聞いた後、保護者は一人ずつ『□□の母(父)の○○○○です』とフルネームで担任に対して名乗り出ます。 そして担任は『○○○○さんですね。□□ちゃん、お母さん(お父さん)が迎えにきたよ』 と1人ずつ確認しながら子どもたちを引き渡していきます。教室で行う場合は、保護者の方に教室の入り口に並んでもらい、同じように引き渡します」(舟山先生)

 

学校に兄弟姉妹がいる場合は、学校によって対応が違いますが、先生の経験では多くの場合、上のお子さんから引き取ってもらっていたそう。 というのも、当日は廊下などがとても混雑するため、連れて歩くことを考えると、できるだけ年上のお兄ちゃん、お姉ちゃんのほうがいいからなのだとか。

 

 

●引き渡し訓練で保護者が来られない場合

 

仕事のあるお父さんやお母さんの中には、都合がつかないという方もいると思いますが「そのときは、近所の方でも誰でもいいので、他の人に引き取りのお願いをしてください」と舟山先生。

 

「学校では、あらかじめ『引き取りリスト』を記入してもらっています。 ここに、災害があったときに引き取りに来る方のフルネームを3~4人書いてもらいます。引き取ることができる人は、4月の時点でリストに書かれた人だけですが、当日どうしてもその人たちの都合がつかなければ、近所の人などにお願いしても構いません。 その場合、連絡帳で『本日は、母の友人の●●✕✕(フルネーム)さんに引き渡し訓練をお願いしています』 と、一言お伝えください。

 

引き取りをする人は、親戚の方などでも可能です。ただ、勤務先が学校と離れている保護者の方や、遠くに住む親戚の方はすぐに迎えに来られない可能性が高いので、『困ったときはお互い様』で、子どものママ友同士やご近所の皆さん同士で、リストアップしておくとよいでしょう。そうすれば引き取り訓練のときはもちろん、実際に災害が起きた場合も、登録した皆さんにお願いすることもできるからです。

 

訓練のときに保護者が来られなかった子は、全員の引き渡し訓練が終わるまでその場で待ち、その後、教員が引率して、地域班(登校班)ごとに集団で下校することになります。ただし、実際に地震が発生した場合、保護者や登録した引き取り人がすぐに来られなかったら、児童はずっと学校で引き取りを待つことになります」(同)

 

仕事があったりしてどうしても参加できないという親御さんがいることを承知しつつも、舟山先生としては、この引き渡し訓練の日には、できるだけ保護者の方には来てほしいと考えているそうです。 日頃から防災訓練日などに参加して地域との結びつきを得ておくことは、最終的にはそれがわが子を守るセーフティーネットになるという側面もあるからです。また、そうした流れもあって、引き取り訓練と地域の防災訓練を抱き合わせで行う学校も増えているのだとか。

 

また、親が迎えに来たとき、子どもたちはとてもいい顔をするそうです。その顔を見るだけでも参加するかいがあるので、ぜひ都合がつく保護者は参加して欲しいとのこと。

 

いつ起きるかわからないのが災害。いざというときにわが子を守るためにも、できる限り都合をつけて参加したいですね。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

小学校での避難訓練は、どのように行われているの?

地域全体で考えたい、学校内の不審者対策

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

小学校での避難訓練は、どのように行われているの?

 

 

9月は防災に関する様々な行事が行われる時期。地震をはじめ、あらゆる災害に備えて、日頃から訓練することは大切です。最近の小学校では、どんな防災対策や避難訓練が行われているのでしょうか。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●想定を変えて毎月行われる小学校の避難訓練

 

小学校の避難訓練というと、お父さんやお母さんの中には、年に1度、夏休み明けの始業式の後に行われるものと記憶している方も多いかもしれません。でも、わが子の学校の行事予定表をチェックしている方はご存知かもしれませんが、今は9月以外の月にも避難訓練を行う学校が多いようです。

 

「東京都の小学校の場合、避難訓練は夏休み期間中の8月を除き、1ヶ月に1度、年間で11回実施しています。内容は地震だけでなく、火事や校内に不審者が侵入してきた場合など、様々な想定をして行います。そのほかに、台風が近づいた場合などを想定した集団下校訓練(年2~3回)などもあります」(舟山先生)

 

何を想定して訓練を行うかは毎回異なり、さらに何時間目に行うか、休み時間に担任がいなくても避難できるかなど、毎回細かく設定を変え、目的を持って実施しているのだとか。

 

「例えば、火災による避難訓練の場合は、どこから出火したかによって、逃げる経路が違います。だいたいは校庭に避難しますが、校舎が崩れることを想定して、学校からさらに違う場所に避難する二次避難訓練も行ったりします。海抜が低い場所にある学校では、地震による津波などを想定して、学校の中でも高い場所に逃げる訓練もあります」(同)

 

防災グッズについても、防災頭巾は東京都の多くの学校が採用していますが、地域によっては子どもの数だけヘルメットを揃えているところもあるそうです。

 

また、不審者訓練については、大阪教育大学附属池田小の事件を契機に、多くの学校がそれに対応した訓練を行うようになったのだとか。子どもたちがどうやって逃げ、どこに身を潜めるかという訓練をするほか、教職員も地元の警察署の指導のもとで、刺又(さすまた)を持って不審者にどう対応するかといった研修を受けるとのこと。

 

「学校に不審者が入ってくることなど昔は想像もできなかったのですが、こうしたことにも対処しなければならない時代になったということでしょう」(同)

 

 

●避難訓練に加え、引き渡し訓練も行われるように

 

こうしてみると、避難訓練と言っても、以前に比べると設定などがかなり本格的で、実践的なものになっているようですね。

 

「特に東日本大震災以降は、学校での避難訓練についても、より本格的になってきたように思います。首都圏で地震が起きる確率が高いといわれていることもあり、2011年以降は、津波を想定した高台への避難や、学校以外に避難する二次避難なども行われるようになりました」(同)

 

また、子どもたちの避難訓練に加え、年に1度は保護者に子どもを直接引き渡す、いわゆる『引き渡し訓練』が実施されている学校も多いそうです。

 

「実際、東日本大震災のときには、保護者自身も身動きがとれず、翌日まで児童が学校にいたケースもあったようです。首都直下型地震が発生したら、保護者以外の誰が引き取りに来られるのか、という切実な課題もありますから、形だけの訓練ではなく、本当に起きた場合どうするのかを考えて訓練する必要があるのです」(同)

 

住んでいる地域ごとに集合し、1~6年生まで揃って下校させる『集団下校』を行う学校もあるとのこと。後編では、『引き渡し訓練』とはどんなふうに行われるのか、その内容をご紹介します。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

大人用・子ども用、それぞれの非常用持ち出し袋の中身は?

雨の日の通学路、安全に登下校するためのポイントとは?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

子どもの「運動嫌い」を克服するには?

 

 

 

秋はスポーツに最適の季節。休み明けに運動会の練習が始まる学校もあるでしょう。運動が苦手な子の親御さんの中には、「体育の時間、楽しく過ごせているかな?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。子どもが少しでも楽しく運動できるようにするにはどうしたらいいか、現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。

 

 

●今どきの体育は「運動を楽しむ」ための授業に変化

 

自分も運動が苦手だったというお父さん、お母さんの中には、“体育は苦痛な時間”というイメージの方もいるのではないでしょうか。でも今どきの体育はちょっと違うよう。

 

「学校の運動会の競技などを見ると、お父さんやお母さんの時代とあまり変化が見えないので、運動に対する考え方も旧態依然なのかと思ってしまうかもしれません。でも、最近は、私が教員になった二十数年前から比べると、『体育』の考え方がだいぶ変わってきていると思います」(舟山先生)

 

例えば、どんな点が変わってきているのでしょう?

 

「一つには、運動をしている子とそうでない子との二極化があり、それらを平均した子どもの全体的な体力低下が『下げ止まらない』傾向があります。これは子どもの体力テストからわかる傾向ですが、長い目で見ると国全体にとっても不利益なことです。

 

また、現在は、社会の高齢化にしたがって、生涯にわたり運動を行えることが重視されています。体育教育もその流れを汲んで、運動ができる/できない、得意/苦手、といった区分ではなく、『苦手だけど楽しむ、体を動かすことが楽しいという意識を、年をとっても持ち続けて実践していけるように』という目的の比重が高くなっています」(同)

 

以前に比べると、体育が苦手、運動が好きでないという子どもたちに対して、どうしたら苦手意識をもたせないようにできるか、という視点をもって授業を組み立てている先生も多いのだとか。

 

「例えば、1・2年生のうちは、体育でも『○○遊び』という名前で多様な体の動きを体感させる運動構成になっています。もちろん、ボール運動や鉄棒などの器械運動、かけっこなどの走る運動もありますが、競争や技術を会得することが目的だったお父さんやお母さんの時代とは、また違った内容であったり、いろいろな運動の要素を組み合わせて行うようなことをしています」(同)

 

 

●家でも体を動かすことを楽しむ機会を

 

わが子は運動が苦手そう……と思っている親御さんへ、舟山先生は「家でも“ちょっぴり楽しい運動”をしてみてはいかがでしょうか」と提案します。

 

「例えば、

・お父さんが子どもと向かい合って両手をつかんで、子どもがお父さんの体の壁を足でのぼるようにして『でんぐり返し』をする

・寝転がったお母さんが足の裏を上に向け、その上に子どもが腹ばいになる『飛行機』

・親子一緒に片足立ちで靴下をはく競争をする

 

など、小さいころにもやったような体を動かす遊びのほか、お父さんが跳び箱がわりになったり、子どもにハンディをつけて走る競争なども色々やってみてください。ポイントは子どもが『楽しい!』と感じる動きをたくさん味わわせることです。親子で楽しい運動タイムを共有できれば、学校の『体育』に対してもお子さんの気持ちがぐっと違ってくるはずです」(同)

 

親子でできる運動アイディアの本などを参考にするのも1つの方法。今日から、早速始めてみませんか?

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

初めての小学校の運動会は、親のサポートも欠かせません

親子で楽しく体を動かす習慣が、体育好きの子を育てる

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

ごはんは脳のエネルギー源。朝食にごはんがいい理由とは?

健康な1日のスタートをきるために大切な朝食。毎朝食べる習慣は、体のリズムを整える役割を果たします。朝食をとるかどうかは子どもの成長のみならず、学力にも関わってくるのだとか。さいたま市立大東小学校の栄養教諭で、管理栄養士でもある佐竹未希先生に朝食と学力の関係性について聞きました。

 

 

 

 

●朝食で集中力アップ!学力と朝食の関係性

 

朝食を食べるかどうかは学力に影響するというのは本当でしょうか?

 

「はい、影響はあると思います。平成28年度に文部科学省によって行われた全国学力・学習状況調査では、毎日朝食を食べている小学校6年生ほど平均正答数が高いことが示されています。

 

 

 

 

このような調査で朝食と学力テストの関係を調べると、多くの場合『朝食を食べたほうが良い』という明確な結果が出ています。朝食さえ食べれば必ず成績が良くなる、というわけではありませんが、朝食を毎日しっかりと食べることで生活リズムが整い、子どもの集中力や学習能力の向上につながる可能性は高いといえるでしょう」(佐竹先生、以下同)

 

朝食の有無でこんなに成績に差が出るなんて驚きです。どうして朝食は子どもの学力に影響するのでしょうか?

 

「たとえば19時に夕食を食べて朝食を抜いた場合、給食の時間までおよそ18時間何も口にしない状態が続きます。すると血糖値が下がり、ちょっとしたことでイライラするようになります。その結果、授業中の集中力がなくなり学習能力も低下します。朝食欠食が成長期の子どもの体に与える影響は非常に大きく、気分の状態や自律神経のバランス、作業効率にも強く影響が出ると言われています。学力が低下するだけでなく、先生や友だちともうまくコミュニケーションがとれなくなってしまうかもしれません」

 

朝食を抜いて長時間食べ物を口にしない状態では、あらゆる面での能力が低下し、結果として『学校が楽しくない』という悪循環を招きかねないのですね。

 

 

●朝はパンより「ごはん」がおすすめな理由とは?

 

朝食では特に「ごはん」を食べるといいと聞きますが、それはなぜでしょうか。主食にごはんを選ぶことのメリットを教えてください。

 

「ごはんは粒のまま食べるので、ゆっくりと消化吸収され、脳や体のエネルギー源となります。学校生活の中では、給食までの間にたとえお腹が空いたとしても間食をとることができません。朝食で腹持ちのよいごはんを食べておくと、午前中に空腹感を感じにくくなります。また、血糖値が急激に上がらないので体への負担が少なく、脳の発達にもよいといわれています。栄養価だけでいえば、食パンのほうがさまざまな栄養素を多く含みますが、脂質や塩分も多いので、やはり主食はごはんのほうが理想的ですね。

 

できれば白米ではなく、食物繊維が多い玄米や胚芽米、分づき米に変えたり、雑穀を加えたりするとよいでしょう。ごはんは味が淡白なので、和洋中いろいろなおかずと合わせやすく、おかずの品目が多くなりやすいのも良い点です。ごはんを中心とした和食のメニューだと、脂質過多になりにくいのもメリットといえるでしょう」

 

給食で提供する時も、パン食の場合は脂質や塩分の比率が高くなりがちなので、料理の組み合わせに気をつけているのだそう。主食にごはんを選ぶことは体に嬉しいメリットがいっぱいなのですね。

 

 

●ごはんと一緒に何を食べる?子どもが喜ぶメニューの組み合わせ

 

朝食の主食をごはんにした場合、子どもが食べやすいメニューの組み合わせを教えてください。

 

「『みそ汁は朝の毒消し』ということわざがあるように、具沢山のみそ汁と組み合わせるのがおすすすめです。わかめやなめこなどシンプルなみそ汁でもいいですが、豚肉が入った「とん汁」、たまごが入る「かきたま汁」、大豆が入った「呉汁」などにすると、野菜だけでなく、たんぱく質もしっかりとれます。あさりなどの貝類が入ったみそ汁は、成長期の子どもたちに不足しがちな鉄分を補給できます。おかずは、主菜なら「肉じゃが」や「炒り豆腐」、副菜なら「青菜のごまあえ」といった甘辛い味付けのものが、子どもたちに食べやすく、ごはんも進みます。さらに旬の果物や牛乳などの乳製品を加えれば、より朝食の栄養バランスがよくなります」

 

 

 

 

食欲がないときは、主食のごはんをおにぎりや雑炊、お茶漬けにすると食べやすいそう。ちなみに給食では主食がごはんの時、どんなおかずが人気ですか?

 

「野菜のおかずでは、醤油、酢、砂糖、ごま油(2:1:0.5:0.5の割合)で作ったドレッシングであえた『海藻サラダ』や、醤油、からし(2.5:0.1の割合)のあえ衣で青菜などのゆで野菜をあえた『からし和え』、からしを刻みのり(0.3)に変えた『磯香和え』は、子どもたちから毎月リクエストがくるほど人気があります。食べやすいメニューの組み合わせでも紹介した『肉じゃが』は給食でも人気のメニューですが、醤油味だけでなく、季節に合わせてトマト味やゆず塩味、キムチやチーズを加えるなどバリエーションをつけて出しています。みそ味のおかずで子どもたちがよく食べるのが、『豚肉と生揚げのみそ煮』。地味なメニューなのでリクエストまではこないものの残りはいつもほとんどありません。魚のおかずでも甘辛い味が人気です。かば焼きにしたり、揚げた魚にごまみそをのせたりするとよく食べてくれます」

 

どれもとってもおいしそう!毎朝のごはん習慣で体調をしっかり整えて、学力アップにも期待したいですね。

 

 

●手軽に作れる混ぜごはんも、朝食におすすめ

 

 

 

 

もし子どもがごはんをなかなか食べてくれないなら、混ぜごはんにしてみるという方法も。キッコーマン「うちのごはん」シリーズには、炊き込む必要がなく、ごはんに混ぜるだけで作れる「混ぜごはんの素」もあります。炊きたてのごはんはもちろん、少量から作れるので、残りごはんや冷凍ごはん、市販のパックごはん等を温めて使えるので便利です。

 

鶏肉や油揚げ、にんじん、ごぼう、れんこん、ひじきなど具材豊富な「五目ごはん 旨だし仕立て」や、北海道産100%のとうもろこしと切り昆布が入った「とうもろこしごはん」などは、食べやすい味付けで子どもにも人気です。おにぎりにすると、さらに食べやすくなります。お弁当に活用しているという声も。

 

 

 

 

新米の季節。朝からごはんを美味しく食べて、元気に勉強や運動を頑張れるといいですね!

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

(SPONSORED BY キッコーマン)

 

 

レジャー感覚の「防災ピクニック」で備えをチェック!

 

 

 

前回は「子育て世帯の避難バッグの作り方」について詳しくお話を伺いましたが、実は避難バッグ(非常用持ち出し袋)を準備しても、過不足や問題は発生するといいます。親子防災に詳しいNPO法人ママプラグが提唱する「防災ピクニック」という方法なら、楽しくチェックできるとのこと。引き続き同NPO法人の宮丸みゆきさんに詳しく伺いました。

 

 

●防災ピクニックって何? どんなメリットがあるの?

 

まずは「防災ピクニック」の概要とメリットを教えてください。

 

「『防災ピクニック』は避難バッグを持って出かけ、自宅以外で実際に使ってみる体験のこと。『足りない』『多すぎた』『入れ忘れた』『意外と使いにくい』などの事態はしっかり備えたつもりでも発生しますが、それらを楽しみながらチェックできる手段です。

 

自宅より不便な環境で試すことで、被災時に近い状態で過不足の検証や使い勝手のチェック、食料の試食などができます。また『防災ピクニック』ならレジャー感覚でできるので、備えをチェックする際のハードルや、義務感も解消できます」(宮丸さん)

 

非常食というと値段が高めで、家での食事代わりに試食するのはもったいない気がしますが、家族で出かけた際の外食と考えれば、ハードルは下がりますね。さらには、最近は味にこだわったものもたくさん市販されているので、美味しく食べることができるそう。試食を兼ね、賞味期限切れを防ぐためにも「防災ピクニック」は良い機会となりそうです。

 

 

●防災ピクニックって具体的にどうやるの?

 

具体的には、どこで・何をすればよいのでしょうか。

 

「難しく考える必要はありません。いちばん簡単なのは『避難バッグを持って近くの公園へ出かけ、非常食をお弁当の代わりに食べる』というもの。これだけでも必ず何か発見があります。道中の安全を確認したり、防災グッズを実際に使って、使用感を試してみたりしてください。防災ピクニックによる発見と、その後の対応の例としては、以下のようなものがあります。

 

・非常食が子どもに不評だった

→食べやすいもの、好きそうなものに変更

・非常用トイレを組み立てて座ってみたが、目隠しなしでは使えなそうだった

→レインポンチョを避難バッグに追加

・避難バッグの中身が多すぎて重く、着くまでに疲れてしまった

→中身を厳選して減らす

 

この段階で不足や不備があっても、本当の被災時ではないので最悪の事態にはなりません。このようなトライ&エラーと改善を繰り返すことで、避難バッグの完成度が上がっていきます。また、練習や試食をしておくことで被災時も慌てず対応でき、ストレスも大幅に軽減できます」(同)

 

 

●子どもとの防災ピクニックで気をつけるポイントは?

