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小学1年生 2018年8月27日の記事

どう変わる? ついていける? 夏休み明けの授業

 

 

夏休みも終盤。休みが明けると、さっそく授業がスタートします。4月にひらがなや数字の書き取りから始まった学校の授業、夏休み後はどう進んでいくのでしょうか。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●夏休み前後は、授業内容が大きく変化

 

夏休み前までは、ごく基礎的な内容がほとんどだった1年生の授業。夏休み明けからは何か違って来るのでしょうか?

 

「1年生の授業は、夏休み後からぐんと内容が増えます。1年生の夏休みの前と後とは、ある意味では小学校の勉強において一番変化が大きいと言えるかもしれません」(舟山先生)

 

具体的にはどのような内容になるのか、3学期制の場合を例にとって、1年生で学習する国語・算数の「基礎・基本」を例に見てみましょう。

 

国語(言語の学習分野) 

〈1学期〉

・ひらがなの読み書き

 ↓

〈2、3学期〉

・漢字(1年生の配当漢字は80字)

・カタカナ

 

算数(計算の学習分野)

〈1学期〉

・1けたの足し算と引き算(繰り上がり・繰り下がりなし)

・繰り上がりのある足し算

・繰り下がりのある引き算

・20以上100までの数についての理解(おもに3学期)

 

ここで挙げた「基礎・基本」とは、今後のあらゆる学習の土台となるものだそう。例えば国語なら、文章を読んだり作文を書くためには、まず文字を読んだり書いたりすることが、算数なら四則演算(+―×÷)ができるようになることが必要です。

「2学期は、この『基礎・基本』をしっかり学びながら、国語では、物語文・説明文の読み方(順序立てなど、1学期よりも目標とレベルが進んだ段階)や手紙文・作文、算数では、量(かさ)の大小や図形などについても学んでいきます」(同)

 

 

●これまで習ってきたことを理解しているかがカギに

 

授業内容が増えると聞いて、子どもが学校の授業にきちんとついていけるかどうか、ちょっぴり心配な親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「たしかに、算数の場合なら1学期の足し算・引き算は簡単にできていたのに、繰り上がり・繰り下がりの計算になったとたんに、つまずくことがあります。その理由の1つは、それまで手を使って計算できていたのに、それができなくなってわからなくなるためです」(同)

 

もう1つ、就学前に計算を教えてもらい、自分でも算数ができると思い込んでしまうことも原因だそう。この場合、授業もあまり集中して聞いていないことが多いため、少し難しくなると、それまでの知識では通用しなくなってしまうのです。舟山先生はこれを「うさぎとかめパターン」と呼んでいるのだとか。

 

「小学校の学習内容というのは、特に算数はスパイラル式(らせん状)と言って、前にならったことを踏まえて新しい内容が付け加えられていくようになっています。1年生の学習は、どの内容も次の学習につながっていきますので、今、習っていることをしっかりと理解させていくことが重要といえます」(同)

 

わからないままにしておくと、次の学習に進めないということですね。わが子は大丈夫か不安になってしまいますが、お家でできるフォローもあるとのこと。

 

 

●授業でつまずいた時のフォロー3つのポイント

 

では、子どもが授業を理解できず、つまずいているかどうかは、どうやって判断すればいいのでしょう。

 

「宿題やノートから推し量れることがあります。例えば国語なら、今習っているところの教科書をすらすら読んでいるか、算数なら、学校から持ち帰ってくるプリントの出来がかんばしくない、あるいはノートがしっかり書かれていない、無駄なことが書いてあるなどです。もし疑問があれば、担任の先生に聞いてみるとよいでしょう」(同)

 

そのうえで、子どもが勉強でつまずいていると思われた場合は、以下のようなフォローをしていくとよいそうです。

 

①国語の場合は、教科書の音読を一緒にそばで聞く。もし、すらすら読めていなかったらゆっくりと何度も繰り返して読む練習をすることで自信をつけさせる。

 

②国語・算数を問わず、プリントで間違えたところをていねいに直させる。直したプリントをファイルしておくことで、まちがいをまちがったままにしておかないこと、まちがったことを乗り越えよう、という家庭の姿勢を子どもに示す。

 

③宿題をするときの様子を見守る、または宿題を必ずあとでチェックすることで、ていねいに取り組む大切さを教える。

 

「つまずく子は、書く字が雑になるなど、なげやりになったり無気力になったりすることが多くなります。子どものモチベーションを高めるためには、担任の先生の協力を得ることも大切です。先生にも相談して、連絡を取り合い、子どもが家でがんばった翌日は、その旨を連絡帳で知らせるなどして先生に一言褒めてもらうだけでも効果があるものです」(同)

 

このようにして、小さなつまずきのうちに対処していくようにすることが大切なのだそうです。

 

 

●夏休み後半にやっておきたい「2学期の予習」

 

夏休み後の授業が始まる前に、やっておくとよいことはあるでしょうか?

 

「まずは、夏休みの宿題をしっかりと『書く』ことです。そしてどの課題も手を抜かずに取り組ませましょう」(同)

 

というのも、宿題は、夏休み明けすぐの評価対象だから。ただし、それは通知表に反映される云々…ではなく、「自分はがんばった!」と堂々と先生に提出できる心情が、そのあとによい影響を及ぼすからだそうです。さらに先生に「がんばって書いてきましたね!」なんて言ってもらえたら、それだけで、その後のモチベーションが高くなります。

 

「絵日記や自由研究・図工作品などはしっかり作成すれば、選ばれて掲示され、長い期間友だちなどの目に留まります。こうしたことで経験する満足感が、後の学習意欲をもたらすことになります」(同)

 

もう1つ、夏休みの間に「ほんの少しの予習」をしておくことも大切だとか。

 

「ただし、やり過ぎは禁物です。あまりしっかりとやってしまうと、安心して授業を聞かなくなったり、うるさく言われて勉強がいやになってしまうからです」(同)

 

教科書を一度読んでみる、読めない漢字にふりがなをふってみる、挿し絵を見るといった程度で、「あとはお楽しみ」として終えるのがポイントのよう。無理やりにではなく、お母さんも一緒にちょっと見てみた、というスタンスでさりげなく取り組むのがよいようです。

 

(取材・執筆 坂本洋子)

 

 


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