大手エンタメ情報誌の映画担当を経てフリーランスのエンタメライターに。2003年、2007年に女児を出産した後、日本初の子どものための映画サイト「こども映画プラス」の立ち上げに関わる。長女が年少の頃から10年以上映画館、テレビ、DVDなどで子どもと映画を鑑賞しながら、“親子の映画の楽しみ方”“映画で子どもの好奇心や知識、語彙力、コミュニケーション力がどのように育つのか”を研究し続けている。
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週末・その他
小学1年生 2018年7月17日の記事
「こんな夏を過ごしたい!」 夏休みが楽しみになる映画3選
親子の会話がはずむ、年長児とママのための映画ガイド【第13回】
いよいよ夏休み! 1年生にとっては小学校生活初めての夏休みがやってきます。宿題はたくさんあるの? どこに連れていこうか? 親のほうもなんだかソワソワしてしまいますよね。さらには、「この夏をとおして、わが子に成長してもらいたい」と期待する親心も…。
そこで今回は「子供がこんな風に夏休みを過ごしてくれたらいいな」と思える映画を3本ご紹介します。親子で鑑賞しても良し、パパ・ママだけで観て少年時代の気持ちを思い出すも良し、暑い夏の一日、冷たいアイスでも食べながらおうち映画館を開催しちゃいましょう!
●自然の中で思いきり遊ぼう!「やかまし村の子どもたち」
家が3軒しかないスウェーデンの小さな村を舞台に、そこに住む6人の子どもたちの夏休みをイキイキと描いた作品です。「長くつしたのピッピ」や「ロッタちゃん」シリーズなどで知られる、アストリッド・リンドグレーンの名作児童文学を映画化しています。
“やかまし村”の小学生6人は今日も元気いっぱい。リサとそのお兄ちゃんラッセとボッセ、アンナとブリッタの姉妹、そして赤ちゃんの妹がいる男の子オッレ。森や湖などたっぷりの自然の中で毎日楽しく遊びます。みんなで釣りをしたり、湖で泳いだり、干し草のベッドでお泊りをしたり、朝早く起きて水の精を探しに行ったり…。水車小屋での粉ひきや畑仕事などのお手伝いもみんなでやれば楽しい! やかまし村の毎日は、6人にとってすべてが遊びと冒険にあふれています。
大きな事件が起こることもなく、子どもたちの毎日がゆったりのんびり、ほんわかムードで綴られているだけの映画ですが、自然の中で小さな冒険を繰り返す子どもたちの姿を見ると「子どもにはぜひこんな夏休みを過ごしてほしい」と思わずにはいられません。今の時代、子どもたちだけで森に遊びに行く、なんてことはなかなかさせてあげられないし、大自然の中での冒険もお金を出さないと体験させてあげられなかったりもします。でも子どもは本来、自然の中でさまざまなことを学ぶもの。携帯やゲームが無くても知恵と勇気とアイデアで、イキイキと遊ぶやかまし村の子どもたちを見ながら、夏休みに子どもにどんな体験をさせてあげようか考えてみてはいかがでしょうか。
<データ>
■やかまし村の子どもたち
1986年/1時間30分/スウェーデン/監督:ラッセ・ハルストレム/原作・脚本:アストレッド・リンドグレーン/出演:リンダ・ベリーストレム、アンナ・サリーン
●おじいちゃんから学ぶこと「夏の庭 -The Friends-」
近所に住む謎の老人と、小学生男子3人のひと夏の交流が描かれます。小・中学校の夏の推薦図書に上がることも多い同名タイトルの児童文学を映画化しています。
神戸に住む木下、河辺、山下の男子3人は小学校のサッカー仲間。“人が死んだらどうなるのか”ということに興味を持った3人は、近所のおんぼろ屋敷に住む変わり者の老人、喜八を観察することに。最初は子どもたちを邪険にしていた喜八でしたが、次第に彼らと言葉を交わすようになり、3人は荒れ放題の庭の草取りをしたり、障子を貼り換えたり、屋根のペンキ塗りをしたり、家の手入れをしてあげるようになります。そしてある台風の日、喜八を心配して集まった3人に、喜八は自分の遠い昔の戦争体験を話し出すのでした。
夏休みだからこそできる“おじいちゃんおばあちゃんとの体験”について考えさせられる映画です。最初は興味本位で老人に近づいた小学生男子が、交流を通じてしだいに老人や仲間との絆を深め、かけがえのないひと夏の体験をすることになります。夏休みに帰省するご家庭も多いと思いますが、田舎のおじいちゃんおばあちゃんのお手伝いをしたり、昔の体験を聞くことは、子どもにとっても貴重な体験になるはずです。
<データ>
■夏の庭 -The Friends-
1994年/1時間53分/日本/監督:相米慎二/原作:湯本香樹実/出演:三國連太郎、戸田菜穂、柄本明、坂田直樹
●夏休みならではの体験「映画ちびまる子ちゃん・イタリアから来た少年」
アニメでおなじみ「ちびまる子ちゃん」の映画版です。留学生を自宅にホームステイさせることになった、まるちゃんたちのひと夏の思い出を描いています。
夏休みを目前にしたある日、お金持ちの花輪クンの家に5人の留学生がやってきます。ホームステイを受け入れることになったまる子の家に来たのは、イタリアの少年アンドレア。実はアンドレアのおじいちゃんの名前は“マルコ”といい、昔大阪に住んでいたことがあるらしいということがわかります。花輪くんのはからいで、みんなで大阪旅行に行くことになったアンドレアとまる子は、おじいちゃんがお世話になった夫婦を探すため、大阪の街を訪ね歩きます。夫婦に会えないままアンドレアが帰国する日がやってきました。まる子は飛行機の時間まで諦めずにアンドレアと一緒に夫婦を探すことにするのですが……。
最初はアンドレアが気に入らなかったまる子が、子ども同士で友情を深めていく様子、異国の友だちのために一生懸命になる姿、「いつかまた会えますように」とお願いするお祭りでのワンシーンなど、親目線で見ても心を動かされるシーンがたくさんあります。出会いと別れがあり、楽しいことも悲しいこともたくさんの経験をしながら、子どもたちは成長していくのでしょう。
<データ>
■映画ちびまる子ちゃん・イタリアから来た少年
2015年/1時間34分/日本/監督:高木淳/原作・脚本:さくらももこ/声の出演:TARAKO、島田敏、中川大志、劇団ひとり、渡辺直美、ローラ
作品と同じ体験はできないかもしれませんが、親子でこれらの映画を観て、“笑って泣いて”感動するのも、親子の楽しい夏の思い出になりますよ!
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