 

「防災」と名前はつくものの、気軽に挑戦できそうですね。子どもと実施する際にはどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。

 

「進んで取り組みたくなる、再度挑戦したみたくなるよう、楽しんで行いましょう。必要以上に怖がらせないことも大切です。私たちの講座でも、パーソナルカードを書くだけで使う場面を想像して涙ぐんでしまうママがいますが、最悪の場面を想像すると怖くなり、考えるのをやめたくなるのは大人も子どもも一緒。何も備えないのがいちばん怖いこと、家族で安全に過ごすために必要なことなのだと教えた上で、防災ではなくピクニックをメインにしましょう」(同)

 

うまくいかなかったときの親の対応や声がけも、あくまで前向きなものを心がけるとよいそうです。

 

「『全部食べないと帰れないよ』『これができないと終わりにならないよ』といった無理強いはNG! たとえば『非常食がおいしくない』と不満が出たら、無理に最後まで食べさせるのではなく、『今度おいしいのを一緒にさがそうね』などと声がけして終わりにします。

 

非常用トイレなども最初からちゃんと使える必要はありません。まずは出かけた先(公園など)のトイレに行ければ十分。避難所などは和式トイレの場合が多いですが、公園のトイレがその練習になるケースも多いですよね。非常用トイレにもさまざまなタイプがあるので、もし失敗しても使い勝手のよい製品を探すきっかけになります」(同)

 

また、防災ピクニックは春や秋などの気持ちのよい季節に始めるのが良いそう。「年に1回でもよいので、気負わず続けてみて、子どもの意欲が出てきたらあえて真冬や真夏に開催しても。冬なら防寒や温かい食事の大切さ、夏なら暑さや虫への対策なども学べますよ」と宮丸さん。

 

その先は山や川などの自然に出かける「防災ハイキング」や、宿泊も含めた「防災キャンプ」などへのステップアップにチャレンジしてみてもいいでしょう。災害の備えはアウトドアの備えと共通点も多く、楽しみながら備えが身につくそうです。

 

シンプルな「防災ピクニック」なら安全さえ確保できれば、0歳の赤ちゃん連れでも始められるそう。暑さが少し落ち着いたらぜひ計画してみましょう。

 

(取材・執筆:高柳涼子)

 

 


関連記事はこちら

年長・小1の親子防災、チェックしておきたいことは?

大人用・子ども用、それぞれの非常用持ち出し袋の中身は?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

学校で「ケガ」をした・させてしまった時どうする?

 

 

幼児期ほどではないにせよ、元気があり余っている子どもにとって、ケガはつきもの。何かのはずみで大きなケガをしたり、子ども同士のちょっとした小競り合いがケガにつながることもあります。学校で子どもがケガをした時、あるいは誰かにケガをさせた時はどうすればよいのでしょうか。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●学校でのケガには、給付金制度が適用される場合も

 

舟山先生によると、学校のケガで多いのは すりきず・打撲・突き指などで、時間帯としては、休み時間や体育の授業中に多いそう。

 

「ケガの程度が軽い場合は、保健室で手当をしてもらいますが、骨折や歯が欠けたとき、傷口がパックリと割れて縫合が必要なケガの場合は、病院に行って処置・治療をしてもらうことになります。頭を強く打ったという場合も、念のためCTを撮ってもらったりします」(舟山先生)

 

病院で処置をしてもらうと治療費が発生しますが、こうした場合に備えて、日本の9割以上の学校が、日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」に加入しているそうです。これは国、学校の設置者(自治体)、保護者の三者負担による互助制度で、学校で負ったケガが健康保険の適用範囲であって、治療費が一定額以上かかった場合は、その医療費の総額のうち4割が見舞金として支払われるというもの。

 

「ただし、この給付金は学校の管理下にある場合のケガが対象です。登下校時のケガも補償されますが、たとえば学校で決められた通学路でない道でケガをすると、それが受けられないこともあります」(同)

 

ケガに対する補償はケースバイケースで、自治体によってもそれぞれ異なる細則や書類申請があるようです。例えば、条例で定められた子どもの医療費助成によって窓口負担がゼロだった場合は、給付が受けられないという自治体もあるのだとか。もしもの場合には、保健室の養護教諭とよく話し合い、確認するようにしましょう。

 

 

●友だちにケガをさせた時はきちんとお詫びを

 

親として気になるのは、子ども同士の接触やけんかによってケガをするということが起きた時でしょう。これは、その後対応する先生の側も十分な配慮が必要だと舟山先生。

 

「こうした場合、まずケガの処置をした後、そのときの状況の聞き取り調査をします。本人だけでなく、周りにいた子どもたちからも話を聞きます。病院に行くようなケガの場合は、治療にあたって保護者の同意が必要なため、すぐに保護者に連絡して学校か病院に来ていただきます。一方、ケガをさせてしまったほうの子の保護者にも必ず経緯を伝えます」(同)

 

ケガをさせた子の保護者には、電話で伝えられることが多いようですが、舟山先生の場合、子どもに「先生からおうちに電話しますが、その前に、必ず自分でしっかりお母さんに話しておきなさい」と言っているそうです。

 

「『自分の子どもが誰かをケガさせた』という話を担任からいきなり聞かされたら、親御さんとしては驚くし、申し訳ないし、腹が立つし…担任と話をしながらであっても、そばに子どもがいたら、問いただしたくなってしまうのではないでしょうか。最初の情報は、まず自分の子どもから話を聞きたいというのが親心。ですから子どもにも、『お母さんは、はじめは怒ると思うけど、自分の子どもから最初に聞きたいものなんだよ』と話します」(同)

 

先生のこれまでの経験では、こう話すと子どもは、ちゃんと自分で親に伝えているそうです。担任が親御さんに電話した時点では、わが子への怒りの波も収まっていることが多く、学校側としても状況を冷静に伝えることができるのだとか。

 

「また、学校からは、必ずケガをした子の家に対してお詫びの電話を入れてください、と伝えます。これまでの経験上、ケガをさせた子へ、電話や家に訪問するなどして謝ることで解決するケースがほとんどです」(同)

 

先生の考え方によって様々な解決法がありますが、ケガをさせてしまった時は、きちんと相手にお詫びをするのが基本ですね。

 

 

●完全には防げない、子ども同士のケガ

 

子ども同士のケガは、先生たちにとっても気を使うもののよう。ただ、どう注意しても防げないというのが現実のようです。

 

「ケガをしないに越したことはないのですが、集団生活では、子どもはどうしてもケガをするものです。休み時間など見ていると、お互いよそ見をしながら走ってきてぶつかったりしています。不可抗力の場合も少なくありません。とてもおとなしい子が、まったく悪気なく、誰かをケガをさせてしまうこともあります。子どもが集まる学校は、おうちにいるときよりもさらにケガのリスクが高いということを心に置いていただければと思います」(同)

 

そもそも家庭でもケガはしてしまうもの。親の側も、ケガに対して神経質になりすぎないようにしたいですね。

 

ところで、保健室での手当で舟山先生が気になることは、「子どもが下校後、あるいは休日などにケガをしたとき、あるいは学校以外でのスポーツで打撲や擦り傷を負ったときに、親御さんから『学校で診てもらいなさい』とか『学校で湿布を替えてもらいなさい』などと言われている子がいること」だそう。

 

気持ちはわからないのでもありませんが、そもそも保健室の養護の先生は、学校の管理下でのケガに対応しているもの。保健室は病院や治療院ではないので、家庭でのケガは、家庭で対処していきましょう。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

困ったときに頼れる! ママ友と信頼関係を作る方法

小学校の先生と信頼関係を築く方法は?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

大人用・子ども用、それぞれの非常用持ち出し袋の中身は?

 

 

防災の大きな柱のひとつである「非常用持ち出し袋」の準備。子どものいる家庭の場合、どのようなポイントに気をつけて準備したらよいのでしょうか? 親子の防災に詳しいNPO法人「ママプラグ」の宮丸みゆきさんに教えていただきました。

 

 

●市販のキットを揃えれば安心…とは限らない!

 

前回のお話では、非常用持ち出し袋は、家族それぞれに1つずつ用意しようということでした。被災時に必要なものがひとまとめになって袋に入ったタイプも多くありますが、これを人数分揃えればいいのでしょうか?

 

「中身を考える際の前提としてほしいのが、被災時には『個別のニーズに合わせた支援を最初から受けるのは難しい』『子どもも大人も強いストレスにさらされる』という2点です。家族が揃っているときに災害が起きるとは限らないため、1人に1つずつ準備するのは基本ですが、持病やアレルギーの有無、性別・年齢、ライフスタイルなどによって必要な準備は大きく変わるもの。中身は家族それぞれに合わせる必要があります」(宮丸さん)

 

市販のセットや一般的なチェックリストなどではどうしても過不足が出てきてしまうのですね。

 

「それらはあくまでも“一般的に必要なもの”なので、自分や家族に必要なのか見極めることが大切です。毎日の生活を思い浮かべて『いつも使っているもの』や『自分には必要、でも支援を受けるのが難しいもの』を足していきます。

 

たとえばアレルギー対応食や持病の薬、メガネの予備といったもの。これらがないと『アレルギーの子どもが一日目から食事に困る』『体調が一気に悪化して命に関わる』『メガネが割れてしまって避難所まで安全に歩けない』といったことが起きます。逆に不要なものが入っていると荷物が重くなりますので、入れっぱなしにせずに外しておきましょう」(同)

 

 

●大人と子ども、それぞれ何を入れたらいい?

 

個人のニーズに合わせることは前提として、入れるのを忘れがちなもの、ぜひ入れておきたいものはありますか?

 

「大人と子ども、それぞれ以下のようなものが挙げられます。

 

◆大人・子ども共通

・パーソナルカード・・・名前や家族の連絡先、アレルギーの有無などを書いたもの。幼くてうまく説明できない、ケガをしていて話せないなどの状況でも自分の情報や必要なケアを伝えられる

・家族写真・・・はぐれてしまったときに周囲の協力を得て探しやすくなる。裏に名前も書いておくとよい

・マスク・・・粉じん、感染症対策。家屋が倒壊したような場合だけでなく、水害で地表に残ったヘドロが乾燥して舞い、空気中の有害物質が増すような場合にも有効

・ホイッスル・・・助けを呼ぶときに使う。叫ぶより体力の消耗が少なく、耳に届きやすい。子どもは吹き方がわからない場合もあるので事前に練習を

・母子手帳、おくすり手帳・・・コピーでOK。スマホに写真を残しても

・食料、水・・・避難先で2~3日を過ごせる量。子どもはお菓子でもOK

・着替え、下着・・・季節に合ったものを用意。子どもはサイズにも注意

・ハンドタオル、ティッシュ、ウエットティッシュ

 

◆大人

・持病の薬、生理用品、メガネの予備など・・・「コンタクトは粉じんがひどくてつけられなかった」という声も多いので、メガネがおすすめ

・ライト・・・照明として使うほか、夜間にトイレに行くときの安全対策にもなる。ヘッドライトタイプと据え置き型の両方を準備するとベスト

・非常用トイレ・携帯トイレ・・・1回分のコンパクトタイプや便座に取りつけるタイプなど

・レインポンチョ・・・雨風よけという本来の目的のほか、非常用トイレを使うとき、着替えや授乳の目隠しに使える。色が濃いめで長いものだと中が見えにくい

 

◆子ども

・おもちゃ(音が出ないもの)

・お菓子

・キーホルダー、絵本など・・・かさばらなくてメモにも使える折り紙や、ひもだけで遊べるあやとりなど、昔ながらの遊び道具も重宝する

 

子どもの場合はとくに、避難という非日常が強いストレスとなり、普段とは違う言動や不眠などが見られることも多くあります。お気に入りのおもちゃや絵本、お菓子などの慣れたものが、日常の生活感覚を取り戻す大きな助けになります。避難バッグに入れるものを一緒に選んでもいいですね」(同)

 

 

●避難バッグの作り方:被災~避難生活の3つの場面を想定して備える

 

1人分ずつに分けるとはいえ、それなりの重さや大きさになりますよね。

 

「もちろん、上記すべてを常に持ち歩くのは現実的ではありません。私たちは総じて『避難バッグ』と呼んでいますが、緊急避難時/避難生活中/常時携帯用の3つの場面に合わせて揃えましょう。

 

1)第一次避難バッグ(緊急避難時)

ここまでに紹介したいわゆる「非常用持ち出し袋」。避難所などで2~3日分過ごせる備えを、すぐ持ち出せる場所に置いておく。よくあるひもつきの巾着袋は肩や腕に負担がかかるので、リュックがおすすめ

 

2)第二次避難バッグ(避難生活中)

避難の長期化に備えた水や食料など。家族分をまとめて1週間分ほど、備蓄と兼用でOK。『避難所で生活するがときどき家に取りに戻る』『自宅で避難生活を送る』といったケースを想定し、安全で取り出しやすい場所にまとめて置いておく。必ずしもバッグにまとめておく必要はないが、キャリーケースなどに入れておくと運びやすい

 

3)常時携帯用

外出中に被災することを想定した備え。携帯食(お菓子でもよい)、水、ホイッスル、携帯電話用モバイルバッテリー、マスク、ラジオなど。普段から持ち歩いているものは兼用でOK

 

中身の見直しは年に2回ほど行います。季節が変わると服装も変わりますし、とくに子どもは服のサイズやおむつの使用状況などもどんどん変わるためです。頻度は高いほどよいですが、2回にするなら冬の始まりと夏の始まりがおすすめです」(同)

 

一般的なチェックリストなどは項目も多くて気が遠くなりますが、毎日の生活の延長で考えるのであれば難しくないですね。まずは“マイリスト”づくりから始めてみてはいかがでしょうか。次回はこの「避難バッグ」を楽しくチェックできる「防災ピクニック」について伺います。

 

(取材・執筆:高柳涼子)

 

 


関連記事はこちら

年長・小1の親子防災、チェックしておきたいことは?

困ったときに対応できるたくましさが育つ絵本5選

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

年長・小1の親子防災、チェックしておきたいことは?

 

 

毎年のように大きな災害が発生している近年の日本。子どもがいると防災まで気が回らないという人も多いかもしれませんが、子どもを守るためにも備えはとても大切です。今回は親子の防災に詳しいNPO法人「ママプラグ」の宮丸みゆきさんに、幼児~小学校低学年の子どもがいる家庭の防災対策について教えていただきました。

 

 

●家族防災は「各自の安全確保」を一番に考えて

 

「防災」というと非常用持ち出し袋の準備や、家具の配置の工夫、転倒防止対策などが思い浮かびますが、子どものいる家庭の場合、それ以外にやっておくべき備えはありますか?

 

「大前提として頭に入れておきたいのが『災害は、自宅に家族が揃っているときに発生するとは限らない』ということです。東日本大震災では発生時に離れた場所にいた親子や、東京近郊で帰宅難民となって長時間、家族に会えなかった人もいました。

 

そんな状況でもまずは家族全員がそれぞれ自分の身を守り、元気で家族と合流できることを目標に、ふだんから備えることが大切です」(宮丸さん)

 

この前提に立つと、備えるべきポイントも見えてくるといいます。

 

「小学生になると登下校で1人になる場面も増えますし、大地震の際は激しい揺れで隣の部屋の子どものところへの移動も難しい…といった状況もあります。

 

小学生以上であれば避難所や避難経路、未就学児でも『テーブルの下に入る』『体を丸めて頭を守る』など、最低限の手段は教えておく必要があります。また、家族が離れた状況で被災した場合を想定し、連絡手段の共有や、1人ずつの非常用持ち出し袋の準備も必要です」(同)

 

 

●家族全員で、避難経路の「危険ポイント」「安全ポイント」をチェック!

 

具体的にはどんな備えが必要なのでしょうか。まずは避難所や避難経路の把握の仕方について教えてください。

 

「まずは家族の集合場所となる避難所がどこかを全員で確認しましょう。その上で、家や学校、職場などから自力で行けるか、ルートは安全か…などを各自について確認します。いつも通っている道が倒れた家屋などで危険になる場合もありますから、ぜひ家族で一緒に歩いて確認しましょう。歩く際には下記の『危険ポイント』と、『安全ポイント』をチェックします。

 

◆危険ポイント

・ブロック塀・・・新しくても施工状態によっては崩れる。大人の腰程度の高さでも子どもにとっては危険な場合も

・屋根瓦、2階以上のベランダの植木鉢・・・落ちてくる

・ガラス張りの建物・・・ガラスが割れて飛んでくる

・電柱・・・傾いたものが倒れる

・看板・・・外れて落ちてくる

 

◆安全ポイント

・コンビニ・・・大人に頼れる。「災害時帰宅支援ステーション」に指定されているコンビニではトイレや水などを提供してもらえることもある。

・「津波避難場所」「津波避難ビル」などの防災マーク(※)つきの建物・・・水害などの際に避難できる高い建物。中に入れないと意味がないのであらかじめ確認を。

※防災マークとは:(参照)国民生活センター『国民生活 2012年9月号』

・公園や平置きの駐車場・・・物が落ちてくる危険が少ない。避難行動中の一時的な安全確保に便利

 

小学生の場合は通学路も一緒に歩き、通学中に被災したら家と学校どちらに戻るのか判断する地点も決めておくとよいですね」(同)

 

 

●学校や園とも非常時の対応をしっかり共有

 

子どもが学校や幼稚園・保育園に通っている場合は、家族間だけでなく、学校・園側とも意識や対策を確認・共有しておく必要があります。

 

「特に以下の3点については、ふだん送り迎えを担当していない家族にも、しっかり情報共有しておきましょう。

 

・送迎バスや通学の経路・・・ルートを把握しておけば、万一のときにも『この時刻ならこのあたりにいるはず』と推測でき、親が勤務先や外出先にいる場合も、最初に向かう場所を決めやすくなる

 

・園・学校で被災した時に避難する場所・・・施設や所定の避難場所だけでなく、そこが危険になった場合の対応も

 

・引き渡しや連絡の方法・・・施設からの一斉連絡の有無や迎えに行けない場合の対応など

 

3.11では被災時の対応をめぐって裁判になった事例もありますが、双方にとって辛いこと。『こうしてくれるはず』という思い込みや遠慮はやめて、少しでも不安に思ったことはしっかり確認しましょう。施設側への課題提起にもなります」(同)

 

また、災害時は一刻も早く子どもをお迎えに行きたくなるのが親心ですが、冷静な判断が明暗を分けるケースもあるそう。

 

「3.11では引き渡し後に津波に呑まれて命を落とされたケースもあり、各自がその場に留まっていれば助かった可能性も検証されています。避難中や移動中も正しい情報を常に入手し、ベストな行動を取れるようにしましょう」(同)

 

 

●毎日の生活の中で確認・実践・アップデートを繰り返して

 

上記のような家族での防災訓練は、どれくらいの頻度で行うのが理想でしょうか。

 

「基本的には、『1年に1回』などあらかじめ決めておくよりも、何かに気づくたびに話し合い、軌道修正するのがおすすめです。学校や幼稚園・保育園の避難訓練も一つのキッカケになりますが、その場合は想定されなかったパターンについて考えさせるとよいですね。

 

例えば『授業中に地震が来た』という想定で訓練があったなら、給食中や放課後に校庭で遊んでいるときだったらどうする?下校途中だったら?と、別のシチュエーションで本人に考えさせたあと、安全かどうか一緒に検証しましょう。最初から『この場合はこうしなさい』と教えるよりも心に残ります。

 

また、携帯電話などを持たない小学生なら、公衆電話などから無料で伝言が残せる『災害用伝言ダイヤル』の使い方もふだんから練習しておきたいところ。体験利用できる日が月に数回あるので、活用しましょう」(同)

 

★『災害用伝言ダイヤル』

毎月1日・15日やお正月、防災週間などに体験利用が可能です。

https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171s/howto.html

 

また、インターネットで動画公開されている『じしんだんごむし体操』のように、小さな子どもが身を守る方法を楽しく学べるコンテンツもあるとのこと。ぜひ親子で確認してみてください。

 

「どんなに備えても”想定外”は生まれますが、想定を積み重ねることでとっさの判断力や冷静さが育っていきます」と宮丸さん。今すぐ、できることから始めていきたいですね。次回は非常用持ち出し袋の備え方について、くわしく教えていただきます。

 

(取材・執筆:高柳涼子)

 

 


関連記事はこちら

地震、津波、そのときどうする? 防災意識を高めてくれる絵本

そろそろケータイを持たせた方がいい? どんなタイプを選べばいい?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

通学路での不審者対策、親子で気を付けたいことは?

