扁平足や浮き指も…! 子どもの「足」トラブルが急増中!?

 

 

裸足で過ごすことが少なくなったと言われる今、土踏まずの発育不良や足指の変形など、子どもの足のトラブルが増加中だとか。そこで、正しい靴の選び方から足裏を鍛える生活習慣まで、健やかな足の成長を促すためのポイントを、神奈川県藤沢市の小児科医院「わかきkids’クリニック」の若木均先生に教えていただきます。

 

 

●子どもの扁平足や浮き指に気づいていない保護者も多い!?

 

扁平足(へんぺいそく)や浮き指の子どもが増えていることは、現場で子どもたちを教える先生方からも指摘する声があるようです。若木先生は最近の子どもの足のトラブルについて、どのように感じていますか?

 

「小児科に来るお子さんの足のトラブルと言うと、靴ずれや巻き爪、イボ、うおのめなどが多いのですが、一方、小児整形外科をはじめとする足の専門家のお話を聴くと、扁平足や浮き指の子どもが増加傾向にあるようです。

 

このことからもわかるように、専門家が感じている子どもの足の問題点と、普段の生活の中でおうちの方が感じているお子さんの足の悩みには差があるように思います。お子さんが扁平足や浮き指だとしても、それに気づいていない親御さんも多いのかもしれません」(若木先生)

 

巻き爪やイボなどは痛みや不快感といったわかりやすい症状がある一方、「わが子が扁平足かもしれない…」と小児科に行くことはなかなかないですよね。

 

「赤ちゃんの頃は誰もが扁平足ですが、はいはいやつかまり立ち、歩いたりする中で、骨の成長とともに筋肉や腱が鍛えられ『足裏のアーチ』が形成されていきます。ところが、そのアーチがしっかり形成されないまま成長してしまうケースもみられるようです。個人差はあるものの一般的には6、7歳頃になると大人のようなアーチに近づきますが、扁平足のままだと安定性が培われず転びやすかったり、外反母趾につながることもあります」(同)

 

一方「浮き指」とは、立ったり歩いたりするときに足指が浮いてしまい、しっかり踏ん張れなくなってしまうというもの。最近になって問題視されるようになってきたため、初めてこの言葉を聞いたという方も多いのではないでしょうか。

 

 

●足トラブルの原因は、活動量の低下と間違った靴選びにアリ!

 

扁平足や浮き指といった足のトラブルは、どのようなことが原因として考えられますか?

 

「大きくわけて二つの原因が考えられます。一つめは、子どもの活動量が減り、日常的に足を鍛えられる場面が少なくなったこと。二つめは靴の選び方です。

 

まず活動量の低下ですが、最近の子どもは安全面の問題や、テレビゲームやスマホの視聴時間、塾や習い事の時間が増えたことで、外遊びの機会が少なくなったと言われています。さらに裸足で遊ぶこともめったにないですよね。

 

これを克服するためには、足を使った動きにこだわるのではなく、とにかく全身を使って楽しく遊んだり運動することを心がけると良いと思います。歩くことや走ることはもちろん、縄跳びやトランポリンのように跳ぶ動作も大事。それと、鬼ごっこのように、ステップやターンなどの予期せぬ動きが自然に取り入れられる遊びも、足の成長のためには良いと言われています。

 

あとは、おうちの中や体育館などの屋内でも良いので、できるだけ裸足で遊ぶ時間を増やすこと。直接地面の刺激を受け、自分の足で体重をとらえて活動することになるので、自然と足が鍛えられますよ」(同)

 

足のアーチがきちんと形成されていくことで、安定が得られて転びにくくなるのでケガの防止につながるほか、かけっこが速くなるといったメリットも。さらに地面からの衝撃を吸収する役割を担うため、大人になってから腰や膝の故障、肥満などにもなりにくくなると考えられるそうです。

 

 

●靴はかかとで合わせ、指先は5~7mmゆとりをもたせるのが理想

 

次に、靴の選び方について。子どもたちを見ていて気になることがあるとのことですが…。

 

「小さい靴はもちろんですが、実は大きすぎて足に合っていない靴を履いているお子さんが多いように感じます。子どもは成長が早いからと大きめの靴を買ってしまいがちですが、どんなに機能的な靴だったとしても、靴が大きいと中で足が動いて体重がとらえづらくなります。サイズが合っていない靴は足に負担がかかり、外反母趾や靴ずれといったさまざまなトラブルを招く原因にもなるのです」(同)

 

子どもの靴を選ぶときは、どのような点に気をつけると良いのでしょうか?

 

「まずはかかとをしっかり合わせて、指先は5~7mmあいているのが理想です。0.5cm単位でサイズ展開されている靴だと、よりお子さんに合った靴選びができるのでおすすめ。お子さんにつま先立ちをさせてみて、かかとがパカッとはずれてしまうようだと大きかったり、ソールが硬すぎたりすることが考えられるので、サイズを含めフィッティングし直しましょう。

 

それから、クッション性とソールの柔らかさも大事なポイント。ソールが硬いと、蹴り出すときに靴裏がしっかり曲がらず効果的に蹴り出せません。足の動きに対応してくれる、適度に柔らかいソールの靴がおすすめです。また低学年の場合、紐よりもマジックバンドのほうが、かかとから中足部の固定を調整しやすいので良いと思いますよ」(同)

 

お子さんの体の大切な土台である「足」の成長。日々の楽しい遊びの中で育んでいけたら良いですね。

 

(取材・執筆:高野理恵)

乳歯から永久歯への生え代わり時期はいつ? 気をつけることは?

 

 

小学校入学前後の子どもたちは目をみはるような成長を見せるもの。なかでも「古いものが抜けて新しいものが生えてくる」という劇的な変化が訪れる「歯」の成長については、特に気になるところです。子どもの歯はいつごろ生え代わりが始まり、どのようなことに気をつけてあげればよいのでしょうか。歯の生え代わりについて、子どもの歯に詳しい神奈川歯科大学大学院の木本茂成先生に聞きました。

 

 

●永久歯に生え代わり始めるのは6〜7歳頃からが一般的

 

はじめに、子どもの歯の生え代わり時期を教えてください。

 

「まず乳歯ですが、おおよそ生後3か月から1年の間に、下顎の前歯から生え始めます。多くの場合上下10本ずつ、あわせて20本の乳歯が2歳半から3歳ごろに生え揃います。

 

永久歯への生え代わりの開始は6歳ごろ。だいたいの場合は下顎の前歯(中切歯)から始まり、下顎ではその次に6歳臼歯が生えてきて、その後は概ね前歯から奥歯に向かって順番に生え代わっていきます。また、上顎の中では、はじめに第一大臼歯(6歳臼歯)が生えることが多く、その後、7〜8歳ぐらいに1番目と2番目の前歯が生え代わります。前から3番目の糸切り歯(犬歯)は、前から4番目の奥歯(第一小臼歯)の後に生えてきます。

 

乳歯のとき一番奥にあった奥歯『第二乳臼歯』まで上下とも生え代わるのが、11〜12歳頃になりますが、さらにその奥に『6歳臼歯(第一大臼歯)』『12歳臼歯(第二大臼歯)』が生えてきて、14〜15歳頃に上下28本の永久歯の歯並びが完成します。また、人によっては、高校生以降になると、さらに奥に『親知らず(第三大臼歯)』が生えてきます」(木本先生)

 

ここで覚えておきたいのは、生え代わりの時期にはかなりの個人差があるということ。ここまでに出てきた年齢や生える順番についてもあくまで目安であり、特に年齢については1年ぐらいのずれは普通にみられるそうですから、他の子と比べて遅れているけど…と過度に心配する必要はないようです。

 

 

●生え代わりの時期は「歯並び」だけでなく「むし歯」にも注意!

 

では、生え代わりの時期に気をつけるべきことを教えてください。

 

「永久歯がきれいに生えてくるかどうか、歯並びが気になる方も多いと思います。永久歯の歯並びを良くするためには、乳歯が生え揃う3歳頃から、様々な種類の食品を良く噛んで食べる経験がとても大切になります。

 

それも、ただ硬いものを噛む、噛み切れないものをひたすら噛み続けることばかりが良いわけではありません。柔らかいもの、粘着質なもの、繊維を噛み切る必要があるものなど、とにかくさまざまな性質のものを幅広く経験させることが重要です」(同)

 

歯並びが心配な場合は、できれば乳歯が生え揃ったら一度、小児歯科専門医に診てもらうといいそうです。また、歯の生え代わる時期のトラブルとしては、やっぱりむし歯も気になります。

 

「むし歯の原因菌となる『ミュータンス連鎖球菌』は、多くの子どもの口内にある常在菌です。この菌は食べかすなどに含まれる糖質を分解し、プラーク(細菌の塊)となって増殖し、その際に酸を作ります。一方、歯の表面はとても硬いエナメル質でできていますが、酸には弱い特性があるため、その酸で溶かされ穴が空く、これがむし歯です。

 

乳歯は永久歯に比べてエナメル質が柔らかいため、むし歯になりやすいと言えます。『どうせ永久歯に生え代わるから…』といって乳歯のむし歯を放置していると、永久歯の歯の質や歯並びにまで悪い影響を及ぼすことがあります。

 

また、永久歯であっても生えたばかりの頃は乳歯のように歯の質が弱いので、同じくむし歯になりやすい性質があります。生え始めの永久歯はもちろん、歯ブラシが届きにくい奥歯の奥まで丁寧に仕上げ磨きして、知らぬ間にむし歯ができていないか気をつけて見てあげましょう」(同)

 

新しい永久歯だけでなく、いずれは生え代わる乳歯も大切にしなくてはいけないのですね。歯の生え代わり時期は念入りに親が仕上げ磨きをしてあげましょう。

 

 

●乳歯がぐらついてきたら抜いた方がいい?

 

ところで、生え代わりの際に乳歯がぐらついたまま、なかなか抜けないということもあるかと思います。こうした場合は早く抜いてしまった方が、下から生えてくる永久歯のためになるのでしょうか?

 

「乳歯が生え揃う前に、歯茎の中では永久歯がどんどん成長しています。そして、顎の中での永久歯の成長にともない、乳歯は根元が徐々に溶けて短くなり、ぐらつくようになるのです。そのため、生え代わりの時期であれば、基本的に乳歯は自然に抜けるまで放っておいて構いません。

 

ただし、乳歯が抜けないうちに永久歯が歯茎から見えてきた場合は別です。そのままでは永久歯が健全に生えることを阻害するため、歯科医院で乳歯を抜く必要があります。そうした乳歯は、本来は根元が溶けるべきところ一部が溶けずに残っていることもあるため、下手に抜くと歯の根が折れて歯茎の中に残ってしまうこともあります。きちんと歯科医に抜いてもらうようにしましょう」(同)

 

子どもの口の中でこれから一生を共にすることになる永久歯。適切なケアを心がけて大切にしてあげたいですね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

乳歯の奥に生える永久歯、“6歳臼歯”ってどんな歯なの?

 

 

園児から小学生へと変わるのと、ちょうど同じ時期。子どもの身体には大きな変化が訪れます。その一つが「歯」の変化。前歯から始まる歯の生え代わりもそうですが、奥歯の方では、乳歯の後ろに「6歳臼歯」というものが生えてきます。そこで、子どもの歯に詳しい、神奈川歯科大学大学院の木本茂成先生に「6歳臼歯」の特徴とケアについてお話を聞きました。

 

 

●「6歳臼歯」は体の発育にも影響を与える、とても大切な歯

 

小学校就学時期に生えてくる「6歳臼歯」。奥の方にあるので口の中を覗かないと気づきにくいようですが、これは一体どのような歯なのでしょうか?

 

「6歳ごろに生えることから『6歳臼歯(第一大臼歯)』と呼ばれるこの歯は、乳歯の一番奥の歯(第二乳臼歯)のさらに奥から生えてくる、とても大切な歯。乳歯が抜けて生え代わるのではなく、初めから永久歯として生えてきます」(木本先生)

 

この時期の子どもは前歯の生え代わりに注目がいきがちですが、奥の方ではそんなことが起きているんですね。では、なぜその6歳臼歯は大切だと言われるのでしょうか?

 

「6歳臼歯は最も早く生え変わる下顎の中切歯(前歯)に次いで、その直後に生える永久歯で、噛む力も歯の中で一番強いものになります。そのため、後の噛み合わせや歯並びに大きな影響をもたらすのです。この歯が正しく生えないと噛み合わせ、歯並びが正常なものになりません。6歳臼歯の異常はあごの関節に影響を与えたり、身体全体の発育にも影響することがあるため、特に大切な歯とされているのです」(同)

 

歯並びや、あごの関節にも影響することがある6歳臼歯。奥歯の奥で気づきにくいということなので、しっかり生えてきているかどうか注意して見てあげたいですね。

 

 

●永久歯も、生え始めから1〜2年の間は特にむし歯になりやすい!

 

ところで、6歳臼歯は初めから永久歯で生えてくるということですが、乳歯と永久歯には何か違いがあるのでしょうか?

 

「乳歯も永久歯も歯の仕組みはほぼ変わりません。役割として、乳歯は乳以外の固形の食物を摂取する機能を獲得するために早く生えてくるもので、あごの大きさに合わせた小さいサイズで生えてきます。だいたい生後6か月以降に下の前歯から生えはじめ、2歳半から3歳頃に上下10本ずつ、合計20本が生え揃うことが多いですね。

 

一方、成長にともなってあごは大きくなり、噛む力も強くなるので、それに合ったより大きく丈夫な歯が必要となります。そこで、乳歯と入れ代わって生えてくるのが永久歯なのです。永久歯はエナメル質や象牙質の厚みが乳歯よりも厚く、ほぼ2倍となっているために丈夫。さらに歯根部も深く根ざしており、成長にともなって強くなるあごの力にも対応しています」(同)

 

永久歯は乳歯より丈夫といっても、生えたてからしばらくはまだ“未完成”であり、歯根部に至っては、生え始めから3~4年経たないと完成しないとのこと。

 

組織がまだ完全には強くなっていないため、この期間は特にむし歯になりやすい時期。めやすとしては、「6歳臼歯が乳歯の奥歯と同じ高さまで生えて噛み合うようになる8歳ころまでは、まだまだ保護者の仕上げ磨きが必要」と木本先生。また、それ以降でも、きれいに磨けているか、歯磨き後のチェックは必要とのことです。

 

 

●歯ブラシが届きにくい6歳臼歯はしっかりケアを

 

では、6歳臼歯が生えてきたら、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか?

 

「6歳臼歯はそれまでに生えていた乳歯の奥歯のさらに後ろに生えるため、歯ブラシが届きにくい面があります。しかも完全に歯が露出するまでに、歯茎がかぶさっている状態が長く続くため、汚れが溜まりやすく、周囲の炎症を招きがちです。噛み合わせの溝が深いことからも食べかすが詰まりやすい上、永久歯と言ってもしばらくは表面もまだ柔らかいため、むし歯になりやすいという特徴があります。

 

永久歯のエナメル質は生えたあとに唾液中のミネラルが浸透し、徐々に強くなっていくものですので、生えたばかりの6歳臼歯周辺の仕上げ磨きは、特に念入りに行ってあげてください」(同)

 

6歳というとちょうど小学校就学の時期にあたるため、「もう小学生なのだから自分で磨きなさい」と子どもに任せる保護者の方も多いもの。しかし、6歳臼歯は全ての歯の中でもっとも虫歯のリスクが高い歯であるため、木本先生は6歳臼歯が成長し、上下で噛み合うようになる8歳までは、親が仕上げ磨きをすることを推奨されていました。

 

なお、臼歯の噛み合わせの溝は特に食べかすが詰まりやすい箇所となっています。そこで、その深さや形、各個人の磨き残しの状況を考慮して、あらかじめシーラント(歯科用の樹脂)で埋める場合や、むし歯予防のフッ素塗布などの処置を行うこともあるそうです。どちらも保険が適用される場合もあるため、6歳臼歯が生えたらとにかく一度、小児歯科医に診てもらうのが良いでしょうね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

学童でも流行中!? 親子で楽しめるボードゲームを紹介!

