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学校・まなび
年長 2018年10月29日の記事
気になる小学校の宿題は、「最後まで頑張る」がキーワード
小学校の「国語」と「算数」の授業って何をするの?【第3回】
子どもの小学校入学は、保護者の生活リズムが変わるタイミングでもあります。入学後、宿題の時間をどう過ごせばいいのか、迷っている方もいるのでは? そこで、現役小学校教員の遠藤裕美子先生に、小学校入学直後の国語と算数の宿題についてお聞きしました。その内容と、保護者の関わり方についても教えていただきます。
●1学期の宿題の定番は、音読、ひらがな、計算
前回、前々回は、国語と算数の力をつけるために就学前にしておくべきことをお聞きしました。就学後、家庭での新しい習慣になる宿題についても、心配に思っている保護者は多いと思います。まずは、国語と算数でどんな宿題が出るのかを教えてください。
「小1の初めのころは、国語は教科書などの音読、その日に習ったひらがなの繰り返し練習、算数は簡単な計算問題を5~10題程度解くのが定番の宿題です」(遠藤先生)
なるほど。では、家庭ではどのように宿題に取り組むのがいいですか?
「宿題をする場所は、自分の机でも、リビングのテーブルでもいいと思います。1年生だと、不安になったり落ち着かなかったりして、まだ部屋にこもって勉強することができない子もいます。子どもの目線に立って、その子が集中できる環境で取り組ませてください。
何よりのポイントは『ながら勉強』をしないこと。テレビを見ながら、おやつを食べながら……ではなく、宿題だけをする時間なんだと教えてあげましょう」(同)
宿題をする時間に目安はあるのでしょうか?
「一般的に、小学校の宿題は1つにかかる時間が『学年×10分程度』といわれています。先生によって内容も違いますし、お子さんのタイプによってかかる時間も変わりますが、小1だと20分あれば1つの宿題を終えられるはずです。
前々回、小1の初めは授業を15分×3と区切って展開することをお話ししましたよね。これは、子どもが同じことに集中できる時間が短いから。もし3つの宿題が出ていて、一気に宿題を終わらせるのが難しければ、宿題をするタイミングを3回に分けてもいいですね。例えば音読は帰宅後、ひらがなの復習は夕食後、計算問題はお風呂のあとというように、工夫してみましょう」(同)
確かに、ダラダラと机に向かうより、時間を区切って何回かに分けたほうが効率がよさそう。そのあたりは、子どものタイプによってチューニングが必要かもしれません。
●宿題の目的は、勉強の習慣や姿勢を身に着けること
宿題は、子どもにとってだけでなく保護者にとっても初めての経験です。保護者は、子どもの宿題にどう付き合えばいいでしょうか。
「まず音読ですが、これだけは、家事や仕事の手を止めて聞いてあげてほしいもの。毎日が難しければ週3回だけでも、お子さんの横に並び、教科書を一緒に見ながら進められるといいですね。
というのも、子どもは耳で覚えた内容をなんとなく話したり、書いてある文字をきちんと見ずになんとなく読んだりしがち。だから、きちんと書いてある通りに読めているか、横で確認してほしいんです。読み間違いがあれば、都度、直してあげてください。ただ、あまりに間違いが多い場合は、都度訂正されると嫌になってしまうので、保護者の方が一文読んで、お子さんがそれを復唱する形で最後まで読み進めてもいいですね」(同)
机に向かって取り組む宿題についてはどうでしょうか。
「そもそも、宿題でもっとも身に着けてほしいのは、勉強をする習慣や姿勢。最終的には、毎日一定時間、一人で机に向かって最後まで勉強を頑張れるようになってほしいわけです。ですから、ひらがなの書き取りや計算ドリルなどの机に向かう宿題は、一度は子どもだけで最後まで取り組ませることが大事。一問一問、付きっ切りで進めていたのでは、一人で勉強できるようになりません。
一人で終わりまで取り組めたお子さんには『最後まで自分で頑張れたね』と声をかけ、まずは“頑張れた経験”として認めてあげてほしいですね。そのうえで、わからなかった箇所や間違った箇所について『できなかった部分は一緒にやろう』と教えてあげてください。本人さえ気にならないならば、間違ったまま提出してもかまわないですよ」(同)
一人で最後までやりきるヒントとして、「考えてもわからない問題があったら飛ばして進めること」をすすめてもいいそう。「最後まできちんと考えて進められたら、途中でできなかった問題があっても『最後まで頑張ったね』と努力をほめてあげてください。全問正解などの成果ばかりほめると、100点を取ることにしか価値を感じなくなってしまいます」と遠藤先生。
大切なのは、正解することより最後まで頑張ること。保護者の側も肝に銘じておいたほうがよさそうです。
●宿題が終わらなかったら先生に相談して
もし、毎日の宿題をこなせない子どもがいたらどうすればいいのでしょうか。
「先ほど、宿題にかかる時間は『学年×10分程度』だとお話ししました。ですから、小1の初期の量で20~30分やっても終わらないのならば、その子にとっては相当に苦しい量・内容なんだと思います。子どもの集中力を考えても、机に向かって問題に取り組むのは15分ぐらいが限界ですしね。
そういうときは、『今日はできなかったね』でOK。ただ、子どもが『宿題をやらなくてもいいんだ』と思わないように、保護者の方はどうしたら終われるようになるか、先生に相談してみてください。その量や内容が負担なのか、宿題のやり方が悪いのか、ちょっとしたつまずきが解消されなくて進めないだけなのか、わかると思います」(同)
最後に、遠藤先生が「少し話がそれるのですが……」と付け加えたのは、小学校入学後の子どもとのやりとりについてでした。
「小学校に入って多くのことを学ぶと、『こういうの習ったけど、知ってる?』と子どもはうれしそうに報告してくれるはず。それに対して保護者の方が『それで、それで?』『なるほどね~!』と乗り気で聞いてあげると、子どもは学ぶことに楽しさを見出し、ぐんぐん伸びていくんですよ。また、自分自身の経験を語りなおすことで、子どもの知識は定着していきます。ですから、子どもの話は途中で話を奪い取らず、最後まで聞いてあげてほしいなと思います」(同)
宿題や普段の会話を通して、学ぶ楽しさを後押ししてあげられたら理想的です。そのためには、来春になって環境の変化に戸惑わないよう、保護者側もきちんと準備をしておきたいですね。
(取材・執筆:有馬ゆえ)