大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年7月11日の記事
もうすぐ夏休み。はじめての夏休みは、わくわくすることでいっぱいですよね。同時にやってくるのが、夏休みの宿題。小学1年生にとってはじめての「夏休みの自由研究」です。自然観察、理科の実験、工作……「どれにする?」と聞いても、ピンとこない1年生が多いのでは。そこで、ヒントになりそうな本をご紹介します。
『好奇心をそだて考えるのが好きになる 科学のふしぎな話365』(日本科学未来館 監修)は、分厚い図鑑のような本です。でも開いてみると分かるのですが、フルカラーのイラスト満載で、漢字にはすべてふりがなが振られ、絵本感覚で読める本なのです。1年365日分、毎日ひとつずつ「科学のふしぎ」についてのお話が載っていて、またそのテーマが身近ですごくわかりやすい!
たとえば7月は「アイスクリームはどうやってつくるの?」(食べものと飲みもののふしぎ)でなめらかなアイスクリームと空気の関係についておしえてくれたり、「ホタルはどうして光るの?」(生きもののふしぎ)でオスとメスの会話を解き明かしたりします。「指もんってなんのためにあるの」(からだのふしぎ)では、人間や動物の体のしくみに興味がわきますし、「海の水がしょっぱいのはなぜ?」(自然と地球のふしぎ)では、マグマや塩化ナトリウムという言葉もつかって、海にとけているいろいろな物質について説明してくれます。
オタマジャクシの育て方や、牛乳パックを使った雨量計の作り方、紫外線、空気圧の実験など、実際に子どもが自分で「やってみる」「たしかめる」ことへの結びつけ方もばっちり。身の回りのことを「科学」の目線でとらえなおすきっかけになる本です。
小学1年生は、「自由研究ってなにすればいいの?」と戸惑うのがあたりまえ。最初から自分ですべてできるお子さんはいません。具体的なやり方よりもまずは、「自由研究って楽しいかも」「ふしぎなことがいっぱいあるんだね」「なんでも自由研究にできちゃいそうだね」という気持ちになれることが大事です! そして親自身が「おもしろいな」って思うことも大事。子どもと一緒に共感しながら好奇心を育てていけば、「自由研究、なにやろうかな」とだんだん自分で考えられるようになるのではないでしょうか。
もう一冊ご紹介したいのはこちら。『ウエズレーの国』(ポール・フライシュマン 作/ケビン・ホークス 絵)です。
仲間はずれにされ、町でひとりだけ浮いていた少年、ウエズレーは、夏休みに「じぶんだけの作物をそだてて、じぶんだけの文明をつくるんだ! すごい自由研究になりそうだ」とひらめきます。庭をたがやし、タネをそだて、大きくなった作物から洋服も作ってしまう。はじめは遠巻きにしていた近所の子たちも、だんだんおもしろそうだと気づきはじめます。ウエズレーはあたらしい数のかぞえ方を発明し、「遊び」を考えだし、とうとう文字まで発明してしまうのです!
ウエズレーが作った、ウエズレーの国、ウエズランディア。じぶんで作った空中ベッドで、夜空をみあげて涼しくすごすウエズレーの自由に満ちた姿。美しい絵と深いテーマに、子どもも大人も、心を揺さぶられます。
ウエズレーはなんて自由に見えることでしょう。作者のポール・フライシュマンは歴史、音楽、自然科学を愛する児童文学作家。『ウエズレーの国』は、一人の少年の「自由研究」が、町や周囲の人を変えていくという視点でも読むことができます。
『ウエズレーの国』というわくわくする絵本を読むと、自由研究は、学習のひとつのテーマだけれど、広く考えれば「生きることをより楽しむ」学びにつながること、人生はこれから先もっと広がっていくことを教えてくれます。ふだんの生活をリセットして、心と体を大きく成長させる夏休み。小学1年生ならではの、のびのびとしたチャレンジで、よい夏をすごしてくださいね。
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