 

 

 

もうすぐ2学期が始まります。小学校にも慣れてきた子どもたちですが、行動範囲が広がるにつれて親としての心配も増える一方ですよね。新学期を迎えるにあたって、登下校中の安全対策を親子で話し合ってみませんか? そこで今回は、全国で体験型安全教室などを行うステップ総合研究所・主任研究員の堤紘子さんに通学路での不審者対策で気をつけたいことを聞きました。

 

 

●狙われやすい通学路。あやしい場所の4つの特徴は『ひ・ま・わ・り』

 

毎日決まった時間に決まった場所を通るのが通学路。それゆえ、犯罪者にとっては下調べがしやすく、子どもに目をつけやすい場所でもあるのだそう。

 

「犯罪者の目標は『誰にも見とがめられないままに確実に目的(犯罪)達成し、捕まらない』ことです。なので、できるだけリスクを犯さずに目的を達成しようと、入念に下調べをします。ターゲットの子どもが何時頃その場所を通り、どこで友達と別れてひとりになるのか、どの家に入るのか、事前に調べて待ち伏せしていることもあります。

 

誰にも見とがめられたくない犯罪者は、特に人の目と声を嫌います。通学路の中でも、人目につきにくい道や逃走しやすい分かれ道など、犯罪者が好む場所には特徴があるので、親子で一緒に歩いて確認してみるといいでしょう」(堤さん)

 

犯罪が起きやすい場所の傾向として覚えておきたいのが、次の4つの特徴。『ひ・ま・わ・り』の合言葉で覚えておくといいそうです。

 

【あやしい場所の4つの特徴】

とりだけになるところ

わりから見えない(見えにくい)ところ

かれ道・わき道やうら道の多いところ

ようされていない家(空き家)や公園など

 

「また、落書きや放置自転車、不法投棄されたゴミなどが多い環境も犯罪者を呼び寄せる要因になります。違法な状態や汚れている状態を放置していても地域の人が気にしないということは、子どもに声をかけても気にする人がいないだろうという視点につながるのです。犯罪が起こりやすい環境をできるだけなくしていくことが大切です」(同)

 

通学路上のあやしい場所はどこなのか、安全に通学できる環境なのか、親子で一緒にチェックしておきたいですね。

 

 

●あやしい人の5つの特徴は『は・ち・み・つ・じま・ん』

 

不審者対策を子どもに教えるにしても、どんな人に気をつけたらいいのか説明するのは難しいですよね。そこで覚えておきたいのが次の5つの特徴です。

 

【あやしい人の5つの特徴】

なしかけてくる人

かづいてくる人

つめてくる人

いてくる人

っとってる人

?とちゅうい!

 

「犯罪には前兆行動があります。それがこちらの5つの特徴で、子どもたちには『は・ち・み・つ・じま』の人がいたら、『ん? と注意しよう!』と教えています。中でもしつこく話しかけてくる、見つめてくるケースは非常に多いです。これらはターゲットに対してコミュニケーションを求めている行動ですので、あやしいと思ったら近寄らない(相手の身長×0.8は間隔をあける)、視線をそらす、キッパリ断るなどしてすぐにその場から離れましょう」(同)

 

どんな子どもが狙われやすいのでしょうか?

 

「犯罪者は巧みに「隙間」を狙ってきます。子どもの中でも、とくに『ぼんやり』『フラフラ』『ウロウロ』『キョロキョロ』している子どもは隙があるように見られターゲットにされやすいです。また、大人っぽい服装が自身と釣り合っていない「アンバランスな子」も狙われやすいです」(同)

 

とくにひとりで歩いている状況は狙われやすいそうなので、できれば同じ方向の友達と一緒に登下校できるといいですね。

 

 

●徐々に距離を縮めてくるケースも。子どもへの声かけ事例

 

子どもへの声かけ事件にはどんなものがあるのでしょうか? 実際にあった声かけのパターンを教えてもらいました。

 

・チョイ声がけ型 「ちょっとちょっと」「すいませーん」

・権威誇示型 「おわまりさんだけど、少し話を聞かせてくれる?」

・恐怖心あおり型 「言うことを聞かなければ痛い目にあわすぞ!」

・親切心要求型 「お腹が痛いんだけどトイレに連れていってくれないかな?」

・緊急事態発生型 「お母さんが事故で入院したんだ! 車で病院に連れて行ってあげる」

・緊急行動要請型 「早く早く! 早くしないと間に合わない!!」

・利益供与型 「お菓子あげるから、おじさんのお願い聞いてくれるかな」

・魅惑誘導型 「キミかわいいね、ちょっと写真撮らせてくれないかな?」

・好奇心触発型 「かわいい猫がいるんだけど見に来ない?」

・身の上相談型 「どうしたの?話聞いてあげるよ、困ってないかな?」

 

「このほかにも、数日かけて徐々に仲良くなり、犯行に及ぶケースもあります。子どもにとって仲良くなった人はみんな『知り合い』です。だから『知らない人にはついていかない』という約束では不十分。知っている人でも、保護者が許可をしていない人には絶対についていかないと約束しましょう。とくに「案内して」「こっちに来て」といった、その場から身体を動かそうとする声かけには絶対に乗ってはいけません」(同)

 

声をかけられてもきっぱりと断れるように、具体的な声かけのパターンを想定して子どもとやりとりしてみるとよさそうです。

 

 

●安全確保のアクションは日頃からの練習が大事

 

いざというとき、怖くて身体が動かないこともあると思います。そうならないためにできることはありますか?

 

「きっぱり断る、大声で叫ぶ、走って逃げるといった基本的なアクションを日頃から練習しておきましょう。練習したことがないのにいきなり適切な行動をとれる子どもは多くありません。私たちの調査では、危機に遭遇した子どものうち、走って逃げられた子どもはおよそ半数にとどまり、5人に1人は「何もできなかった」ということがわかっています。一方で、体を使って練習すると、きちんと対応できるようになるということもわかっています。

 

とくに大声は小さな子でもできる護身術。いかなる犯罪者も犯行時はビクビクしています。もし声をあげて周りから助けが来なくても、犯人がびっくりして逃げてしまうケースもありました。

 

そして、危ないと思ったら全力で“20m”走って逃げることも覚えておいてください。犯罪者は追いかけるうちにやる気が下がり、20m追いかけても追いつくことができなければあきらめるということが実験からわかっています。近くの家に『ただいま!』といって駆け込むのも有効です」(同)

 

ランドセルに防犯ブザーをつけている子も多いですが、これも犯罪者の撃退に効果があるのでしょうか?

 

「もちろん、大きな音が出る防犯ブザーは有効ですが、私たちが調査した結果、実際に危機に遭遇した時に鳴らせる子は1%しかいなかったんです。ですから防犯ブザーを使うのも日頃の練習が必要です。後ろから羽交い締めにされても鳴らせる位置にあるか、紐が短すぎて手が届かないことはないか、電池は切れていないか、日頃から防犯ブザーを鳴らす練習と作動チェックをしておきましょう」(同)

 

安全確保のアクションを練習するほかに、普段から親子でなんでも話せる関係を作ることも大切だといいます。たとえば『今日帰り道にこんな人に会ったんだよ!』なんて話が日常会話で出てきたら、子ども自身が問題だと思ってなかったとしても、早い段階で親が異変を察知することができるかもしれません。

 

「そして『あなたは家族にとっても地域にとってもすごく大切な存在なんだよ』ということを繰り返し伝えてあげてください。そのためにも、まずは親が隣近所や通学路の商店の人たちと挨拶しあえる関係になって、いざというときに助けてくれる大人を増やしておきたいですね。安心感がベースになければ、犯罪者に遭遇した時、周囲の大人が信用できず助けを求めることもできなくなってしまいます。自分は大事に思われているんだという自己肯定感が、危機と対峙した時に乗り越える勇気になっていきます」(同)

 

子どもを狙う犯罪者がいることを教える一方で、周囲には自分が困った時に助けてくれる大人がたくさんいるということも伝えていかなければならないのですね。新学期に向けて、親子で防犯への意識を高めていきたいですね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

 

 


関連記事はこちら

最近の子ども用ケータイってどんなもの?

地域全体で考えたい、学校内の不審者対策

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

どう変わる? ついていける? 夏休み明けの授業

 

 

夏休みも終盤。休みが明けると、さっそく授業がスタートします。4月にひらがなや数字の書き取りから始まった学校の授業、夏休み後はどう進んでいくのでしょうか。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●夏休み前後は、授業内容が大きく変化

 

夏休み前までは、ごく基礎的な内容がほとんどだった1年生の授業。夏休み明けからは何か違って来るのでしょうか?

 

「1年生の授業は、夏休み後からぐんと内容が増えます。1年生の夏休みの前と後とは、ある意味では小学校の勉強において一番変化が大きいと言えるかもしれません」(舟山先生)

 

具体的にはどのような内容になるのか、3学期制の場合を例にとって、1年生で学習する国語・算数の「基礎・基本」を例に見てみましょう。

 

国語(言語の学習分野) 

〈1学期〉

・ひらがなの読み書き

 ↓

〈2、3学期〉

・漢字(1年生の配当漢字は80字)

・カタカナ

 

算数(計算の学習分野)

〈1学期〉

・1けたの足し算と引き算(繰り上がり・繰り下がりなし)

・繰り上がりのある足し算

・繰り下がりのある引き算

・20以上100までの数についての理解(おもに3学期)

 

ここで挙げた「基礎・基本」とは、今後のあらゆる学習の土台となるものだそう。例えば国語なら、文章を読んだり作文を書くためには、まず文字を読んだり書いたりすることが、算数なら四則演算(+―×÷)ができるようになることが必要です。

「2学期は、この『基礎・基本』をしっかり学びながら、国語では、物語文・説明文の読み方(順序立てなど、1学期よりも目標とレベルが進んだ段階)や手紙文・作文、算数では、量(かさ)の大小や図形などについても学んでいきます」(同)

 

 

●これまで習ってきたことを理解しているかがカギに

 

授業内容が増えると聞いて、子どもが学校の授業にきちんとついていけるかどうか、ちょっぴり心配な親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「たしかに、算数の場合なら1学期の足し算・引き算は簡単にできていたのに、繰り上がり・繰り下がりの計算になったとたんに、つまずくことがあります。その理由の1つは、それまで手を使って計算できていたのに、それができなくなってわからなくなるためです」(同)

 

もう1つ、就学前に計算を教えてもらい、自分でも算数ができると思い込んでしまうことも原因だそう。この場合、授業もあまり集中して聞いていないことが多いため、少し難しくなると、それまでの知識では通用しなくなってしまうのです。舟山先生はこれを「うさぎとかめパターン」と呼んでいるのだとか。

 

「小学校の学習内容というのは、特に算数はスパイラル式(らせん状)と言って、前にならったことを踏まえて新しい内容が付け加えられていくようになっています。1年生の学習は、どの内容も次の学習につながっていきますので、今、習っていることをしっかりと理解させていくことが重要といえます」(同)

 

わからないままにしておくと、次の学習に進めないということですね。わが子は大丈夫か不安になってしまいますが、お家でできるフォローもあるとのこと。

 

 

●授業でつまずいた時のフォロー3つのポイント

 

では、子どもが授業を理解できず、つまずいているかどうかは、どうやって判断すればいいのでしょう。

 

「宿題やノートから推し量れることがあります。例えば国語なら、今習っているところの教科書をすらすら読んでいるか、算数なら、学校から持ち帰ってくるプリントの出来がかんばしくない、あるいはノートがしっかり書かれていない、無駄なことが書いてあるなどです。もし疑問があれば、担任の先生に聞いてみるとよいでしょう」(同)

 

そのうえで、子どもが勉強でつまずいていると思われた場合は、以下のようなフォローをしていくとよいそうです。

 

①国語の場合は、教科書の音読を一緒にそばで聞く。もし、すらすら読めていなかったらゆっくりと何度も繰り返して読む練習をすることで自信をつけさせる。

 

②国語・算数を問わず、プリントで間違えたところをていねいに直させる。直したプリントをファイルしておくことで、まちがいをまちがったままにしておかないこと、まちがったことを乗り越えよう、という家庭の姿勢を子どもに示す。

 

③宿題をするときの様子を見守る、または宿題を必ずあとでチェックすることで、ていねいに取り組む大切さを教える。

 

「つまずく子は、書く字が雑になるなど、なげやりになったり無気力になったりすることが多くなります。子どものモチベーションを高めるためには、担任の先生の協力を得ることも大切です。先生にも相談して、連絡を取り合い、子どもが家でがんばった翌日は、その旨を連絡帳で知らせるなどして先生に一言褒めてもらうだけでも効果があるものです」(同)

 

このようにして、小さなつまずきのうちに対処していくようにすることが大切なのだそうです。

 

 

●夏休み後半にやっておきたい「2学期の予習」

 

夏休み後の授業が始まる前に、やっておくとよいことはあるでしょうか?

 

「まずは、夏休みの宿題をしっかりと『書く』ことです。そしてどの課題も手を抜かずに取り組ませましょう」(同)

 

というのも、宿題は、夏休み明けすぐの評価対象だから。ただし、それは通知表に反映される云々…ではなく、「自分はがんばった!」と堂々と先生に提出できる心情が、そのあとによい影響を及ぼすからだそうです。さらに先生に「がんばって書いてきましたね!」なんて言ってもらえたら、それだけで、その後のモチベーションが高くなります。

 

「絵日記や自由研究・図工作品などはしっかり作成すれば、選ばれて掲示され、長い期間友だちなどの目に留まります。こうしたことで経験する満足感が、後の学習意欲をもたらすことになります」(同)

 

もう1つ、夏休みの間に「ほんの少しの予習」をしておくことも大切だとか。

 

「ただし、やり過ぎは禁物です。あまりしっかりとやってしまうと、安心して授業を聞かなくなったり、うるさく言われて勉強がいやになってしまうからです」(同)

 

教科書を一度読んでみる、読めない漢字にふりがなをふってみる、挿し絵を見るといった程度で、「あとはお楽しみ」として終えるのがポイントのよう。無理やりにではなく、お母さんも一緒にちょっと見てみた、というスタンスでさりげなく取り組むのがよいようです。

 

(取材・執筆 坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

雨の日の通学路、安全に登下校するためのポイントとは?

新学期、目標をもって頑張れるようにするには?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

幼児期からの英語教育、どんな教材を選べばいい?

2020年から小学校5、6年生で英語が教科になります。それを受けて、幼児期からの英語教育を検討するママが増えているよう。「始めるなら早いほうがいい」「ネイティブスピーカーに発音を習ったほうがいい」など、さまざまな説が飛び交い、親としては悩みがつきません。そこで、英語教育に詳しい通訳・翻訳家の川合亮平さんに幼児期の英語教育に対する考え方をお聞きしました。

 

 

●英語を始めるかどうかは、英語への興味を見極めてから

 

 

 

 

英語教室や通信講座など、さまざまな選択肢がありますが、まず「子どもに英語学習をさせるかどうか」はどのように判断したらよいのでしょうか?

 

「英語に興味を持っているようなら、やらせてあげた方がよいと思います。例えば、3歳か4歳くらいでも、日常で耳にする英語の歌を見よう見まねで歌ったりするなら、興味のある証拠です。NHKのEテレなどでも子ども向けの英語の番組があります。興味を持って見ているようなら、楽しんで学べる可能性があると言えるでしょう」(川合さん、以下同)

 

ただし、ネイティブスピーカー並みのバイリンガルを目指す場合には、少し話が違うそう。

 

「ネイティブスピーカー並みのバイリンガルを目指したい、そのためにはお金も時間もいとわないという考えであれば、話は違います。ネイティブスピーカー並みに言語を習得するには、日常の読み書き、会話の30%以上をその言語で行う必要があると言われています。日本にいながらにしてそれを実現するなら、インターナショナルスクールに通わせるとか、そうでなければ家庭内コミュニケーションを完全に英語にするなどが有効です」

 

また、幼少期にマスターした英語を一生ものにするためには、10歳ごろまでは続ける必要があるのだとか。帰国子女などでも、その年齢以前に帰国した場合には、忘れてしまう可能性が高いそう。

 

川合さんの場合、ご自身は20歳になってから英語学習に取り組んだため、興味を持ったタイミングが「学習のタイミング」という考えだそうです。これからの国際時代には、英語を話すけれどもネイティブではない人とやり取りすることも多く、「ネイティブかどうかよりも通じるかどうかが大切だ」と考えているそうです。

 

 

●英語に対して親が興味を持つことで、子どもにも伝わる

 

 

 

 

とはいえ、まったく英語に触れることがなければ、子どもも興味の持ちようがありません。興味を持てるような環境はどのように作れるのでしょうか。

 

「よく言われることですが、親も英語や英語圏の文化に興味を持つことが大切です。逆に言えば、いくらお金をつぎ込んで英語を学習させても、親が興味を持たなければ無駄になりかねません。バイリンガルの幼稚園で聞いた話では、英語が上達していく子どもの共通点は、親が興味を持って先生と積極的に英語でコミュニケーションを取っているかどうか。親の英語力は問題ではなく、姿勢が大切なんです。そのような積極的な姿勢がないと、子どもの英語力も伸びにくいのでしょう」

 

とはいえ、仕事と子育てで忙しく、英会話教室に通う余裕はないという親も多いと思います。市販の英語のテキストを買って自宅のリビングで勉強する姿を見せたり、それが難しいなら、自宅でラジオ英会話を流したり、英語の番組や映画を見たり、洋楽を聴いたりするだけでもいいそうです。この段階で大切なのは、英語圏の文化に触れたり、英語を学ぶことに良い印象を持たせることだそう。

 

「結果的に英語を身につけた人に共通するのは、何らかの『目的』を持っていること。海外の俳優が好きで映画を字幕なしで見たいといった、英語学習とは別の目的があり、そのために英語が不可欠だった、という場合です。英語の学習自体が目的になると、なりたい姿が定まらず、モチベーションを維持するのが難しくなります」

 

 

●教材選びは、親がどれだけ関われるかによって違ってくる

 

ひとくちに英語学習と言っても、いくつもの方法や教材の種類がありますよね。英語の学習方法は、大きく次の3つに分けられます。この中からどれを選ぶかも親にとっては悩みどころです。

 

1.英会話教室に通う

2.オンラインの英会話レッスンを受ける

3.自宅学習用の教材を使って学ぶ

 

「それぞれ、親の介入具合が大きく異なります。例えば、自宅学習の場合はかなり親が介入しないと続けるのは難しいと思います。ですから、幼少期には、子どもの適正よりも親がどれだけ関与できるかで選んだほうがいいかもしれません。1の英会話教室に通うのがもっとも親の手間がかからず、2、3の順で親の介入が必要になっていきます」

 

 

●いいとこ取りできるのがオンライン英会話

 

教材の中でも、最近増えてきているのが、パソコンやタブレットを使って、外国人の先生とつないでレッスンを受けられるオンライン英会話です。海外に住む外国人講師のレッスンを自宅にいながらにして受けられると、人気を集めています。

 

今回、学研プラスが提供するオンラインの英会話サービス「クラウティ」のレッスンを、英会話初心者のママが受ける様子を川合さんに見ていただきました。

 

 

 

 

クラウティでは、フィリピンの講師にビデオでつなぎ、1回25分の英会話レッスンを受けられます。画面には、講師の顔と自分の顔が映し出され、さらにこのレッスンで練習するフレーズが画面に映し出されます。レッスンは、まず簡単なあいさつや雑談からスタート。フィリピン人の先生は、こちらのレベルに合わせてゆっくりと話してくれるので、初心者でも何を言っているのかまったくわからなくて困る、ということもありません。また、その場でわかりにくいことがあれば、講師が手書きで書いた文字が画面に映し出され、フォローしてもらえるのも心強いところです。

 

 

 

 

クラウティのいちばんの特徴は、家族で1つのユーザー登録と会費ですみ、それを分け合うことができること。つまり家族みんなで英会話を学ぶことができます。親がレッスンを受けているところを子どもが見ることで、「ママが頑張っているなら私も」という気持ちになったり、日常的に家族の誰かがレッスンを受けていることで、自分の英語力を駆使して他の国の人と話すことに抵抗感を感じなくなったりするということもありそうです。

 

また、オンライン英会話ならではのもう1つのメリットは、英語が通じる喜びを家にいながらにして感じられることだと川合さんは言います。

 

「英会話レッスンでは、何より『通じた!』という喜びを味わえることが大切です。できれば、レッスンの前に『今日先生に聞いてみたいこと』などを子どもと相談しておき、雑談の中で使うことができるといいですね」

 

自宅にいながらにして、外国人の先生とコミュニケーションを取ることができ、通じた喜びを味わえるのが、オンライン英会話のいいところでしょう。また、親子で同じレッスンを受けることのメリットもあるとか。

 

「親子で習うと、習った会話を家庭内の会話の中でゲーム感覚で取り入れることもできていいと思います。朝起きるときに『It’s time to wake up』のフレーズを一緒に使うなど、楽しめればいい。発音などは気にせず、親子で楽しむことを第一に考えてみてください」

 

レッスン内容はレベルや目的に応じて選択でき、中学校の基本文法を使った会話や、ショッピング、ビジネス、プレゼンテーションなども。子ども向けには、単語やドリルのほか、講師が英語の絵本を読み聞かせしてくれるレッスンもあります。小さい子どもの場合には、親の膝に乗せてレッスンすることもおすすめだそうです。

 

子どもが英語に慣れ親しみ、興味を持ってもらうとともに、「通じた!」という喜びを知ってもらいたいですね。

 

(取材・執筆:栃尾江美)

(SPONSORED BY 学研プラス)

 

 


 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

雨の日の通学路、安全に登下校するためのポイントとは?