 

 

雨の日が続く梅雨シーズン。思うように外遊びができないこの時期に、大人数で楽しめて知育にもなるボードゲームで遊んでみてはいかがでしょうか? 今回は、ボードゲームカフェ・Caravan’s Base(きゃらべ)店長のかもしー隊長さんに年中〜小学1年生の子どもにぴったりなボードゲームを教えてもらいました。

 

 

●ボードゲームで遊ぶメリットって?

 

デジタルゲーム機器を器用に使いこなす子どもも多いなか、あえてアナログなボードゲームで遊ぶメリットを教えてください。

 

「画面越しのデジタルゲームと異なり、ボードゲームは一緒に遊ぶ仲間と向かい合って、表情を読んだり会話したりしながら進めていくので、人の考えに触れたり、コミュニケーションを取ったりすることの楽しさをより感じられるんです。

 

最近は、学童や児童館にもいくつかボードゲームが置いてあって、そこでの体験を通してはまっていくお子さんが多い印象を受けます。当店でも、親御さんと一緒に来店されたお子さんが、『これ学童でやったんだ!』と興奮気味に話している姿をよく見かけますね」(かもしー隊長さん)

 

ボードゲームというと、ルールが多くてちょっと難しいイメージがあるのですが、小さい子どもでも楽しめるのでしょうか?

 

「もちろんです。ただ、ボードゲームを楽しむには、ルールに従う、順番を待つといった決まりごとを受け入れる必要があります。親御さんが『なんでもアリじゃないんだよ』ということを遊びの中で地道に教えていけば、どんなゲームでも一緒に楽しめると思いますし、お子さんには途中で投げ出さずに物事に取り組む集中力も付いていくでしょう。

 

そもそも子どもは吸収する力があるので、大人よりもルールの理解が早いことが多い。反射神経や記憶力が必要なゲームでは、大人が本気を出してもあっさり負けちゃうなんてこともよくありますね」(同)

 

ルールの中でコミュニケーションをとりながら進めるボードゲームは、遊びながらたくさんのことが学べるアイテムなんですね。

 

それでは、年中さん〜小学1年生の子どもが楽しめある、おすすめのボードゲームを教えてもらいましょう。

 

 

●語彙力が鍛えられる『ワードバスケット』

 

 

遊べる人数:2〜8人

「カードを使って行う“早い者勝ちのしりとり”で、ひらがなを勉強し始めたばかりの子どもから大人まで楽しめます。最初にカードを5枚ずつ配り、残りのカードは裏向きで場に置いておきます。場のカードを1枚めくり、「出た文字から始まって自分の手札の文字で終わる3文字以上の言葉」を考えます。

 

例えば、「あ」のカードが出たときに自分が「む」のカードを持っていたら、「アイスクリーム!」と言ってカードを出すことができます。思いついたらいつでもカードを出せて、最初に自分の手札がなくなった人が勝ち。基本ルールは3文字以上の単語ですが、慣れていない子どもの場合は2文字でも可といったハンデをつけてあげるといいでしょう。語彙力が鍛えられますよ」(同)

 

 

●戦略立てて陣地を広げる『ブロックス』

 

 

遊べる人数:2〜4人

「手持ちのピースを順番にボード上に置いていき、たくさんピースを置けた人が勝ちという陣取りゲームです。ピースは形も大きさもさまざま。自分のピースの色を決めて、ボードの角からスタートします。順番が来たら好きな形のピースを置くことができますが、自分のピースの『角と角』同士が接するようにしか置けません。

 

対戦相手は反対側から攻めてくるので、陣地の取り合いになります。ピースの形を計算して、なるべく相手がピースを置きにくくなるように配置していくのが勝つコツです。誰もピースを置けなくなったらゲーム終了。戦略性が必要なゲームなので大人でも十分楽しめますよ」(同)

 

 

●記憶力がものをいう『デジャブ』

 

 

遊べる人数:2〜6人

「裏向きの山にしたカードの周りに、絵柄のタイルを散りばめて置きます。カードの中にはタイルと同じ絵柄が描かれたものが2枚存在します。カードを1枚ずつめくっていき、同じ絵柄が“2度目に”出てきたときに、その絵柄のタイルを取ることができます。お手つきでタイルを取ったらその場で失格。たくさんのタイルを集めた人が勝ちです。

 

カードに出てきた絵柄をどれだけ覚えていられるかがポイント。似ている絵柄がたくさんあるので、『この絵柄はさっき見たような…?』と混乱してしまう記憶力勝負のゲームです」(同)

 

 

●思考力が試される『ペンギンパーティ』

 

 

遊べる人数:2〜6人

「配られた札をピラミッド型に並べていくカードゲームです。5色のカードがあり、順番にカードを置いていきます。最下段の8枚は好きな色を置けますが、2段目以上は下にある2枚のカードのどちらかと同じ色でなければいけません。途中から出すことができない色が発生してくるので、出せるカードがなくなったら脱落です。

 

手持ちのカードの色をよく見て、どのカードから出していけば最後まで出し続けられるのか、思考力が試されます。ペンギンの絵柄がかわいらしくて子どもに人気のゲームです」(同)

 

気になるボードゲームはありましたか? お出かけできない雨の日は家族揃ってボードゲームを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

習い事ランキング上位!「ダンス」を習うメリットって!?

 

 

子どもの習い事の中で人気急上昇中の「ダンス」。全国の中学校でも2012年から必修科目となっています。ダンスの習い事というと「かっこいい!」というイメージが真っ先に浮かびますが、実はそれだけでなく、子どもの成長に様々な良い影響があるのだとか。そこで、横浜市旭区でキッズ向けのヒップホップダンス教室を主催する福谷由喜子先生にダンスの魅力について教えてもらいました。

 

 

●耳覚えのある流行曲で踊るから、子どもにとっても親しみやすい!

 

ダンスといっても様々な種類がありますが、福谷先生が教えている「ヒップホップダンス」は、子どもに人気があるだけじゃなく親御さんからも問い合わせが多いと伺いました。そこで、ヒップホップダンスの魅力について教えてください。

 

「一般的にはヒップホップの音楽に合わせて踊るのがヒップホップダンスですが、私が教えている幼児クラスでは、その時に流行っている曲を取り入れながら気軽にダンスを楽しんでもらうスタイルでやっています。テレビなどでよく耳にする身近な曲で踊ることができるので、子どもにとっても親しみやすいのではないでしょうか」(福谷先生)

 

ヒップホップダンスというと少しハードルが高いイメージがありましたが、いつも家で聞いている音楽で踊れるなら親近感がグッと湧きますよね。

 

「一方、ウォーミングアップのときには洋楽を流すなど、できるだけいろいろな音楽に触れてもらえるような工夫もしています。大人になってどこかでまたその音楽を聴いたとき、『この曲で踊ったことがある!』とふと記憶が蘇ってきたりするので、音楽を通して子どもの五感を刺激することは、その子の視野や知識の幅を広げことになるのかなと思います」(同)

 

さまざまな音楽に触れ合えるのも魅力の一つなのですね。

 

 

●先生の動きを見て覚える「真似っこごっこ」で集中力アップ!

 

日頃たくさんの生徒さんと関わる中で、ダンスは子どもにとってどのような良い効果があると感じますか?

 

「ダンスは先生の動きを“見て覚える”という、いわゆる“真似っこごっこ”です。見たものを体で表現する作業の繰り返しなので、必然的にものすごく集中力がつきます。もちろん、表現力やリズム感、バランス感覚などの運動能力も養えますよね。

 

メンタル面について言えば、数人のチームでダンスをするので、周りの動きに気を配ったり、コミュニケーションをとったりなど、協調性も身に付くのではないでしょうか。さらに、習い始めた当初は人前で踊るなんて恥ずかしい! と思っていた子が発表会で堂々と踊れるようになるなど、いろいろな場面で積極的になったなと感じます」(同)

 

福谷先生が教えるダンスチームは、地域のお祭りなどでダンスを発表する機会が多いそう。

 

「発表会は人前でダンスを披露するだけでなく、衣装を作ってくれる人やメイクをしてくれる人、音響さんなど、いろいろな職業の人たちに出会えるチャンス。そういった大人との関わりから夢が広がったり、挨拶などの礼儀が身に付いたりする面もあると思います」(同)

 

発表会ではいつものレッスンとはまた違った刺激を受け、子どもたちの心も大きく成長しそうです。

 

 

●子どもの一番のファンになって親子でダンスを楽しもう

 

お子さんをダンス教室に通わせたいと思っている親御さんに、お子さんが楽しくダンスを続けていくためのポイントがあれば教えてください。

 

「習い始めの頃は恥ずかしくてみんなと一緒に踊れなかったり、周りのお友達のように上手にできなかったりしてレッスンが嫌になってしまうことも…。そんなときは、親御さんが『お母さんたちは○○君の大ファンだからね!』と言い続けることで自信が湧くこともありますし、いつもよりちょっとでも上手にできたら、大袈裟なくらいほめてあげるとお子さんの心に強く残り、『次は頑張ろう!』と思ってくれたりします。

 

さらに、子どもの運動能力が著しく発達する年長〜小学6年生の期間は、それまでできなったいろいろなことができるようになるなど、能力が開花する時期。あるとき急にできるようになったり、楽しいなと思えるようになったりするので、できるだけ長い目で温かく見守ってあげてほしいです」(同)

 

お子さんの一番のファンは親御さん! できるだけお子さんに深く関わりながら、一緒にダンスを楽しむことが大切なのですね。

 

音楽に合わせて楽しく体を動かせることはもちろん、運動能力だけでなく、集中力や積極性も磨かれるという「ダンス」。親子で楽しめる習い事として、検討してみても良いかもしれません。

 

(取材・執筆:高野理恵)

2020年度入学 メーカー別ランドセル最新事情【池田屋編】

(画像提供:池田屋)

 

さまざまな種類があるランドセル。それぞれにどんな機能や特徴があり、どんな点を重視してランドセル選びをすればいいのでしょうか。そこで、ランドセルの主要メーカーに直撃取材。メーカーごとの発売時期、イチオシなどを詳しく教えてもらいました。第6回は池田屋です。

 

(※ 記事内の商品価格は、すべて6/12現在のものです)

 

【池田屋ランドセルのポイント】

・素材

特注の人工皮革「クラリーノ」が主流

・重さ

1,100g前後

・人気カラー

男の子は黒、女の子は赤、ワイン系。刺繡や飾りなど装飾のない、シンプルなデザインが人気

・販売時期

2月上旬販売開始、3月上旬カタログ配布開始。販売可能数が終了しだい完売

・ポイント

☆人工皮革のクラリーノモデルにも、しなやかで強度に優れた『牛革ベルト』を使用

☆『子ども思い』の視点で作られた自社開発の部品は使いやすさバツグン

☆壊しても、壊されても、理由を問わず6年間完全無料修理の『子ども思い保証』

 

【男の子人気NO.1】

No.56 マットクラリーノ カラーステッチ(クロ×ゴールド)

 

(画像提供:池田屋)

 

51,840円(税込)

マットブラックのボディにゴールドのステッチがおしゃれ。断トツの1番人気。

 

【女の子人気NO.1】

No.56 マットクラリーノ カラーステッチ(スウィートチェリー×ピンク)

 

(画像提供:池田屋)

 

51,840円(税込)

ビビッドで暖かみのあるピンク。見た目より落ち着いた雰囲気も人気の理由。

 

【今年のイチオシ!】

No.51 ツヤ消しクラリーノ シンプルステッチ キャメル

 

(画像提供:池田屋)

 

44,280円(税込)

コストパフォーマンス◎の人気急上昇モデル。ベルトはもちろん牛革を使用。

 

 

●細かい部品の企画まで自社で行うこだわりぶり

 

創業以来69年、「子ども思い」をコンセプトに、シンプルで存在感のあるランドセルを作り続ける池田屋。部品づくりから一貫して、自社でランドセルの企画・開発を行っています。

 

「一般的なランドセルメーカーでは、部品メーカーから購入した市販のフックやロックを使用しているため、ランドセルの性能(使いやすさ)もその部品によって左右されてしまいます。そこで池田屋では、自分たちが求める性能を満たすために、細かな部品まで全て自社開発。子どもたちにとって“本当に使いやすい部品”を自分たちで企画・開発し、確かな腕を持つ職人たちが丁寧に組み立てることで、機能性に優れた高品質のランドセルを提供しています。

 

全モデル、機能・性能に差がない池田屋のランドセル。中でも軽量で強度に優れた牛革ベルトのクラリーノ(人工皮革)モデルは、ツヤを抑えた落ち着きのある仕上げで男女ともに大人気です」(池田屋 販売企画部・池田篤紀さん)

 

 

●ベルトにも特徴が。シンプルながら高性能!

 

細かい部品まで自社で開発するという製造過程のこだわりはもちろん、子どもが使いやすいことを徹底的に追求し、機能面も大充実!

 

「最近は、ランドセルの大型化に伴って、1,500gに迫る重さの商品も出始めています。重すぎるランドセルが、小学校生活の問題点としてニュースに取り上げられることも増えているので、池田屋ではより軽量化を実現。特に人気のクラリーノモデルは『A4フラットファイル対応』で『総マチ幅16.5cm』という大容量でありながら、重量は約1,100g。

 

ベルトなどの要所には丈夫な牛革を、内装には水が染みやすい合皮やビニール素材ではなく、防水力に優れたハイパール樹脂を使用。さらに大マチの型崩れを防ぎ、卒業まで美しい形をキープするために、独自の補強材『変形防止板』を使用するなど、『子ども思い』の工夫が満載です。

 

また、購入者の支持が高いのが『ギボシベルト』。バックルタイプは、金属のピンがわき腹などに食い込むトラブルがありますが、ギボシベルトは先端が丸く、ベルトから出っ張る部分がないので、すっきりと背負うことができます」(同)

 

静岡県内の3店舗に加え、東京・銀座、大阪・梅田にもランドセル専門ショップが。また、昨年からは3月1日~9月30日の期間限定で『博多店』もオープン。展示会とあわせて、広く全国で購入できるそうです。

 

(取材・執筆:野々山幸)

自転車で公道デビューする前に! 親子で確認したい交通ルール

 

 

小学校生活に慣れてくると、自転車に乗ってお友達の家に遊びに行くという子もいるのでは。でも、子どもだけで自転車に乗って出かけるのは、親としても少々不安が募ります…。そこで今回は、自転車に乗る際に確認したい交通ルールや注意点を、大阪府警察本部交通部交通総務課の山川勝さん、横田三佳さんに教えていただきました。

 

 

●小学生による自転車事故の原因は、ほとんどが「安全不確認」!

