大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年6月13日の記事
「うちの子、にんじんがあんまり好きじゃなくて…」「グリンピースはよけちゃう」などの声はよく聞きます。小学校に入り給食が始まって、今まで以上に悩んでいるお母さんも多いのでは? でも、あまりプレッシャーをかけすぎて、食べることがイヤになっては困ります。そこで、楽しく食べたくなるユーモア絵本を2冊ご紹介します。
『ぜったいたべないからね』(ローレン・チャイルド 作)は、好き嫌いの多い妹のローラと、お兄ちゃんのチャーリーのお話。パパもママも「妹に、ごはんをたべさせておいてね」なんて簡単にいって出かけちゃうけど……それはすごく大変なのです。だって妹はこういいます。「あたし、たべないからね! まめも にんじんも じゃがいもも、きのこも スパゲッティもいやだからね。カリフラワーだって キャベツだってたべないからね。それから れいの トマト! ぜーったいたべないからね!」
困ったお兄ちゃんはいいことを思いつきます。「まめもにんじんも、きょうのこんだてにはないよ」とお兄ちゃん。妹は「じゃあどうしてここににんじんがあるの?」と聞きますが、お兄ちゃんがすましていうには、「もくせいからとどいた“えだみかん”だよ」ですって。グリーンピースは空からふってくる“あめだまみどり”だし、じゃがいもは世界一高い山のてっぺんでとれる“くもぐちゃらん”なんです。「めったにたべられないからさ」なんてお兄ちゃんにいわれると……思わず「食べてみようかな」と思ってしまいます! ユーモラスなやりとりのあと、最後にトマトをゆびさして妹が口にした一言は!? ぜひ読んでみてくださいね。
苦手な野菜が、ちがうものに見えてくるこの絵本。食卓でにんじんを “えだみかん”と言い換えたくなることまちがいなし。作者は本書でイギリスの優れた児童書に与えられるケイト・グリーナウェイ賞を受賞しました。ちなみにこの「チャーリーとローラ」シリーズ、世界各国でアニメ化もされています。日本では他に、絵本『ぜったいがっこうにはいかないからね』『ぜったいねないからね』『ぜったいひとつだからね』が翻訳出版されています。どの本もおもしろいですよ。
もう1冊ご紹介したいのはこちら。『給食番長』(よしながこうたく 作)です。
キーンコ~ン、カーンコ~ン。「おいしいシチューは、オイラによこせー!」「みんな、嫌いなものなんか残しちまって、さっさと遊びにいくぜ!」給食の時間、わんぱく小学校の1年2組は大騒ぎ。番長と呼ばれる子がみんなをそそのかし、給食を好き放題残しているみたい。給食室ではおばちゃんたちが泣いています。「うっうっ、1年2組はまたこんなに残しているわ…」
注意しても全くきかない番長たちの態度に、おばちゃんたちはついに家出を決意します。「つくってものこすからもうつくりません。おばちゃんたちはいえでします。」さあ、どうしましょう。給食が食べられなくなっちゃった。みんなに「どうするんだよ!」「なんとかしてよ!」と責められた番長は……?
ただ「食べる側」だった子どもたちが、一転、おばちゃんたちが家出することで「作る側」の気持ちや愛情がわかるようになっていきます。毎日いっしょうけんめい栄養たっぷりのごはんを作るのは、みんなが元気に大きくなるように願っているから。あたりまえすぎて忘れちゃっていたこと、番長たちはしっかり思い出したみたいですよ。人気絵本作家よしながこうたくさんのデビュー作であり、学校給食絵本の決定版。博多弁が併記された“バイリンガル絵本”としてもおもしろい絵本です。
言葉で「食育」というのはかんたんでも、実際はむずかしい。この2冊はユーモアたっぷりに「好き嫌い」や「作る人の大変さや、愛情」を描きます。親子で読んで大笑いして、嫌いなものへの苦手意識がちょっぴりでもなくなったらいいですね。
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