 

 

秋雨や台風など、実は2学期も雨が多い季節。1学期を通して登校に慣れた1年生も、雨の日となると、足元がすべりやすい、傘を上手に持てない…など、まだまだ不安はいっぱいです。また、車の運転手にとっても視界が悪くなるため、子どもたちの危険度はさらにアップ!

 

そこで、雨の日でも安全に登下校するためのポイントを、神奈川県警察本部交通総務課で交通安全教育に取り組む岡本和久さんと武田真由美さんに伺いました。

 

 

●慣れてきた通学路も、雨の日は危険ポイントがいっぱい!

 

雨が降ると、通学路の状況はどんなふうに変わるのでしょうか。子どもたちの視点から、危険なポイントを教えてください。

 

「雨の日は、傘をさしたり、レインコートのフードをかぶったりするので、晴れている日に比べて子どもの視界がかなり狭くなります。さらに、雨で濡れた道路はとてもすべりやすく、とくにマンホールや側溝のふたの金属部分、横断歩道の白線などには注意が必要です。

 

また、人の声や車の走行音が雨音でかき消されてしまい、危険を感じるのが遅れてしまうことも。ただでさえ最近は、近づいてきたことに気づかないほど静かな車もありますから、雨の日はなおさらです」(岡本さん)

 

親にとっては心配事の増える雨の日の通学。一方、低学年のうちは雨の日のいつもと違う風景に、ワクワクしてしまう子もいそうです。

 

「雨が降ると、子どもたちはついついはしゃいでしまいますよね。水たまりや傘で遊んだりして、いろいろなことに気を取られやすくなるので、ますます周りが見えなくなってしまいます。

 

それから、水たまりを避けようとしたり、傘をさしたまま横に並んで歩くことで歩道からはみ出してしまうことも。雨の日は危ないのではしゃがないことや、傘は真っ直ぐ持って一列で歩くことを、日頃から教えておくようにしましょう」(武田さん)

 

こういった雨の日の子どもたちの行動は、運転する側からすると予測しづらく、一歩間違えると大きな事故につながってしまうこととがあるそうです。

 

 

●目立つ色のレイングッズで、車の運転手に存在感アピール

 

運転する側にとっても、視界が悪いなど状況が大きく変わる雨の日。では、子どもたちが交通事故に巻き込まれないために、どのような対策をすればよいのでしょうか?

 

「まず、車の運転手に存在を認識してもらうことが大事。なるべく明るい色のレインコートや洋服を身につけてください。薄暗い雨の日に目立ちやすいのは、白っぽい色や明るい黄色などです。1年生がつけている、ランドセル用の黄色いカバーも効果的ですね。

 

逆に目立ちにくい色は、黒や茶色、紺色といった暗めの色。それから、赤は目立つ色と思われがちですが、実はそれほど目立ちません」(岡本さん)

 

つまり、目立つ色を身につけることは雨の日の絶対条件! それ以外に、存在感をアピールする手段として効果的なことはありますか?

 

「反射材をつけることです。歩くとピカピカ光る自発光式スニーカーや、レインコートに反射材が装備されているものもあるので、そういった製品を選ぶのもひとつの手。自分でつける場合は、足のかかと部分など、体の動くところにつけると目立ちやすいです」(岡本さん)

 

ほかに、レイングッズ選びの際に注意したい点があれば教えてください。

 

「傘を選ぶときは、目立つ色にこだわると同時に、周りの“見えやすさ”も重要なポイント。傘で視界を遮らないように、傘の一部分が透明になっているものや、ビニール傘がよいと思います。 レインコートも、フードの前面が透明になっているものがありますよね。どうしても可愛いデザインのものを選びたくなってしまいますが、レイングッズは機能性を第一に考えて選ぶのが正解です」(武田さん)

 

 

●通学路を散歩コースにして、普段から危険な場所を教えておこう

 

雨の日にそなえて、普段から気をつけたり、準備できることはありますか?

 

「散歩がてらお子さんと一緒に通学路を歩いてみて、見通しの悪い場所や濡れるとすべりやすくなる場所を、あらかじめ教えておくことが大切だと思います。『雨の日だから車に気をつけてね』などと急に注意を促しても、子どもたちにはあまり響いていないことが多いです。でも、普段から危険なポイントを教えておけば、雨の日にもそれが活かされるはずです。さらに、お母さんも通学路の情報が頭に入っているので、あそこが危ないとか、具体的に教えてあげることができますよね」(岡本さん)

 

 

●ドライバー側になったとき、気をつけたいこと

 

さらに、運転する側が知っておきたいこと、心がけたいこともあるそうです。

 

「雨の日に運転する場合、路面が濡れてすべりやすくなるので、ブレーキが利きにくくなります。また、薄暗い雨の日は視界が悪くなるため、歩行者が見えづらいです。さらに、雨で車内の湿度が高くなると、窓ガラスの内側が曇ってよけいに見えづらくなることも。そういったことを念頭において、いつも以上に運転に注意するようにしましょう」(岡本さん)

 

窓ガラスが汚れていることも、曇る原因のひとつだそうですので、きちんと拭き掃除をして汚れを落としたり、撥水コートなどを塗って対策をしておくと安心ですね。また、エアコンを入れて車内の湿度を下げるのも効果的だとか。

 

「それから、雨の日の駅周辺では、家族の送り迎えなどで路上駐車が多くなるという問題もあります。とくに、交差点や横断歩道付近に車があると、子供たちの歩行の妨げにもなってしまうので、その点にも注意してください」(岡本さん)

 

機能性重視のレイングッズ選びや、ママ自身が通学路の状況をしっかり把握しておくことで、子ども達を雨の日の危険から守りましょう!

 

(取材・執筆:高野理恵)

 

 


関連記事はこちら

6歳が切り替えのタイミング。学童用のジュニアシートとは?

“学校へ通うこと”について親子で話そう「世界の果ての通学路」

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

子どもの小食・偏食、どう対処したらいい?

 

 

食べる量が少なくても、たくさん食べすぎでも、何かと心配になるのが子どもの「食」について。特に少食や偏食に関しては、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、親子対象のキッチン教室やセミナーなどを主催している子ども台所仕事研究家・石井由紀子さんに、子どもの「食」の悩みへの対策法を教えていただきました。

 

 

●大前提として「お腹が空いていれば、ご飯を食べる!」

 

食に関しては、おそらく悩みがない人はいないのでは?というくらい、親にとって大きな課題のひとつ。多くのママたちが抱えている悩みをいくつかピックアップして、石井さんに質問してみました。

 

 

お悩み(その1)

給食は残さず食べるのに、家ではあまり食べてくれないのはなぜ?

 

個人的には、外では頑張っているけれど家では甘えてしまうのかな?と思うのですが、この悩みについて石井さんはどのようにお考えですか。

 

「1歳の子どもでも、すでに『外向きの顔』というのがあるようで、お家と保育園での様子が違うといったことはよく聞きます。ですので、外ではみんなの手前しっかり食べる、家では甘えて食べない、ということも理由としてあるかもしれません。

 

でも、それ以上に大きな理由として『飽食気味』という点が挙げられるのではないでしょうか。つまり、1日トータルで見て、食欲を超えた量が出されているということです。朝昼晩の三食に加えて、おやつなども食べますよね。提供する量が多すぎるかも?と観察してみることをおすすめします」(石井さん)

 

量が多すぎる…考えたことがなかったです!

 

「あとは、学校では給食のときに食べないと他の時間は何も食べられないから、子どももここぞとばかりに残さず食べるのですが、家が食事以外でもちょこちょこ食べできる環境であれば、食事時には食べないとなる場合もあります。『このご飯を食べなくても、いつでも食べられるし!』と思っている子どもは多いものです」(同)

 

 

お悩み(その2)

たくさん動いているわりに、食事量が少ない。食事内容や出し方を変えるべき?

 

「その子にとっての適正な食事量というのは、一体どのくらいなのでしょうか? 感覚として『よく食べた』『あまり食べない』といったことは掴めたとしても、子どもにとって十分な食事量なのか、本当に食事量が少ないのか、厳密にはわからないですよね。

 

たとえば、お菓子やジュースは、ものすごく食欲に影響します。大人は、ご飯前にちょっとお菓子やケーキをつまんだとしても、食事は食事で食べられますが、多くの子どもはお腹が空いていないのに食べる、ということができないようです。なので、おやつを食べたら食べただけ、食欲を持っていかれて、ご飯を食べなくなります」(同)

 

確かに、休日だったりお友達が遊びに来たりすると、いつもより多めにお菓子を出すことがあります。大人の感覚だと、「それでもご飯は食べるでしょ」と思ってしまいますが、子どもには難しいのですね。

 

「そうですね。子どもの多くは飽食することができない、と心得ておくとよいかと思います。食後にデザートが待っているとわかったら、子どもはご飯の量を控え、デザートの分だけお腹を空けておくこともあるくらいですから。

 

また、子どもからの献立のリクエストに応えてばかりいるのも、あまりおすすめできません。食事に限らず、子どもは『大人になったときにどうしたらよいか』ということを、日常から学んでいます。たとえ今は食べるのが苦手だったとしても、親が『大人になったときにこんな食事をしてほしいな』と思うようなものを食卓に並べて、親子で囲んで食事する、そんな日常で大丈夫なのですよ」(同)

 

 

お悩み(その3)

食事に集中できないのは、お腹が空いていないから?

 

食事中にすぐ席を立ってしまう子どもも多いですが、やはりお腹が空いていないからなのでしょうか。

 

「その可能性が高いと思います。子どもは大人よりも自分の食欲に敏感で、腹八分目がわかっているので、量を超えたら食べられないのです。もし、途中で食べなくなったら、片付けてしまっていいのではないでしょうか。そして、次の食事までは、お菓子は食べさせない。

 

食事時間を決めて、しっかりお腹を空かせて、本人の適量を見極めて、食べなくなったら片付ける。これで十分です。追いかけ回してまで食べさせるのは、親も子どももしんどいですから」(同)

 

 

●子どもは味に敏感。本当に「おいしいもの」を提供しよう

 

 

お悩み(その4

子どもの好き嫌いが多くて困っています。何か親が工夫できることはありますか?

 

こちらも、よくある悩みです。子どもが嫌いな野菜を、気づかないくらい細かく刻んで料理に混ぜる…くらいしか思いつきません。

 

「繰り返しになりますが、基本的に子どもはお腹が空いていなければ食べません。まずはお腹を空かせること。そしてもうひとつ、ズバリ『おいしいかどうか』が重要です」(同)

 

子どもにとっての「おいしい」とは、具体的にどういうことでしょうか?

 

「大人が想像する以上に、子どもは味覚がものすごく敏感です。お腹が空いているはずなのに食べないときは、素材にこだわってみるのも一つの手。野菜なら旬のものを、新鮮なうちに出すだけでも、味の深みや甘みに違いが出ます。塩を振っただけで食べることもありますよ!

 

見た目が変われば食べるかもと、ハート型にかたどって出すなどもいいですが、ずっと続けるには親が大変でしょう? お腹が空いたら食べる、おいしいものなら食べる、子どもって意外とシンプルだなと思います」(同)

 

 

お悩み(その5)

初めての食材やメニューにはまったく手をつけません。何か良い進め方はある?

 

食べたことがない食材は、なかなか挑戦しないという子どもも多いですが、親がおいしそうに食べたらつられて食べるでしょうか。

 

「それも一つの方法です。それから、もしも子どもが食べなかったとしても、食卓から消さないこと。これが大切です。あまり食べなかったメニューも、定期的に出し続けてください。子どもの味覚は、成長に従って変わっていきます。小さな頃は本能的に苦いもの、酸っぱいものを拒否しますが、ある時期を過ぎたら食べられるようになるものです。

 

子どもに気を遣いすぎず、お母さんがおいしいと思うから食卓に登場する、というように軸足は大人にあっていいのではないでしょうか。お母さんが大好きな料理だから、すごくおいしいから作ったよ、あなたも食べる?くらいの気持ちでいると、とてもラクです」(同)

 

お腹が空いていて、おいしければこどもは食べる! とってもシンプルなことですが、子どもの食を考えるうえで重要なことだということがわかりました。そして何より、お母さんが無理をしすぎない、頑張りすぎないことが一番。子どもに食べさせなくては、栄養を摂らせなくてはと考えすぎず、食事の時間を笑顔で過ごせるように、気持ちをラクに持てるといいですね!

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

年長さんから、子どもに料理のお手伝いをさせよう!

子どもに人気の給食の献立は?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

子どもの料理のお手伝い、何をやらせるのが正解?

前回は子どもに料理の手伝いをさせるメリットや手伝わせる際の注意点をお伝えしました。後編となる今回は、具体的なお手伝いの内容や子どもとのルールの決め方について、引き続き、親子対象のキッチン教室やセミナーなどを主催している子ども台所仕事研究家・石井由紀子さんに教えていただきました。

 

 

 

 

●はじめてのお手伝い、何から始めたらいい?

 

いざ子どもに料理を手伝わせようと思っても、何からお願いしたらいいか迷うものです。2~3歳くらいの小さい子なら、卵を混ぜたりおにぎりを握ったり…というイメージなのですが、年長や小1くらいの場合はどのような内容がおすすめでしょうか。

 

 

(1)盛り付け・配膳

 

「親に時間的な余裕がある場合は、具体的なメニューの提案をしたいところですが、おそらく忙しくて細かい部分まで準備できないというお母さんが多いのではないでしょうか」と石井さん。確かに、手伝いをさせるために、いろいろと事前準備が必要となると、なかなか重い腰が上げられない人も多いかもしれません。

 

「2~3歳の頃は、お手伝いというよりも、冷蔵庫の中身を覗きたい、水を触りたい、ママの真似をしたいというだけですが、年長くらいになると、いろいろと考えて行動に移せるようになってきます。そこで『お手伝いをさせるための事前準備が不要で、なおかつ本当にやってもらって助かる!』ということをお願いしてみましょう。料理というより台所仕事全般のお手伝いになりますが、出来上がった料理の盛り付けや配膳は、お手伝いのスタートとしておすすめです。

 

料理をお盆に乗せて運ぶというのは、こぼれないように目で確認し、傾かないように注意しながら、一歩ずつ足を前に出していくという、まさに注意力と集中力、運動能力を同時に発揮しなければならない仕事。大人はやり慣れているので、大したことがないと思いがちですが、年長や小1くらいの子どもにとっては、すべての力を集中させて挑戦する大仕事です」(石井さん)

 

となると、親の方も「これ運んでおいてね」と軽く頼むのではなく、一大ミッションをお願いする気持ちで頼んだほうが良さそうですね。

 

「それに、料理が出来上がってから、家族の人数分をお皿に盛り付けて、ご飯や汁物をよそって、食卓に並べるのって結構時間がかかりますよね。料理教室でも、配膳は多くの時間を要する部分です。おたまでお椀に味噌汁をよそう、お茶碗にご飯をよそう、そして、それを運ぶ。これを子どもがやってくれたなら、とっても助かりませんか? 子どもは並べるのが好きですし、誰の箸かもしっかり記憶しているものなので、箸やスプーンなどのカトラリーを準備してもらうのもいいですね。

 

子どもはお母さんの助けになることができてうれしいですし、お母さんは本当に助かるから『ありがとう』の伝え方も全然違ってきます。『ほんまに助かる!』という気持ちが子どもに伝わって、また手伝おう! という想いにつながります」(同)

 

 

(2)包丁を使わないレシピ…たたききゅうりのレモン和え

 

続いては、何か簡単に作れるレシピがあれば教えてください。

 

「うちの教室に参加してくださる親御さんを見ていると、子どもに包丁を触らせたくて来る方が多いのですが、家で実際にやらせようとすると少しハードルが高いようです。子どもが刃物を扱うのはハラハラして見ていられない、なんて人も多いのではないでしょうか。お手伝いは、お願いする方も引き受ける方も、頑張りすぎないことが大切。最初から難しいことをお願いするよりも、はじめはハードルを下げて継続性を持たせた方がいいので、お手伝いの入り口としては、包丁を使わないレシピがおすすめです。

 

たとえば、きゅうりを麺棒などで叩き、手でちぎって、うすく塩を振ります。そこに、レモンの薄切りを小さく刻んだもの(切るのはお母さんでOK)を混ぜる。このレシピはとても簡単ですし、すごく爽やかで子どもたちにも好評です」(同)

 

お手伝いの第一歩としては、子どもがやりやすく、親もお願いしやすいものが良いのですね。美味しそうなので、我が家でも子どもに作ってもらいます!

 

 

●お手伝いの内容や回数は、子どもと相談して決めよう

 

親としては、できればお手伝いを習慣化してほしいと願うのですが、週に何回くらいお手伝いをさせたらいいか、または特に回数を決めない方がいいかなど、アドバイスがあればお願いします。

 

「そうですね、週に何回という目標数値を決めるよりも、まずは子どもと相談しながらお手伝いの内容と回数を決めてはどうでしょうか。

 

たとえば、『お母さんとしては、食事のときにコップにお茶を入れて、テーブルまで運ぶのを毎日お願いしたいんだけど、どうかな?』と依頼してみる。あくまでも、お母さんがやってもらって助かる!と思うことを提案します。そして、子どもとの会話の中から、本人が『やる!』と決めたら、基本は毎日お願いしましょう」(同)

 

毎日やると約束したのに、やらないときが出てきたらどうしましょう。やはり、子どもの選択を尊重したほうがいいでしょうか。

 

「たとえば、家の方針として『決めた約束は守る』という家庭であれば、それを通すのも一つですね。一方で、『いったん決めたことだけど、今日はどうしても…』ということが大人でもあるように、子どもなりに事情がある場合もあります。ですので、まずは子どもが『やらない』を選ぶ背景に何があるのか聞いてみるのもいいかもしれません。

 

時には、子どもの事情を優先して、あっさり引いてもいいんじゃないでしょうか。そして『え、今日はやらへんの? うわ、お母さんめっちゃ困るわ~』なんて正直な気持ちを口に出してみると、その本音は子どもに結構届くものですよ。親から子への一方通行ではなく、ぜひ双方向で。すると、子どもはグッと成長した姿を見せてくれて、結果、大人にとって実質的な助けになることが多いように思います」(同)

 

子どもの料理に関するお手伝いは、単なる料理技術の向上のためというよりも、あくまでも「ママがやってもらって助かることをお願いする」というスタンスで、子どもと相談しながら内容を決めていくこと、また、頑張りすぎず、簡単なことでも長く続けて習慣化することが大切だと感じました。そうしていくうちに、料理自体に興味を持ち、一緒にキッチンに立つ機会が増えていくといいですね。

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

年長さんから、子どもに料理のお手伝いをさせよう!