 

 

まずは、小学生の自転車事故の特徴を教えてください。

 

「昨年の大阪府のデータでは、4月から夏休み前にかけてが自転車事故が多く発生する時期でした。学年は2年生から4年生の割合が高く、時間帯では14時から18時の間、特に16~17時台に事故が多発しています。さらに、事故の多くは自宅から1km以内の場所で起きていることがわかりました」(山川さん・横田さん)

 

学校から帰ってきて、自転車でお友達の家や習い事などに行く時間帯に、事故が多発しているのですね。

 

「そして注目すべきは、事故の原因で一番多いのが『安全不確認』だということです。交差点で周りの安全を確かめずに道に飛び出す、脇見運転をするなどですね。ほんの少し注意すれば防げる事故が大きな割合を占めているということを、保護者の方に強くお伝えしたいです」(同)

 

自転車での事故を減らすには、基本的な安全確認を含めた交通ルールを、事前に親子で確認しておくことが必要なのですね。

 

 

●自転車に乗る前に! 3つのチェック

 

そもそも自転車に乗る前に、必ずチェックしてほしいことが3つあると山川さん。

 

1.子どもの体に合った大きさの自転車を選ぶ

子どもはすぐに大きくなるから…と大きめの自転車を選んでしまいがちですが、体に合ったサイズを選ぶことが大前提。自転車にまたがったとき、足裏の半分から3分の1は地面につく高さにしましょう。よくつま先立ちで乗っている子を見かけますが、しっかり踏ん張って立てる高さに調整が必要です。

 

2.自転車を点検する

ブレーキはしっかり効くか、ライトは点くか、反射板は歪んでいないか、タイヤの空気は入っているかなど、自転車に乗る前には必ず点検をしましょう。ブレーキのレバーは思ったよりも緩みやすいですし、タイヤに空気が入っていないと、ハンドルを切りにくくなります。そして、セルフチェックだけでなく、定期的に自転車販売店などで点検・整備をしてもらうことも大切です。

 

3.ヘルメットをかぶる

 

 

道路交通法により、13歳未満の子どもが自転車に乗るときは、ヘルメットをかぶらせることが「保護者の努力義務」となっています。昨年の自転車事故で亡くなった人のほとんどが、ヘルメットをかぶっていなかったという報告があります。もしも事故が起こったとき、頭の怪我は命に関わる恐れがあるため、ヘルメットをかぶることは子どもの命を守るために欠かせないのです。

 

子ども用ヘルメットにはサイズがあるので、頭に合ったもの選びましょう。あご紐は、指1本が入るくらいに締めます。また、ヘルメットは頑丈だと思いがちですが、雑に扱うと内側の衝撃を吸収するためのクッション素材が傷んでしまいます。自分の頭だと思って、大切に扱いましょう。

 

 

●「自転車は車の仲間」だということを意識する!

 

それではいよいよ、自転車に乗って公道を走る際のルールや注意事項についてチェックしていきます。

 

「まず何よりも、『自転車は車の仲間』だということをしっかり伝えることから始めましょう。車の運転と同じだから、十分気をつけなくてはいけないよ、と教えてください。そのうえで、次のポイントをお子さんに伝えてくださいね」(同)

 

・13歳未満の子どもは歩道を自転車で走ることができる

本来、自転車は車道を走るものですが、13歳未満の子どもに関しては、歩道を自転車で走ることができます。ただし、あくまでも歩行者優先ということを忘れず、歩いている人が多いときは自転車を降りて押して進む、乗って走る場合も危ない運転をせず、ゆっくり走る、などを意識しましょう。

 

・道路は左側を走る

 

 

「自転車は車の仲間」なので、歩道がない道では左側を走るのがルールです。歩行者と反対側なので、間違えないようにしましょう。

 

・歩道を走るときは、車道側を走る

 

 

歩道があるときは、車道側を走りましょう。実は、自転車は車道側を走ることがルールなのです。「自転車は車道側」と覚えておきましょう。

 

・自転車は左側から乗り降りする

自転車を乗り降りするときは、左側から。先程お伝えしたように、自転車は道路の左側を走ります。もしも右側から乗り降りすると、万が一車が寄ってきたとき、車と自転車の間に挟まれてしまいますが、左側なら逃げられますよね。ほとんどの人は自然に左側から乗ったり降りたりしていると思いますが、改めて注意してみてください。

 

 

●基本の交通ルールを再確認しよう!

 

そのほかに、あらためて意識すべき交通ルールはありますか。

 

「ひとつは、信号が青でも必ず安全を確かめてから渡ること。子どもは体が小さく、ドライバーから姿が見えていない場合も多いので、たとえ信号が青だったとしても、横断歩道を渡るときは左右をよく確認してから渡りましょう。また、信号待ちのときなど、自転車の前輪だけ車道にはみ出しているケースが少なくありません。できるだけ車道から離れた場所で待つことも、意識すると良いですね。

 

子どもたちだけで出かける場合、並進(横に並んで走ること)や競争、二人乗りをすることがあります。自転車は一人用の乗り物であることを認識させ、危険な乗り方をしないように教えてください。

 

それから、これは保護者の方にお願いしたいのですが、保育園や幼稚園のときの延長線上で、小学生のお子さんをチャイルドシートに乗せて走っているママを見かけますが、小学生以上の自転車の二人乗りは禁止されています。体も大きくなっていますし、ハンドルをとられてしまい大変危険なので、絶対にやめましょう」(同)

 

さらに、これらの交通ルールを子どもに繰り返し伝えることも必要ですが、親自身が交通ルールを守ることが何より大切なのだと横田さん。まずはママ自身が、普段の交通ルールを見直すことから始めると良いかもしれませんね。

 

 

●もしもの事故に備えて、万が一のときのことも話し合っておこう

 

近年増えているのが、自転車と歩行者の事故です。そのため、自転車保険にはぜひ加入を、と横田さん。

 

「過去には、小学生の男の子が歩行者とぶつかって、9,000万円以上の賠償金を負ったケースもあります。自転車保険の加入を義務化しているかどうかは都道府県によって異なりますが、万が一の事態に備えて、ヘルメットと同様に、自分自身を守るため保険への加入を強くおすすめします」(同)

 

また、実際に事故に遭ったときのことも、親子で話し合っておくとよいのだそうです。

 

「車と自転車はもちろんですが、自転車同士や自転車と歩行者がぶつかった場合も、交通事故です。子どもはそのとき体に異変がなければ、そのまま立ち去ってしまいがちですが、後になって怪我をしていたことがわかるケースも少なくありません。自転車で外出する際は、家の人に行き先を伝える。もしも何かトラブルが起きたら、必ず家の人や周りの大人に話すこと。これをよく言って聞かせましょう。そして、近くの交番に届けを出してくださいね。

 

まだ小学生とはいえ、事故に巻き込まれる可能性もあれば、自分で事故を起こす可能性もあるのです。そのことを、小さな頃からしっかり意識しておくことが大切だと思います」(同)

 

とても便利な移動手段であると同時に、思わぬ交通事故を引き起こしかねない自転車。親子で交通ルールを見直し、安全に楽しく自転車に乗って出かけましょう!

 

(取材・執筆・撮影:水谷映美)

「学童に預けず、短時間だけ働きたい」ママのための復職講座

 

 

子どもも新生活に慣れたようだし、そろそろ働きに出ようかな…と考える小1ママも多いのでは?「子どもが学校に行っている間だけ」働きたいと考えたとき、どのように職探しをしたらいいのでしょうか。主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関「しゅふJOB総研」所長の川上敬太郎さんにお話を伺いました。

 

 

●ママを取り巻く就活事情は、改善しているようで問題点も残る

 

近年、ますます需要が高まっているという主婦の労働力。人材不足の中、時短勤務でもきっちり結果を残す主婦の仕事力に、企業側も気づき始めているのだとか。ということは、小学生ママの希望に合うパート求人も、増えてきているということですよね?

 

「増えてはいるのですが、十分ではありません。2018年末、働く主婦の方を対象に行った『この1年を振り返り、女性が働きやすくなっているのか』というアンケートでは、『良くなった』と答えた人は3割しかいませんでした。皆さんの実感として、仕事探しはまだまだ厳しいと感じているようです」(川上さん)

 

川上さんによると、求人自体はたくさんあるものの、多くの主婦の方が希望するような条件で求人を出している会社はまだまだ少ないのだとか。

 

「主婦の職探しの話になると、保育園増設など預け先の話題になりがちですが、実は一番足りないのが条件に合う仕事です。最近は少しずつ変わってきていますが、そもそも企業側は『こういう仕事をいつまでに、こんな形で成果を上げてくれる人がほしい』と具体的なイメージを固めきれないまま求人を出していることが多く、ともすると、柔軟に対応してくれる人をとりあえず8時間拘束しておく、といった採用の仕方になりがちです。

 

また、8割の主婦の方が希望する事務職ですが、全体の求人倍率が1.6倍なのに対し、事務職は0.5倍、2人に1つしかない状況です。就活の際は、希望職種を限定し過ぎると、どうしても可能性が狭まってしまいます。例えば、すでに取引のある相手との関係強化をはかる既存営業や受付、ドラッグストアやスーパーで自社製品を提案するラウンダーなど、主婦が活躍している職種は他にもたくさんあります」(同)

 

 

●「必須条件」と「希望条件」を分けて考えるのが、上手に求人を探すコツ

 

そうした状況で、学童に入れないから時間は14時くらいまで、土日は家族の時間を優先したい、時給は1,000円以上…と希望を出していくと、どんどん求人数が絞られてきますね…。自分に合う仕事を見つけるのに、何かうまい方法はないのでしょうか?

 

「まずは絶対に譲れない必須条件と、譲ってもいい希望条件を決めましょう。そして期限の目安を決めて、こまめに求人情報をチェックする。情報は都度更新されるので、希望条件を入れると自動的にメールが送られてくる機能などを使い、情報をリアルタイムで把握できる状況にしておくとよいでしょう。また、必須条件と希望条件は人によって違うもの。一度書き出して、整理してみるといいかもしれませんね」(同)

 

さらに、子育て中の主婦は、家の都合を優先して条件第一で探しがちですが、川上さんいわく、「本当の自分の欲求をみつめ直すことが大事」だとか。

 

「例えば、独身時代にしていた仕事をまたやりたいと思えば、その職種に近いアシスタント業務を探してみるとか、逆に子育てする中で保育士に興味が出たから資格を取ってみるとか…。人生は長いので、その先につながる仕事を見つけられるとなおいいですね。

 

弊社では『ご近所ワーク』という、飲食店の覆面調査や空き地発見業務などの単発の仕事も紹介しているので、こうした単発の仕事なども利用しながら、常に求人情報をチェックするなどして、アンテナを張っておくことをおすすめしますよ」(同)

 

 

●履歴書の書き方、面接の服装の注意点は?

 

求人に応募しようとなったら、まずは履歴書。採用担当者は「信頼できる人かどうか」を見ているとのことで、基本的なところが埋まっていればOKですが、できる限り空欄はつくらない方がいいようです。また、以下の点に気を付けて書きましょう。

 

・保有資格の欄には、希望職種と関係のない資格も書いておく(資格をとるために、勉強や努力をしてきたというアピール。ただし書き過ぎはマイナスになることも。資格マニアととらわれない程度に)

・志望理由は「近いので安定してシフトに入れます」など相手側のメリットを考える(企業を受ける際には「近い」だけでなく、事業や職種と自分のスキル・経験などを照らし合わせて書くこと)

・時間や勤務日数などの必須条件をしっかり書いておく

 

いざ面接となったら、どんな装いで行けばいいのでしょうか?

 

「スーツは無難で、嫌な思いをする企業の方はいません。ただ重要なのは、面接先に合わせ、TPOをわきまえることです。その職場で働いているママ友がいれば、アドバイスをもらったり、職場をお客側として覗けるなら、実際に働いている人の服装を参考にしたりするとよいでしょう。ジーパンなどのラフ過ぎる格好は避けましょう」(同)

 

ちなみに銀行のパートを受ける場合は、やはりスーツがおススメ。きっちりし過ぎるくらいでちょうどよさそうです。

 

「とはいえ、どうしても心配な場合、先方の人事の方に聞いてみてもいいですね。『当日はスーツで伺うつもりでおりますが、もし服装で気を付けておくべきことがあれば教えていただけませんでしょうか』と。よい印象を与えたい、と相手に伝えているわけですから、聞かれて嫌な印象を受ける採用担当者はいないと思います」(同)

 

 

●実際に働き始めた主婦の声。良かったこと・大変なことは?

 

では実際に働きだした主婦たちの本音とは? まずは良いことから聞いてみましょう。

 

【働き始めて良かったこと】

「生活にハリが出た」

「家事を短時間で済ませるようになった」

「煩わしいママ友付き合いがなくなった」

「子どもがお手伝いをしてくれるようになった」

「自由になるお金が増えたため、私自身がイライラしなくなり、子どもに八つ当たりをしなくなり、子どもが学校での事を話してくれるようになり、親子関係がよくなった」

「アパレルの仕事を始めて、自分の親兄弟周囲から『垢抜けて綺麗になった』と褒められた」などなど。

 

一方、つらかったこと、大変なことはどうでしょうか。

 

【働き始めてマイナスに感じたこと】

「疲れとストレスで帰宅してからドカ食いしてしまい太った」

「夫が思いのほか非協力的だった」

「子どもにきつくあたってしまうことがある。絶対に風邪引かないでね、引いてもお仕事休めないよ、など心ないことを言ってしまった」

「子どもの具合が悪い時に自分の母親に来てもらわなくてはならず、家族に迷惑をかけるようになった」

「勉強を見てあげる時間が減り、子どもの成績が下がった」

 

子どものこと、家事のこと…。仕事を始めると状況は変わりますが、そのぶん、皆さんいろいろ工夫もしているようです。

 

【仕事を始めたことで工夫していること】

「夕飯、朝飯は必ず子どもと一緒に食べる」

「完璧を求めない。適度に手を抜いたり、ほかの家族に協力してもらったりすることが大事」

「とにかくお休みをしないよう、家族の健康に気を付けている。近くの気の置けない友人に、何かあった時(学校からの引き取り)は、お願いできる体制を整えている」

「何事にも楽しく過ごす。人のせいにも自分のせいにもしない」

とのこと

 

(以上、しゅふJOB総研のアンケート「仕事を始めて降りかかった家庭での想定外って?~しゅふJOB総研調査~ 想定外「ある」87.5% 「良い想定外」14.8%、「悪い想定外」25.8%、「良いことと悪いこと両方」52.1%」より)

 

最後に、気になる夏休み問題。学童に入れないで働くママたちはどうしているのでしょうか? 就労証明が要らない「放課後子供教室」が学童代わりに利用できる場合、これに登録して通わせている保護者が多いよう。しかし、それができない地域の場合、「民間の学童に入れる」「夏休みに学童へ入れるためだけに勤務日数を増やす」という厳しい現実もあるようです。中には「夏休みなどの長期休みは出勤しないことを必須条件にした」という人もいました。

 

十人十色の職探し。日々更新される求人の中から、自分にぴったりハマる仕事を見つけられるといいですね!

