国土交通省、文部科学省、環境省の連携による『「子どもの水辺」再発見プロジェクト』を推進・支援する組織として「河川財団」内に誕生。さまざまな省庁やNPO、各地の市民団体と連携して、川を中心とする水辺の活動に関する情報や学習教材を提供。川の安全な利用方法の啓発なども行い、水辺での環境学習や体験活動を支援している。
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小学1年生 2018年7月26日の記事
夏休みは、カヌーでの川下りや湖でのボート遊びなど、河川や湖沼でのレジャーも楽しい季節ですよね。また、キャンプやバーベキューを兼ねての川遊びを楽しむ機会も多いのではないでしょうか。
しかし、意外と怖い川での水難事故。実際、毎年のように子どもの痛ましい事故が起きています。そこで今回は水難事故の研究や安全のための情報提供などを行う「河川財団・子どもの水辺サポートセンター」の菅原一成さんに、川でのレジャーを安全に楽しむための注意点を教えていただきました。
まず、子どもの水難事故の傾向を教えてください。
「厚生労働省統計による、子どもの不慮の事故死の原因をみると、ほとんどの年齢で“交通事故”に次ぐ2位が“屋外での溺水”です。警察庁統計でも子どもの水難死亡事故の発生場所は河川・湖沼池が約6割を占め、海の2倍以上にのぼります。
特に、大都市や中核都市から行きやすく、川遊びやバーベキューができる広い河原のある中流域で7~8月に多く発生していることから、家族やグループで夏のレジャーに出かけた際に気軽に川に入り、事故が起きるケースも多いと考えられます」(菅原さん)
まさにいまの時期ですね。どのような状況で多く発生しているのでしょうか。
「圧倒的に午後が多く、14~15時がピークです。暑さや疲れ、昼食後の眠気、大人なら飲酒の影響などが考えられます。また、実は単独行動よりグループ行動、子どもだけのグループより大人を含むグループのほうが事故は多数。『複数だから安心、大人と一緒だから大丈夫』などと考えず、どんな場合も安全管理を徹底することが大切です」(同)
子どもと川辺に出かける際に、気をつけたいポイントはどんなことでしょうか。
「まず、『川には流れがある』というのが一番のポイントです。さらにこの流れは、護岸や橋、堰(せき)といった人工の工作物や、川周りの地形などによって複雑に変化します。川底に引っ張られるような流れや、上流方向に循環する強い流れは特に危ないのですが、怖いのは、これらが陸上からわかりにくいことです。
↑川幅が急に変わる場所の境目などに下向きの強い流れが生じることも
また、流れは想像以上に強い動水圧(水平方向に働く水圧)を生み出します。たとえば、歩ける深さで大人の歩く速さ程度の流れでも、いったん足が川底の石などに挟まり固定されてしまうと、流れに押し倒され、顔を水中から出すのも困難となることがあります」(同)
また、夏ならではの注意点も教えていただきました。
「上流での雨やダムの放流などによる増水には季節を問わず注意が必要ですが、夏に多い雷雨などの場合はより急激に水かさが増します。川遊びの予定があるなら、国土交通省がリアルタイムで提供している『川の防災情報』等のサイトで確認しましょう。他にも、遊んでいる間に雷の音が遠くに聞こえたり、上流の方に雨雲が見えたら、川辺から撤収を。葉っぱやゴミなどの流水物が多い、水温が急に低くなったなども増水の前兆です。
また、夏の暑い日でも注意したいのが低体温症です。水の中は陸上の20倍以上も熱が伝わりやすく、特に川では、流れによって急激に体温を奪われることもあります」(同)
万が一子どもが流されたり溺れたりした場合、どのように助けたらよいのでしょうか。
「救助方法には危険度別に6つのレベルがあり、安全なほうから
1)声をかけて誘導する
2)棒や釣り竿などの長いものを差し伸べる
3)ロープやペットボトルなどの浮くものを投げる
4)ボートやカヌーなどで近づく
5)川の中を泳いで近づく
6)遭難した人を引っ張って泳いで戻る
となります。ただし、水の中に入る(4)以降は、事故の状況によっては、訓練を積んだ人が高性能のライフジャケットを着用した状態でなんとか成功するレベル。溺れている人を助けようとして流されたり、溺れたりする『二次災害』も、救助活動全体の約15%で起きています。しかも、二次災害の被災者は一時災害の被災者より重篤となるケースが多く、一次災害の倍以上である約80%が死亡・行方不明という痛ましい調査結果もありますから、周囲の状況をしっかり確認して、できるだけ水に入らずに助ける方法を考えてください」(同)
とはいえ、目の前で事故が起きたときに冷静な判断は難しいもの。
「危険な状況を作らないことが一番です。川の事故は流れがあるため、短時間で命に関わる状況に陥るうえに、助けるのも困難。そこで皆さんに必ず着けていただきたいのがライフジャケットです。着けていれば常に頭が水面上に出て呼吸ができるので、万が一の際も見つけてもらいやすく、救助までの時間も稼げます。着用した子どもが助かって未着用の親が亡くなった例もありますので、大人も必須です。
キャンプなどの場合、大人が料理やテントの準備をしている近くで、子どもだけで遊ぶ場面もあるのではないでしょうか。実際に水に足を入れていなくても、川岸ですべったり草地の切れ目に気づかなかったりして川に落ちるリスクもあるので、川に近づくタイミングで着けておいてあげると安心です」(同)
ライフジャケットはどのように選べばよいのでしょうか?
「年齢や体格に見合った浮力があるものを選びましょう。頭を出すことが一番の目的なので、頭の重さ以上の浮力が必要です。具体的には子どもで4kg、大人で7.5kgの浮力が一つの目安です。
また、ベルトなどで体にフィットさせるタイプかどうかも重要。子ども用は股下ベルトがあるとさらに脱げにくくなります。船などに積んである緊急用の『救命胴衣』は脱ぎ着しやすいようにベルトなども最低限ですが、それだと流れのある川ではすぐ脱げてしまうので不向きです。
『NPO川に遊ぶ体験活動協議会(RAC)』や『日本小型船舶検査機構(JCI)』などに川遊び用やレジャー用として認定された製品なら性能面も安心。一般的なライフジャケットは物によってはホームセンターやインターネットでも2,000円~3,000円台で買え、きちんと保管すれば何年も使えます」(同)
↑子供用ライフジャケットは股下ベルトがあるとベター
その他、川遊びにおすすめの装備はありますか?
「川の中では石や釣り針などでケガをする心配もありますので、足も守りたいもの。濡れてもよい運動靴か、『アクアシューズ』や『スポーツサンダル』などの名称で売られている、かかとが固定できて足裏にすべり止めがついた履物を選びましょう。ビーチサンダルは脱げやすく事故に繋がるのでNGです。スポーツ用の速乾性衣類や水抜きの穴がついたヘルメットなども、あればさらに安心です」(同)
意外な危険も多い川ですが、正しい知識と装備でリスクは大幅に減らせそうです。身近な存在だからこそ安全に楽しみたいですね。
(取材・執筆:高柳涼子)
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