現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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小学1年生 2018年9月13日の記事
9月末から10月初旬は、会社の期が変わるタイミングであることから、急な転勤が決まるケースが多く、引っ越し軒数が増える時期です。実際に家族で引っ越すことになった場合、ママとして気になるのは子どものことですが、園や学校など環境が変わることで、子どもの心にどのような変化が起きるのでしょうか。適切なケア方法もあわせて、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
私自身、これまでに何度も引っ越しを経験してきましたが、子どもが生まれてからの引っ越しは、とにかくやることが山積みで目が回るほど忙しい!というのが率直な感想です。
「引っ越しって、本当に忙しいですよね。荷造りはもちろん、役所で行ういろいろな手続きも多々あります。やることが山程あるから、ママの目が子どもに向かなくなってしまう。ここが、子どもの心を不安にさせる大きな原因となるのです。
ママがいつもと違う、遊んでくれない、かまってくれない。つまり『いつものママと違う』と感じることで、子どもは、なんだか急に距離を感じてしまうのです。もちろん、ママが忙しくて子どもの相手ができないのには理由があるのですが、子どもには引っ越しだから役所に行って手続きをして…なんていう背景はなかなか理解できません」(塩谷先生)
確かに、我が家もいつもは毎日のように公園に連れて行っていたのが、引っ越し前後は家の中で我慢させることが多く、一緒に遊ぶ時間もほとんど取っていませんでした…。
「引っ越しの準備にはリミットがあるので、子どものことはつい後回しにしてしまいがちですよね。気づけば、子どもの対応が疎かになってしまうことが多いものです。話しかけられても、『後でね』ばかりになってしまったり…。そうなると、子どもの心は次第に不安になり、引っ越すことを説明されても心が受け付けない、ということが起こりうるのです。
引っ越しでお友達と離れ離れになってしまうと、子どもが寂しがるのではないかと心配になる親御さんもいると思いますが、友達より何より、身近な人の存在、つまりパパやママが一番なのです。パパやママがいつもと変わらなくて、しっかり自分を見てくれていると感じられれば、引っ越すことに対しての不安はあまり感じないのだと思います。いろいろな準備などで忙しく、時にはイライラすることもあると思いますが、あくまでも『いつもと変わらない』ということを意識してみてください」(同)
では、具体的にはどのようなことを意識したらいいのでしょうか。塩谷先生いわく、「無理のない範囲で、次の3つのことを心がけてみて」とのこと。順に見ていきましょう。
1.引っ越しの準備を一緒にやる
「荷造りは子どもには無理」「邪魔になるから向こうで遊んでて!」と、最初から引っ越しの手伝いをさせないようにしてしまいがちですが、意外にも一緒にできることはあるのだと塩谷先生。
「たとえば、荷造りよりも前の段階、処分する物と持っていく物を決めるとき、特におもちゃの取捨選択などは、まさに子どもの出番です。『どれがいる? いらないものはこの袋に入れてね』とお願いしてみましょう。ただし、危険な物が置いてあったりホコリがたくさん出たりする場所もあるので、安全面と健康面は気をつけておいてくださいね。自分だけが邪魔者ではなく、ママと一緒に作業できることが、子どもの心を満たすことに繋がります」(同)
2.引越し後のワクワクすることを1~2つ挙げて伝える
引っ越しは、子どもにとっても初めてのこと。引っ越しがどういうものか、経験していない以上イメージができないものです。そこで、「マイナスなことではなく、プラスになるようなことを子どもに話しましょう」と塩谷先生。
「はじめから『引っ越すと○○くんと会えなくなっちゃうね』などとマイナスなことを伝えてしまうと、子どもの中に『引っ越し=嫌なこと』と印象づいてしまいます。そこで、引っ越し先の良いところを具体的に挙げてみましょう。
『次のお家はお風呂が広いから、家族みんなで入れるね! 楽しみだね!』『新しいお家のすぐ近くに広い公園があるよ。いつも行く公園と同じ遊具もあるかな?』というように、今までできなかったことができるという点でもいいですし、今楽しんでいることが向こうでもできるという点をアピールしてもOKです。あまりたくさんの要素を挙げるとワクワクが分散してしまうので、2つくらいを挙げて話すのがおすすめです」(同)
3.新しい生活を「一緒に楽しむ」ことをアピールする
引っ越して住む場所が変わると、いろいろなことが変化してしまうのでは…という漠然とした不安を抱える子どももいると思いますが、塩谷先生いわく「ママが引越し先での生活を“一緒に”楽しもうと伝えていると、子どもの不安は小さくなっていきます」とのこと。
「繰り返しになりますが、ママの表情や自分との接し方が変わらないと確信できれば、子どもは引っ越しの不安をあまり感じなくなります。
そのうえで、ママも引っ越しを楽しみにしているよ、ということを折に触れて伝えてほしいです。『新しい家の近くの公園で、一緒に遊ぼう』とか『近くに野球場があるみたいだから、パパも楽しみにしているって』というように、パパやママも引越し先の生活を楽しみにしているということを加えることで、子どもはより安心でき、ワクワク感がアップするでしょう」(同)
急に引っ越すことになった場合は難しいかもしれませんが、できるだけ計画的に準備を進めることで、ママの気持ちにも余裕ができ、子どもの心に寄り添いながら、新しい生活へと目を向けて行けそうですね。次回は、引越し後の生活の注意点や子どもの心のケアについて、引き続き塩谷先生に伺います。
(取材・執筆:水谷映美)
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現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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