 

(取材・執筆:井ノ口理代)

2020年度入学 メーカー別ランドセル最新事情【フィットちゃん編】

(画像提供:ハシモト)

 

さまざまな種類があるランドセル。それぞれにどんな機能や特徴があり、どんな点を重視してランドセル選びをすればいいのでしょうか。そこで、ランドセルの主要メーカーに直撃取材。メーカーごとの発売時期、イチオシなどを詳しく教えてもらいました。第6回は「フィットちゃん」でおなじみのハシモトです。

 

【フィットちゃんランドセルのポイント】

・素材

人工皮革「クラリーノ」が中心。男の子向け、女の子向けともに、傷に強い「クラリーノ タフロック」「クラリーノレミニカ」を使用したラインナップが多いことも特徴

・重さ

1,200g前後

・人気カラー

男の子はクロ系の他、ブルー系、グリーン系、ゴールドやシルバーなどのメタリック系も。女の子は、赤・ピンク系、ブラウン系、パープル系、水色系と分散。珍しいホワイトも人気

・販売時期

カタログは3月上旬より配布。販売は3月1日より開始。出張展示会は3月23日~8月4日まで全国31か所で開催中

・ポイント

☆肩ベルトが25度に立ち上がり、左右別々に動くため、背負いやすい「フィットちゃん背カン」

☆夜道で車のライトに反射して光る! 安心・安全な「安ピカッ」機能

 

【男の子人気NO.1】

プレミアムフィットちゃんランドセル グッドボーイDX(カラー:クロ×マリン)

 

(画像提供:ハシモト)

 

通常販売価格:56,000円(税別)

夜道で車のライトに当たると、ピカッと光ることで人気の「安ピカッ」機能に加え、傷に強い「クラリーノ タフロック」素材、型崩れにより強い3方強力補強、荷物の量に応じて楽々調節できる3段ワンタッチオートロック錠前などが付いた高機能モデル。ベーシックな黒にポイントで入ったブルーのラインが人気。

 

【女の子人気NO.1】

フィットちゃんランドセル あい・愛ティアラ 安ピカッタイプ(カラー:ラベンダー×ベビーピンク)

 

(画像提供:ハシモト)

 

通常販売価格:54,000円(税別)

女の子も一番人気は「安ピカッ」タイプ。カラーは淡いラベンダーの支持が高い。

 

【今年のイチオシ!】

プレミアムフィットちゃんランドセル あい・愛ティアラ ジュエリープリンセス(カラー:ラベンダー×ベビーピンク)

 

 

(画像提供:ハシモト)

 

通常販売価格:63,000円(税別)

2020年度新製品。ティアラとジュエリーの刺繍が可憐なキラキラ輝く大人可愛いランドセル。フィットちゃんランドセルの基本機能に加え、雨の日や夜道で車のライトに反射して光る安全・安心の「安ピカッ」機能や、より型崩れに強くなった「3方強力補強」などのプラス機能が付いた高機能ランドセル。

 

プレミアムフィットちゃんランドセル ナイト騎士 ブレイド(クロ×ブルー)

 

(画像提供:ハシモト)

 

通常販売価格:64,000円(税別)

2020年度新製品。大マチに変形ブレイドのエンブレムを刻印した、カッコよく戦う男の子をイメージしたランドセル。フィットちゃんランドセルの基本機能に加え、雨の日や夜道で車のライトに反射して光る安全・安心の「安ピカッ」機能、傷に強い「クラリーノタフロック」を使用し、より型崩れに強くなった「3方強力補強」、荷物の量に応じて楽々調整可能な「3段ワンタッチオートロック錠前」が付いた高機能ランドセル。

 

 

●肩ベルトが25度に立ち上がり、背中とフィットする背カン

 

フィットちゃんのランドセルは、子どもが背負いやすく、安心・安全なランドセルということで定評があります。

 

「最大の特徴は、肩ベルトとランドセル本体を繋ぐ部品である背カンに『フィットちゃん背カン』を使用していること。ランドセルが軽く感じられて、背負いやすく、おろしやすい構造になっています。肩ベルトを25度に立ち上げることで、ランドセルと背中の接触面積が増え、肩への負担が従来品の約50%に軽減されます。さらに、肩ベルトが左右別々に動くので、体が大きくなっても背負いやすく、おろしやすいので高学年になっても快適に使っていただけます。

 

また、フィットちゃん背カンによって、ランドセルが背中にぴったりフィットしますが、背中部分には、通気性・通湿性に優れた『エアーフレッシュ』素材を使用。背中部分のデザインは、『ウェービータッチ』という凸凹のデザインになっていて、背中の通気性を保ちます」(ハシモト広報担当・橋本さん)

 

 

●帰りが遅くなっても、光るランドセルで安心!

 

最近では「両親が共働きで、学童保育利用で帰宅時間の遅い子どもが増えている」(同)との理由もあり、夜道で車のライトに当たると光る「安ピカッ」タイプの人気が年々高まってきているそう。

 

「ランドセルのふちの部分が、暗い夜道で車のライトに当たると光ります。60m先から視認可能なので、遠くからでも車のドライバーに、子どもが歩いていることを知らせることができます。夜道では車のライトに反射しますが、昼間はデザインとしてふち部分にオシャレなカラーが施されているランドセルであることもポイント。安全・安心のための工夫として、とても支持されています」(同)

 

子どもの背負いやすさ、安心・安全、デザイン性までも兼ね備えたフィットちゃんのランドセル。親も子どもも安心して6年間使い続けることができそうですね。

 

(取材・執筆:野々山幸)

先輩ママにアンケート! 学校の宿題、いつやってる?

 

 

小学生になると、始まることのひとつに「宿題」があります。特に低学年のうちは、親が見ながらでないとできない場合もあり、いつのタイミングでやらせるのか、頭を悩ませる人も多いよう。そこで、ママノート読者の先輩ママにアンケート! 宿題をいつやっているのか、またスムーズに進めるための工夫も聞きました。

 

 

●「帰宅したらすぐ宿題」が基本だけど、なかなかうまくいかないことも

 

まずはズバリ、いつ宿題をやっているかを教えてもらいました。多かったのは「帰宅して、おやつを食べたらすぐに宿題の時間」と言う声。他にも

 

「放課後は友達と遊ぶことが多いので、友達と一緒に宿題ができるなら遊び出す前に、できなければ友達が帰ったらすぐにやるようにしています」

 

「帰宅したら、持ち物の片付け→手洗いうがい→お手紙と連絡帳を出す→音読→宿題→明日の準備、の順番で習慣づけ。流れの中で宿題も終わらせるようにしています」

 

「通っている学童に勉強の時間があるので、そのときにできる宿題は済ませるように子どもに伝えています」

 

などがありました。中には「できるだけ早く! を合言葉にしている」という人もいるように、帰宅したらすぐに済ませておきたいというのが、ママの本音のよう。でも、低学年だとなかなかうまくいかないのが現実のようで…。

 

「習い事などがあると、宿題に取り掛かるのがどうしても遅い時間になり、眠さと、問題がわからないことでグズグズに。早い時間にやることを習慣化するのが難しい」

 

「私よりも少し早く子どもが帰宅しているので『17時にママが帰るまでに宿題ね』と伝えているけど、17時までに終えていたことはほぼナシ(涙)。友達との遊びを優先してしまい、私も遊ぶことも大切だなと思うので強く言えないのが悩みです」

 

という声が多く、習い事や遊びなど、やるべきことも、やりたいことも多い小学生が宿題の時間を捻出するのは、思った以上に至難のワザのよう。ママも一緒に、上手な時間のやりくりが必要なようです。

 

 

●家事をしながら、音読のチェックをするのが定番!

 

低学年の間は、音読のチェックなど、親が関わる宿題も多いはず。こちらはいつ・どこでやっているのでしょうか?

 

「夕飯づくりで私が料理をしている間に、子どもはダイニングテーブルで宿題をしてすぐに丸付けやチェック」

 

「仕事をしていて帰りが遅くなるので、一緒に布団に入ってから、読み聞かせ風に音読の宿題をします」

 

「洗濯物たたみなど、こちらがなにか家事をしている間に音読をしてもらい、すぐ音読カードにサインをする」

 

ママたちは「ながら」で宿題のチェックをしていることが判明。また、宿題が増えると「算数ドリルの丸付けをしながら、音読を聞く」など、いくつかの宿題を同時にチェックできるように効率化していることもわかりました。

 

 

●褒める、ご褒美、時間をはかる…。ママたちの工夫が満載!

 

帰宅後の限られた時間で、宿題をさせて、チェックをして…と大忙しのママ。スムーズに進めるためにしていることはありますか?

 

「私が帰宅したときにまだ宿題が終わっていなくても、注意するとさらにやる気をなくすので『いつやるー?』と前向きに声掛け。やったらたくさん褒めるようにしています」

 

「ダラダラとなかなか取り組まないので、宿題が終わったらおやつを食べよう、お出かけしようと、ご褒美を用意してやる気を出させる」

 

「勉強机にA4サイズのプラトレーを置いて、帰宅したらそこに連絡帳と日記、算数プリント、漢字ノート、音読カードなどの宿題を必ず出す。宿題の『見える化』で本人にプレッシャーをかけます!」

 

「宿題をやると決めたら、15分のタイマーをかけます。『タイマーが鳴るまで頑張ろう』と伝えて取り組むと、意外と集中できる! 今はまだ1年生で宿題の量が少ないので15分だけど、今後は30分、40分と時間を伸ばすつもり」

 

ママたちなりのさまざまな工夫が満載! 1年生のうちはとにかく宿題や勉強が嫌いにならないようにすること、また、帰宅後のなるべく早い時間にできるようにすることを目標に、宿題することをうまく習慣化していきたいですね。

 

(取材・執筆:野々山幸)

今年はW杯が日本開催! 子どもの習い事にラグビーはいかが?

 

進級をきっかけに、「新しい習い事にチャレンジさせたい」と考える保護者もいますよね。筆者にも小1の息子と年中の娘がおり、この春からラグビーを習い始めました。「難しそうだし、危なそう」というイメージがあったラグビーですが、実際に体験させてみると、想像と全然違っていてビックリ。今年度から小2までは接触プレーなしの「タグラグビー」が導入されたこともあり、経験の浅いわが子でも楽しそうに通っています。実際、子どもの習い事としてはどうなのか、日本ラグビーフットボール協会の永井康隆さんにお話を伺いました。

 

 

●鬼ごっこの延長!? タグラグビーってどんなスポーツ?

 

 

腰に付けたタグを取られると、持っているボールを真横か後方にいる味方にパスしなければなりません

 

そもそもラグビーとは、楕円形のボールを持って走ったり、蹴ったりしながら相手の陣地に攻め入り、ゴールラインに向かってボールを運んでいくスポーツ。敵にボールを取られそうになると味方にパスをしますが、前ではなく必ず真横か後方に投げなければなりません。では、今年度から低学年までの子ども向けに導入された「タグラグビー」とはどんなスポーツですか?

 

「通常のラグビーから接触プレーをなくし、ルールを簡素化したものです。腰にタグが付いたベルトを巻いて行い、そのタグを取ることでタックルが成立したと見なします。非常に安全性が高く、ラグビーの導入としても楽しめますよ。運動量が多く、鬼ごっこに似ています。サッカーやバスケットボールなどと比べて、技もルールも難しくないので、性別や年齢を問わず誰もができるスポーツです。何か新しいことを始めたいと思った時に、皆同じスタートラインに立てると思います。

 

体育の授業でも、1・2年生はしっぽ取り鬼からスタートし、3・4年生でタグラグビーができるようになるような学習プログラムが組まれています。全国で約6割の小学校が、授業にタグラグビーを導入していますよ」(永井さん)

 

そんなに馴染みのあるスポーツだとは知りませんでした! タグを取られると、自分より後ろか真横にいる味方にパスをしなければいけないので、全員がプレーに参加しやすい競技なのだとか。

 

 

●ラグビーを習って良かったことは? 危険じゃないの?

 

ではラグビーを通して身に付くこと、良いことはありますか?

 

「まず、お友達がたくさんできますよ。一つのボールを皆で協力して前に運ぶスポーツなので、戦略を話し合いながら決めていく過程でコミュニケーション能力が身についたり、リーダーシップが学べたりもすると思います。また、意外かもしれませんが、ラグビーは体格や運動神経に関係なく誰もが活躍できるスポーツだというのも、魅力の一つですね」(同)

 

うちの子が所属しているチームでも、男女一緒に練習しています。女性の競技人口は4000人ほどいて、そのほとんどが18歳以下の子ども達なんだそう。体が大きい方が向いていると思いがちですが、それぞれの体格に合ったポジションがあり、身長が低い選手もプロの世界で活躍しているそうです。

 

とはいえ、互いに体をぶつけ合って一つのボールを奪い合うのがラグビー。チームに入ると、小学校3年生からは普通のラグビーにシフトしていくわけですが、子どもには危なくないのでしょうか?

 

「練習の内容はそれぞれのチームで異なりますが、日本ラグビーフットボール協会では指導者資格の制度化をしており、資格を持っているコーチは全員、安全な指導方法やケガなどの応急処置についてしっかり認定を受けています。他のスポーツと同じで、まったくケガのリスクがないとは言い切れませんが、安全性を十分考慮して指導するよう、協会全体で取り組んでいます」(同)

 

また、多くのスクールでは保護者がコーチとして指導していますが、特に低学年のうちは大人の目が多いほど安心なので、資格を持っていないパパやママも大活躍! わが子が通うチームでも、「話を聞く」や「列に並ぶ」などの基本的なことから、危険なプレーはきっちり注意するなど、自分の子でなくても時に厳しく、優しく接してくれるたくさんの保護者の目で、子ども達を見守っていると感じました。

 

 

●実際に習わせている、保護者の声を聞いてみた!

 

気になるのは実際に習わせている人のリアルな声。そこで、お子さんをラグビーチームに入れているママたちの声を聞きました。

 

まず、ラグビーを始めさせたきっかけについて。「父親がラグビー経験者だから」「プレーは未経験だけど、夫婦でラグビーを観るのが好きだから」「お友達や幼稚園の先生にすすめられたから」などの理由で始めた方が多い様子。

 

習わせて良かったことを聞いてみると、「もともと大人しい性格だったが、ラグビーを始めてからは学校でもリーダーシップをとれるようになった」「体力がついた」という声が。また、基本的に練習は週1回、日曜日の午前中に行われることがほとんどなので、「休日にダラダラ過ごすことがなくなった」「家族でラグビーに通うことになり、夫婦や家族での会話が増えた」という人も。

 

青少年ラグビースクールの情報をまとめた「ラグナビ」に寄せられた声を見ると、さまざまな人と触れ合う機会を得たことで「『人とのふれあい』に物怖じすることのない子どもに成長した」という意見も掲載されていました。もちろん、ただラグビーが好きだから習わせているだけで、何かを求めて通わせているわけではないという方も多かったです。

 

筆者の子ども達は始めたばかりなので技術的なことはわかりませんが、感じるのはチームの雰囲気の良さです。ラグビーが大好きで子どもに習わせている親御さんが多いので、とにかくみんな熱心! なかには、未経験だったにも関わらず、気づけばコーチとして子どもと一緒に汗をかいているパパもいます。わが家の場合、一番楽しそうにしているのは夫。子どもが成長するにつれて親子で共に過ごす時間がどんどん減っていく中で、共通の話題が増えて嬉しそうです。

 

最後に、気になる費用について。

 

「基本的には1か月1,000円程度、年間1万~1万5,000円を会費として徴収するチームがほとんどです。そのほかにジャージ購入や合宿費、ヘッドキャップや靴下などの消耗品初期投資があると思います」(永井さん)と意外とお手頃価格。

 

今年はワールドカップ日本開催ということもあり、盛り上がりをみせているラグビー。各チームで入会前の体験もできるので、気になる方はお近くのチームに問い合わせてみてはいかがでしょうか?

 

(取材・執筆:井ノ口理代)

2020年度入学 メーカー別ランドセル最新事情【ふわりぃ編】

(画像提供:協和)

 

さまざまな種類があるランドセル。それぞれにどんな機能や特徴があり、どんな点を重視してランドセル選びをすればいいのでしょうか。そこで、ランドセルの主要メーカーに直撃取材。メーカーごとの発売時期、イチオシなどを詳しく教えてもらいました。第5回は「ふわりぃ」でおなじみの協和です。

 

 【ふわりぃランドセルのポイント】

・素材

人工皮革「クラリーノ」が中心

・重さ

1,000g前後と軽いものが多い。約920gの商品も。

・人気カラー

男の子はブラックを基調としたコンビカラーが人気、女の子はきらびやかなパールカラーから、シックで落ち着いたクラシカルなカラーまで多色化

・販売時期

3月末よりカタログ配布開始。4月から8月にかけて合計15回、本社での展示販売会を開催

・ポイント

☆最軽量は約920g! 軽量で丈夫な作りを長年にわたり研究開発

☆肩への負担をやわらげる「ふわりぃ肩ひも」

☆かぶせ部分を取り外して付け替えができる「きせかえふわりぃ」

 

【男の子人気NO.1】

ぴったりふわりぃ(カラー:ブラック/ブラック)

(画像提供:協和)

 

55,000円(税抜)

約920gと軽さを追求したランドセル。着脱可能なチェストベルトでフィット感もアップ。

 

【女の子人気NO.1】

きせかえふわりぃ(カラー:ビビッドピンク/パールピンク)

 

 

(画像提供:協和)

 

55,000円(税抜)

デザインや色違いのかぶせをもう1枚選んで、自分で簡単にチェンジできるモデル。

 

【今年のイチオシ!】

手作りふわりぃ

 

(画像提供:協和)

 

49,000円~(税抜)

イージーオーダーランドセルを購入すると、パパやママが職人さんと一緒に、工場でランドセルを手作りできるイベントも開催。

 

 

●やわらか肩ひもや密着する背カンで、背負いやすさ抜群

 

1967年に、業界初のクラリーノランドセルを発売した老舗メーカー。長年、子どもたちにとって本当に背負いやすいランドセルを研究開発し、軽くて丈夫で背負いやすいランドセルには定評があります。

 

「最軽量は約920gと本体の軽さを追求していることはもちろんですが、背負いやすい工夫も満載。ふんわりやわらかな『ふわりぃ肩ひも』は、二層ウレタンを一体成型したやわらかいクッションを採用し、子どもの肩をソフトに支え、負担を軽減します。また『ふわりぃ背カン』は肩ひもの付け根の立ち上げ機能で、背中とランドセルの間にすき間ができにくく、ぴったりフィットします。

 

その他にも、最近では、学校への持ち物が増えたことによりランドセルも大型化していますが、弊社のランドセルには、ポケット部分が5段階調節可能で最大5cmまでひろがる『のびーるぽけっと』がついていて、荷物が多い日は広げて使えます。また、登下校時の安全面を考え、夜や雨天時にどんな角度からも光って見える新反射材を採用した『360度反射機能』も。さまざまな機能が備わっています」(協和広報担当・皆川京子さん)

 

 

●かぶせが取り外せる斬新なデザイン「きせかえふわりぃ」

 

機能面はもちろん、デザイン性も充実。イチオシの「きせかえふわりぃ」は、なんとかぶせが取り外せて付け替えができるという斬新なデザイン!

