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学校・まなび
小学1年生 2014年5月20日の記事
家庭で「生活科」を教えることってできる? そのポイントは? [5/20]
《生活科ってなに? 2 》 家庭生活でのいろいろな体験が反映される!
前回より、アラサー・アラフォーのママ・パパには未知のものかもしれない「生活科」という教科について、舟山先生にお話をうかがっています。
「国語」ならひらがなの書き順を教えたり、「算数」なら足し算・引き算を教えることが家庭でもできますが、「生活科」はどんなアプローチで子どもに教えることができるのでしょうか?
今回は、「生活科」とママ・パパの関わり方について、先生にうかがいます。
●季節の行事を生活に取り入れることから始めてみよう
「生活科」という名前からすると、生活に密着した教科のようなので、家庭でも教えられることがあるのかな、と感じたりするのですが…。
舟山 「『生活科』の学習内容は、国語や算数のドリルのように、一問一答式のものではありませんし、数値化できるものでもないので、ドリルが得意、といった子のなかには苦手意識がある子もいるようです。
『生活科』は知識だけではなく、体験を通して自分で考えて表現する、という高次な活動になります。
教科書にでてくるようなことを家庭生活のなかで経験したことがあるかないか、は大きな差になるかもしれませんね。
たとえば、前回お話ししたようなアサガオを育てて観察するという活動でも、土や虫に触れない子が最近とても増えています。
『土は汚い!』『虫がこわい!』と堂々と言う。
これまでの家庭生活、経験からそのような反応になってしまうわけです。
都会に暮らす人ほど、土や虫・動物と触れ合う機会を意識して増やすことは大切だと思いますね。
また、公共施設にでかけて、ルールとマナーを身につける、たとえば、電車の乗り方、図書館の使い方、動物園や植物園でどのように見て回るか、などといったこともご家庭で経験させておけば、『生活科』で戸惑うことはないと思いますよ」
これまでの経験がモロに、活動中の反応につながるわけですね。
舟山 「一番感じるのは、伝統的な行事に対してご家庭ごとにかなり差があること。
この『生活科』だけではなく、『国語』でも3年生以降の『社会科』『道徳』でも、日本の伝統的な文化がとても重視されています。
それだけ、現在の日本では伝統的なものが消えつつあるという危機感があるのでしょう。
例えば家庭でできる行事として、
1月 おせち料理 初詣 新年のあいさつ
2月 節分
3月 ひな祭り お彼岸
4月 お花見
5月 端午の節句
6月 衣替え
7月 七夕
8月 お盆
9月 お月見 敬老の日
10月 秋祭り
11月 七五三
12月 冬至 年越し 大晦日
などがあります。
これらを面倒な古臭いものと考えずに、家族がまとまる “きっかけ” として生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
これまで、保育園や幼稚園の活動や、絵本で見知っていることは多いでしょう、でも家庭でしっかりと行事として取り入れていることは意外と少ないものです。
季節の行事を、『生活科』の授業で取り上げることはとても多いです。
授業中、『ぼく、知ってるよ! おうちでもやったことあるよ!』と手をあげられれば、親としても嬉しいですよね。
きっと、子どもも家に帰って鼻高々に報告してくれるでしょう。
また、これは私の主観ではありますが、伝統的な文化が家庭に根付いている子は、基本的な家庭の “しつけ” が機能しているようにも感じます。
子どもにとって一番小さい “社会” の構成単位は、『家族』です。
社会性とはそこから始まり、生活科の目標は『自立への基礎を養う』こと。
3年生以降の『総合的な学習』はもちろん、中学・高校への入試という長いスパンで考えても、『生活科』という土台は、とても大切。
決しておろそかにはできない教科なのです」
家庭生活での経験が、中学・高校にもつながっているわけですね。
舟山 「特別すごいことではないのです。
私がおすすめするのは、
1. 伝統的な行事を、家庭でも “楽しく” 行う
2. 公共施設、公共の場での行動を学ぶ
3. 学校の『町たんけん』で回りきれなかった場所の見学に、一緒に行く
4. 『和の行事』の絵本や、植物事典・動物事典など、子どもが興味をもったらいっしょに選んで読む
5. おうちでも、普段からいろいろと話をする
6. 家庭でも植物を栽培したり、小動物や虫を飼ったりする
といったこと。
私がいつも新1年生の保護者のみなさんにお話しすることですが、こうしたことができるのは、低学年のうちだけです。
中学年、高学年になると友だちとのかかわりが多くなり、子どもはもう親をあてにしなくなります。
この時期だからこそ、『生活科』を子どもと一緒に楽しむことができるのです。
その意味では、ほかの教科よりも “家庭色” が表れやすい教科かもしれません。
お子さんと教科書を見て、『これなら一緒にできそう』と思うことから、あせらずに楽しんでみてはいかがでしょうか」
家族一緒に季節を楽しめるのも低学年のうち、なんですね。
生活科のため、といいつつ家庭生活を豊かなものにするためにいろんな行事を取り入れてみます。
先生、ありがとうございました!
プロフィール
小学校の現役教師。
低学年、中学年、高学年とまんべんなく担任経験あり。
「学ぶことは変わること」を信条に、子どもたちと日々接しています。