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小学1年生 2018年8月31日の記事

学校で「ケガ」をした・させてしまった時どうする?

 

 

幼児期ほどではないにせよ、元気があり余っている子どもにとって、ケガはつきもの。何かのはずみで大きなケガをしたり、子ども同士のちょっとした小競り合いがケガにつながることもあります。学校で子どもがケガをした時、あるいは誰かにケガをさせた時はどうすればよいのでしょうか。現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺います。

 

 

●学校でのケガには、給付金制度が適用される場合も

 

舟山先生によると、学校のケガで多いのは すりきず・打撲・突き指などで、時間帯としては、休み時間や体育の授業中に多いそう。

 

「ケガの程度が軽い場合は、保健室で手当をしてもらいますが、骨折や歯が欠けたとき、傷口がパックリと割れて縫合が必要なケガの場合は、病院に行って処置・治療をしてもらうことになります。頭を強く打ったという場合も、念のためCTを撮ってもらったりします」(舟山先生)

 

病院で処置をしてもらうと治療費が発生しますが、こうした場合に備えて、日本の9割以上の学校が、日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」に加入しているそうです。これは国、学校の設置者(自治体)、保護者の三者負担による互助制度で、学校で負ったケガが健康保険の適用範囲であって、治療費が一定額以上かかった場合は、その医療費の総額のうち4割が見舞金として支払われるというもの。

 

「ただし、この給付金は学校の管理下にある場合のケガが対象です。登下校時のケガも補償されますが、たとえば学校で決められた通学路でない道でケガをすると、それが受けられないこともあります」(同)

 

ケガに対する補償はケースバイケースで、自治体によってもそれぞれ異なる細則や書類申請があるようです。例えば、条例で定められた子どもの医療費助成によって窓口負担がゼロだった場合は、給付が受けられないという自治体もあるのだとか。もしもの場合には、保健室の養護教諭とよく話し合い、確認するようにしましょう。

 

 

●友だちにケガをさせた時はきちんとお詫びを

 

親として気になるのは、子ども同士の接触やけんかによってケガをするということが起きた時でしょう。これは、その後対応する先生の側も十分な配慮が必要だと舟山先生。

 

「こうした場合、まずケガの処置をした後、そのときの状況の聞き取り調査をします。本人だけでなく、周りにいた子どもたちからも話を聞きます。病院に行くようなケガの場合は、治療にあたって保護者の同意が必要なため、すぐに保護者に連絡して学校か病院に来ていただきます。一方、ケガをさせてしまったほうの子の保護者にも必ず経緯を伝えます」(同)

 

ケガをさせた子の保護者には、電話で伝えられることが多いようですが、舟山先生の場合、子どもに「先生からおうちに電話しますが、その前に、必ず自分でしっかりお母さんに話しておきなさい」と言っているそうです。

 

「『自分の子どもが誰かをケガさせた』という話を担任からいきなり聞かされたら、親御さんとしては驚くし、申し訳ないし、腹が立つし…担任と話をしながらであっても、そばに子どもがいたら、問いただしたくなってしまうのではないでしょうか。最初の情報は、まず自分の子どもから話を聞きたいというのが親心。ですから子どもにも、『お母さんは、はじめは怒ると思うけど、自分の子どもから最初に聞きたいものなんだよ』と話します」(同)

 

先生のこれまでの経験では、こう話すと子どもは、ちゃんと自分で親に伝えているそうです。担任が親御さんに電話した時点では、わが子への怒りの波も収まっていることが多く、学校側としても状況を冷静に伝えることができるのだとか。

 

「また、学校からは、必ずケガをした子の家に対してお詫びの電話を入れてください、と伝えます。これまでの経験上、ケガをさせた子へ、電話や家に訪問するなどして謝ることで解決するケースがほとんどです」(同)

 

先生の考え方によって様々な解決法がありますが、ケガをさせてしまった時は、きちんと相手にお詫びをするのが基本ですね。

 

 

●完全には防げない、子ども同士のケガ

 

子ども同士のケガは、先生たちにとっても気を使うもののよう。ただ、どう注意しても防げないというのが現実のようです。

 

「ケガをしないに越したことはないのですが、集団生活では、子どもはどうしてもケガをするものです。休み時間など見ていると、お互いよそ見をしながら走ってきてぶつかったりしています。不可抗力の場合も少なくありません。とてもおとなしい子が、まったく悪気なく、誰かをケガをさせてしまうこともあります。子どもが集まる学校は、おうちにいるときよりもさらにケガのリスクが高いということを心に置いていただければと思います」(同)

 

そもそも家庭でもケガはしてしまうもの。親の側も、ケガに対して神経質になりすぎないようにしたいですね。

 

ところで、保健室での手当で舟山先生が気になることは、「子どもが下校後、あるいは休日などにケガをしたとき、あるいは学校以外でのスポーツで打撲や擦り傷を負ったときに、親御さんから『学校で診てもらいなさい』とか『学校で湿布を替えてもらいなさい』などと言われている子がいること」だそう。

 

気持ちはわからないのでもありませんが、そもそも保健室の養護の先生は、学校の管理下でのケガに対応しているもの。保健室は病院や治療院ではないので、家庭でのケガは、家庭で対処していきましょう。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

 

 


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