 

「購入時にもう1枚、好きなカラーのかぶせ部分を選ぶことができる『きせかえふわりぃ』。6年間ずっと同じデザインではなく、気分によって付け替えをして、簡単にイメージチェンジ。特におしゃれが大好きな女の子にはおすすめのシリーズです」(同)

 

「子どもはピンクがいいっていうけど、高学年になったらピンクは似合わなくなりそう」と心配するママの声が聞かれますが、もう1色シックな色を選んでおけば安心ですね。

 

(画像提供:協和)

 

そして、イージーオーダーのランドセルを購入した方には、特別なサービスも。

 

「オーダーメイドランドセルも年々人気が高まっています。ふわりぃには、素材、カラー、デザインなどすべてが選べるフルオーダーメイドと、カラーだけ選べるイージーオーダーがあります。イージーオーダーランドセルを購入いただくと、パパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃんが実際に工場で手作りができるイベントも開催。ひとつのランドセルができるまでの工程の中で、6割は職人が作りますが、残りの4割をご家族に作っていただきます。生地の貼付けやかぶせ鋲の取り付け、最後の拭き上げなどを担当してもらい、世界でひとつの、思い出がいっぱいつまったランドセルを手作りすることができます」(同)

 

また、オンラインショップでのランドセル購入者には多くの特典があり、荷物仕切りパネルやポケットファイル、ふわりぃランドセル専用のレインカバーなどがついてとってもお得。さらに、「未来へつなぐタイムレター」という、ランドセル購入時にパパ、ママが書いた手紙を1000日後に家に届けてくれるというサービスも。購入後にも楽しめる工夫がいっぱいです。

 

(取材・執筆:野々山幸)

「ハッキリ意見を言えない」子どもの性格。直した方がいい?

 

 

臨床経験が豊富な児童精神科医の市田典子先生にお悩み相談をする当連載。小学校に入ると、幼稚園や保育園の時よりも、自分の意見を伝えることが求められるようになります。ハッキリと意見を言うのが苦手な子のママは、悩んでしまうこともあるのではないでしょうか? どんなふうに向き合うべきかを伺いました。

 

 

●低学年のうちは「優しさ」という長所として捉えてOK

 

わが家の長男もそうですが、子どもが自分の意見をハッキリと言えないことに、悩んでいる保護者も多いよう。自己主張はこれからの時代、ますます必要になってきそうですが、親はどう働きかけたらいいのでしょうか?

 

「『ハッキリ言える/言えない』というのは、それぞれの子の性格的なものです。ハッキリ言えない子は、『人が嫌な思いをするんだったら、自分が引き下がろう』と考える子なんですね。『自分の考えを言ってもいいんだよ』と言われても、その子にとっては意見を言う方が負担に感じるため、言わずにいることを選択しがちになります。

 

それは裏を返せば、人の気持ちがわかる優しさを兼ね備えているということです。低学年のうちは、『自分の意見が言えない子』と短所に捉えて心配するよりも、『優しい子』という長所と捉えて認めてあげてください」(市田先生)

 

ただし、「自分の意見を言うこと」の大切さは、低学年のうちから伝え続けることが大切と市田先生。

 

「低学年のうちはまだできなくても、徐々に、言った時の負担感と言わなかった時の負担感を子ども自身が比べて、言うか言わないかをその都度、自分で判断できるようになるといいですね。そのためには、『意見を言ったほうがいいよ』と伝えるときに、言わなかったらどうなるか、言ったらどうなるかという具体的な結果を保護者が一緒に予測してあげた方が、意見を“言わない時の負担感”を理解しやすくなるかもしれません」(同)

 

ただ、言えるようになるには本人のタイミングがあるため、「すぐにはできるようにならない前提で見守ってほしい」と市田先生。本人が「言った方がいい」と思えるきっかけがあると、少しずつ言えるようになることが多いそうです。

 

 

●自分の意見を言えたときには、「言えたこと」自体を褒めよう

 

「少しずつ自分の気持ちを言えるようになるためには、本人がする失敗体験が大切です」と市田先生は続けます。

 

「例えば、本当はイヤだなと思っていても、友達に誘われるままにいたずらをして、怒られてしまったというような体験。さらっと『自分はやらないよ』と言えてしまう子は巻き込まれずに済みますが、自己主張の苦手な子は、つい一緒にいて怒られる、というような体験を繰り返すかもしれません。たびたび嫌な思いをする中で、怒られた時の大変さと自己主張する時の大変さとを比べて、自己主張する方が負担感が少ないな、と思えば、そちらを選択するようになるでしょう。

 

得意でない行動も、繰り返すことで負担を感じにくくなるものですし、自己主張した体験が成功体験になれば、脳が自己主張することを“適切な行動”と認識するようになります。ですから、お子さんが頑張って自分の意見を言った時には、内容の適切、不適切にはこだわらず、『自分の意見を言った』という行為自体について、ぜひ褒めてください。繰り返し褒められることで、自信をもって自分の意見を言えるようになるはずです」(同)

 

子ども本人が小さな失敗を繰り返し、「ここでは言ったほうがいいな」を学んでいくのですね。

 

 

●親子の会話でも、日記でもいい。感情を吐き出せる場を作ってあげて

 

「ハッキリ言えない子」に対して、他に心がけたほうがいいことはありますか?

 

「吐き出せる場所を作ってあげることを意識してください。学校だったら、担任の先生に言えないことでも、カウンセラーや養護の先生には言える…などですね。そういう場があるんだよと教えたり、家で話を聞いてあげるだけでも子どもは随分楽になると思います。

 

話を聞くときは、やみくもに『頑張れ』というのではなく、今やっていることを聞いて、『頑張ってるんだね』と認めてあげましょう。自己主張の少ない子は飄々とやりこなしているように見えがちで、周囲がその頑張りに気づかないことも多いからです。

 

ちなみに『自分の意見を言う』というのは、世の中の風潮として出来たほうがいいとされる場面も多いものの、必ずやらなければいけないことではありません。『言いたいことが言えずにストレスを感じる』など本人にとって不調の原因になるわけでなければ、無理やりに変えようとしなくても問題はないと私は思います」(同)

 

子どもの話を聞いてあげるとき、気を付けることはありますか?

 

「親は、話を聞くとどうしても解決してあげたくなりますが、『大変だったね。大変な中、よくやれているね』と現状を受け止めるだけでいいんです。お子さんに必要なのは対処法ではなく、話を聞いて自分を認めてもらえる体験そのものだと思います。対処法はそのついでに、もしやってみるならこんな方法もあるよ、というぐらいに伝えることで十分です。

 

また、感情を受け止めるとき、必ずしも『話す』必要はありません。お話しが得意な子もいれば、書くのが得意な子もいます。後者なら、日記や手紙に『書く』ことで感情を発散できれば、随分と気持ちが軽くなるはずです。話す能力と書く能力は別物なので、お子さんがどちらの方が得意かをよく観察して、負担の少ない方法を一緒に探せるといいですね」(同)

 

 

●保護者が先回りすると、子は失敗から学べなくなる

 

ちょっと話がそれますが、先ほど「失敗体験の重要性」を伺いました。失敗と挫折は違う、挫折体験は人の自信を奪っていくとも聞いたのですが、失敗を挫折にしないためには何を意識したらいいでしょうか?

 

「失敗させないようにと親が先回りして色々やるのはよくありません。お膳立てされた中で起きる失敗は、そうでない失敗に比べて挫折感が大きいもの。お膳立てされた中で失敗してしまうと、子どもは『あんなにやってもらったのに、自分はできない…』に直面しなければならないからです。逃げ場を残しておくという面でも、親があまり先回りしないほうがいいと思います。

 

それに、『次はこんなふうに準備すればどうかな?』と子ども自身が創意工夫する幅がある方が、失敗からの学びも大きいですよね。お子さんが創意工夫した時には、結果が伴わなくても、チャレンジしたこと自体を褒めてあげてください。そうすることで失敗体験ではなく、自分なりに頑張った体験と捉え直すことが出来ますよ」(同)

 

保護者自身が「こんなにやってあげたのに…」という言い方・考え方にならないためにも、小学生になったら親が先回りするのは安全管理くらいにとどめておいたほうがいいということですね。ついあれこれと口や手を出したくなってしまいますが、そこはグッとこらえて“待つ”ことも、親の役目として大切だと言えそうです。

 

(取材・執筆:代 麻理子)

「日本史」が学べる、おすすめマンガ4選【保護者向け】

 

 

ママ&パパ自身の「学ぶ楽しさ」や「好奇心」に貢献したいという思いで始めた当連載。2回めとなる今回は、前回に引き続き「マンガで楽しく学んじゃおう!」ということで、日本史を主題にした作品を4つご紹介。人間味にあふれるマンガの描写で、教科書に載っている偉人がグッと身近に感じ、どんどん読み進めてしまう作品ばかりです。

 

◆今回ご紹介する作品

『ねこねこ日本史』そにしけんじ(日本史全般)

『ジパング 深蒼海流』かわぐちかいじ(鎌倉時代)

『信長の忍び』重野なおき(戦国時代)

『アサギロ~浅葱狼~』ヒラマツ・ミノル(幕末)

 

 

●ねこたちに和みながら、ゆる~く日本史を学べる『ねこねこ日本史』

 

 

 

 

「歴史について学ぶ」というと、「年号を覚えなきゃ」「人名や事件を暗記しなくては」などと堅苦しく考えがち。でもまず一番大事なことは「歴史に興味を持つこと」「歴史を好きになること」ではないでしょうか?

 

そんな歴史好きになるための入口として最適なのがこの作品。本作は日本史上に出てくるさまざまな人物たちを、かわいい「ねこ」として描き、ギャグたっぷりの親しみやすい4コママンガ形式にした作品。例えば卑弥呼が「ねこじゃらし」で民衆を操るねこ巫女だったり、聖徳太子が10匹のねこの鳴き声を聞き分ける天才猫だったり…。

 

物語は基本的に個々の人物のエピソードをピックアップして紹介していくという形になっています。例えば1巻では、卑弥呼、聖徳太子から始まり、源頼朝、織田信長、坂本竜馬などなど、幅広い時代の重要人物たちをそれぞれ10ページ程度ずつで取り上げ、4コママンガと解説を掲載しています。一人ひとりの人物の物語が簡潔にまとめられているので、好きなときに、好きな人物のエピソードを、自由に楽しむことができます。

 

『ねこねこ日本史』本編が7巻まで発売されているほか、『ねこねこ日本史でよくわかる 日本史大事件』や『ねこねこ日本史でよくわかる 日本のお城』など関連作品も多数。NHK Eテレでテレビアニメ化もされていますので、お子さんと一緒に楽しみながら学んでいくのにぴったりです。

 

 

●源頼朝・義経兄弟の物語を描いた大河歴史ドラマ『ジパング 深蒼海流』

 

 

 

 

12世紀から19世紀にかけて700年近く続いた、武士の支配する時代(武家政権)。現在でも武士の生き様を描いたマンガや小説は人気がありますが、実は、武家政権誕生に前後する源氏と平家の争いについて、詳しく描いた歴史マンガは多くありません。

 

『ジパング 深蒼海流』は、ありそうで意外となかった、鎌倉幕府をひらいた源氏の兄弟にスポットを当てた本格的な時代ドラマです。本作の主人公は、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝と、その弟である源義経。彼らの足跡を、『沈黙の艦隊』などで知られるベテラン作家・かわぐちかいじ氏が、全23巻かけてじっくりと丹念に描いています。

 

長く続いた貴族の時代が終わり、平清盛率いる平家が隆盛を迎え、それとは対照的に窮地に陥った源氏。物語は頼朝・義経の父親である源義朝が平家に敗れて討ち死にするところから始まり、頼朝の挙兵や、義経の活躍、そして兄弟の葛藤などが、人間味たっぷりに描かれていきます。

 

また本作では、義経と平清盛の娘である徳子とのラブロマンスなど、史実とはまた異なった人間模様も描かれ、読者を物語に引き込んでいきます。現代につながる日本史上の重大な転換点となった武家の時代。その始まりを壮大なスケールで描き出した、読みごたえ抜群の一作です。

 

 

●4コマ形式で楽しく読める戦国時代ストーリー『信長の忍び』

 

 

 

 

日本史の中で最も人気のある時代といえば、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康や、さまざまな戦国武将が群雄割拠した戦国時代でしょう。それだけにこの時代を扱った作品は非常に多く、どの作品から読んだらいいか悩んでしまうほどです。また、活躍した戦国武将の数も膨大で、ちょっとかじっただけではなかなか覚え切れないという人も多いのではないでしょうか。

 

そこで「戦国時代を気軽に学びたい」という人にオススメなのが、『信長の忍び』です。本作はひょんなことから織田信長に仕えることになった忍者の少女・千鳥が、信長の天下統一を支えていくという物語になっています。

 

主人公がかわいい忍者の女の子で、形式も4コママンガなのですが、読んでみると意外なほどの読みごたえでびっくり! ギャグ要素もたっぷりで気楽に読めるものの、史実には忠実で、戦国時代を彩った数々の戦いや事件などが細かく取り上げられています。

 

また、「信長は甘いモノ好き」「信玄は温泉が趣味」など、史実に基づいた各武将の小ネタもたっぷり散りばめられているので、教科書では遠く感じた戦国武将も、グッと身近になるはず。楽しく気軽に読めるのに、戦国時代にかなり詳しくなれる。そんなオトクな一作です。

 

 

●力強い剣劇アクションが痛快な新撰組マンガ『アサギロ~浅葱狼~』

 

 

 

 

日本史を扱ったマンガや小説などで最も人気のあるのは戦国時代ですが、その次に作品数が多いのが幕末でしょう。長く続いた武家の時代が終わり、明治の世へと移り変わろうという激動の時代は、まさに近代日本の始まりであり、個性的な人物たちが数多く存在しました。

 

幕末にはさまざまな武士や志士らが活躍しましたが、その中でも坂本龍馬と並び人気を集めているのが、反幕府勢力の取り締まりに従事した武装組織である「新選組」。本作は新選組に集った面々や彼らと戦った人々を、天才剣士である沖田総司を中心に描いていく物語です。

 

本作の特徴は、なんといってもそれぞれのキャラクターが非常に個性的なこと。剣士としては天才的だが世間知らずな沖田総司をはじめ、新選組の主要人物たちが非常に人間くさく、既存のイメージにとらわれずにイキイキと描かれています。歴史の教科書だと詳しく述べられることのない新選組ですが、本作を読めば彼らを生身の人間として感じることができ、そのアツい生き様に心打たれることでしょう。

 

(選書・執筆:芝田隆広)

今どきの小学校、保護者の時代と変わったことは?

