佐藤 和紀(さとう かずのり)
常葉大学 教育学部 初等教育課程 専任講師 。
上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭・主任教諭を経て現職。この間、東北大学大学院博士課程後期に編入学。文部科学省「情報通信技術を活用した教育振興に資する調査研究」パフォーマンス評価検討委員、同 学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議 効果的なICT 活用検討チーム委員、同 次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」企画検討委員等を務める。
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小学1年生 2017年7月12日の記事
親が身につけたいITリテラシーの連載。3回目は「プログラミング教育」がテーマです。2020年から小学生のプログラミング教育が実施されることを知っている方も多いことでしょう。ところが「何のためにプログラミングを学ぶの?」「親ができることは何?」などたくさんの疑問が頭に浮かぶのではないでしょうか。そこで、プログラミング教育に関するさまざまな疑問について、常葉大学教育学部初等教育課程 専任講師の佐藤和紀さんにお伺いしました。
最近では、子ども用のプログラミングツール「Scratch」や、プログラミングを学ぶ講座も増えていますが、そもそも「プログラミング」とは何なのでしょうか……?
「例えば、自動販売機など身近なものを考えるとわかりやすいでしょう。前に立つと電気が点き、入れた金額に応じて買えるもののボタンが点灯します。ボタンを押すと選んだ品物が出てくる。こういったルールや仕組みで動くように設計するのが『プログラミング』です。プログラミングは、『順序』『分岐』『繰り返し』という3つの処理を組み合わせて作成していくものです」
ボタンを押す前に品物が出てきてしまっては困ります。これは『順序』が制御されているということ。また、押したボタンに応じた品物が出てくるのは『分岐』によるもの、また、品切れにならない限り何度でも買えるのは『繰り返し』実行するようになっているからなんですね。
「このような例は身の回りにたくさんあります。ところが、私たちは仕組みを理解しないで無意識に利用して生活していることが多い。その仕組みを考えたり、知ったりすることがプログラミング教育のひとつの意図でもあります。また、今後AIの進化によって生活が変化していく中で、AIやコンピューターに振り回されるのではなく、上手に生活や仕事に生かせる人材を育成したい。それがプログラミング教育導入の目的です。つまり、プログラミングが世の中を支えている、と理解することに主眼を置いています」
子どもたちがプログラミング教育を受けるにあたり、親が準備しておくべきことや知っておくべきことはあるのでしょうか?
「まずは、プログラミングとは何かを理解するために、身近な機械がどんな仕組みで動いているのだろう? と考えてみてはどうでしょうか。最近は電子レンジや全自動洗濯機など、さまざまな身の回りの家電にもコンピューターが入っています。例えば電子レンジなら、ボタンを押したら明るくなり、ダイヤルを回すと温めの時間が設定できる、といった動きの順番を意識するだけでもよいと思います」
意識をして考えていることで、子どもが機械の動き方などに疑問を持ったとき、一緒に考えることができそうです。
プログラミング教育を行うもう1つの目的として、プログラミング的思考=論理的に物事を考える力を養うということがあるそうです。
フローチャートとは、この図のように「処理」を1つの箱、「順序」を矢印で表したもので、プログラミングを書く前の構想や、ビジネスの現場で業務の流れを把握するのに使われます。ここでは「もう1回」といった繰り返しも表現されています。
「このようにプログラミング的思考を身につけるためには、必ずしもコンピューターが必要なわけではありません。家庭で行うならば、朝の支度などを、フローチャートで書いてみてはどうでしょうか? どうやったら効率的に、無駄なくできるか。コンピューターに詳しくないお母さんでも、日々、プログラミング的思考で生活していることがわかると思います」
プログラミング的思考のレッスンとして、子どもと一緒に考えても面白そうです。
家庭科を習うからといってすべての人が裁縫を仕事にするわけではないように、プログラミングもすべての人が使うようになるわけではありません。身の回りの機械や電化製品がなぜ動くのかを理解したり、プログラミング的思考を身につけたりするために行うのが「プログラミング教育」をとらえていくとよいのかもしれませんね。
(取材・執筆:栃尾江美)
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