男の子におすすめのお手伝いって?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

年長さんから、子どもに料理のお手伝いをさせよう!

 

 

キッチンで食事の用意をしていると、子どもが料理を手伝いたがることはありませんか? また、将来困らないように、小さな頃から料理の手伝いをさせたいと思っているママたちも多いのでは。そこで今回は、親子対象のキッチン教室やセミナーなどを主催している子ども台所仕事研究家・石井由紀子さんに、子どもに料理の手伝いをさせるメリットや注意点などを教えていただきました。

 

 

●料理の習慣を身につけさせたいなら低学年までに

 

子どもがキッチンに立ちたがったり、料理の手伝いをしたがったりしても、親の方が忙しいと、つい「また今度ね」と先延ばしにしてしまいがちです。親としては、わが子が大人になってから困らないように、やらせた方がいいのだろうなとは思うのですが…。

 

「子どもに料理のお手伝いをさせたいと考える方は多いですよね。食事は生活の基本ですから、わが子が自立したときに困らないように…という親心はもっともです。でも“料理の技術”に関して言えば、お子さんが小さい頃から焦らなくても、ある程度大きくなってからでも身につけることができます。小さい頃から身につけさせるべきなのは、実は“料理の習慣”という部分なんです」(石井さん)

 

“料理の習慣”は、大きくなってからでは身につきにくいということでしょうか?

 

「実は、ある調理専門学校の生徒に卒業時『家では料理をしますか?』と質問したところ、『はい』と答えた人は1割にも満たなかったと聞いたことがあります。料理について学んだことで技術は身についたけれど、生活の中で料理をする習慣までは身につかなかったのですね。

 

一方で、過去、私の教室に通っていた2~6歳だった子どもたちは今、小学校高学年~中学生となっていますが、そのお母さんたちいわく、多忙なお母さんに代わって、頼みもしないのに自ら『ご飯を作っておいてあげるね』と台所に立ち、帰りを待っていてくれるのだそうです。

 

これらのことから、“キッチンに自分が入ることが当たり前”という意識が身につくには年齢的なボーダーラインがありそうだと、私は見ています。おそらく、小学校低学年くらいまでがターニングポイントになるのではないでしょうか」(同)

 

ママノート読者の子どもは、まさにベストなタイミングですね。ということは、今がまさにお手伝いのさせどきということでしょうか?

 

「必ずしも料理自体をさせなくてはいけないわけではありません。時間がなくて子どもにお手伝いをさせられないときもあるでしょうが、たとえば、お母さんが夕ご飯を作っている後ろ姿をいつも見ていて、味見をしたりして育ってきた。それだけでも、『料理=当たり前のもの』という感覚が子どもの中に浸透していきます。子どものお手伝いがお母さんの負担にならない範囲で、できることを探してみると良いと思いますよ」(同)

 

子どもにとっても、ママにとっても、負担にならない範囲で、料理を身近に感じられるようなことができるといいですね。

 

 

●子どもの気が向かない時には、やらなくてもOK

 

家でお手伝いをさせるときに、親はどんな心構えでいればいいでしょうか?

 

「まずは『子どもに毎日お手伝いをさせなければ!』という気負いは手放しましょう。料理に限らず、子どものためにと準備万端で整えたのに、子どもがやろうとしない、乗り気でない、途中で止めたがために『せっかく準備したのに! 時間も割いたのに!』とイライラしてしまった経験はありませんか?

 

でも現実には『やらない』を選択することは大いにありますよね。大人だって気が乗らないときはありますし、それって普通のことです。そして、将来料理する人になってほしいからと、今そんなに頑張らなくても大丈夫です。『子どもが手伝いをしても、しなくても、どっちでもOK』という気楽な心構えでいる方が、親子双方にとってのメリットは大きいですよ」(同)

 

確かに、手伝いをさせたいのは本音だけれど、「子どもがその気にならなくてもいいや、もし手伝ってくれたらラッキー! 助かる!」くらいの気持ちでいると、親もストレスがなくていいですね。

 

「『誘えばきっとやるだろう』という期待のもとで無理やり勧めると、子どもはかえってやりたくなくなることがあります。『やる』『やらない』を自分で選ぶことで、子どもの主体性も育ちます。『やらない』を選んだときも『もしやりたくなったらお願いね』と一声かけて親が料理をしていると、手伝いたくなってきて、子どもの方からやってくることもありますよ」(同)

 

お手伝いさせたいという気持ちを子どもに押し付けすぎると、うまく進まず子どもも親も疲れてしまうかも。まずは、普段から子どもに料理をしている姿を見せ、興味を持ったら何か手伝わせてみる、というスタンスが良いようですね。

 

 

●調理道具は、大人と同じ「本物」を使わせて

 

では、実際に料理のお手伝いをさせるときの注意点は、どんなことがあるでしょうか。

 

「ひとつには、道具は本物(大人が使うものと同じ性能)を与えるということがあります。子ども用の、刃先を触っても手が切れないような包丁はかえって危険です。きゅうりくらいは切れますが、なにせ刃を触っても指は切れないのですから、子どもは『包丁の刃は触っても大丈夫』と勘違いして覚えてしまいます。

 

それまでよく切れる本物の包丁を使ったことがない大学生が、調理実習で包丁を上に向けてスポンジで洗って、手に大きな怪我を負うなんて話もあります。包丁を使った体験がない、もしくは切れない包丁で練習してきた子どもは、刃先が怖い・危ないという感覚が湧かないようです」(同)

 

もちろん、本物の包丁を触らせる前に、まずは「包丁は危険なもの、使うときは慎重に」ということを子どもにきちんと伝えて、安全に作業できるようにしましょう。

 

次回は、具体的なお手伝いの内容について、引き続き石井さんに教えていただきます。

 

(取材・執筆:水谷映美)

 

 


関連記事はこちら

親がやってほしいことをやる力は子どもの将来に必要?

料理や片づけも「図形」の理解に役立つ

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

学校の先生は「夏休み」に何してる?《後編》

 

 

前回の記事では、日直、プール当番など、夏休み中ならではの先生のお仕事をいくつか紹介しました。思ったよりも忙しい先生の夏休みですが、ほかにもまだまだ、夏休み中にしなければならないお仕事はたくさんあるのだそうです。引き続き、現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●夏休みは2学期以降の準備で大忙し

 

夏休みの行事などに関わる仕事だけでなく、2学期以降の準備も先生たちの大事な仕事。2学期は、学芸会や運動会など、どの学校も大きな行事がめじろ押し。「夏休み中にできるだけ準備をしておかないと、授業が始まってからの負担がとても大きくなります」と舟山先生。その仕事の内容をご紹介していきましょう。

 

◆研究授業の準備・検討・協議

「研究授業」とは、教育委員会や校内の先生など、教育関係者に授業を公開して、その後に協議し講評をもらう、その一連の流れを言います。年に一度行われるもので、どのような内容で授業をするか、夏休み中に先生方が話し合って決定し、準備を進めるのだとか。

 

「どの学校も、毎年それぞれ『研究テーマ』をもって校内で研究をしており、国語や算数や体育といった教科を重点的に研究する場合や、教育方法や学習指導要領に焦点を当てて研究することもあります。いずれにしても私たち教員は、授業を通して指導するので、そのための『研究授業』はどの学校でも欠かせません」(舟山先生)

 

◆運動会・学芸会・音楽会・展覧会などの行事の計画・準備

「夏休みの間に、学芸会であれば脚本の作成、音楽会なら曲目、運動会ならダンスの選定をし、職員会議で検討したり、必要なものをリストアップしたりします」(同)

 

◆各教科の教材研究

教材研究とは、授業の内容をふくらませるために知識を深め、授業での教え方を見直したり、自分で指導計画を立てたりして、教師としての技量を上げること。いわば、先生の「スキルアップ」といったところでしょうか。「教員にとっての夏休みは、教材研究のためにあるといってもいいほど大切なもの」と、舟山先生は言います。

 

後でご紹介する「研修」も教材研究や教育技術向上のために行なわれるもの。それ以外に講演会を聴いたり、学芸会やダンス指導の参考のための舞台鑑賞なども、知識や見聞を広げ、先生としての技量を深めることにつながります。

 

これらに加え、現在のように、授業の指針となる学習指導要領が改訂される前後の時期は、それに向けての各自の研究も必要になるのだとか。

 

◆学級事務書類の1学期にできなかった分の残務処理

「授業がある間は、事務的な仕事にはなかなか手をつけられないのが現状です。どうしても残ってしまった書類の処理などを夏休み中に行ないます」(同)

 

 

●スキルアップのための研修も必須

 

先生の教育技術向上のために行なわれるもので、講座やセミナーに参加したり、講演会を聴いたりと、その内容はさまざま。どの先生方も、夏休み中は何かしらの研修に参加しているそうです。研修の種類は、以下の2通りがあります。

 

◆教育委員会主催の研修 

「どの教員も夏休み中に必ず参加する義務のある研修で、費用は無料です。教職について初年度から10年目までの教員を対象にしたものや、国語、算数といった教科ごとの研修のほか、教員免許更新のための研修、アレルギー対応給食についての研修などもあります」(同)

 

◆自主研修

「教員が自主的に選んで参加する研修で、参加の際には学校に『研修願』や『報告書』が必要です。費用も個人で負担します」(同)

 

勉強熱心な先生ほど、指導技術のスキルアップのためにいろいろな研修に参加するため、時間的にも費用的にも負担が大きくなるといえそうです。

 

「ここまで紹介した仕事に加え、この時期は、子どもが家に帰ってこない、事故に遭ったというようなトラブルも多く起こります。こういう場合、担任以外の教員も招集され、捜索などに加わることも少なくありません。また、夏祭りなど、地域のイベントのパトロールなどの仕事が入ることもあります」(同)

 

こうして見ていると、夏休みでも、先生たちはかなり忙しく過ごしている様子がうかがえますね。

 

 

●春休みは、夏休み以上に忙しい

 

ちなみに、ほかの長期休暇期間についてはどうなのでしょう? 

 

「冬休みは公務員や会社員と同様、年末年始休がありますが、冬休み自体がそれほど長くないので、学校で用をすませているとあっという間にお休みが終わります。春休みは、教員が年間でもっとも忙しいと感じる年度末と年度始まりにあたる時期なので、ほとんど休みがとれません」(同)

 

年度末は、その年度に担当したクラスの指導や生徒の学籍の記録などを記載した「指導要録」をまとめるという重要な仕事のほかに、教室の整理などの雑務も山積み。4月1日には新しい教室に移って、新年度の準備をしなければなりません。春に運動会や遠足がある学校は、その準備や下見も春休みに行なうそうです。

 

「異動がある場合には、4月1日には新しい赴任校に移り、慣れない環境で運動会や遠足も含め、一から準備を始めることになります。ゴミ捨て場の位置一つわからないので、手探りで仕事しているような状態ですね」(同)

 

宿題がない春休みは、子どもたちにとって天国ですが、先生たちにとってはもっとも過酷な期間のようです。

 

こうして、先生たちは忙しい「夏休み」期間を過ごし、休み明けには元気いっぱい登校してくる子どもたちを迎えます。もしお子さんが「先生は夏休み、宿題がないからいいな~」なんて言っていたら、夏休みの先生のお仕事について話してあげてはいかがでしょうか。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

学校の先生は「夏休み」に何してる?《前編》

小1夏休み後の授業、大きく変わるポイントは?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

学校の先生は「夏休み」に何してる?《前編》

 

 

学校の先生の忙しさについては、最近、耳にすることが多くなってきましたが、「でも、そのぶん、長い休みが多そう」「夏休みが長くてうらやましい」なんて思っている人もいるのではないでしょうか? 実際のところ、学校の先生は夏休みの間、どんな風に過ごしているのでしょう? 今回は、その疑問を解決すべく、学校の先生の「夏休み」について、現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います!

 

 

●先生の夏休みは、平均的なサラリーマンと同日数

 

小学校の「夏休み」期間中、もちろん、先生方も生徒と一緒に丸々お休み…というわけには行きません。では先生方は、どのくらい夏休みがとれるのでしょうか。

 

「都道府県によって違いますが、いわゆる『夏季休暇』という名目でのお休みは、東京都の場合、だいたい4~5日前後。それ以上休みをとる場合は、年休(年次有給休暇)扱いになります」(舟山先生)

 

夏休みの日数としては、平均的な会社員や公務員と同じくらいと言えそうです。休暇日と土日を除くと、夏休みといえど出勤日。基本的には授業のある日と同様に、先生は1日中仕事をしています。また、授業がない夏休みだからこそ、やれること、やらなくてはならない仕事がたくさんあるのだとか。

 

 

●日直、プール当番など、夏休みならではの業務も盛りだくさん

 

では、夏休み中の先生のお仕事とは具体的にどういうものなのでしょうか? 東京都の一般的な小学校のケースを紹介していただきました。まずはどの学校にも共通の、夏休み期間限定のお仕事です。

 

◆日直

「夏休みでも学校にはひんぱんに来客や保護者、業者などが出入りします。その対応を日直の教員1、2名ですべて行ないます。電話番や校内の見回りなどはもちろん、動物を飼っていたり、植物を育てている学校では、その世話も重要な役割。これらの業務をこなすために1日中、学校の中を歩き回っている教員も多いと思います。学校の規模(教員の数)によって日数は違いますが、3~4日以上は当番が回ってきます」(同)

 

「日直」と一言で言っても、実際にやることは多岐にわたり、とても忙しそうですね。

 

◆プール当番

「夏休みのプールの日は、カギの開閉から、受付、指導、監視、最終チェックなどを2名前後でやっています。指導は低学年、中学年、高学年に分けて行います。学校によっては、保護者に受付や監視などを任せるところもありますが、基本的に必ず教員が立ち会います。これも学校の規模(教員の数)によって日数は違いますが、3~4回程度は当番が回ってきます」(同)

 

また、水質管理や掃除といった作業も、すべて教員たちが分担して行なっていて、これは6月~9月のプール実習期間中は、授業がある日も同様なのだとか。今は校内にプールを設置せず、プール授業の際には校外のプール施設を使用する学校もあるそうですが、それにはこうした事情も背景にあるのかもしれませんね。

 

◆サマースクール (夏期講習)

学校によっては、夏休み期間中に全生徒、もしくは対象者を限定した夏期講習を行うところもあるのだとか。

 

「全学年対象で、1学年あたり1時間。当番の教員は全学年を担当することがほとんどです。期間や内容などは学校によってさまざまで、子どもが自分で宿題などを持ってきて勉強するところもあれば、教員がプリントを用意したり、ワークショップを行なったりすることもあります。これも学校によりますが、3〜4回程度担当します」(同)

 

◆宿泊学習(林間学校・臨海学校)の付き添い

「東京都のほとんどの公立小学校では、5年生を対象にした2泊3日の宿泊学習が行なわれます。校長や教頭のほか、クラス数×2〜3倍の人数の教員が引率として割り当てられます。ですから5年生の担任はもちろん、それ以外の学年の教員も数人同行します。これは毎年ではなく、持ち回り制や担当制であることが多いようです」(同)

 

外部での宿泊学習を前に、子どもや保護者、先生が学校にひと晩泊まって「予行練習」をする学校もあるのだとか。

 

このほか、学校によっては、地域の催し物に参加しなければならないこともあるそうです。

 

これだけでも大変なように思いますが、これらはほんの一部。まだまだ先生方には、夏休みにやらなくてはならないことがたくさんあるのだそう。それについては、また次回、ご紹介いたします。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

夏休みのお昼にピッタリ! アレンジ満載の麺料理レシピ本3選

「こんな夏を過ごしたい!」 夏休みが楽しみになる映画3選

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

現役の先生に直撃!最近のランドセルのいいところ・注意したいところ

 

 

便利な機能が満載で、色やデザインも豊富な最近のランドセル。ママノートではこれまで、ランドセルメーカーや先輩ママの声をお届けしてきましたが、小学校の先生は、最近のランドセルの進化をどのように見ているのでしょうか?そこで、現役の小学校の先生にアンケート取材を実施! 先生から見た今のランドセルのいいところ、また、気になるところやここは注意したほうがいいのでは?と思うポイントを教えていただきました。

 

 

●先生目線で教える、ランドセル選びのポイントは?

 

 

 

 

年々、色のバリエーションやデザインが豊富になっているランドセル。まずは、先生方から見て、購入するときに気をつけたほうがいいポイントを教えてもらいました。

 

「キャラクターやリボンのような飾りがついているものは、低学年ではいいのですが、高学年になると飽きてしまう子どももいるようです」(静岡県)

 

「こげ茶のランドセルを持っている女児に、男子が『変な色』『男みたい』と冷やかし、女児がいやな思いをしたことが。しかもその色は、父親がなかば強引に選んだ色だったようで…。見かけた教師が『チョコレートみたい、おいしそう』とフォローして、女児の気持ちが何とか救われたと聞きました」(神奈川県)

 

6年間使うものなので、色や模様、デザインについては、子どもの意見を尊重しつつ、吟味したほうがよさそうですね。

 

また、同じデザイン面で、こんな意見もありました。

 

「ロック部分は、工夫を凝らしすぎていて、逆にわかりづらいと感じます。硬かったり、一度押し込んでからねじったり…。ランドセルによってかなり違うので、たくさんの子どもをサポートするときに戸惑います。使いやすいロックのものを選び、入学前に練習して慣れておいてほしいです」(神奈川県)

 

さらに、こんな意見も。

 

「ある程度、雨に強いものを。半かぶせのタイプよりは、よりしっかりカバーできる、かぶせが下まできているものがいいと思います」(群馬県)

 

さまざまな子どものランドセルを見て、触ったことがある先生ならではの声。参考にさせていただきます!

 

 

●大型化したランドセルがロッカーに入りづらいことも

 

 

 

 

続いて普段、先生が子どもたちを見ていて感じる気になることをお聞きしました。

 

「教科書の重さを考えると、立派な本革のランドセルは重すぎるのではと心配になることがあります」(東京都)

 

「本革の重いランドセルは登下校が大変に見えます。合成皮革でも、最近のランドセルは6年間十分もちますし、壊れたという話はほとんど聞きません」(群馬県)

 

さらに、最近はA4フラットファイル対応のものが一般的となっていますが、ランドセルが、学校のロッカーに入りづらいという新たな懸念も。

 

「新しい学校はいいのですが、古い学校はロッカーが小さいために、ランドセルを入れたら他の荷物が入らないことがあります」(静岡県)

 

「ロッカーのサイズがランドセルと合っておらず、きちんと入れないとランドセルが飛び出します。ランドセルの規格が変わると、こんなところにも弊害が出るのだなと感じました」(神奈川県)

 

これは学校の先生しかわからない視点。大きいランドセルを選ぼうとしていてロッカーにおさまるか心配な場合は、同じ学校に通う先輩ママや児童に聞いてみてもいいかもしれませんね。

 

また、たくさん入るからといって「すべての手荷物をランドセルに入れて、無理やり上から圧を加えて金具を留めようとしている子がいる」(静岡県)とか、「忘れ物をするからと、すべての教科書やノートをランドセルに入れっぱなしの子がいる」(富山県)などの声も。あまりにランドセルが重すぎると、体に負担もかかるという話もあるので、その点は親が気をつけてあげたいものですね。

 

 

●最近のランドセルは荷物がたくさん入り、両手をあけられる

 

ただし、ランドセルのサイズが大きくなってきたことは、メリットに感じている先生が多そうです。

 

「A4ファイルが入るようになってよかったと思います。ファイルは教科書よりもひと回り大きいので、以前は子どもたちが出し入れをするのに苦労しているように見えました」(群馬県)

 

「スペースがしっかり確保されているので、教科書だけでなく、体操着や水筒もすべて入って両手が空くのがよいと思います」(東京都)

 

荷物のほとんどを収納できることで、こんないい面も。

 

「両手があくので、転んだときなどに手をつくことができて安全です。また、後ろに転倒した場合、ランドセルが大きくしっかりしているとクッションにもなります」(東京都)

 

 

 

 

さらに、昔と比べて進化してよくなったと感じるところは…?