 

 

今年入学した1年生も、少しずつ小学校生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。子どもが小学校に入ってみると、自分(保護者)が子どもの頃と比べてさまざまな変化があることに気付きます。そこで今回は、保護者世代が子どもだった頃の小学校と、今の小学校で変わったことを、岡山県苫田郡鏡野町立南小学校教頭の影山知美先生に聞きました。

 

 

●「生活科」という聞きなれぬ教科は、平成元年から登場

 

小学生のとき、理科や社会の時間が好きだったという保護者も多いことでしょう。しかし、今の小学1〜2年生の時間割に理科や社会はありません。その代わり、平成元年から「生活科」という教科が設置されています。

 

「理科と社会に代わって取り入れられたのが『生活科』ですが、その二つを単純に統合した教科ではありません。生活科には、具体的な活動を通して思考するというねらいがあります。そのため、“体験すること”を重視した学習活動では、地域で働いている人のところへ話を聞きに行ったり、身の回りの自然を観察したりします。

 

また、ただ体験させるだけでなく、自分で見たこと、聞いたこと、考えたこと、思ったことを絵や文で表現したり、相手に伝えられたりするようになることも目標の一つです。1~2年での学習を通じて、自分がどう生活していけば良いかを、しっかり考えさせる授業を行なっています。家庭や地域の中で体験したり、学んだりする場が少なくなってきている現代において、自分の身の回りの自然や物、人に目を向けることができる教科が生活科なのです」(影山先生)

 

なお、生活科は学校で学んだことを家庭で再体験したり、親子で一緒に考えたりすることにも向いている教科だと言います。生活科でどんなことをやったのか、帰ってきたお子さんにさっそく聞いてみてはいかがでしょうか。

 

 

●すべての人が共に暮らせる社会を目指す「インクルーシブ教育」

 

新しい教科が取り入れられる一方、「インクルーシブ教育システム」なる取り組みも始まっているそうです。これはいったいどういうものなのでしょうか?

 

「端的に言うと、障がいのある子どもも、そうでない子どもも、可能な限り同じ場で共に暮らし、学ぶことを目指そうという考え方です。保護者世代の中には、障がいのある子どもは別の学校や別の教室で学んでいたと記憶している方もいるでしょう。しかし、今の学校教育では、障害のある子、ない子の双方にとって、共に学ぶことは意味があるとし、それを実現するための整備が進められています。

 

具体的には、校内の段差を減らしたり、スロープやエレベーターを設置することで車いすの子どもにとっての移動困難を解消していくことなどが一例として挙げられます。他にも、支援の必要な子どもが困ることのないように、専門性のある支援体制の整備や教員の育成、ボランティアスタッフの配置なども重要になってきます。そうして、学習や行動面に困難のある子どもも、適切な支援を受けながら通常学級での集団授業に参加できるようにしているのです」(同)

 

こうした動きは日本だけでなく、国連で採択された「障害者の権利に関する条約」をきっかけに世界的に進んでいるそう。「行事などで学校に行った際は、そういった取り組みにも目を向けてみてほしい」(同)とのことでした。

 

 

●法律が整備され、現代に対応した「いじめ防止対策」に

 

子どもが学校生活を送るうえで気になる「いじめ問題」についても、私たち親世代の頃とは状況が変わってきているといいます。

 

「2011年、当時中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺に至った痛ましい事件があり、翌年には当事件が誘因となって『いじめ防止対策推進法』が国会で可決されました。以降、どの学校でも『学校いじめ防止基本方針』を作成し、学年初めに保護者や児童に伝えるなどしています。

 

また、昔と違うのは、SNSの普及によるネット上でのいじめ問題です。学校や保護者が気付きにくく、問題が発覚してからの対処となることが多くなりがちですので、低学年のうちから『情報モラル』の学習を取り入れています」(同)

 

影山先生によれば、学校内にはもちろん、各所にさまざまないじめの相談機関が整備されてきているので、子どもの様子がおかしいと感じたら遠慮なく相談してほしいとのこと。コミュニケーションを密にし、子どもの変化を見逃さないようにしたいものです。

 

 

●学校教育のこれから。2020年度からはじまる「新学習指導要領」

 

ここまで聞いてみて、われわれ保護者が子どもの頃と、多くの点が変化していると分かりました。では、これからの教育はどのようになっていくのでしょうか?

 

「文部科学省は、全国どの学校でも一定の水準が保てるように『学習指導要領』という教育課程の基準を定めています。時間割や教科書はこの指導要領を元に作成されるのですが、2020年度から始まる『新学習指導要領』では、『学校教育を通じてよりよい社会を創る』という目標を、“学校”と“社会”とで共有することが掲げられています。

 

この数十年の間で、児童・保護者と地域の方々との関わりが希薄になってきており、また学校だけで対応できない問題も多くなってきています。それぞれの学校が、社会と連携・協働することが今後ますます大切になっていくでしょう」(同)

 

具体的には、放課後や土曜日の時間を使って、地域の人々と一緒にさまざまな活動をすることなどが進められるそうです。学校教育を学校だけのものに留めず、社会に向けて開き、一緒に行っていくのが新しい時代の小学校なのですね。

 

時代と共に変化していく学校教育。私たち保護者もその変化を知って柔軟に対応していきたいところです。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

2020年度入学 メーカー別ランドセル最新事情【ララちゃんランドセル編】

(画像提供:羅羅屋)

 

さまざまな種類があるランドセル。それぞれにどんな機能や特徴があり、どんな点を重視してランドセル選びをすればいいのでしょうか。そこで、ランドセルの主要メーカーに直撃取材。メーカーごとの発売時期、イチオシなどを詳しく教えてもらいました。第4回は「ララちゃんランドセル」でおなじみの羅羅屋です。

 

(※ 記事内の商品価格は、すべて5/29現在のものです)

 

【ララちゃんランドセルのポイント】

・素材

オリジナルの人工皮革「ベルバイオ5」

・重さ

1,300g前後

・人気カラー

男の子は黒とネイビー、女の子はアイリスとアイスブルーが人気

・販売時期

4月より販売開始、オーダーメイド受注期間は4月〜9月

・ポイント

☆繊維メーカーと共同開発した人口皮革「ベルバイオ5」で傷がつきにくい!

☆背あてに低反発素材を使用。背負いやすい工夫が満載

☆成長に合わせて肩ベルトの付け替えができる「K MODEL」に全モデルが対応(ティティ・エ・ティティを除く)

☆今話題の重すぎるランドセル問題を解消するため、低学年の華奢な身体にもやさしくフィットする「ソフトなベルト」を開発!

 

【男の子人気NO.1】

キララ(カラー:クラシックブルー)

 

(画像提供:羅羅屋)

 

50,000円(税込)

シックな色合いと落ち着いた質感に映えるアンティークゴールドの金具がポイント。

 

【女の子人気NO.1】

エンジェル・ララ(カラー:アイリス)

 

(画像提供:羅羅屋)

 

50,000円(税込)

小花の刺繍や花をモチーフにした金具などのデザインが人気。

 

【今年のイチオシ!】

オーダーメイドランドセル

 

(画像提供:羅羅屋)

 

57,000円〜(税込)

肩ベルトを取り外すことができて、簡単に付け替えが可能!

 

 

●背負いやすさ、使いやすさを徹底的に追求!

 

老舗メーカーのランドセルとして長年支持を集める「ララちゃんランドセル」。早くからオーダーメイドランドセルの販売を始めたり、今では当たり前になったA4フラットファイル対応の大きなサイズ「トリプルワイドモデル」を早々に採用したりと、子どもの使いやすさを徹底追求しています。

 

「ランドセル自体はもちろん、ランドセル生地の開発からランドセルの組み上げまで、国内自社工場ですべて完結させて生産。常に子どもの目線に立って考え、丈夫で軽く、美しいランドセルを目指しています。

 

羅羅屋と繊維メーカーが共同開発した、オリジナルの高機能人口皮革『ベルバイオ5』は、傷に強く耐久性にすぐれた素材。専用機械で1000回転の摩耗負荷をかけた試験結果では、他社素材に比べて傷みが少ないという結果も。防水性も抜群です。背あてには低反発素材を使い、より背中に密着させることで肩への負担を軽減。各所にこだわりの機能が満載です」(羅羅屋広報)

 

 

●業界初! 成長に合わせて取り外しができる肩ベルト

 

また、ランドセル業界初、取り外して付け替えることができる画期的な肩ベルトを開発。成長に合わせて、付け替えることができます。

 

(画像提供:羅羅屋)

 

「教材の増加により、ランドセルの重さは平均で約3~4kgにもなります。まだ体の小さいお子さんには負荷も大きいはず。健康で美しい姿勢のためにも、羅羅屋は小さな肩を守りたいと考えています。 ランドセルの大容量化が進む中、体格が大きく変化する6年間を改めて見直し、新しく肩にやさしい交換ベルト『ソフトなベルト』をつくりました。 肩に感じる重さを軽減するデザインは、気持ちまで軽くなるようなカジュアルさも魅力です」(同)

 

ララちゃんランドセルの購入は、例年、5月上旬〜8月上旬がピークだそう。5月上旬からは、全国各地をまわる展示会も順次開催中です。

 

(取材・執筆:野々山幸)

 

「我(が)が強い」「うそをつく」は子どもの性格? 直すべき?

 

 

小学校入学前から入学後に生じる育児のお悩みについて、児童精神科医として臨床経験豊富な市田典子先生に伺う当連載。第7回は、(1)自分が強いお子さんについてのお悩み、(2)子どもの「うそ」を保護者はどう捉えたらよいかの2つのテーマでお話しを伺います。

 

 

●我が強くて、友達とのトラブルも多い子。親はどう向き合う?

 

いわゆる「我(が)が強い」子は、意見をハッキリと主張できるという素晴らしい面もある一方、周りに合わせようという意識が薄く、お友達とトラブルを起こしがちで困ってしまう…とお悩みのママもいるようです。わが家も末っ子はそんなタイプなのでヒヤヒヤしてしまうのですが、我が強い子には親としてどのように関わっていくのがいいのでしょうか?

 

「もともとの性質として協調性がある子もいますが、『我が強い』タイプのお子さんでも、成長していくうちに理屈を理解することで協調性は身に付きます。我が強くてトラブルを起こしがちという子には、相手の気持ちをうまくイメージできるように教えてあげるのがいいでしょう。お子さんの言い分は否定せずに聞いたうえで、客観的な意見として『相手の胸の内は、こうだったんじゃない?』という推測を話してあげるんです。

 

うちの息子は中学1年生ですが、卒業式や入学式など、じっと聞いている行事が嫌いです。でも、『そういうのをちゃんとやりたい子もいるんだよ』と伝えたら、『えぇー、いるのかよ、そんなやつ…』と言いながら、『俺は嫌だけど、そんな子がいるなら仕方ないか』と理解して、前よりも行事への抵抗感が減ったようです。いろいろな考え方、感じ方をする人がいるということを、タイミングごとに話すのが良いのではないでしょうか」(市田先生)

 

大人もそうですが、他人の気持ちや考え方に、言われて初めて気付く…ということは少なくないですよね。

 

「『自分と他人の違いが理解できる』ことを、心理学的には『自他分離』と言います。“自分の世界”が強い子は自他分離をするのが難しいことがありますが、本人のめばえ、育ちを待つしかありません。自他分離を6年間かけて学んでいく場が小学校だと私は考えています。

 

1年生の今、上手にできなくても、6年間かけて練習を積んでいくと考えましょう。学校での体験をもとに、大人の解説がなくても自然と自他分離をできていくお子さんもいます。体験だけでは上手に理解を深められないお子さんもいますが、『どうして分からないの』と嘆くのではなく、分かるように解説することが必要で、その結果、理解が深まればよい、と考えましょう」(同)

 

 

●人間関係にトラブルはつきもの! それは子どもの世界も同じこと

 

我が強いと対人関係のトラブルも心配なのですが、実際にトラブルが起きた際は、どのように対応すればいいでしょうか?

 

「他人と関わりながら生きていく以上、どんな人でも、トラブルの無い人生なんてあり得ません。トラブルが起きたら対処すればいいだけ、親は子どもの尻ぬぐいの係だと思いましょう。まずは事実関係の確認と合わせて本人の気持ちを“否定せずに”聞き、その上で、相手の気持ちについて『こう感じたんじゃないかな』と、保護者の方からお子さんにきちんと話をすることが必要です。

 

故意でなかったとしても相手を傷つけるようなトラブルの場合には、親が謝る姿をきちんと見せましょう。親が謝る姿を見て、子どもは子どもなりに『親にこんなことをさせないようにしよう』など、いろいろな思いを抱きます。また、その姿は子ども達が人に謝る際のモデルになります。

 

子どもは、見たり聞いたりした体験をもとに成長していきます。『あなたは悪くないわよ』と味方でいることも必要ですが、『迷惑をかけるのはお互い様』と失敗をきちんと認め、親が社会的に適切な姿を見せることが、お子さんの『社会性のめばえ』の手助けになると思いますよ」(同)

 

ちなみに、対人関係のトラブルに限らず、子どもに言い聞かせるときに注意したいポイントがあると市田先生。

 

「何かを言い聞かせるときは、最後に『分かった?』と聞かないことです。『分かった』と答えるまで話が終わらないとなると、お子さんは理解していなくても『分かった』と答えてしまいます。すると同じような失敗が再び起きた際、『あのとき分かったって言ったでしょ!』となってしまうのです。

 

ですので、お母さんのストレスを減らすためにも、理解させることではなく、伝えることを目的に。話を聞いてくれたらそれでOK、『分からないかもしれないけど、そういうことだから』で終わるくらいがちょうどいい伝え方だと思います」(同)

 

 

●“うそをつく=ずる賢い“ではない! うそは子どもの防衛本能

 

次に、子どもがつくうそについて。何かトラブルが起きた時に自分から言わなかったり、「やってないよ」とうそをついたり…。ママ達にとって悩ましい子どもの「うそ」について、どう捉えたらいいでしょうか?

 

「大人から見てうそをついていると思うことでも、子ども自身はうそをつこうと考えているわけではありません。ただ怒られないようにしようとしただけなんですね。大人は『うそをついて逃げようとしている』と理屈で考えて非難しますが、子どもは本能的な自己防衛としてやっていることが多いのです。

 

お子さん自身も自分が悪いことをしたと分かっていて、それを隠す行動として、事実とは違うことを言っているだけだと捉えてみてください。それを踏まえて、『悪いことをしたと思ったら、まずは正直に話してごめんなさいを言おう。隠そうとすると、もっと悪いことになってしまうよ』というのを上手に教えてあげるといいでしょう」(同)

 

ただし、それでも子どもは隠すし、うそをつくものだと市田先生。

 

「ご自身の子ども時代を思い返せば、分かりますよね。『子どもはうそをつくもの』と思って対応するくらいがいいのではないでしょうか。怒るというより、『ママはお見通しですけど?』と呆れるくらいの方がいいかもしれませんね。そこから徐々に『お見通しなら、うそをついてもしょうがないな』と学んでいけば、本質的にすごく悪いことはしなくなると思います。

 

逆に『うそはダメ、絶対ダメ』とダメダメ言っていると、子どもはダメなことをイメージしやすくなってしまいます。すると、ふとしたタイミングで『ママを困らせてやろう』という気持ちになったとき、お母さんからたくさん教えられているダメな行動を選択して、実践してしまうんです。

 

お子さんにしてほしくないことを伝えるときは、保護者自身の感情とつなげて『お母さんは悲しく思うからやらないで』や『嫌な気持ちになるから、ちゃんと言ってね』といった伝え方を心がけるといいでしょう」(同)

 

子どものうそは防衛本能から出る自然なものと考えると、気が楽になりますね。また、「ダメ」という言葉で一緒くたに叱るのではなく、気持ちを乗せて伝えるということを意識して子育てに臨めたらいいですね。

 

(取材・執筆:代 麻理子)

「バカ!」「死んじゃえ!」子どもの暴言にはどう対処する?

