藤咲ちとせ
大手エンタメ情報誌の映画担当を経てフリーランスのエンタメライターに。2003年、2007年に女児を出産した後、日本初の子どものための映画サイト「こども映画プラス」の立ち上げに関わる。長女が年少の頃から10年以上映画館、テレビ、DVDなどで子どもと映画を鑑賞しながら、“親子の映画の楽しみ方”“映画で子どもの好奇心や知識、語彙力、コミュニケーション力がどのように育つのか”を研究し続けている。
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週末・その他
年長 2018年2月5日の記事
あと数ヵ月後に小学校入学を控えた年長さん。これまでママと一緒に保育園や幼稚園に通っていた子も、4月からはママの手を離れて登下校することになります。ママも子供もドキドキ! そんなママと年長さんに今回オススメするのは「世界の果ての通学路」。登下校に片道1時間以上もかけて通学する4か国の子どもたちの姿を追ったドキュメンタリーです。
アフリカ、ケニアに住む11歳の男の子ジャクソンは、7歳の妹と一緒にゾウやキリンなど野生動物が出没するサバンナを毎日通って学校に通います。片道2時間15キロ。文字通り命がけの登下校です。アルゼンチンの男の子カルロス11歳も片道18キロの道のりを、5歳下の妹と馬に乗って通います。また、モロッコの女の子ザヒラは全寮制の学校で学んでおり、週末には自宅に帰り、月曜日には友だち3人と片道22キロ、なんと4時間!もかかる道のりを歩いて学校へ戻ります。そしてインドの男の子13歳のカルロスは足に障害があり、2人の弟の手を借りてオンボロ車いすで片道4キロ、1時間以上の道のりを通学しています。
どんなに距離があろうとも、どんなに時間がかかっても学校へ通う彼らの姿に驚かされます。ケニアのジャクソンは野生動物に襲われる危険と常に隣り合わせだし、インドのカルロスは車いすが川にはまって立ち往生してしまったり、途中で車輪が外れて車いすが動かなくなってしまったりとトラブルも頻繁に起こります。それでも彼らには“学びたい”強い気持ちがあります。文字が読めない家族に応援されて学校に通う子、自分たちの環境を変えたいと医師を目指す子。そんな彼らの想いに頭が下がります。
この日本でも、初めてママの手を離れての登下校は、子どもたちにとっては大きなチャレンジ。この映画の子どもたちほどではなくても、通学路には車や自転車など、気をつけなければいけないポイントがたくさんありますから、入学前に通学路を何度か親子で歩いて確認することになります。親子で歩きながら、映画のことを思い出し「小学校に行ったらこんなことが学べるよ」「どんなことがしてみたい?」と、学校への期待や子どもの好奇心をサポートしてあげるような会話ができるといいのかなと思います。
我が子が楽しく小学校に通ってくれるといいな、というのは共通の親の想いです。それでもちょっと慣れた頃に“学校に行きたくない”“勉強したくない”と言い出す子がちらほら出てきます。そんなとき、ついこの映画を持ちだして「もっと大変な思いをしてる子が世界にはいるんだから……」と言いたくなってしまうんですよね(苦笑)。
でもこの映画に描かれているのは、“子どもたちはもともと学びたい、新しいことを知りたいという好奇心にあふれているのだ“ということ。つい小言を言いたくなる気持ちをグッと押さえて、自分の息子の、娘の好奇心はどこにあるのかな?と改めて考えてみたり、ひとりで登下校をがんばっている子どもの応援をするような声掛けをしてあげられるといいですね。
映画に登場する国についてママが調べて教えてあげるのもおすすめです。子どもが“世界”へ興味を持つきっかけにもなりますよ。
<データ>
2012年/77分/フランス/監督:パスカル・プリッソン/出演:ジャクソン・サイコン、サミュエル・J・エスター、ザヒラ・バディ、カルロス・ヤネズ
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