旅行ジャーナリスト。1児の母。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、2001年に活動開始。旅を通じて子どもの生きる力を育む「旅育」を提唱し、さまざまな媒体で家族旅行の魅力やコツについて発信している。著書『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ~旅育BOOK』(日本実業出版社)が全国の書店・ネット書店で販売中。
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年長 2018年7月18日の記事
親子での海外旅行、行先選びやプランニングのコツは?
年長ではじめての海外旅行【第1回】
待ちに待った夏休み! 子どもが小学生になると忙しくなるし、年長のうちに海外旅行に行きたいと考える親御さんもいるのではないでしょうか? ただ、初めての子連れの海外旅行となると、行先や持ち物など迷うことも多いもの。
そこで今回は、『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ~旅育BOOK』(日本実業出版社)の著者である、旅行ジャーナリストの村田和子さんに取材。年長から小学校低学年の子どもと行く、親子海外旅行の基本のキとおすすめの行き先について教えていただきました。
●初めての海外旅行。行き先は子どもの負担を最優先に考えて
まず行先ですが、年長~低学年の子連れの場合、どんな基準で選べばいいのでしょうか?
「第一に、治安がよく衛生的であること。また感染症がある地域への渡航は、子どもの予防接種が終わっているのは絶対条件と考えて。治安や感染症の情報は、外務省の『海外安全ホームページ』でチェックできます。次に、フライトの時間ができるだけ短く、時差が小さいこと。時差が大きいと子どもは体内リズムの調整がしにくいので負担がありますし、長いフライトは親御さんも大変です」(村田さん)
大人だと旅先での無理も効きますが、そうは行かないのが子ども。より体への負担や安全性に気を配る必要があるということですね。
●小学校低学年までは、旅先での負担が少ないリゾート系がおすすめ
年長から小学校低学年の子どもと一緒の場合、旅先での過ごし方も、負担が少ないプランニングがおすすめと、村田さんは続けます。
「この年代は、ビーチなどのリゾート地で、ホテルを中心にのんびり過ごすのがいいでしょう。街歩きもいいですが、知らない土地ではいつもより疲れるので、いつでも部屋に戻れるよう短時間にとどめるのが◎。せっかくの海外旅行と張り切ってしまいがちですが、体調を崩すと旅が台無しになってしまいますから、プランニングは腹八分目を心がけてください」(同)
また、この年代の子どもは、トイレにも気を配ったほうがいいとのこと。
「基本的に、お手洗いはホテルの部屋で済ませるほうが安心です。海外のトイレは座面が高かったり、アジア圏の場合、和式しかなかったりするので、ホテル以外で食事をとる場合は小奇麗なレストランを選ぶなどの工夫が必要です」(同)
●親の語学力に自信がないなら、個人型ツアーを活用しても
言葉の通じない土地で不自由しないように、と考えたとき、親が外国語に自信がないと途端にハードルが上がります。「それなら…」と村田さんが提案してくれたのは、旅行会社の夏限定個人型ツアーです。
「大きな旅行会社は各社、夏限定で親子連れのツアーを販売しています。ファミリーに優しく、子どもの料金体系が食事を付ける・付けない、ベッドを付ける・付けないなどバリエーション豊かなのもポイント。飛行機の席は必ず並びで取れますし、飛行機の座席を利用しない幼児は格安や無料というツアーもあるんですよ。子ども向けの体験オプションや備品のサービス、ベビーカーの貸し出しなどの特典も。子連れ海外が初めてでも、必要なことを先回りしたサービスでサポートしてくれるんです」(同)
それなら海外旅行慣れしていない親御さんでも安心ですね! ツアーを選ぶ際の注意点などはありますか?
「ツアーを選ぶ際は、どこの航空会社を使うのかもチェックして。子どもが小さなうちは、言葉やサービスの面で日系だと安心です。なお、飛行機では機内食にキッズミールや離乳食の用意があるケースも多いのですが、事前に予約が必要なので忘れずに。」(同)
ちなみに、親が旅行に慣れているならば個人旅行もいいそうですが、その場合は航空料金に注意したいとのこと。
「国際線の場合、座席を使わず膝上に乗せられるのは2歳未満。しかも大人の10%の料金がかかります。2歳以上の子どもは小児料金となり大人の75%、LCCだと、小児料金はないので大人と同じだけかかります」(同)
●今年の夏は、シンガポール&フィジーが狙いめ
上記を踏まえた上で、村田さんオススメの渡航先はありますか?
「フライト時間が約7時間半、時差が1時間と短いシンガポールがおすすめです。都市のサイズがコンパクトなので子連れでも移動しやすいうえ、街歩きやリゾートなど短期間でもさまざまな楽しみ方ができます。治安がよくてタクシーに安心して乗れるし、清潔なのもいいですね」(同)
自然を満喫したいなら、今年の夏はフィジーもおすすめなのだとか。
「フィジーは、8時間半とハワイと変わらないフライト時間ながら、時差が3時間と短い。今年の夏は直行便が復活しますし、何より手つかずの自然が残っているのがいいですね」(同)
●海外旅行のメリットは、自分の知らない世界に出合うこと
海外旅行の体験は、子どもにとってどんなメリットがあるのでしょうか。
「国内外問わず、旅は多様性を体感できる機会になります。見た目、言語、文化などが自分と異なる人々に触れ、普段自分が過ごしている世界は大きな世界のうちの一部分だと体感できるのが一番のメリットではないでしょうか。
大人には当たり前のことですが、子どもは実際に行ってみて初めて、世の中には自分の周りと違う世界があることを知ります。旅はそんな発見をする絶好の機会だと思います」(同)
知らない言語、文化に触れることによって、世界のとらえ方をも学ぶことができるんですね。では、子どもの学びを最大化しようと思ったとき、親が心がけるべきことを教えてください。
「大切なのは、行く前の準備から巻き込むこと。例えば、パッキングも親がしてしまうのではなく、『飛行機にこれぐらい乗って、こういうところへ行って、こういうことをするんだけど、何が必要だと思う?』と相談しながら、子どもと一緒に進めるんです。
事前に旅先のイメージを共有しておくと、わくわく感が増し、子どものモチベーションがすごく上がる。すると、旅先でより自主的に行動しますし、学びも大きくなりますよ」(同)
●行き先を決めるところから、ぜひ子どもと一緒に!
旅の計画もまた、子どもを巻き込みたいポイントのひとつだそうです。
「親がすべてプランニングしてしまうのではなく、プランを複数用意して、子どもに『どれに行きたい?』『それはなぜ?』と聞いてみてください。自分で選ばせることで子どものモチベーションもアップし、親にとっては、子どもの意外な興味に気づくきっかけにもなります」(同)
可能なら、それに合わせてプランを変更してもいいと村田さん。
「子連れ旅行は移動中が問題といわれますが、移動中に子どもがぐずるのは、好ましくない状態がどこまで続くかわからず不安だからです。準備やプランニングから子どもと共有しておけば、『飛行機の時間を我慢すれば楽しいことが待っているんだ!』という気持ちになり、意外に子どももがんばれたりするんですよ」(同)
親にとっては手間に思えますが、「コミュニケーションの機会になるし、旅がすごく楽しくなるから、夏の大型旅行だけでも試してみて」と村田さん。子どもの笑顔を思い浮かべつつ、ひと手間かけて思い出深い初海外にしてみませんか?
(取材・執筆:有馬ゆえ)
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