 

 

子育てをしていると、「こんな時はどうしたらいい?」「私の育児は間違っている?」など不安になってしまうこともあるのではないでしょうか。子育てのお悩みについて、臨床経験豊富な児童精神科医の市田典子先生に伺う当連載。第6回では、子どもが暴力的な言葉を発したとき、保護者はどう対応すればいいかをお聞きしました。

 

 

●低学年の子の保護者に対する暴言は、親子関係が健全な証拠…?

 

自分の思い通りにならないことがあると、「ママのバカやろう!」「ママなんか大っ嫌い」、ひどい時には「死ね」とまで…。外でもこんなことを言っているのかと心配になって心配になってしまいますが、こうした言葉を受けた時、保護者はどのように対応するのがいいのでしょうか?

 

「私自身も、子ども達からひどい言葉を浴びることがあるので(市田先生は中学一年生の双子の男子のママ)、お気持ちはよく分かります(笑)。基本的には、ご自宅でママや家族にそういった言葉を言えるのは、健全な関係を築けていると考えてよいと思います。家で喧嘩や反抗ができるのは、『ここでは完璧な自分じゃなくても大丈夫だ』『感情を出していい場所なんだ』とお子さんが認識しているから。家でそうした言葉を言う子どもは、外では言っていないことがほとんどです。

 

子ども達は、親が思っている以上に外では頑張っています。特に1年生の場合、学校への入学はものすごく大きな環境の変化で、子ども自身も知らず知らずのうちにストレスを抱え込んでいることが多いです。そのため、家に帰ってきたらイライラしてママに八つ当たり…というのはむしろ自然なこと。わが子と健全な関係を築けているからこそ、感情を表すことが出来ているんだなぁと捉えてみてください」(市田先生)

 

 

●「バカ」「死ね」を字面どおりに捉えず、感情のラベリングを手伝おう

 

子どもが暴言を口にするのは、感情に対し、適切な言葉を当てはめられていないからだと市田先生は続けます。

 

「人間はもともと快・不快の“感覚”を持って生まれますが、“感情”は勝手に育っていくものではありません。例えば、赤ちゃんで考えてみると、お母さんが見えなくなったら泣いてしまう時期ってありますよね? お母さんが目の前にいる状態が赤ちゃんにとって快適であり、見えなくなってしまうと不快になるから泣く。その時に『寂しい』『不安だ』といった感情を表す言葉は、実は赤ちゃん自身まだ持っていないのです。

 

お母さんや周りの人が『寂しかったんだね』『見えなくなっちゃって不安だったのね』と声をかけて初めて、『この感情を寂しいというんだ』『これが不安という感情なのか』と学んでいきます」(同)

 

感情が後天的なものだというのは驚きです。

 

「最初は感情自体にまだ名前がついておらず、周囲とのコミュニケーションを通じて感情へのラベルを獲得していくんですね。幼いうちは知っている言葉の数も少ないため、不快な、自分ではコントロールできない気持ちを表すために、『死ね』や『バカ』、『嫌い』といった言葉がとっさに出てしまう。

 

それは自然なことではあるのですが、お子さんが本当に伝えたいことはネガティブな言葉そのものではなく、その中にある細やかな感情である場合がほとんどです。そのため、『ママだったらそんな時にはこう言うよ』といったように、別の言葉での表し方を伝えてあげるといいでしょう」(同)

 

ママ自身も感情への適切な名づけが分からない場合、一緒に学んでいく、一緒に考えていく、で十分とのこと。その上で、内面の細やかさに気づける子もいれば気づけない子もいて、それは子どもそれぞれの個性と捉えていいそうです。

 

 

●口にしてほしくない言葉には、ママの感情をつなげて伝えよう

 

言葉遣いを注意しても、なかなかすぐには直らないもの。「そんな言葉は使っちゃダメだよ」と伝えたそばから、「死ね!」「バカヤロウ!」などと返されると、思わず匙を投げてしまいそうになります…。

 

「昔はおじいちゃん・おばあちゃん、ご近所の人などとの関係が今よりも身近で、子どもが悪い言葉を使って親に怒られた後に、どうしてダメなのかをわかりやすく諭してくれていたんですね。それが、今は核家族が主流になり、お父さん、お母さんが注意する役割も、諭す役割も両方担うので大変ですよね。パパとママでうまく役割分担できればよいですが、ご家庭によっては、一人二役をこなさなくてはいけないこともあると思います。

 

親も人間なので、暴言をぶつけられてイラっとするのは当然です。そんな時には怒った後でも構わないので、部屋を別にするなどして一旦距離を置き、ご自身の気持ちを静めてから、やめてほしい理由を説明してあげてください。『さっきの「死ね」という言葉は、ママが言われたら悲しくなるからやめてね』など、ご自身の感情とつなげて伝えてあげるといいでしょう」(同)

 

ママとパパで伝え方が一致していなくてもいいのでしょうか?

 

「むしろ違ったほうが子どもにとっては様々な感情表現を習得するいい機会となります。親だけでなく、いろいろな人の様々な感情の表し方を見聞きする中で、子どもは自分にフィットする感情の表し方を習得していきます」(同)

 

子どもが暴言を口にした時に、他にも伝え方で意識したほうがいいことはありますか?

 

「『いい・ダメ』だけだと『言うか・言わないか』の二択になってしまいますよね。小さいうちは理解が追いつかないのでその二択でもいいのですが、いい・ダメの二択の理解のままだと、自分の気持ちを外に出さずに、しまい込んで溜め込みやすくなります。

 

成長するにつれ、不適切な表現については『周りの人が聞いたらびっくりするよ』『そんな言葉を発していたら、気持ちが正しく伝わらなくて、余計に残念な気持ちになるよ』などと、その言葉を発することで起こり得る状況を併せて伝え、他の人に伝わりやすい言葉や説明の仕方を一緒に考えてあげてください」(同)

 

ちなみに、小さいうちは、男の子は女の子よりも言語表現やコミュニケーションが苦手であり、衝動的なことが多いそう。感情を出せているのは、子どもが家庭に安心を感じているからだと捉えると、ママのイライラも軽減されそうです。

 

(取材・執筆:代 麻理子)

学童をやめたあと、子どもたちは放課後をどう過ごす…?

 

 

小学校入学と同時に入所した学童を、小1でやめてしまうお子さんは少なくないそう。働く保護者としては、子どもの放課後の居場所について悩むことになりそうです。そこで、小1で子どもが学童をやめることになったという先輩ママたちに取材。学童退所後の放課後について、体験談を聞きました。

 

 

●民間学童や児童館、祖母…。もてるリソースをフル活用!

 

前編では、先輩ママたちに子どもが学童をやめたがった理由と、そのときの対処についてうかがいました。後編となる今回は、「学童退所後の放課後の過ごし方」と、後輩ママたちへのアドバイスをお聞きします。

 

最初にご紹介するのは、現在小3になる娘さんをもつ都内在住のYさんのお話。小1の11月に学童を退所して、娘さんはどんな放課後を過ごすようになったのでしょうか。

 

「退所前から通っていた民間学童に週2日、祖母と過ごす日が週1日、児童館に行く日が週1日…というように、子どもと話し合いつつ、私の仕事と周囲の都合で決めていました。私が在宅ワークをできる日は、一緒に家で過ごすこともありました。

 

2年生の途中からは、学校から帰ってきて習い事のバレエに週3回行き、週1回は祖母と過ごし、あとは児童館へ行ったり友達と遊んだりしています。私と過ごす頻度は減りました。

 

当時を振り返ると、放課後にやることが決まっている方が良いのではと思い、習い事付き民間学童に入れて、親としては安心。でも、子どもにとっては問題がすべて解決したわけではなかったかなとも感じます。正解はないので、難しいですね。

 

小1の子どもが学童に行かなくなると、保護者は悩ましいですよね。でも、学年が上がると、自分だけで、また友達同士で過ごせることも増えてきます。学童になぜ行きたくないのかを子どもとよく話し、親子双方が納得できるところを探って、1年をやり過ごすのも手段の一つかと思います。当時はとても心配でしたが、最近では子どもの成長はすさまじいスピードだなと感じるばかりです」

 

 

●メインは放課後子供教室。本人の希望で習い事も

 

2人目は、小3の娘さんを持つGさん。娘さんが学童を退所したのは小1の夏休み前でしたが、初めての長期休みはどんな過ごし方になったのでしょうか?

 

「もともと夏休みいっぱい、娘は田舎の祖父母の家で過ごす予定だったんです。学童の有無に関係ない予定が入っていたのは、ラッキーだったかもしれません。

 

2学期からの過ごし方は、学童の先生に相談したところ、ランドセルのまま校内の遊び場で過ごせる『放課後子供教室』というものがあると教えてもらいました。娘に話すと、『同じクラスの女子も何人か行っているし、それなら大丈夫そう』とのこと。そこで、小学校の放課後子供教室で16時ぐらいまで過ごして家に帰り、親が帰宅する17時半までお留守番をするようになりました。

 

曜日によっては、近隣に住む祖父に送迎をお願いし、スイミングなどの習い事をしてから帰宅しています。習い事はもともと本人がやりたいと言っていたので、祖父に相談して始めることにしました。

 

小3以降は、娘が活発になり、また学校や友達にも慣れたため、『放課後子供教室』の登録をやめ、お留守番をしたり、児童館に顔を出したり、一人で習い事に行ったりという日々を送っています。

 

学童は幅広い学年のさまざまなお子さんが集まる場所です。空間にも限りがあるので、子ども同士のトラブルは生じがち。ただ、本人が行きたくないと言うにはそれなりの理由があるはずなんですよね。親としてはつい『行きなさい!』と言ってしまいますが、冷静に理由を聞いて、相性などのどうしようもない問題なら、やっぱり学童以外の居場所を探すしかないのかなと思います」

 

 

●長期休みはYouTube&ゲーム漬けに…。打開策は?

 

都内在住のKさんの息子さんは、小1の3学期に学童を退所。Kさんを悩ませたのは、退所直後の春休みでした。

 

「学童をやめてしばらくして、学童に行っていない同級生が家に遊びに来るようになり、一緒に過ごす相手がいることに安心しました。ただ、その後すぐ春休みに入ってしまい、長期休みの過ごし方を事前に考えておくべきだったな、と反省しました。

 

結局、春休みはゲームやYouTube漬けの日々に…。ただ不幸中の幸いというか、思う存分やったことで『やりすぎると体調がよくない』『頭が働かない』『顔がちょっとカッコ悪くなる』などと身をもって学ぶことができたようです。とはいえ、パソコンとタブレットの時間制限は、親がしっかり勉強して、事前にかけておくべきでした。

 

その後、週1で体操教室へ、週2で学習教室へ行き始めました。私も職場に相談し、帰宅時間を16時半に早め、以降は在宅勤務に。私の帰宅までに、学校と教室の宿題を終わらせるルールにしています。習い事も数回行くと楽しくなってきたようです。

 

親がぎちぎちにスケジューリングするより、本人主体で少しずつ習い事を増やすなどしていくと、双方が納得できる過ごし方になるのかな、と感じています。わが家では、ゲームとYouTubeの時間を本人に決めさせたり、1週間分のおやつを週末一緒に買いに行ったりと、『君の自由を尊重しているよ!』という態度をできるだけ見せるようにしています。

 

また、子どもが学童に行かなくなると、ママが専業主婦という子どもと遊ぶことも増えます。何かあったときに連絡しやすいよう、保護者会などでは積極的に声をかけるようになりました」

 

 

●子どもが楽しい放課後を自分で作れるよう手助けを

 

最後にご紹介するのは、自営農家で働く北海道在住のSさん。小4の娘さんが学童をやめたのは、小1の夏休みごろでした。

 

「学童を退所して以降は、長期休暇中も放課後も、基本的には本人の好きなように過ごさせていました。結果、ずっとテレビを見ていましたが、たまに仕事場(農園)に来たり、創造遊びをしたり、お手伝いをしたりと健全な姿を見せてくれました。ぐうたらすぎるときは小言を言い、とても健全な感じの時はたくさんほめています。

 

ぐうたら加減を見かねて、子どもが「暇すること」について調べると、肯定的な意見があることに気づきました。以降、あまりにもひどいときは、「こどもは暇が仕事だよ」と伝えてTVを止め、音楽をかけてあげたり、お絵かき道具などを出してあげたり。折り紙で何個も同じ形を作ってそれぞれに異なるデザインを描き込んだり、ソファーの上で変な格好を追求していたりと、工夫して過ごしていることもあります。

 

また、おやつがコミュニケーションの一つになりました。置き手紙をしたり、仕事場まで持って来てもらい一緒に食べたりと、いろいろな形で楽しんでいます。放課後を自由に過ごすにあたり、「ゲームの時はブルーライトカットめがねを付ける」などいくつかのルールも設けました。

 

私自身、鍵っ子だったのですが、放課後を楽しめるようになったのは、自分で過ごし方を企画できるようになった中学生以降でした。ただ、小学生でも親のちょっとしたフォローがあれば、楽しい放課後を自分で作れるようになる気がします。簡単なおやつのレシピ本を用意してあげるだけでも違うと思います!

 

学童をやめたがっている子の保護者の方は、子どもの暇な時間を肯定的に考えてみると、少し世界が変わるかもしれません。近くに暇しているお友達がいたら、子ども同士で『昨日の暇』を紹介し合ったり、『今度一緒に遊ぼう』と誘い合ったりすることを提案してみるのもいいかもしれません」

 

遅かれ早かれ、いつかはやってくる学童退所。いざというときに困らないよう、どんな対応ができるのか、わが子の放課後ライフをどうサポートできるのか、夏休み前に一度、考えてみてはいかがでしょうか。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

わが子が「学童行きたくない」と言い出したらどうする?

