佐藤 和紀(さとう かずのり)
常葉大学 教育学部 初等教育課程 専任講師。
上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭・主任教諭を経て現職。この間、東北大学大学院博士課程後期に編入学。文部科学省「情報通信技術を活用した教育振興に資する調査研究」パフォーマンス評価検討委員、同 学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議 効果的なICT 活用検討チーム委員、同 次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」企画検討委員等を務める。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年10月31日の記事
テレビの見過ぎは昔から親の悩みの種でしたが、近頃登場したのはYouTubeなどの動画共有サイト。5〜6歳にもなれば、自分でタブレットなどを操作できる子も多く、ひとつの動画が見終わっても、関連動画が出てきて見続けることができ、親にとっては頭の痛い問題になっているのではないでしょうか? スマートフォンやタブレットで気軽に視聴できるだけに、付き合い方の指針が必要。テレビやYouTubeによる悪影響や、ルール化について、常葉大学教育学部初等教育課程 専任講師の佐藤和紀さんにお伺いしました。
テレビやYouTubeを子どもにまったく見せない家庭は少ないでしょう。どうしても夢中になってしまうコンテンツだけに、どのような影響があるか心配です。
「映像が子どもに与える影響はさまざまな研究がなされてきましたが、YouTubeなど新しいメディアについては、それほど研究結果が揃っていないのが現状です。ただ、小学校教員をしていた私の経験からすると、『言語能力』への影響があるのではないかと考えています」(佐藤さん)
子どもが、何度も目にするテレビCMの真似をするのは、どの家庭でも経験があるはず。悪い言葉遣いや、間違った言葉遣いを日々耳にしていると、確かに悪影響がありそうです。
「絵本が子どもにいいとされるのは、言葉がしっかり選ばれているからです。適切な日本語としてきちんと校正されています。だからといって『テレビやYouTubeだから悪い言葉が使われている』というわけではなく、選んでいるコンテンツが問題。校正の有無以外にも、同じような映像を見続けると悪い言葉が身についたり、ボキャブラリーが増えなかったりすることもあります。また、テレビならある程度決まった時間で終わりますが、YouTubeはいつまでも見続けられてしまうという問題もありますね」(佐藤さん)
YouTubeを見続けることで、親との会話も減ることになったら……。そこでも言葉を覚える機会が減ってしまうかもしれません。
また、テレビやYouTubeには、外遊びなど他の遊びと大きく違う点があるそう。
「保護者の立場や教育の観点から、子どもの『楽しい』を考えたとき、副次的な効果を意識します。例えば、公園で遊ぶと『楽しい』ほかに体力が付いたり、自然に触れたり、友だち同士のコミュニケーションが生まれたりと、さまざまな効果があるわけです。ところが、テレビやYouTubeは、どんなコンテンツを選ぶかにもよりますが、娯楽として楽しいだけで、副次的な効果が少ないと考えられます。そのため、親は納得しにくく、心配になるわけです」(佐藤さん)
テレビの場合は、教育的な内容の番組ももちろんたくさんあります。ところがYouTubeの場合、一般の人が自由にアップした動画が多いため、特に副次的な効果が期待できないコンテンツが目立ちます。
そこで佐藤さんが勧めるのは、目的を持った視聴。「何かを知りたい」「何かを調べたい」という目的があった上でコンテンツを選んだ方がいいそうです。
子どもが悪質なコンテンツに触れてしまうのも心配です。視聴制限なども有効なのでしょうか?
「タブレットやスマートフォンの場合には、基本的にアカウントを分けられません。親と同じ端末を使う場合、その都度制限するのは現実的ではないでしょう。古いスマートフォンを渡すなど端末を変えられるなら、制限モードを設定しておいたほうがいいですね。可能であれば、パソコンで子ども用のアカウントを作り、機能を制限しておくか、子供専用として使用させるとよいと思います」(佐藤さん)
親と共用のタブレットやスマートフォンを使う場合には、手がないのでしょうか。
「本来は、近くで見ながら都度チェックするのが理想的です。ただ、どうしてもできない場合がありますよね。それなら、視聴履歴を確認しましょう」(佐藤さん)
ちゃんと履歴を確認すれば、悪質なコンテンツにも早めに気がつくことができそうですね。
もちろん、ルール作りも大切。「ゲームって与えてもいいの? 親が知っておきたいルール作りのコツ」で紹介したように、子どもと一緒に考えておくとよいでしょう。
(取材・文:栃尾江美)
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