現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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学校・まなび
年長 2018年9月26日の記事
来春の小学校入学に向けて年長のうちに準備しておくべきことについて、第1回 ではさまざまな「体験」が学びの基礎になること、第2回 では家庭内での「会話」が子どもの語彙量アップにつながるということをお伝えしました。今回は、基本的な生活習慣や集団でのルールを身に付けるために意識しておきたいことについて、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
小学生になると、何かと親がそばでサポートしていた園のときとは違って、子ども一人で集団生活になじんでいかねばなりません。小学校で基本的な生活習慣や集団生活のルールを守るために必要なこと、キーワードとなるのは「順番」なのだと塩谷先生。
「小学校のようにたくさんの子どもがいる場所では、『順番』を元に皆が行動しているからこそ混乱が起きないのです。そのため学校では、何をするときでも先生が順番をきっちり伝えています。
たとえば、学校についたら
1.ランドセルの中の物を引き出しに入れる
2.手提げを机の横に掛ける
3.ランドセルをロッカーにしまう
というように、3つくらいの順番で説明しているはずです。
この『順番』を理解して行動できるということが、集団生活に順応していけるということなんです」(塩谷先生)
確かに、授業参観の様子を見ていると「1番目に◯◯、2番目に◯◯、3番目には◯◯をしましょう」というように、先生が順序立てて説明をしていました。
「物事の順番を意識して行動できるようになると、次に何をしたらいいのかという見通しが立てられるようになります。次の行動が読めると、子どもにとって生活がぐんと楽になりますよね。行き当たりばったりではなく、ゆとりをもって生活できるようになるのです」(同)
実は年長から小学校低学年くらいの子どもは、順番がものすごく頭に入る年齢なので、家の中でも物事の順番を意識していくことが、生活習慣を身に付けさせる秘訣なのだそう。
「おそらく、幼稚園や保育園でも折にふれて順番を意識して生活しているはずです。『うちの子は何回言っても◯◯ができない』という場合は、◯◯を行う順番のイメージができていないことが多いのだと思います。
外から帰ったら、まず『ただいま』と言う、2番目に靴を揃える、次に手洗い・うがいをする、というように、多くても3つくらいの順番で子どもに覚えさせましょう。3つは覚えられないという子の場合は、もちろん2つでも構いません。『幼稚園では、お外から帰ってきたらどうしてる?』と園での様子を聞きながら、家の中での順番を親子でイメージしていくといいと思います」(同)
例えば、着替えを一人でできるようにさせたい場合、まずはお着替えの順番を決めていくということですね。
「順番通りにできるようになったら、その生活習慣は身に付いたということ。1つ身に付いたら、次に身に付けさせたいことの順番決めに進んでOKです。そうやって、それぞれのシーンでの順番を日常生活の中で少しずつ増やしていくことが、小学校に入ってから必要となる生活習慣が身に付くことにつながります」(同)
園と家の中の順番はできるだけ同じにした方が子どもは順応しやすいですが、時にはその順番が変わるという体験もさせることが必要だと塩谷先生。
「物事の順番は、TPOによって変わります。たとえば食事をする前、園や家ではまず手を洗うのに、レストランに行くと手を洗わない人もいる。かわりにおしぼりが置いてある。もちろん、お手洗いに行って手を洗うのが一番ですが、『これだけ大勢のお客さん全員が手を洗いに行くのは難しいよね、だから、かわりに手を拭くためのおしぼりがあるんだよ』と説明しながら、場面によっては決められた順番が変わることもあると理解させることも大切です。
私たちは日常生活の中で、さまざまな変化に対応しながら生きています。状況を把握して、その都度適応していく力を養っていくためにも、時には順番が変化するということを体験させてあげるといいですよ」(同)
順番通りにすることを押し付けるのではなく、子どもと相談したり状況を見たりしながらひとつずつ身に付けていくことで、集団生活にもなじんでいけるのですね。次回は、文字を書く、先生の話を聞く、挨拶など、学習の基礎となる大切な準備事項について伺います。
(取材・執筆:水谷 映美)
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現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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