松村敏則さん
1967年生まれ。文化服装学院 服飾専攻科・卒業。現在、日本ミシンサービス株式会社の問合せ兼ソーイングアドバイザー/八幡山ショールーム店長。
▼ホームページ https://www.mishin-shop.co.jp/
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年長 2018年3月5日の記事
いよいよ4月が近づいてきました。給食用のナプキンやコップ袋などを作るため、子どもの入学を機にミシンを買おうか検討しているママも多いのではないでしょうか。でも、種類がたくさんありすぎて、どんなミシンを選んだらいいのか迷ってしまいますよね。そこで今回は、日本ミシンサービス株式会社の松村敏則さんに、初心者向けのミシンの選び方や注意点を教えてもらいました。
一口にミシンといっても、値段や機能、大きさなどさまざまです。まずは、最近のミシンの特徴を教えてください。
「あらゆる面で、10年以上前のミシンと比べて進化しています。初めての人でも、より簡単に使いやすくなってきていますね。
たとえば、縫う素材に合わせて自動で最適な糸調子をしてくれる『自動糸調子』や縫い終わりにミシンが糸を切ってくれる『自動糸切機能』、布の厚さにかかわらず均一な縫い目に仕上げてくれる『7枚送り歯』、下糸を引き上げなくてもすぐに縫える『クイック針版』など、初心者の方がつまずきやすい点をミシンが自動でやってくれます。『自動針穴糸通し』や手元が明るく見やすい『LEDランプ』なども、大変便利な機能です」(松村さん)
これなら、昔家庭科の時間に使って以来、ミシンには触ったことがないというママでも簡単に使えそうですね。
たくさんの便利な機能があるので、より商品選びに迷ってしまいそう…。入園や入学準備でミシンを購入したいと思っている”ミシン初心者ママ”に向けて、おさえておきたいミシン選びのポイントを教えてください。
1.ミシンの種類
「まず、家庭用のミシンには大きくわけて『コンピューターミシン』と『電子ミシン』の2種類あります。初心者に使いやすく、特に入園や入学準備で購入を考えている方は、『コンピューターミシン』がおすすめです。
特徴としては、縫い目の調節がしやすいこと、セーフティー機能が搭載されているものが多いので、誤った操作をした場合はミシンにロックがかかり、故障を防いでくれることが挙げられます。操作もパネルやボタンを押すだけなので、ミシンに慣れていない人でも、簡単に安心して使えます」(同)
煩わしいと感じる動作を自動で行ってくれるので、まさに初心者にピッタリだといえますね。一方、「電子ミシン」は操作ボタンが少なくシンプルな操作が可能ですが、誤作動を防ぐ機能がないため、長年ミシンを愛用してきた人におすすめなのだそうですよ。
2.サイズ
ミシンのサイズにも2種類あるのだそう。ひとつは、5kg以下の『コンパクトサイズ』、もうひとつが目安7kg以上の『普通サイズ(フルサイズ)』です。
「コンパクトサイズは、価格が手頃で使い勝手も良いため人気がありますが、サイズが小さい分、中に入っているモーターも小さいものが使われています。そのため、普通サイズのミシンと比較した場合、内部にかかる負担が大きくなってしまい、長く使用していくには不向きだといえます。
入学準備でミシンの購入を考えている方は、最低でも小学校を卒業するまでの6年間、中学校まで考えると10年弱は度々ミシンを使うことになると思います。コンパクトミシンの場合は、その間に1度は買い替えの時期が来ると予想されます。予算の都合もあるかとは思いますが、せっかく購入するならば普通サイズのミシンをおすすめします」(同)
少し場所をとることがあるかもしれませんが、長く使うことを考えると、普通サイズがいいようですね。
3.価格
気になる価格はどうでしょうか。
「目安としては、手芸店の店頭で購入する場合は6万円以上、ネットなどで購入する場合でも4万円以上の機種を選ぶといいと思います」(同)
よく、初心者向けのミシンで3万円以下のものが紹介されていますが…。
「確かに安いことを謳っているものもありますが、初心者にとって便利な機能である『自動糸調子』や『自動糸切機能』などがついたミシンは、ネット価格でも3万円台後半です。上位機種になればなるほど、初心者でも上級者でも同じように仕上げられるミシンであるといえます。個人的な意見としては、初めての方は4万円以上の機種から選ばれると、腕をカバーできるのではないでしょうか」(同)
また、ミシンの保証についても、値段によって変わるそうです。
「ミシンは保証が切れてしまうと、1回の修理代が内容を問わず1~3万ほどかかってしまいます。4万円以上のミシンになると、内部の作りがしっかりしているものがほとんどなので、不具合のリスクも少なくなり、万が一故障した場合も修理に出して修復すれば、結果的に長くミシンを愛用できます。
仮に3万円前後でミシンを購入した場合、修理に1万5千円の見積もりを出されたら、ほとんどの方が買い替えを希望されます。保証期間終了後に不具合が起きた場合は、ほぼ使い捨ての状態になってしまうのです。そういった意味でも、ある程度の値段のものを選んだ方がいいでしょう」(同)
では、反対にミシンを選ぶ際に注意すべき点はありますか。
「本当に入学準備だけで、その後使用する予定がなければ1万円台のミシンでもいいと思います。ただ、1万円以下で売られているミシンは『TOY(玩具)ミシン』と呼ばれていて、ほとんど何も縫えないミシンといっても過言ではありません。あまりおすすめできませんね」(同)
実は筆者も、ネットで4,000円以下で売られていたミシンを買った一人です。実際、縫えることは縫えますが、すぐに糸が外れたり、縫い目が揃わなかったり、少し厚い布は針がさせなかったりで、とても後悔しています…。
「長く使用していけるミシンを見つけるポイントとしては、内部フレームがしっかりしているかどうかです。内部フレームとはミシンの骨格のようなもので、多くのミシンはフレーム(骨格)に各部品がついており、その前後にボディがついている3重構造となっています。ミシンの耐久性は内部のフレームが大きく関係しており、たとえボディがプラスチックである家庭用ミシンであっても、重量が7kgあれば内部フレームもしっかりしていると考えられます。参考にしてみてはいかがでしょうか」(同)
できるだけ安い価格でミシンを買いたいのは本音ですが、やはり長く使っていくためには、ある程度の値段を出して、信頼できるメーカーのものを選んだ方がよさそうですね。
次回は、実際に初心者におすすめのミシンの機種をご紹介します。
(取材・執筆:水谷映美)
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