登山ガイド・栗田朋恵さんとフリー編集者・東麻吏さんによるアウトドアユニット。鎌倉や逗子での親子ハイキングイベントやハイキング講座、「おやこ山えんそく」など「母による母(父)のための自然あそびワークショップ」を開催している。
「外あそびtete」(http://teteasobi.com/)
近著『母と子のためのハイキング&キャンプ』
http://www.chikyumaru.co.jp/detail/class_code/8-622/
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年長 2018年7月27日の記事
爽やかな風や緑が心地よい夏の山。夏休みも始まり、今年は登山に挑戦したいと思っている親御さんもいるのではないでしょうか。そこで今回は、親子ハイキング講座などを主催するアウトドアユニット「外あそびtete」の東麻吏さんに、親子での山遊びデビューの心得や、夏山ならではの注意点などを教えていただきました。
まず、親子での山遊びにはどんなメリットがあるのでしょうか?
「公園とは違う、ありのままの自然が味わえることが一番のメリットですね。足元ひとつとっても、登山道は道路のようには整地されておらず、ボコボコしています。子どもは全身を使って不整地を歩くことになり、日常生活ではなかなか鍛えられないバランス感覚や筋力、平衡感覚などを養うことができます。
子どもは慣れてくると『あの窪みはつまずきそう』、『木の根が盛り上がっているから注意!』など、危険な場所を判断する力がついていきます。また、親は自然の中に身を置くことで解放感が得られ、家にいるときに比べて些細な注意が減るなど、接し方に変化が出ます。親の心の状態は子どもにもいい影響として伝わります」(東さん)
東さんによると、最近は子連れ登山をする人も増えているそう。デビューの目安は何歳ごろでしょうか?
「行き先にもよりますが、急な上りや下りがなく、大人の足で1時間〜1時間半くらいのコースなら、2歳半くらいから楽しめますよ。大きくなってからだと親の方が子どものパワーに負けてしまうこともあるので、親子登山で親も体力アップという意味でも、就学前後はいいタイミングですね。
生後6カ月程度(腰がすわった頃)から、子どもが15kgくらいまで使えるベビーキャリアもあるので、下のきょうだいと一緒に行くことも可能です」(同)
では、行き先はどのように選んだらよいのでしょうか?
「最初は、関東近郊であれば高尾山(東京都・標高599m)、筑波山(茨城県・標高877m)など有名なところがおすすめです。有名な山は、トイレや案内板などの設備がしっかりしている、人が多いので道に迷いにくいなどのメリットがあります。
また、山頂近くまでゴンドラで行けて、きちんと整備されている入笠山(長野県・標高1955m)のような場所なら、標高が高めでも安心です」(同)
登山は、行き先選びと並んで「スケジュールづくりが大切」と東さんは続けます。
「暗くならないうちに下山するのが基本なので、夏でも15時までには下山できるように予定を組みましょう。親子登山の所要時間は大人の2倍が目安。大人で片道1時間の行程なら、片道2時間+お昼休憩1時間=5時間かかると考えます。 9時に登山開始して14時に下山、休憩が増えたりちょっとしたトラブルがあったりしても15時ころまでに下山できる…というイメージです。現地までの交通手段や所要時間も調べ、その日全体のスケジュールを組み立てます。日帰りが難しそうな場合は前泊も検討するといいですね」(同)
親のほうも初心者の場合、経験者と一緒に行くべきでしょうか?
「きちんと準備すれば家族だけでも大丈夫ですが、心配な場合は経験者の親子と一緒に行けると安心です。また、現地の個人ガイドに頼んだり、アウトドアメーカー主催のイベントに参加するなどの方法もあります。ガイドと歩くと、スケジュールづくりをお任せできるだけでなく、現地の自然について教えてもらえるなどのメリットがあります」(同)
必ず準備しておきたい装備や、持ちものはありますか?
「紙の地図とファーストエイドキット、ヘッドランプ、防寒具、しっかりした雨具は基本です。万が一のために携帯電話用の充電池も忘れずに持っていきます。飲用とは別に真水も準備すると、手や傷の洗浄などにも使えて便利です。また、万が一はぐれてしまった場合を想定し、ひと晩過ごせる程度の水や食料、防寒具は子どものリュックにも入れ、使い方も教えておきましょう。
服装はこまめに調節できる重ね着が基本ですが、汗冷えで体調を崩してしまわないよう吸汗速乾素材の下着やTシャツがとても大切です。足もとは行き先によってスニーカーからトレッキングシューズまで、向いているものを選びましょう。親はトレッキングシューズがやはりおすすめ。疲れ方が全然違うので、子どもをケアできる余裕ができます」(同)
これらの持ち物・装備はアウトドアショップでひと通り揃うとのこと。値段が高ければいいというわけではないので、行き先や目的を伝えてお店の人に相談してみるといいそうです。子どもがいるスタッフや、親子登山に同行した経験を持つスタッフならより親身になって教えてくれそうですね。
いよいよ登山当日。現地ではどのような注意点があるのでしょうか?
・情報収集はマメに、判断は冷静に
「天候や体調チェックはマメにしましょう。不安要素がある場合は潔く登らない、登山途中も、雷などの不安要素が出たらすぐに下山を始めるといった勇気も大切です。『せっかくここまで来たのに』『あと少しだから』という気持ちを抑えた冷静な判断ができるかどうかが明暗を分ける場合もあります」(同)
・手の届くところを歩かせる
「子どもは楽しくて先に行きたがりますが、大人の手の届くところにいるように言い聞かせて。滑落などを防ぐためにとても大切なので、多少年齢が上がっても同じです」(同)
・予備知識を持たせてパニックを防ぐ
「自然との接し方や緊急時の対応なども話しておきましょう。『ハチが近づいてきてもこちらが何もしなければ攻撃してこない』『緊急時の笛は1回でなく、長く3回吹くことで気づいてもらいやすい』といったことを知っておくだけでもパニックは防げます」(同)
最後に、夏山ならではの注意点はありますか?
「熱中症対策がとくに大切です。塩飴や水、お茶、スポーツドリンクなどで塩分と水分をこまめに補給しましょう。喉が乾いてから飲むのでは遅く、また一気に飲むとトイレが近くなるので、『15分ごと』などと決めて、ひと口かふた口ずつ飲むようにして。子どもだけでなく親も同じです! また、汗が乾かないと冷えてしまうので、先に挙げた吸汗速乾の下着は必須。子どもはマメに着替えさせてもよいですね」(同)
親も初心者の場合、なかなかハードルが高い親子登山ですが、きっとほかにはない感動が得られるはず。正しい情報と知識を持って安全に楽しみたいですね。
(取材・執筆:高柳涼子)
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