開智学園
http://www.kaichigakuen.ed.jp/
埼玉県さいたま市にある小中高一貫校。4-4-4制の12年一貫教育や異学年齢学級など個性的なカリキュラムに特徴がある。
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学校・まなび
小学1年生 2018年10月4日の記事
小・中・高の12年間をかけて、子どもは少しずつ保護者から自立していくもの。特に、思春期にあたる第二次性徴を迎える時期は、親子の関係性が変化する一つのターニングポイントとして知られているのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな子どもの心身の発達に合わせ、通常の6-3-3制とは異なる独自の4-4-4制の12年一貫教育を採用する開智学園総合部(埼玉県さいたま市)に取材。開智小学校の有田祐介先生に、4年ごとに訪れる、子どもの心の成長と変化についてうかがいました。
前回、開智学園総合部では、小・中・高の12年間を4年ごとに「プライマリー」「セカンダリー」「ターシャリー」と分け、それぞれの発達に合った学習指導を行っているとお聞きしました。精神的、肉体的な面で見ると、それぞれの4年間について、どのような特徴があるのでしょうか。
「小1から小4は、精神的にも肉体的にも未熟な時期。自立の手前にあり、勉強や生活に関して、ある程度までは保護者や教員のサポートが必要です。例えば、教員は『忘れ物をしないよう、必要なものを連絡帳に書いておきなさい』と指導しますし、それに対して子どもは素直に従います。自分のことを自分でできるように訓練する4年間ともいえます」(有田先生)
また、「他者との接し方を学び始める時期」でもあるそう。
「彼らは、まだ自分の世界を中心に生きています。特に小2ぐらいまでは、他者についてあまり意識することがないかもしれません。小1から小4にかけての時期は、他者と接することで人間関係を学び、また自己と他者の違いを理解していく過程にあります。それが、いずれやってくる自我の発見につながるのです」(同)
それゆえ、「集団での振る舞いにも未熟さがある」と有田先生。
「本校では、公立の小学校のような1年1組、2年1組という概念がなく、小1~小4の4学年、小5~中2までの4学年で異学年齢学級を編成しています。各学年10人、計40人で1つの『Team(ティーム)』を作り、ティームごとにホームルームや給食、掃除の時間を過ごします。
ティームでは最上級生がリーダーとなって運営し、上級生がリードしながら全員で役割分担をして行動します。ただ、生徒の自主性によって滞りなく物事を進められる『セカンダリー』(小5~中2)のティームと違い、小1から小4までのプライマリーの場合、教員のサポートはかなり必要です」(同)
小学校に入学すると、つい子どもに「自分のことは自分で」と期待しがち。でも、いろいろなことを一人でできるようになるのは、まだまだ先の話なのですね。
小5から中2は、ちょうど思春期にあたる時期ですね。この頃の子どもには、どんな特徴があるのでしょうか。
「10歳ごろを境に、子どもは自我が目覚め、同時に自立心が強くなっていきます。自分で考えて行動したいと思うようになり、保護者や教員に対して、時には反発心を抱くように。早い子は小5、遅い子でも中2の初めごろには反抗期を迎えます。これは男女とも同じです。
本校では、小5になると教員の接し方もガラリと変わります。小4まではサポートが前提でしたが、小5以降は求められれば助けるというスタンスに。実際に、責任を持って行動できる年頃になりますから、学習面でも生活面でも、自分のことは自分でできる大人として扱います。『自立心』と『責任感』を養っていく4年間ともいえますね」(同)
思春期は、他者を強く意識する時期でもありますよね。
「自我が目覚めた分、他者との違いを気にする年代ですよね。一方で、その違いがわかることで、他者と役割分担をしたり、協力し合ったりすることもできるようになってきます。
異学年学級であるティームの運営でも、求められなければ教員が過度に口出しをすることはありません。むしろ自分たちの責任においてティームを運営することを求めます。小5から中2のティームは、さながら大人の組織といった様子ですよ」(同)
肉体的には、第二次成長期に差し掛かりますね。
「そうですね。男女ともに体つきはぐっと大人に近づきます。男子ならば声変わりが始まったり、女子ならば生理が始まったり。性に目覚めていく時期でもあり、異性を意識したり、誰かを好きだという話をしたりも耳にしはじめます」(同)
反抗期は子の成長の証ともいわれます。この頃になったら、保護者も少しずつ子どもを大人扱いしはじめるべきなのかもしれません。
最後に、中3から高3の精神面について教えてください。
「中3から高3までは、自我が確立し、個としての自分を磨く時期でしょう。選挙権が18歳以上と考えると、社会の一員になる準備の時期とも言い換えられるかもしれません。肉体的にも急成長する年齢ではなくなり、大人に近い体格になってきますね」(同)
対人関係はどのように変化するのでしょうか?
「自己と他者からさらに一歩進み、自己と社会との関わり方を考える年頃といわれます。小1~小4ならティーム内の他者だけ、小5~中2までなら学校内の他者だけを意識していたのが、中3以降になると社会全体の他者へまで目を向けはじめます。自分がどう『個』として社会へ貢献していけるのかを考えることが、精神的に成長していく上での課題になります」(同)
段階を踏んで徐々に成長していく子どもに対しては、保護者もその都度、距離感を変えて接していく必要がありそうです。第3回では、それぞれの4年間で起こりがちな対人トラブルと、保護者が子どもと接する際の心構えについてお聞きします。
(取材・執筆:有馬ゆえ)
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