 

「昔は6年生ではランドセルがボロボロの子どももいましたが、最近はとても丈夫で6年間本当にもちます」(東京都)

 

「防犯ブザーが、以前はランドセルの横にしかつけるところがなかったと思いますが、最近は肩ベルトの前部分につくものが多くなりました。いざという時にすぐにならせる位置になってよかったなと思います」(群馬県)

 

「デザインや刺繍がおしゃれで、ひとりひとり違うランドセルなので、どれが誰のものか区別がしやすいです」(東京都)

 

色、デザイン、丈夫さ、機能面とすべてにおいてどんどん進化を遂げているランドセル。小学校の先生にも、その進化はプラスに受け止められているようです。

 

 

●学校現場で遭遇した、ランドセルにまつわるトラブルは?

 

先生方が学校現場で遭遇した、ランドセルにまつわるトラブルについても聞いてみました。

 

「1年生同士がすれ違う時に、ぶら下げるフック同士が絡み合って取れなくなってしまったことがある」(東京都)

 

「横のフックに給食袋や体操袋をさげて下校したところ、泊まっていた車のミラーに引っかかった子どもが。うちの学校では横には荷物をかけないように指導しています」(東京都)

 

「ランドセルが横型の子どもが今年度ひとりいました。本校のロッカーには入りましたが、ロッカーの作りが小さい学校の場合、おさまらないという問題も今後出てきそうだなと思います」(三重県)

 

ランドセル横のフックにまつわるトラブルは多くの先生があげており、実際に子どもがランドセルを使う際は、気をつけたほうがよさそうですね。

 

 

●みんなランドセルに愛着あり。ランドセルをデッサンする学校も

 

最後に、こんなランドセルにまつわるエピソードをご紹介。

 

「先日トルコからやってきた男児は、男の子だけど真っ赤なランドセルを背負っていました。でも、ランドセルが多様化しているからか、誰ひとり『男の子なのに赤いランドセル!』などからかうこともなく、時代は変わったなぁと他の先生とも話していました」(三重県)

 

「自分のランドセルを大切に使っている子どもが多いです。本校では、毎年6年生の3学期に、それまでのお礼の気持ちを込めて、ランドセルをデッサンする授業が行われます。買ってくれた両親や祖父母に対する思いを感じている子どもが多いようです」(東京都)

 

さまざまないい点、気になる点がありつつも、多くの先生から「背負って両手をあけることができて、中身もしっかり保護してくれるバッグは他にはなかなかない」(神奈川県)と、ランドセルを支持する声が多数。今後も、小学生の登下校に欠かせない存在であることは間違いなさそうです。

 

(取材・執筆:野々山幸)

(SPONSORED BY ENJOY!ランドセル運営委員会)

 

 


関連記事はこちら

★連載「年長ママ必見!2018年ランドセル特集」

虫やクラゲに刺された! こんな時の応急処置は?

 

 

 

 

夏から秋にかけて、野外の活動で注意したいのがハチや蚊、マダニなどによる虫刺され。もし虫に刺されてしまったらどうすればいいのでしょうか? 応急処置の方法などについて佐藤皮膚科小児科クリニックの佐藤徳枝先生に伺います。

 

 

●ハチや蚊に刺されたときは、かきむしらないように注意

 

どんなに気をつけていても、自然が多い場所に行くと、虫に刺されてしまうことがあります。刺されたとき、まずどんな処置をすればいいのでしょう。

 

「夏の草むらややぶで刺されたり・かまれたりすることの多い虫は、蚊、ハチ、ブユ、マダニ、ムカデなどです。このうち、マダニ以外の虫の場合、まず刺されたり・かまれたりした部位を流水や氷で冷やすことが基本です。

 

ハチの場合は、皮膚に刺さったハリをピンセットなどで抜き、水で洗い流しながら毒を傷口から絞り出します。どの虫の場合も、かゆみが強い場合には、ステロイドが含まれる市販のかゆみ止めの薬を塗ると、早めにかゆみがおさまります」(佐藤先生)

 

いざという時のために、ピンセットやかゆみ止め、水を用意しておくと安心ですね。

 

子どもはかゆいところを無意識にかきむしってしまうため、傷口に細菌が増えて、とびひになってしまうこともあるのだとか。そのため、かきむしらないよう、子どもの様子をしっかり見守りつつ、薬などを塗って早めにかゆみがおさまるようにすることが大切だそうです。

 

また、ハチやムカデに刺されたときは、その毒によるアレルギー症状にも注意が必要。

 

「以前にもハチやムカデに刺されたことのある子は、次に刺されるとアナフィラキシーショックという、アレルギーによる全身反応が出ることもあるので、特に注意してください。しばらく状態を観察して、刺された場所が大きく腫れる、強いかゆみや痛みが出る、発熱や呼吸が荒くなるなどのショック症状が見られたら、すぐに病院に連れて行きましょう」(同)

 

 

●マダニに刺されたら、必ず病院で抜いてもらおう

 

ハチや蚊以外に、この時期に気をつけたいのがマダニ。特に西日本を中心にマダニによる感染症も増えているとか。

 

「マダニは1~5mmほどの大きさで、ノコギリ状の歯を皮膚の奥に差し込み、3~7日くらいかけて血を吸い、大きくなります。かまれても痛みやかゆみがないので、なかなか気づきません。もしマダニが肌についているのを発見したとしても、無理に自分で抜こうとするのは危険。必ず病院で取り除いてもらいましょう」(同)

 

マダニが怖いのは、マダニが持っているウイルスや細菌で感染症を引き起こすことがあるため。

 

「マダニの持つ特定のウイルスや細菌に感染すると、全身性の感染症を起こすことがあります。最近問題になっている重症熱性血小板症候群(SFTS)もそのひとつ。病気を媒介するダニは全体の数%、発症する確率は、さらにその数%とも言われているので、過度に神経質になる必要はありませんが、用心するに越したことはないでしょう」(同)

 

 

●海でクラゲに刺されたら、絶対にこすらないで

 

ところで海水浴では、虫に刺されることは少なくても、クラゲに刺されるという心配があります。

 

「クラゲの触手には毒のある刺胞があり、これにあたると痛みや水泡、ミミズ腫れが起きます。刺された時は絶対にこすらず、海水でよく洗い流し、ステロイド配合の塗り薬を塗っておきましょう。ハチ同様、以前にも刺されたことのある場合は、アレルギーによるショック症状が起きることもあるので注意してください。症状がひどいときは、迷わず受診しましょう」(同)

 

虫やクラゲといって侮らず、きちんと対策と準備をして、楽しい夏休みをお過ごしください。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

猛暑の夏、熱中症を防ぐ5つのポイント

虫刺され予防の基本は、服装と虫よけ剤の準備

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

虫刺され予防の基本は、服装と虫よけ剤の準備

 

 

キャンプやハイキングなどを楽しむ機会も多い夏。ただし、自然が豊かなところほど蚊やハチなど、有害な虫に刺される危険性は高くなります。できるだけ虫に刺されないようにするには、どうしたらいいのか、佐藤皮膚科小児科クリニックの佐藤徳枝先生に伺います。

 

 

●野外には、危険な虫がたくさん

 

夏の野外で気になるのは、蚊。公園の植え込みなど、少しでも草や木がある場所には必ず蚊がいます。刺されて痒くなるだけならまだしも、最近は、ヒトスジシマカを媒介した「デング熱」の感染も見られます。

 

「ヒトスジシマカは昼に活動するヤブ蚊の一種で、国内ではどこでも見られます。デング熱は人から人へは感染せず、生命に関わるほど重症化する確率はごくわずか。とはいえ、今のところデング熱に対して特に効果のある治療法やワクチンはないため、一番の対策は、やはりできるだけ蚊に刺されないようにすることです」(佐藤先生)

 

また、木の切り株や地中に巣を作り、夏から秋にかけて活動が活発になるハチや、かまれると全身性の感染症を引き起こす可能性もあるマダニなどにも注意をしておきたいところです。

 

 

●虫刺されを防ぐには、服装は長袖長ズボンで

 

虫刺されを防ぐために、まず大切なのは服装。自然の多い場所に行く時には、あまり肌を露出しないのが理想的です。

 

「山やキャンプ場など、周囲に木や草むらの多い場所に出かけるときは、原則として長袖と丈の長いパンツ、帽子を着用しましょう。できれば、首や足首なども靴下やタオルで覆ったほうがいいですね」(同)

 

特に、マダニなどを避けるためには、肌を露出した服装で草むらなどに入らないことが基本。また、蚊やハチなどは全般的に、黒っぽい色のものに集まる傾向があるそうなので、暗い色調の服は避けたほうがよさそうです。

 

 

●蚊を避けるためには、虫よけ剤を必ず持っていこう

 

ただ、暑い季節なので、服装だけで防ぐには無理があることも。

 

「蚊を防ぐには、市販の虫よけ剤が有効です。出かけるときには必ず持っていくようにするといいでしょう。虫よけ剤にはスプレーやシール、ジェル、ティッシュなどさまざまなタイプがあります。とくに服でカバーできない部分に使うようにしましょう」(同)

 

さらに、ハチなどは甘い香りに寄りつく習性をもつので、香りの強いものを身につけないことも大切なんだとか。

 

「香水やシャンプーなど、香りの強いものを身につけるのは避けたほうがいいでしょう。キャンプの場合は、ジュースやお菓子など、甘い食べ物を出しっぱなしにしないことも重要です。虫を呼び寄せるもとになります」(同)

 

 

●虫刺されがないか、こまめにチェックを

 

蚊やハチと違い、かまれたことに気づきにくいマダニは、いつのまにか皮膚に寄生して人間の血を吸い、大きくなります。かなり大きくなってもマダニとは気づかず、イボだと思って来院する人も多いそうです。

 

「マダニに気がついた時は、むしり取らないで、ワセリンで覆い、テープで固定して受診しましょう。ワセリンがない場合は、虫よけスプレーをかけ、ラップで覆って受診してもいいと思います」と佐藤先生。

 

帰宅後はお風呂に入って、体をきれいに洗い流すことも大切なのだとか。

 

「そのときに、皮膚についた虫がいないか、虫刺されなどがないかなど、子どもの皮膚の状態をチェックするといいですよ」(同)

 

どんなに注意しても、虫取りなどに熱中していると、子どもは草むらに平気で入っていってしまうもの。しっかり虫対策をしておきたいですね。

 

(取材・執筆 坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

猛暑の夏、熱中症を防ぐ5つのポイント

はじめての親子登山、安全に楽しむために知っておきたいこと

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

猛暑の夏、熱中症を防ぐ5つのポイント

 

 

 

お出かけの予定の多い夏休み。でも、暑さの厳しい夏は、日差しや高温、虫刺されなどの対策をしっかりしておくことが大切です。そこで佐藤皮膚科小児科クリニックの佐藤徳枝先生に夏の健康トラブルへの注意ポイントを教えてもらいました。第1回は熱中症について伺います。

 

 

●気温や湿度が高い日は、熱中症に注意!

 

夏休み中は遊園地や海、山など、1日中日差しのきつい屋外で過ごす機会も多くなります。猛暑の中、元気に走り回る子どもを見ていると、熱中症にならないかちょっと心配に。

 

「熱中症は、気温・湿度の高い環境で、体内の水分やナトリウムなどの塩分バランスがくずれたり、体温の調節機能がうまく働かなくなったりして、体に熱がこもることで起こります」と、佐藤先生。

 

熱中症になりやすい条件は

・気温が25℃以上のとき

・湿度が高い

・風が弱い

・日差しが強い

などで、これらが揃ったときほど危険なのだとか。

 

熱中症になる人の数は気温・湿度が急に上がり始め、まだ体が暑さに慣れていない梅雨明け直後から増加する傾向があります。また、気温が25℃以下でも、湿度80%以上になると汗が蒸発しにくいため、より危険性が高くなるので、曇りの日でも安心とは言えないそうです。

 

「このような環境に加え、体調不良や水分不足などの条件が揃えば、屋内でも熱中症になっても不思議ではありません。特に、子どもは体温調節機能が未熟なうえ、体が小さいために、大人よりも地表からの照り返しの影響を強く受けてしまいます。子どもは熱中症になりやすいものと考え、十分に配慮してください」(佐藤先生)

 

 

●「元気がない」「気持ち悪い」は熱中症のサインかも

 

熱中症になると、どんな症状が起きるのでしょう? 佐藤先生によると症状は、重症度によって以下の3段階に分けられるのだそうです。

 

Ⅰ度

・めまいや立ちくらみがある

・筋肉のこむら返りなどがあって、痛みを伴う

・いくらふいても、どんどん汗が出てくる

・生あくびが出る

 

Ⅱ度

・頭痛がする

・吐き気やおう吐

・体がだるくて、ぐったりする

・体温が上がる

 

Ⅲ度

・意識がなくなる、もうろうとする

・体温が高い

・けいれんする

・まっすぐに歩いたり、走ったりできない

 

とはいえ、明確に3段階で症状が出るわけではないので、該当する症状があったらすぐに対応することが大切です。

 

 

●熱中症かも…と思ったら、体を冷やして水分補給を

 

万が一、熱中症になってしまったら、どんな手当をすればいいでしょうか。

 

「体温が高くても意識があるようなら、Ⅰ度のレベル。まずは、急いで次のようなケアをしてください」(同)

 

・涼しい場所、風通しのいい場所で休ませる

・衣服をゆるめて、わきの下や首、脚の付け根などを氷や保冷剤、冷たいタオルなどで冷やす

・経口補水液などで水分・塩分を補給する

 

「多くの場合はこれで回復すると思いますが、しばらくしても回復しない場合は、医療機関へ受診しましょう。また、吐き気が強くて水分がとれない、意識がない場合は重症化のサイン。急いで病院へ連れて行きましょう」(同)

 

 

●熱中症を防ぐ5つのポイント

 

では、熱中症にならないようにするためには、出かけた時にどんなことに気をつければいいのでしょうか?

 

・出かける前日からしっかり睡眠をとる

・当日の朝はきちんと朝食を摂る

・風通しのよい服装をする

・こまめに水分を補給する

・長時間炎天下にいるのは避け、日陰でこまめに休憩する

 

水分補給については、水やお茶よりも経口補水液やスポーツドリンクなどのほうが、ミネラル分が補給できていいそうですが、糖分のとりすぎになることも。日常的な水分補給には、ミネラル麦茶などもおすすめだとか。

 

「睡眠不足で朝食を抜いて出かけたりすると、熱中症のリスクが高くなります。出かける前日はしっかり睡眠をとり、朝食をきちんと摂ってから出かけるようにしましょう。何より気温や湿度など、熱中症の条件が揃っている日には、無理をしないことが一番です」(同)

 

子どもが喜ぶからといって、無理な計画を立てないようにすることが大事なのですね。旅行などで、どうしても早朝から出かける時には、できるだけ前日に早く寝るなどを心がけたいものです。

 

(取材・執筆 坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

低体温の子が増えているのはなぜ?

夏休みの自由研究のテーマに“家族旅行”を活用してみよう!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

夏休みの海のレジャー、家族で安全に楽しむには?

 

 

夏ならではの楽しみのひとつが海水浴。毎日暑い日が続くなか、夏休みに海に行く計画立てているご家庭も多いのではないでしょうか。今回は海のレジャーを家族で安全に楽しむために気をつけたいポイントについて、「日本ライフセービング協会(JLA)」に教えていただきました。

 

 

●水難事故防止のため、海についてしっかり予習しよう

 

はじめに、海での事故の現状を教えてください。

 

「警察庁が発表した2017年の統計によると、昨年の水難による死者・行方不明者数は679人で、その約15%が海で起きています。行為別で見ると、全体では魚採りや釣りでの事故が32.3%を占め最も多いですが、中学生以下の子どもの場合、水遊び中の事故が46.2%でトップです」

 

水難事故を未然に防ぐためにできることはなんでしょうか。

 

「理想的なのは、海ならではの潮の流れや満ち引き、それによる危険などをしっかり頭に入れておくこと。今回は特に気をつけてほしいポイントを5つ、ご紹介します。

 

【1】リップカレント(離岸流)…沖に向かう水の流れ。どんどん沖に流される秒速2mくらいの速さのものもあり、多くの溺水事故の原因となっている

 

 

(イラスト提供/日本ライフセービング協会)

 

【2】サイドカレント…海岸沿いの横方向の流れ。サイドカレントがリップカレントに向かっている場合、横に流されたあと沖に流される

 

【3】逆潜流…波打ち際が急に深くなる海岸で発生する、海底に沿って沖に向かう流れ。子どもは足を取られやすい

 

 

(イラスト提供/日本ライフセービング協会)

 

【4】干潮と満潮…海の潮位が上がるのが満潮、下がるのが干潮。それぞれ1日に2回ずつ、6時間ごと交互に繰り返す

 

【5】インショアホール…砂浜の所々に波の作用などで生まれる深い穴。潮が満ちると見えなくなり、「浅瀬のはずが急に足がつかなくなる場所」になる。子どもが溺れる大きな原因のひとつ

 

 

(イラスト提供/日本ライフセービング協会)

 

たとえば離岸流なら、まずは横に泳いで離岸流から脱してから、陸に向かって泳ぐといった適切な対処法があります。こうした事前知識があれば、危険に直面したとき、より冷静に行動できるようになるのではないでしょうか」

 

 

●浮き輪やライフジャケットを着けても、油断できないのが海

 

やはり、浮き輪やライフジャケットを着けさせるべきでしょうか?

 

「浮き輪やライフジャケットは安全確保の手段のひとつですが、浮力を確保できて呼吸がしやすくなるメリットの一方で、着けていることで波や風、潮の流れの影響を受けやすくなり、進みたい方向とは違う方に流されてしまう場合があるというデメリットもあります。これがパニックにつながり、溺れの一因になることも。また、きちんと体に密着するものを選んで着用させないと、顔を覆って呼吸や泳ぎを妨げるなど、逆に事故を招いてしまうことにもなりかねません。

 

浮き輪やライフジャケットがあるからと安心してしまう保護者が多いと感じますが、それだけで“絶対安全”というものではないので、装着しても子どもから絶対に目を離さず、なるべく手の届く距離で一緒に遊泳してください。また、時には浮き輪から落ちる場合もありますから、浅く安全なところで一緒にいろいろな状況を試しておき、どんな時も落ち着いて対応できるようにしましょう」

 

 

●安全のために海水浴当日に気をつけたい3つのこと

 

海水浴当日、海に行ってから気をつけたほうがいいことを3つ教えてもらいました。

 

【1】台風や雷など天候の情報、遊泳状況をチェック

 

「まずは台風や雷の情報をしっかりチェックして、国内に接近している場合は海に近づかないようにしましょう。現地に着いてからも遊泳状況や天候をつねにチェックします。海水浴場であれば、旗の色(青=遊泳可、黄=遊泳注意、赤=遊泳禁止)で確認できます。遊泳注意の場合は理由を確認したうえで判断しましょう」

 

【2】お盆時期など、混雑時には迷子対策を

 

「海水浴客が増えると迷子も増えます。対策としては現地に着いたらパラソルや荷物などを置いた場所の目印を決めておくこと。子どもには、迷子になったらライフセーバーのところや監視本部に行くように伝え、場所も教えておきましょう。子どもの水着には名前を書いておくことや、水着の特徴をライフセーバーに伝えていただけると、早期発見につながります」

 

【3】海に入ったら陸上の目印を決めておく

 

「海に入ったら必ず遊泳エリア(赤と黄色のエリアフラッグの間、ロープで囲まれた中など)で遊びます。入ってすぐに陸上の目印を決め、流されていないかマメに確認するよう子どもに言い聞かせましょう」

 

 

ライフセーバーは救助のプロというイメージがありますが、その他にも当日の海の状況や安全に遊べる場所、離岸流などの危険な場所を教えてくれたり、迷子など困った際に助けてくれる存在だそう。ライフセーバーがいる海水浴場を行き先に選ぶことも、安全に楽しむカギになりそうですね。JLA認定ライフセーバーがいる海水浴場は以下のサイトで紹介されています。

https://jla-lifesaving.or.jp/watersafety/lifesaver/

 

 

●他にも気を付けたい! 海での危険は?

 

さらに、夏の海ならではの危険には、以下3つのことがあるそう。

 

・クラゲによる被害・砂浜を裸足で歩いてのケガ

・やけど

・日焼け/熱中症

 

「クラゲによる被害はとても多く、過去6年間で76,000件以上発生。海水浴期間はどうしてもクラゲの発生時期とかぶります。訪れた海にクラゲが発生している場合には、ラッシュガードなど体に密着した衣類を着用し、できるだけ肌の露出を抑えて海に入るようにしましょう。クラゲの発生状況は現地のライフセーバーに確認すると教えてくれますよ。

 

もし、クラゲに刺されたかな?と思ったら、痛みの度合いに関わらず、すぐに海から上がりましょう。体質等によってはアナフィラキシーショックを引き起こし、呼吸困難などの症状が発生することも。このような場合には、すぐに119番通報して救急車を呼んでください。

 

アナフィラキシーショックでなくても、痛みを軽減させるために次のような処置を行いましょう。

 1.触手をピンセット等で取り除く

 2.1で取り除けない場合は、海水で触手を洗い流す

 3.40度以上のお湯で温めるか、氷水や氷嚢等で冷やす

 

最終的には医療機関での受診をお勧めします」

 

「また、つい解放的な気分で裸足になってしまう気持ちもわかりますが、砂浜には細かいゴミやガラスの破片、木片などがあちこちに落ちています。高温の砂浜で足をヤケドするケースも多いので、サンダルは必ず履きましょう。

 

日焼けや熱中症が怖いのは、街中でも海でも同じ。特に海は、海や砂浜からの照り返しもあり、日差しを遮る場所や涼める施設が近くにありません。また、すぐに海水に入れるため、汗をかいていることに気づいていないケースが多く、脱水による熱中症にも注意が必要です。過度な日焼けはそのとき大丈夫でもあとになって皮膚がただれることもありますから、『気づいたらヤケド状態』とならないよう気を付けましょう」

 

とても楽しいけれど危険も多い海。親子でしっかり予習・準備して安全に楽しみましょう。

 

(取材・執筆:高柳涼子)

 

 


関連記事はこちら

はじめての親子登山、安全に楽しむために知っておきたいこと

海より危険!? 夏のレジャーは“河川”に注意!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

夏休みの自由研究のテーマに“家族旅行”を活用してみよう!

 

 

いよいよ始まった夏休み。小学生の夏休みの課題といえば自由研究が定番ですが、夏休み中に家族旅行の予定があるなら、旅行そのものを自由研究のテーマにするというのも一つの手。そこで今回は、『学研キッズネット』編集長の望月美香さんに、「そもそも自由研究って何のためにやるの?」という基本的なところから、低学年におすすめの家族旅行を活用した研究プランについてまでお話しを聞きました。

 

 

●自由研究は夢中になれることに出会える絶好の機会

 

そもそも自由研究にはどんな目的があるのでしょうか?

 

「日々の生活の中から“なぜ・どうして”を発見する目を養い、解決していく力を身につけるのが自由研究の狙いです。自由研究は子ども自身が『なんだか気になるな』と思ったことを、目一杯時間をかけて追求していける絶好の機会。低学年のうちはとくに“興味の持てるものと出会うこと”が一番の目的になります」(望月さん)

 

親としては、少しでも科目の勉強に役立つものを…と考えてしまいます。たとえば、「草花を観察して構造を理解する」とか、「水道の水がどこから来ているのか、水道局に見学に行く」とか…。

 

「高学年なら、授業をきっかけに興味を持ったものを研究するというのも一つの手ですが、低学年のうちはそこまで意識する必要はないと思います。河原に落ちている石を拾ってきて『これは重しに使えそう』『これはキレイなので飾りにできそう』と思ったことをまとめる、というのでも十分。大事なのは“子ども自身が興味があること”について、自分で考えて、その考えを形にするということですから」(同)

 

自分で考える力、発信する力が教育現場で重視されている昨今、自由研究は子どもの個性を生かして考える力・発信する力を伸ばすのに、ぴったりの課題といえそうです。

 

「うちの子、何にも興味がなくて…」という場合はどうしたら良いのでしょうか。

 

「自分の好きなものがピンときていない子には、親がテーマとの出会いをサポートしてあげましょう。公園で草花や昆虫を一緒に探してみたり、旅行に連れて行っていろいろなものを見せてあげたり…。子どもの周囲に発見の種をさりげなくまいて、興味の対象と出会う場を提供してあげてください」(同)

 

好きなもの、夢中になれるものと出会うためにも、日頃からたくさんの経験をさせてあげたいですね。

 

 

●家族旅行には自由研究のテーマがいっぱい

 

「子どもの自由研究のサポートに、そこまで時間を割けない… 」という場合、夏休みの家族旅行を活用する手もあります。というのも、旅行は自由研究のテーマとしてもぴったりなんだとか。

 

「たとえばキャンプは自由研究の宝庫です。植物や昆虫も発見できますし、火のおこし方や、料理の作り方、夜空の観察など、すべてが研究対象になりますよね。火おこしや料理を子どもが体験する場合、親が記録写真を撮っておいてあげると、あとで子どもがまとめやすいですよ。

 

また、旅先で子どもに写真係を任せて、気になったものを自由に撮ってもらうのもおもしろいと思います。ものごとをじっくり見るきっかけになりますし、撮った写真の傾向を見て、わが子の意外な一面を知る、なんてこともあるかもしれません。撮った写真を使って旅の行程をまとめれば、立派な自由研究ができますよ」(同)

 

 

●はじめる前に「自由研究の完成形 」を見せておくとスムーズ

 

「いざまとめるときに材料が全然ない…!」という事態を防ぐため、旅行前に、研究をどんな形にまとめたいのか、親子で完成形をイメージしておくといいそうです。

 

「完成形がある程度見えていれば、どんな写真が必要か、どういう手順で進めたらいいのかなど考えて挑むことができます。壁に貼り出せるように模造紙にまとめたり、スケッチブックを使って冊子のようにしたり、アルバムに写真や記事を挟んだりと、まとめ方はいろいろ。旅先でパンフレットなどをもらっておけば、イラストや地図を切り貼りして使うこともできますよ」(同)

 

一年生の場合、子も親もはじめての自由研究。この時期は本やインターネットにもたくさんの「自由研究の作例」が出ているので、親子でいろいろ眺めておくといいかもしれません。

(参考:学研キッズネット『夏休み! 自由研究プロジェクト』

 

また、旅先で得た新鮮な記憶は、早くアウトプットしないと時間とともに色あせてしまいます。旅行から帰ったらすぐに作成に取り掛かるようにしたいですね。

 

 

●「家族旅行=旅行記」だけじゃない! 研究の切り口はいろいろ

 

家族旅行をテーマにした自由研究は、旅行記としてまとめるだけが切り口ではありません。家族旅行を活用した様々な研究のアイデアをご紹介します。

 

・旅先で出会った好きなものを追求する

「魚が好きだから、現地の朝市の様子をレポートする」「乗り物が好きだから、現地までの交通手段をシミュレーションして、実際どれで行ったのか、なぜそれを選んだのかなどをレポートする」など、子どもの興味と旅行をうまく絡めてみましょう。

 

・旅行の思い出をすごろくにする

旅行の行程をすごろく風にまとめます。自宅からスタートして、立ち寄った場所や印象に残ったものなどをコマにして書き込みます。写真を貼ったりしてカラフルに仕上げてみましょう。

 

・祖父母にインタビューする

「お盆の帰省=家族旅行」としている家庭なら、祖父母の家で昔はどんな遊びをしていたのか、どんな食べ物があったのかなど、昔の生活をインタビューしてまとめてみましょう。昔の写真や思い出の品を見せてもらえれば、ますます話も弾みそうです。

 

・旅先のスーパーを探検する

旅先のスーパーに行って、置いてある商品にどんな違いがあるのか調べてみましょう。その土地ならではの食材やおそうざい、お盆の飾りなど、地方によって違いがあることに気づくかも。

 

・旅先で拾ったもので工作する

海に行ったら貝殻やシーグラスを、山に行ったら木の実や枝を拾って、フォトフレームなどにデコレーションしてみましょう。拾ってきた貝殻や石の名前を図鑑で調べて発表するのもおもしろそうです。

 

家族旅行を活用して、自由研究にも思い出をいっぱい詰めこみたいですね。

『学研キッズネット』には、ほかにも自由研究に役立つ情報がたくさん紹介されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

 

 


関連記事はこちら

小1の自由研究。親のサポートはどこまで必要?

小1の夏休み、はじめての自由研究のヒントが得られる本

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

この評価、どう受け止めたらいい? 小1初めての通知表

 

 

親も子どもも待ちに待った? 初めての通知表。ただ、思っていたより項目も少ないし、いまいち見方がよく分からないという方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、現役小学校教諭の舟山由美子先生に、小1でもらう通知表の特徴と、評価の受け止め方ついて伺いました。

 

 

●1年生の1学期は「よい/がんばりましょう」の2段階評価

 

通知表の評価項目は学校ごと、あるいは自治体ごとに形式が違います。舟山先生の勤務先の通知表の場合は、以下の3つの項目があるそう。

 

1 学習の評価

「国語・算数・生活科・体育・図工・音楽の教科ごとに、《絶対評価※》によって、『たいへんよい/よい/がんばりましょう』のいずれかにチェックがつきます。

 

ただし多くの学校で、1年生の1学期だけは、各教科とも『よい/がんばりましょう』の2段階評価になります。初めて見ると、なぜうちの子には『たいへんよい』がないのだろうと、あせってしまう人もいるかもしれませんね。また、1学期は教科への評価ではなく、『関心・意欲・態度』だけを評価する学校もあります」(舟山先生)

 

※ 指導目標をもとに設定された基準で評価すること

 

2 生活の評価

「あいさつをしっかりとしているか、身の回りの整理整頓ができているか、何事にも一所懸命取り組んでいるか、忘れ物をしないか、給食やそうじなどの当番の仕事をしっかりしているか、友だちと協力して仲よく過ごしているかといった項目があり、それぞれ『できる/もうひとがんばり』の2段階で評価されるところが多いようです」(同)

 

3 担任からの「所見欄」

「いわゆる、先生からの言葉です。1人わずか5行から10行くらいの欄に、びっしりと今学期をまとめる言葉が入ります。文字通り、先生がわが子をどのように見ているのかを知ることができる欄であり、ほとんどの先生は、この「所見欄」に多くのエネルギーをさきます。それだけ家庭に伝えたい、見てもらいたいという思いがあるからと言っていいでしょう」(同)

 

このほかに出欠の欄、自治体によっては英語の評価欄などが入るところもあるそうです。

 

「なお、3学期制の学校の場合は夏休み前に1学期の通知表が出ますが、前・後期制(2期制)の学校では、10月に初めての通知表が出ます」(同)

 

 

●1学期をがんばった子どもをほめよう

 

親としては、通知表=学習成績というイメージにとらわれがちですが、1年生の1学期の場合、見るべきポイントは他にあるそう。

 

「1学期は学習成績よりも、学校に慣れたか、授業や学校生活にまじめに取り組んでいるかなど、学校生活のスタートがうまくいっているかを知ることが、通知表の主目的といっていいでしょう。まずは、通知表をもらってきたら、1学期を無事に終えたことについて『よくがんばったね』と、子どもをほめてあげましょう。

 

そのうえで、もしも学習面で『がんばりましょう』の項目にチェックがついた教科があったら、それはなぜなのか、子どものせいにするのではなく、親の仕事として理由を考えてみましょう。多くの場合、その教科の授業に集中できない理由があると考えられます」(同)

 

さらに、生活面で「忘れ物がある」「当番の仕事をしない」などにチェックがあったら、それについても、その評価をゴールではなくスタートととらえて、どうしたら改善できるのか、親子で考えるきっかけにするとよいそうです。

 

 

●疑問に思ったことは、遠慮せずに相談を

 

先生からの「所見欄」について、書かれてある内容によっては「先生はうちの子を正しく評価していない」と思う人もいるかもしれません。これについて舟山先生は、こう言います。

 

「教師からの評価とは、ビルの窓から中をうかがう作業の結果のようなものだと思います。この場合の『ビル』の建物は、子どものこと。その中を知りたくても入ることはできず、窓からのぞくしかありません。どんなに目をこらしても、見えない部分が必ずあり、窓から見える程度しか『評価』できないのです。つまり、『評価』とはそれぐらいのもどかしさがあるということ。ただし、たくさんの死角があるのに、そこが見えたということは、それがある意味、1つの真実であるともいえますよね」(同)

 

もし、通知表について疑問に思ったことがあったら、どうしたらいいのでしょう?

 

「その場合は遠慮せず、ぜひ先生に尋ねてください。それはクレームという形ではなく、その子についての保護者と教師、双方の意見をすりあわせるということです。夏休み前の個人面談などは、すりあわせ機会を学校が作っているということもできます。もし個人面談が設定されていなくても、学校は基本的にいつでも保護者との面談をします(ただし日程の調整は必要)。質問や疑問をそのままにせず、子どもの『次』につなげていきましょう」(同)

 

評価を気にするよりも、入学からがんばってきた子どもをほめるという言葉にハッとさせられました。苦手なことがあったら、夏休みに少しずつ克服できるように、子どもと目標を立てていくのもよいかもしれませんね。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


関連記事はこちら

夏休みの宿題、親の上手な関わり方4つのポイント

小1夏休み後の授業、大きく変わるポイントは?

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

モンダミンキッズと虫よけローションをセットで5名様に

 

 

●寝る前の歯磨きが“いちばん大事”な、そのワケとは?

 

「寝る前に歯磨きをしなさい!」と毎晩のように声を大にしている親御さんも少なくないと思います。でも、どうして寝る前が大事なのでしょう。次の食事までの間隔が、いちばん長いから? いえいえ、実はその理由は「唾液」にあるのです。

 

最近は歯科検診などで「唾液がよく出る良い口だね」と褒められることもあると言いますが、口内環境を整える上で、唾液の担う役割は重大。一例を挙げると、

 

・殺菌&抗菌作用

・むし歯菌が出した“酸”を中和し、口内のpHバランスを整える

・唾液に含まれるカルシウムやリンが、溶けたエナメル質を補修する

・口の中を洗い流す

 

などなど…。これだけ見ても、唾液の多い・少ないが虫歯に影響するというのが実感できますが、夜は、そんな大事な唾液の分泌がほとんどなくなってしまうのです!

 

 

●小学校低学年でも、夜は必ず大人が仕上げ磨きを

 

唾液の分泌がほとんどなくなる夜は、虫歯菌にとっては邪魔者がいなくなる最高の時間。だから、寝る前は十分に歯磨きをして、虫歯菌のエサとなる食べかすや糖分をしっかり除去する必要があるのです。

 

小学生になると「歯磨きも自分でできるかな?」と思ってしまいがちですが、実はまだまだ磨き残しがあるもの。寝る前だけでも、親が仕上げ磨きをしてあげましょう。とくに、永久歯よりも虫歯になりやすい乳歯や、上下の奥歯4本、上の前歯、歯と歯の隙間は念入りに。

 

大人でも難しい奥歯や歯の隙間の虫歯ケアには、子ども向け洗口液を活用するのもひとつの手。「お口クチュクチュ」でおなじみのモンダミンの子ども向け洗口液は「いちご味」と「ぶどう味」。アルコール不使用で刺激も少ないので、楽しく「クチュクチュ」虫歯予防ができますよ。

 

・使用方法…日常の歯磨きに加え、約10mLを口に含んで、20~30秒程すすいでからはき出します。使用後、水ですすぐ必要はありません。キャップが計量カップになっています。

 

 

●アンケートに答えて、モンダミンキッズをもらおう!

 

子どもの歯のケアについて、ぜひご意見をお寄せください。

 

アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に、「モンダミンキッズ」と、新発売の“お肌のキレイを守る”スキンケア発想の虫よけローション「アース サラテクト&moist 150mL」をセットにしてプレゼントいたします。

 

 

応募は終了いたしました

 

 

応募締切:2018年9月30日(日) ※発送をもって発表に代えさせていただきます

 

***************

 

「モンダミンKid’s ぶどう味 250ml」

洗口液/医薬部外品

250ml、381円+税

★商品情報はこちら

 

「アース サラテクト&moist 150mL」

虫よけローション/防除用医薬部外品

150ml、469円+税

★商品情報はこちら

 

 


 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

夏休みのお昼ごはん問題をどうする? お弁当作りのコツとおすすめ麺料理

 

 

夏休みが始まってママたちの頭を悩ませるのは、子どものお昼ごはん問題。学童に通っている子どもはお弁当が必要になりますし、家庭で過ごす子も、毎日違ったメニューを考えるのは大変。長い夏休みの間、3食しっかり作らなくては!と意気込むと、早々に息切れしてしまいそうです。簡単にできて満足感のあるお昼ごはんを用意するには? またこの時期気になるお弁当の食中毒対策は? キッコーマンのメニュー開発グループの中野琴恵さんにお話を聞きました。

 

 

●暑い時期のお弁当作り。食中毒対策で注意するべきこと

 

 

 

 

夏休みの間はお弁当持参の学童が多いですが、この時期に気になるのが食中毒。暑い時期はお弁当が傷んでしまわないか心配です。お弁当を傷みにくくするための工夫を教えてください。

 

「お弁当は作ってから食べるまで時間があくため菌が増殖しやすく、調理方法や保管状態が悪いと食中毒を起こす可能性があります。湿気が多くて気温が高い今の時期はとくに、調理時に菌が入り込まないように注意が必要です。調理前によく手を洗うのはもちろん、料理は素手で触らず、箸を使って盛り付けることを徹底しましょう。おにぎりも素手ではなくラップを使って握ります」(中野さん、以下同)

 

料理を入れる前にお酢を付けたキッチンペーパーでお弁当箱を拭いたり、抗菌シートを使用するのもいいそうです。また菌の増殖を防ぐためには、菌が好む温度と水分を避けることも大切なのだとか。

 

「食材に水分が残っていると菌が増殖しやすいので、ゆでブロッコリーの水分等はキッチンペーパーで吸い取るなどして、食材の水分をできるだけ取り除いてから詰めましょう。カットした生のトマトやキュウリなど、時間が経つと水分が出てくる食材、レタスなどの生野菜は避けたほうがいいですね。ミニトマトを入れる場合も、洗ったらよく水分を拭いて入れましょう。ミニトマトのヘタには雑菌がついていることがあるので、必ずヘタを取ってから入れることも大切です。また、お弁当が温かいうちに蓋をしてしまうと湯気で水分が発生しますし、菌が増殖しやすい温度帯が長く続くので、必ずおかずやごはんは冷めてから詰めるようにしてください」

 

お弁当を傷みにくくするためには、菌を入れない、増やさないことが大切なんですね。お弁当の保管には保冷剤や保冷バッグを活用して、できるだけ涼しいところに置いておくように子どもにも教えておきたいですね。

 

 

●学童のお弁当作りに活用したい、便利なメニュー専用調味料

 

 

 

 

お弁当を傷みにくくするためには、しっかり火を通して、濃いめの味付けにしておくことも大事だそうです。そのため、揚げ物やとろみのついた炒め物はおすすめなのだとか。とはいえ、仕事に出かける前の忙しい朝に、毎日手の込んだお弁当を用意するのは大変ですよね。お弁当作りを楽にしてくれる商品として、手軽におかずを作れるメニュー専用調味料の活用を教えてくれました。

 

「全てのおかずを一から全部作るのは無理だけど、冷凍食品を詰めただけのお弁当も寂しい…という人におすすめしたいのが、弊社のメニュー専用調味料『うちのごはんシリーズ』です。食材を炒めたり混ぜたりするだけの簡単な工程で、手軽に作れますし、冷めてもおいしいのでお弁当にぴったりなんです」

 

メインのおかずだけでなく、副菜も簡単に作れるので、忙しい朝のお弁当作りを助けてくれそうです。また、暑い季節でなければ、『うちのごはん 混ぜごはんの素』シリーズを使って、彩りや味のバリエーションをつけるのもおすすめだそう。

 

 

お弁当に便利な副菜のシリーズも種類豊富

 

 

●自宅でのお昼ごはんに便利な麺料理、1皿で栄養バランスを

 

自宅で過ごす夏休みのお昼ごはんは、簡単に作れる麺料理が増えますよね。とはいえ、毎日冷たいそうめんでも飽きますし、たんぱく質や野菜が不足しがちになるのが心配です。手軽に作れて栄養バランスもいい麺料理を作るコツを教えてください。

 

「麺料理は手軽なイメージがありますが、麺をゆでて、色々な具をそろえて一から調理すると結局面倒ですよね? そんな時には、栄養バランスの良い炒め物を作って、それを麺の上にかけるだけでいいですよ。こちらも『うちのごはんシリーズ』を使えば、味付けが手軽で時短になります。麺は熱い湯を沸かさなくても、フライパンや電子レンジで手軽に調理するのがおすすめです」

 

今回は、『うちのごはんシリーズ』を使い、麺を茹でずに作れる子どもにも人気の麺メニューを3つ教えてもらいました。

 

 

◆魚介と白菜のあんかけ焼きそば(調理時間15分 )

 

 

(画像提供:キッコーマン)

 

「野菜だしのうま味が効いた魚介と白菜のうま煮を焼きそばにのせました。1皿でたんぱく質も野菜も炭水化物も摂れるボリュームメニューです。中華麺をほぐさず塊のままフライパンに焼き付けてうま煮をあんとしてかけるだけ。香ばしいかた焼きそばととろみがマッチした人気のメニューです。冷凍のシーフードミックスを使えば、手軽に作れますよ」

 

【材料(2人分)】

中華めん(蒸し) 2玉

白菜 1/8株(約350g) ※ひと口大に切る

シーフードミックス(冷凍) 150g ※解凍する

キッコーマンうちのごはん 白菜のうま煮 1袋

サラダ油 大さじ3

 

 

 

 

【作り方】

① フライパンに油大さじ2を熱し、中華めんを入れ、片面中火2~3分ずつこんがり焼いて 油を切って器に盛る。

② 同じフライパンに油大さじ1を熱し、白菜と解凍したシーフードミックスを中火で3〜4分間ほど炒める。

③ そうざいの具、特製しょうゆを加えて、約1分間炒めながら全体に絡める。

④ ①の麺の上に③を盛りつける。

 

 

◆すきやきうどん(調理時間10分 )

 

 

(画像提供:キッコーマン)

 

「うちのごはんシリーズの中でもいちばん人気の商品『うちのごはん すきやき肉豆腐』を使ってすき焼きうどんの出来あがり。子どもに大人気の甘辛しょうゆ味で食べやすいと思います。カット野菜を使うと、包丁いらずで、より簡単に作れます」

 

【材料(2人分 )】

うどん(冷凍) 2玉(400g)

豚ばら薄切り肉  100g ※5cm長さに切る

ねぎ 1/2本 ※斜め薄切り

キッコーマンうちのごはん すきやき肉豆腐 1袋

サラダ油 大さじ1

紅しょうが 適量

 

 

 

 

【作り方】

① 冷凍うどんは表示通り電子レンジで加熱して、冷水でしめておく。

② フライパンに油を熱し、豚肉、ねぎを炒める。

③ ②に①のうどんを入れ、そうざいの具、特製しょうゆを加え、中火で約1分間炒めながら全体に絡ませる。

④ 器に盛りつけ、お好みで紅しょうがを添える。

 

 

◆なすみそジャージャー麺(調理時間 15 分 )

 

 

(画像提供:キッコーマン)

 

「炒めた中華麺に『うちのごはん なすの肉みそ炒め』をのせれば、ジャージャー麺風のメニューの出来上がり。フライパンひとつで簡単に作れます。なすはサイコロ状に切って食べやすく。麺はごま油で炒めて風味をアップ。味がしっかり付いているのでナスが苦手な子でも食べやすいと好評です」

 

【材料(2人分)】

中華めん(蒸し)  2玉

ごま油 大さじ1/2

水 大さじ2

なす 3本(200g) ※ヘタを落とし、1cmの角切り

キッコーマンうちのごはん なすの肉みそ炒め 1袋

サラダ油 大さじ2

きゅうり 1/2本 ※5cm長さの細切り

ねぎ 5cm ※細切り、芯はみじん切り

 

 

 

 

【作り方】

① フライパンにごま油を熱し、中華めんを炒め、水を加えて更に炒め皿に盛りつけておく。

② 同じフライパンにサラダ油を熱し、中火でなすとねぎの芯を炒め、なすがしんなりしてきたら 弱火にし、そうざいの具、特製味噌だれを加え、炒めながら全体にからませる。

③ ①に②をかけて、きゅうりとねぎを盛りつける。

 

炒めたものをのっけるだけという手軽さで、麺料理のレパートリーが増えそうです。夏休みのお昼ご飯は、手間をかけずにおいしく楽しく乗り切りたいですね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

(SPONSORED BY キッコーマン)

 

 

はじめての親子登山、安全に楽しむために知っておきたいこと

 

 

爽やかな風や緑が心地よい夏の山。夏休みも始まり、今年は登山に挑戦したいと思っている親御さんもいるのではないでしょうか。そこで今回は、親子ハイキング講座などを主催するアウトドアユニット「外あそびtete」の東麻吏さんに、親子での山遊びデビューの心得や、夏山ならではの注意点などを教えていただきました。

 

 

●親子で山遊び、何歳から、どんな山に行く?

 

まず、親子での山遊びにはどんなメリットがあるのでしょうか?

 

「公園とは違う、ありのままの自然が味わえることが一番のメリットですね。足元ひとつとっても、登山道は道路のようには整地されておらず、ボコボコしています。子どもは全身を使って不整地を歩くことになり、日常生活ではなかなか鍛えられないバランス感覚や筋力、平衡感覚などを養うことができます。

 

子どもは慣れてくると『あの窪みはつまずきそう』、『木の根が盛り上がっているから注意!』など、危険な場所を判断する力がついていきます。また、親は自然の中に身を置くことで解放感が得られ、家にいるときに比べて些細な注意が減るなど、接し方に変化が出ます。親の心の状態は子どもにもいい影響として伝わります」(東さん)

 

東さんによると、最近は子連れ登山をする人も増えているそう。デビューの目安は何歳ごろでしょうか?

 

「行き先にもよりますが、急な上りや下りがなく、大人の足で1時間〜1時間半くらいのコースなら、2歳半くらいから楽しめますよ。大きくなってからだと親の方が子どものパワーに負けてしまうこともあるので、親子登山で親も体力アップという意味でも、就学前後はいいタイミングですね。

 

生後6カ月程度(腰がすわった頃)から、子どもが15kgくらいまで使えるベビーキャリアもあるので、下のきょうだいと一緒に行くことも可能です」(同)

 

では、行き先はどのように選んだらよいのでしょうか?

 

「最初は、関東近郊であれば高尾山(東京都・標高599m)、筑波山(茨城県・標高877m)など有名なところがおすすめです。有名な山は、トイレや案内板などの設備がしっかりしている、人が多いので道に迷いにくいなどのメリットがあります。

 

また、山頂近くまでゴンドラで行けて、きちんと整備されている入笠山(長野県・標高1955m)のような場所なら、標高が高めでも安心です」(同)

 

 

●スケジュールづくりや持ちものなど、出かける前の準備は?

 

登山は、行き先選びと並んで「スケジュールづくりが大切」と東さんは続けます。

 

「暗くならないうちに下山するのが基本なので、夏でも15時までには下山できるように予定を組みましょう。親子登山の所要時間は大人の2倍が目安。大人で片道1時間の行程なら、片道2時間+お昼休憩1時間=5時間かかると考えます。 9時に登山開始して14時に下山、休憩が増えたりちょっとしたトラブルがあったりしても15時ころまでに下山できる…というイメージです。現地までの交通手段や所要時間も調べ、その日全体のスケジュールを組み立てます。日帰りが難しそうな場合は前泊も検討するといいですね」(同)

 

親のほうも初心者の場合、経験者と一緒に行くべきでしょうか?

 

「きちんと準備すれば家族だけでも大丈夫ですが、心配な場合は経験者の親子と一緒に行けると安心です。また、現地の個人ガイドに頼んだり、アウトドアメーカー主催のイベントに参加するなどの方法もあります。ガイドと歩くと、スケジュールづくりをお任せできるだけでなく、現地の自然について教えてもらえるなどのメリットがあります」(同)

 

必ず準備しておきたい装備や、持ちものはありますか?

 

「紙の地図とファーストエイドキット、ヘッドランプ、防寒具、しっかりした雨具は基本です。万が一のために携帯電話用の充電池も忘れずに持っていきます。飲用とは別に真水も準備すると、手や傷の洗浄などにも使えて便利です。また、万が一はぐれてしまった場合を想定し、ひと晩過ごせる程度の水や食料、防寒具は子どものリュックにも入れ、使い方も教えておきましょう。

 

服装はこまめに調節できる重ね着が基本ですが、汗冷えで体調を崩してしまわないよう吸汗速乾素材の下着やTシャツがとても大切です。足もとは行き先によってスニーカーからトレッキングシューズまで、向いているものを選びましょう。親はトレッキングシューズがやはりおすすめ。疲れ方が全然違うので、子どもをケアできる余裕ができます」(同)

 

これらの持ち物・装備はアウトドアショップでひと通り揃うとのこと。値段が高ければいいというわけではないので、行き先や目的を伝えてお店の人に相談してみるといいそうです。子どもがいるスタッフや、親子登山に同行した経験を持つスタッフならより親身になって教えてくれそうですね。

 

 

●登山当日。子どもを危険から守るためにできることは?

 

いよいよ登山当日。現地ではどのような注意点があるのでしょうか?

 

・情報収集はマメに、判断は冷静に

「天候や体調チェックはマメにしましょう。不安要素がある場合は潔く登らない、登山途中も、雷などの不安要素が出たらすぐに下山を始めるといった勇気も大切です。『せっかくここまで来たのに』『あと少しだから』という気持ちを抑えた冷静な判断ができるかどうかが明暗を分ける場合もあります」(同)

 

・手の届くところを歩かせる

「子どもは楽しくて先に行きたがりますが、大人の手の届くところにいるように言い聞かせて。滑落などを防ぐためにとても大切なので、多少年齢が上がっても同じです」(同)

 

・予備知識を持たせてパニックを防ぐ

「自然との接し方や緊急時の対応なども話しておきましょう。『ハチが近づいてきてもこちらが何もしなければ攻撃してこない』『緊急時の笛は1回でなく、長く3回吹くことで気づいてもらいやすい』といったことを知っておくだけでもパニックは防げます」(同)

 

最後に、夏山ならではの注意点はありますか?

 

「熱中症対策がとくに大切です。塩飴や水、お茶、スポーツドリンクなどで塩分と水分をこまめに補給しましょう。喉が乾いてから飲むのでは遅く、また一気に飲むとトイレが近くなるので、『15分ごと』などと決めて、ひと口かふた口ずつ飲むようにして。子どもだけでなく親も同じです! また、汗が乾かないと冷えてしまうので、先に挙げた吸汗速乾の下着は必須。子どもはマメに着替えさせてもよいですね」(同)

 

親も初心者の場合、なかなかハードルが高い親子登山ですが、きっとほかにはない感動が得られるはず。正しい情報と知識を持って安全に楽しみたいですね。

 

(取材・執筆:高柳涼子)

 

 


関連記事はこちら

蚊、ハチ、ダニetc.虫に刺されたときの応急処置

海より危険!? 夏のレジャーは“河川”に注意!

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓

海より危険!? 夏のレジャーは“河川”に注意!

 

 

夏休みは、カヌーでの川下りや湖でのボート遊びなど、河川や湖沼でのレジャーも楽しい季節ですよね。また、キャンプやバーベキューを兼ねての川遊びを楽しむ機会も多いのではないでしょうか。

 

しかし、意外と怖い川での水難事故。実際、毎年のように子どもの痛ましい事故が起きています。そこで今回は水難事故の研究や安全のための情報提供などを行う「河川財団・子どもの水辺サポートセンター」の菅原一成さんに、川でのレジャーを安全に楽しむための注意点を教えていただきました。

 

 

●実は海より多い! 川での子どもの水難事故

 

まず、子どもの水難事故の傾向を教えてください。

 

「厚生労働省統計による、子どもの不慮の事故死の原因をみると、ほとんどの年齢で“交通事故”に次ぐ2位が“屋外での溺水”です。警察庁統計でも子どもの水難死亡事故の発生場所は河川・湖沼池が約6割を占め、海の2倍以上にのぼります。

 

特に、大都市や中核都市から行きやすく、川遊びやバーベキューができる広い河原のある中流域で7~8月に多く発生していることから、家族やグループで夏のレジャーに出かけた際に気軽に川に入り、事故が起きるケースも多いと考えられます」(菅原さん)

 

まさにいまの時期ですね。どのような状況で多く発生しているのでしょうか。

 

「圧倒的に午後が多く、14~15時がピークです。暑さや疲れ、昼食後の眠気、大人なら飲酒の影響などが考えられます。また、実は単独行動よりグループ行動、子どもだけのグループより大人を含むグループのほうが事故は多数。『複数だから安心、大人と一緒だから大丈夫』などと考えず、どんな場合も安全管理を徹底することが大切です」(同)

 

 

●陸上から見るよりも、川の中には強い流れがある

 

子どもと川辺に出かける際に、気をつけたいポイントはどんなことでしょうか。

 

「まず、『川には流れがある』というのが一番のポイントです。さらにこの流れは、護岸や橋、堰(せき)といった人工の工作物や、川周りの地形などによって複雑に変化します。川底に引っ張られるような流れや、上流方向に循環する強い流れは特に危ないのですが、怖いのは、これらが陸上からわかりにくいことです。

 

 

↑川幅が急に変わる場所の境目などに下向きの強い流れが生じることも

 

また、流れは想像以上に強い動水圧(水平方向に働く水圧)を生み出します。たとえば、歩ける深さで大人の歩く速さ程度の流れでも、いったん足が川底の石などに挟まり固定されてしまうと、流れに押し倒され、顔を水中から出すのも困難となることがあります」(同)

 

 

●低体温症や雷雨など、夏に注意したいポイント

 

また、夏ならではの注意点も教えていただきました。

 

「上流での雨やダムの放流などによる増水には季節を問わず注意が必要ですが、夏に多い雷雨などの場合はより急激に水かさが増します。川遊びの予定があるなら、国土交通省がリアルタイムで提供している『川の防災情報』等のサイトで確認しましょう。他にも、遊んでいる間に雷の音が遠くに聞こえたり、上流の方に雨雲が見えたら、川辺から撤収を。葉っぱやゴミなどの流水物が多い、水温が急に低くなったなども増水の前兆です。

 

また、夏の暑い日でも注意したいのが低体温症です。水の中は陸上の20倍以上も熱が伝わりやすく、特に川では、流れによって急激に体温を奪われることもあります」(同)

 

 

●“溺れない”ための準備が一番の事故防止

 

万が一子どもが流されたり溺れたりした場合、どのように助けたらよいのでしょうか。

 

「救助方法には危険度別に6つのレベルがあり、安全なほうから

 

1)声をかけて誘導する

2)棒や釣り竿などの長いものを差し伸べる

3)ロープやペットボトルなどの浮くものを投げる

4)ボートやカヌーなどで近づく

5)川の中を泳いで近づく

6)遭難した人を引っ張って泳いで戻る

 

となります。ただし、水の中に入る(4)以降は、事故の状況によっては、訓練を積んだ人が高性能のライフジャケットを着用した状態でなんとか成功するレベル。溺れている人を助けようとして流されたり、溺れたりする『二次災害』も、救助活動全体の約15%で起きています。しかも、二次災害の被災者は一時災害の被災者より重篤となるケースが多く、一次災害の倍以上である約80%が死亡・行方不明という痛ましい調査結果もありますから、周囲の状況をしっかり確認して、できるだけ水に入らずに助ける方法を考えてください」(同)

 

とはいえ、目の前で事故が起きたときに冷静な判断は難しいもの。

 

「危険な状況を作らないことが一番です。川の事故は流れがあるため、短時間で命に関わる状況に陥るうえに、助けるのも困難。そこで皆さんに必ず着けていただきたいのがライフジャケットです。着けていれば常に頭が水面上に出て呼吸ができるので、万が一の際も見つけてもらいやすく、救助までの時間も稼げます。着用した子どもが助かって未着用の親が亡くなった例もありますので、大人も必須です。

 

キャンプなどの場合、大人が料理やテントの準備をしている近くで、子どもだけで遊ぶ場面もあるのではないでしょうか。実際に水に足を入れていなくても、川岸ですべったり草地の切れ目に気づかなかったりして川に落ちるリスクもあるので、川に近づくタイミングで着けておいてあげると安心です」(同)

 

 

●ライフジャケットは年齢と体格に合ったものを選ぼう

 

ライフジャケットはどのように選べばよいのでしょうか?

 

「年齢や体格に見合った浮力があるものを選びましょう。頭を出すことが一番の目的なので、頭の重さ以上の浮力が必要です。具体的には子どもで4kg、大人で7.5kgの浮力が一つの目安です。

 

また、ベルトなどで体にフィットさせるタイプかどうかも重要。子ども用は股下ベルトがあるとさらに脱げにくくなります。船などに積んである緊急用の『救命胴衣』は脱ぎ着しやすいようにベルトなども最低限ですが、それだと流れのある川ではすぐ脱げてしまうので不向きです。

 

『NPO川に遊ぶ体験活動協議会(RAC)』や『日本小型船舶検査機構(JCI)』などに川遊び用やレジャー用として認定された製品なら性能面も安心。一般的なライフジャケットは物によってはホームセンターやインターネットでも2,000円~3,000円台で買え、きちんと保管すれば何年も使えます」(同)

 

 

↑子供用ライフジャケットは股下ベルトがあるとベター

 

その他、川遊びにおすすめの装備はありますか?

 

「川の中では石や釣り針などでケガをする心配もありますので、足も守りたいもの。濡れてもよい運動靴か、『アクアシューズ』や『スポーツサンダル』などの名称で売られている、かかとが固定できて足裏にすべり止めがついた履物を選びましょう。ビーチサンダルは脱げやすく事故に繋がるのでNGです。スポーツ用の速乾性衣類や水抜きの穴がついたヘルメットなども、あればさらに安心です」(同)

 

意外な危険も多い川ですが、正しい知識と装備でリスクは大幅に減らせそうです。身近な存在だからこそ安全に楽しみたいですね。

 

(取材・執筆:高柳涼子)

 

 


関連記事はこちら

スイミングスクールの「短期教室」って、どんなことを教えてくれるの?

蚊、ハチ、ダニetc.虫に刺されたときの応急処置

 

 

毎週木曜にメルマガ発信中!

ご登録はこちらから↓

mailcp

 

ツイッターもやっています!

フォローはこちらから↓