 

 

入学から約2か月が過ぎ、小学校生活にも慣れてきた頃でしょうか。しかし、この時期になると、学童に「行きたくない」と言い出すお子さんもいると聞きます。もし、わが子が学童を嫌がり始めたら、保護者はどう対応すればいいのでしょうか。小1で子どもを学童から卒業(退所)させたという先輩ママに、体験談を聞きました。

 

 

●「自分だけが学童に行くのは嫌」「自分もママに会いたい」と言った娘

 

今回、ママたちに聞いたのは、「子どもが学童をやめたいと言い出した理由」と「保護者がどう対応したか」。まず、現在小3になる娘さんを持つ都内在住のYさんから。娘さんが学童に行きたくないと言い出したのは、小1の5月頃だったと言います。

 

「理由は2つありました。1つは、一緒に登下校をしているお友だちが全員、学童に行かず家に帰っていくから。2つめは、ママと会いたいから。保育園は皆がそこにいるのが当たり前でしたが、小学校に入って環境が変わり、『自分だけがなぜ』という気持ちが強まったようです。

 

ただ、学童にもお友だちや優しい先生はいて、行ってしまえばそれなりに楽しいとのこと。『もう少し頑張ってみたら? ママもその間お仕事を頑張っているから』と話しました。一方で、なるべく仕事を調整して早く迎えに行ったり、在宅ワークに切り替えたりもしました。また、民間学童の見学に行き、6月ごろからは週1で民間学童に通わせることにしました。 

 

同じ学校に通う先輩ママには、学童のある児童館に、ランドセルを背負ったまま立ち寄れる制度があると聞きました。2年生以上は、それを利用して働いている保護者も多い、と。この制度に登録すると、”学童に行っていないお友だち”とも一緒に遊べるので、徐々に切り替えることも検討しました。

 

ただ、夏から秋にかけての時期に『もう行きたくない』と強く言うようになり、結局、小1の11月には退所することに。学童はクラスや学年を越えた友人・知人ができるのが良かったなと、学年が上がるごとにしみじみ感じますが、娘の場合は、給食時間も放課後のことを思って涙するということが続いていたため、当時は悩みましたね…。やめるまでの半年間は、なかなか安心して仕事をしていられない日々でした」

 

 

●同級生だけでなく、上級生との相性で学童が嫌になる場合も

 

お次は、小3の娘さんを持つGさんの体験談。娘さんが学童を嫌がり始めたのは、小1の6月ごろだったそうです。

 

「理由を聞くと、上級生の男の子にからかわれるのが嫌だからと話していました。『やめたい』と言いはじめて3日ぐらいは一時的なものだと思いなだめていましたが、あまりに辛そうなので、その週のうちに学童の先生に面談をしていただくことに。情報を共有した後、上級生には注意をしつつ、娘ともども見守っていくと先生が言ってくださいました。

 

その後、1か月ほどは特に不満も言わず通っていましたが、しばらくすると、最初にからかってきた上級生以外の、他の何人かとも同じようなトラブルが発生。結局、夏休み前に退会しました。

 

学童は自由遊びがメインなので、楽しく過ごせるかは、ある程度、運みたいなところもあるのかもしれませんね。本当にいろいろな子がいるなと勉強になりました。ちなみに娘は、いまは逆に仲の良いクラスの子と遊びたくて、『学童に行ってもいいかも~』なんて言っています(笑)」

 

 

●外遊びのできない環境で体力を持て余してしまった

 

続いては、都内在住のKさん。現在、小2の息子さんを持つママの話です。Kさんの息子さんが学童に行かず帰宅するようになったのは、小1の3学期に入ってすぐのことでした。

 

「3学期に入ってすぐの1週間、毎日のように学童の先生から『今日は〇〇君、学童に来ていませんが…』と電話が入るようになりました。当時、家の鍵は持たせていて、ケータイは持たせていない状態。まずは確認しようと、自宅勤務に切り替えて帰宅すると、息子がパソコンでYouTubeを見ていました…!

 

その後、毎朝『学童に行くように』と伝えるものの、息子からは『え~』と渋い返事。夫からも説得してもらい、『学童に行かないなら、習い事をしてもらうよ』など代替案も伝えましたが、息子は『どっちもやだな~。でも習い事の方がましか~』と、一番は家で自由に過ごしたいようでした。

 

実は2学期の後半に学童でトラブルがあったとき、児童館長から『パワーが有り余っているので、外で遊べないうちの学童では物足りないのかも』と言われていました。通っていた学童は、けっして広いとは言えない児童館に併設されており、屋外の遊び場がありません。校庭で遊べるのも月1~2回程度で、確かに外遊び好きの子には狭い感じでした。

 

また、2学期に友達とケンカをするトラブルが続いたことがきっかけで、特に同学年の女子から、誰かが泣いていたりすると『〇〇くんがやったの?』とまず言われるようになったそうです。『行きたくない』と言い出した時に、学童主任の先生に相談したら、そのことも理由の1つかもねと言われました。

 

勝手に帰って来ないようにと鍵を取り上げるわけにもいかないので、結局、勝手に学童を休む日々が2週間続きました。2週間行かないと自動的に退所となることもあり、首に縄をつけてまで行かせるのも違うなと思ったので、そのタイミングで退所させました」

 

 

●「学童やめたい」で地域子育てにシフト

 

最後にご紹介するのは、北海道在住のSさん。現在、娘さんは小4です。「学童をやめたい」のセリフが聞こえだしたのは、小1の夏休み頃からだと言います

 

「本人に聞くと、『飽きた』のだそうです。前に、監視されているような雰囲気があると聞いたことがあるので、そうした理由もあったのかもしれません。夏休みの途中でしたが、学童は退所させることにしました。

 

そもそも私は、同世代の子どもしかいない集団に少し違和感を持っています。学校で半日過ごしてくるだけでも、見えないけれど精神的なストレスは大きいと思うんです。放課後は、近所のおじいちゃんやおばあちゃん、友だちの両親や兄弟姉妹、ペットなど、地域にいる多様な人々と触れあえるほうが、親子ともどもずっと楽なんじゃないかな、って。

 

私の場合、職業が自営の農家なので、そうした願いが叶いやすく、もし学童をやめたとしても、少しの時間ならかまってあげることができます。単純なお手伝いを促したり、「生活」の授業の勉強になりそうな農村の様子を共有したり、一緒に休憩のおやつを食べたり…。子どもを育成するチャンスととらえ、付き合おうと考えました。

 

保育所の頃から、“下の子がまだ小さく、お母さんの在宅が多い同級生のお友だち”と家を行き来する習慣があったのも、安心材料になってくれました。また、放課後を地域で過ごすにあたり、近所のおばさんなどに、学童へ行かなくなったことを世間話の中でお話ししたと思います」

 

4人のママたちからお話をうかがって、子どもが学童に行かなくなるタイミングは、保護者が自らの子育ての方針について再確認するいい機会になるのかもしれないなと感じました。後半では、学童退所後の子どもたちの放課後の過ごし方についてお聞きします。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

2020年度入学 メーカー別ランドセル最新事情【イオン編】

(画像提供:イオン)

 

さまざまな種類があるランドセル。それぞれにどんな機能や特徴があり、どんな点を重視してランドセル選びをすればいいのでしょうか。そこで、ランドセルの主要メーカーに直撃取材。メーカーごとの発売時期、イチオシなどを詳しく教えてもらいました。第3回はイオンです。

 

【イオンのランドセルのポイント】

・素材

軽くて丈夫なクラリーノが中心

・重さ

1,080g〜1,330g前後

・人気カラー

男の子は黒系、女の子はピンク系、パープル系、ブラウン・キャメル系、サックス系と多様

・販売時期

全国約440店舗で、2020年モデルは3月7日より販売開始

・ポイント

☆2017年の発売から大人気の、マチが広がる「みらいポケット」のラインナップが拡大

☆人間工学に基づいた3点背あてで、体への負担を軽減し、軽々背負える!

☆ベネッセと共同開発した忘れ物をしにくいランドセル「新わすれナイン」が発売に

 

【男の子人気NO.1カラー】

トップバリュ セレクト かるすぽ みらいポケット アドバンス(カラー:ブラック×ブルーステッチ)

 

(画像提供:イオン)

 

本体価格 65,000円

サイドの盛りあげ加工やかぶせ裏のストライプなど、スポーティなデザイン。

 

【女の子人気NO.1カラー】

トップバリュ セレクト かるすぽ みらいポケット フラットキューブ ハートフルブーケ(カラー:メタリックピーチ)

 

(画像提供:イオン)

 

本体価格 68,000円

ハートやフラワーブーケの小花柄をあしらった、キュートなデザイン。

 

【今年のイチオシ!】

トップバリュ セレクト かるすぽ 新わすれナイン キュート(カラー・キャメル)

 

(画像提供:イオン)

 

本体価格 68,000円(サイドポーチなしは65,000円)

専用ポケットなど、9つの工夫で子どもの忘れ物を防ぎます。

 

 

●荷物の量に合わせてマチが広がる「みらいポケット」がさらに充実

 

6年間快適に、安心して使うことができるランドセルの提案を続けるイオン。2001年には「24色ランドセル」でランドセルのカラーバリエーションを打ち出すなど、斬新なアイデアでも注目されています。2017年には、荷物の量に合わせて、ポケットのマチが3cmから8cmまで広がる「みらいポケット」が大ヒット。今年はこの「みらいポケット」シリーズがさらに拡大するそうです。

 

「みらいポケットは、ポケットのマチが広がるので、容量の調節ができるのが大きな特徴。マチを最大まで広げると、給食袋や折りたたみ傘なども入り、両手を空けて通学することができるので安全です。

 

今年は、ラインナップを昨年の24種類から30種類に拡大しました。留め金具で2段階、錠前で3段階と、荷物の量に合わせてより細かい調節が可能な新モデルも発売。さらに使いやすく進化しています」(イオンリテール広報担当・関本彩佳さん)

 

 

●子どもが自分で準備しやすく、忘れ物をしにくい工夫が満載!

 

さらに今年は、ベネッセコーポレーションとの共同開発で、忘れ物をしにくいランドセル「新わすれナイン」を新発売。

 

「調査によると、小学生の約半数が自分で小学校の持ち物の準備をしている一方で、脱ゆとり教育に伴う教科書や副教材の増加、放課後の習い事用具などで荷物が多いことから、何かしら忘れ物もしているということが分かりました。

 

『新わすれナイン』は、筆箱ぴったりポケット、キーポケット、連絡袋専用ポケットなど、収納の形や場所を分かりやすくする9つの工夫で、どこに何が入っているかがすぐに分かります。忘れ物をしにくくなるのはもちろん、親御さんが子どもの持ち物が揃っているか、確認もしやすい作りになっています」(同)

 

子どもが使いやすい工夫が満載で、幅広いラインナップが魅力的なイオン。昨年から引き続き、ランドセルの通年販売を行っています。また「さらに高まるランドセルの情報収集の早期化に合わせ、3月7日から2020年新入学モデルを発売しています」とのこと。店舗、オンラインストアで予約受付中です。

 

(取材・執筆:野々山幸)

はじめての個人面談。保護者から担任への相談で多いのは?

 

 

新学期や運動会の慌ただしさが落ち着く5~6月の時期に、個人面談や保護者会を行う学校も多いようです。1年生の保護者にとっては、わが子の学校生活が垣間見える貴重な機会でもありますが、皆さん、どんなことが気になって、担任の先生にどんな質問をしているのでしょうか? 現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。

 

 

●多くの保護者の心配事は、学習・生活面と友人関係について

 

幼稚園や保育園と違って、子どもがどのように過ごしているかが見えにくい小学校。担任の先生は、面談や保護者会で様々な質問を受けることと思います。

 

「個人面談や保護者会で保護者の方から発せられるのは、ずばり『うちの子は大丈夫ですか?』という言葉です。『学校でうまくやっていますか?』と聞く方も多いですね。これは1年生に限らず、どの学年でも同様です」(舟山先生)

 

やはり皆さん、学校での子どもの様子が気になるのですね。具体的には、どんな点を心配しているのでしょうか?

 

「心配事の多くは、学習面、友人関係、給食や整理整頓といった生活面の3つに関すること。相談の内容としては、次に挙げるようなことが多く聞かれます。

 

【学習面】

・先生の話を理解できているのか

・授業についていけているのか

・「読む力」「書く力」「計算力」は学年相当の水準を達成しているのか

・宿題にとても時間がかかるが、大丈夫か

・宿題をするように言っても、テレビを見たりしてなかなか手をつけない

 

これらの相談については、学校での様子と家庭での様子を情報交換することで、『これからどうしていったらよいのか』という方向を、担任と保護者との間で共通認識できるようにしていきます。

 

【友人関係】

・いじわるをされていないか

・友だちにいじわるをしていないか

・休み時間は、みんなと遊んでいるか

・おとなしいので、友だちができにくいのではないか

・登校班のメンバーになじめない

・共働きなので、放課後の友人関係が心配

・当番や係の仕事をするときに、協調性があるか

 

などを心配される方が多い印象です。ただ、ほとんどの子は、性格の違いはあっても、なんとか学校の生活に馴染もうと努力しているもの。担任としては、そうした子どもたちのけなげな部分をお伝えし、家庭で声がけをしていただいたほうがよい場合には、その都度お願いするなどしています。

 

【生活面】

・朝、一人で起きられない

・登校までの準備に時間がかかる

・学校に行きたがらないことがある

・食事を食べるのが遅い、偏食が多く心配

・机の中や道具箱の中を片付けるのが苦手

・着替えが遅い、下着を裏返しで着てしまう

・ゲームばかりして、だらだらしている

 

生活面での課題については、学校と家庭で『困り感』にあまり差がないことが多いように思います。ただ、なかには、家ではやらないが、学校ではちゃんとやっているという場合もあるので、それぞれの子どもに応じた対応を考えて連携していくことになります」(同)

 

保護者にとっては「うちもそう!」と思えるような質問が多く、皆さん、同じことで悩んでいるのだなと、少しホッとした気持ちになりますね。

 

 

●面談では、気になることをどんどん相談してOK

 

舟山先生によると、上記3つに加え「子どもの発達」に関する相談も年々増えているのだとか。

 

「最近は発達についての情報が氾濫しているため、それらを目にして心配になった保護者の方が、わが子の発達について相談されることが増えているように感じます」(同)

 

まれに、学習面や生活面、友人関係に関するお悩みから、発達に課題があるケースが見つかる場合もあるそう。

 

「もちろん、お悩みの多くはそれほど心配ないケースであって、『こんなふうにしていきましょう』と明るく言って終わるのですが、支援が必要な場合は、当事者である子ども自身のために、保護者と学校側とが一緒になって取り組んでいく必要があります。

 

どういう場合であれ、面談は、学校と保護者の間で適切に情報を交換し合うための大切な場。時間の制約などはあるかもしれませんが、保護者の方から学校への質問や、気になることがあれば、遠慮せずどんどん相談してくださいね。そうやって信頼関係ができることで、学校と保護者との連携も成り立つからです」(同)

 

初めての面談や保護者会は、学校と私たち保護者が信頼関係を築くためのはじめの一歩となるわけですね。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

低学年のうちが教育費の貯めどき! その理由とは?

 

 

小学校に入学すると、公立であれば1か月の学費(学校教育費)は平均8,700円程度と、それまでかかっていた保育料や幼稚園代より負担が下がる人も多く、浮いたお金を使って習い事を増やしてしまいがちです。でもちょっと待って! その浮いたお金、全部使ってしまって大丈夫? 小学校低学年までの時期はいわゆる「教育費の貯めどき」。かわいいわが子がやりたいことを叶えられるよう、どのように教育資金をプランニングすれば良いのかをお伝えします!

 

 

●なぜ低学年が貯めどきなの?

 

子どもにかかるお金は年齢によってどのように変わるのでしょう。まずは、小学校から公立中学、私立高校、私立大学(文系)へと進学した場合の教育費推移を見ていきましょう。

 

【公立小→公立中→私立高→私大文系の場合】

 

グラフを見ると、入学時にお金がかかる小学1年生を除き、成長とともに金額が上がり、中学に入学した後(13歳以降)の教育費は、さらに膨れ上がっていることがわかります。このデータにはピアノや塾といった習い事が含まれていますが、小学生の間の習い事費用が年間20万~25万円である一方、中学生になると、23万~41万円と上昇します。特に高校受験を控えた中学3年生になると、ほとんどの子どもが塾に行くこともあり、習い事にかかる費用が高くなりますね。

 

次に、中学以降私立に進学した場合の教育費推移を見てみましょう。

 

【公立小→私立中→私立高→私大文系の場合】

 

中学受験をする場合、小学校4年生から6年生の3年間、塾に行くのが一般的。塾代の目安は年間50万円から80万円ですので、その分が上記グラフに上乗せされます。こうなると高学年の時期に思い切り貯金をするのはなかなか大変です。

 

小学校入学から大学卒業までの16年間のうち、比較的教育費を抑えられる時期が、小学校低学年なのです。色々な体験をさせたいと習い事を増やす人も多い時期ですが、取捨選択して、将来のためにお金をとっておくことも常に意識しておきたいですね。

 

とはいえ、子どもが自らどうしてもやりたい! と言う習い事には耳を傾け、できる限り叶えてあげるのも大事です。筆者には器械体操部で活動する中学生の娘がおりますが、娘の習い事のことで今でも後悔していることがあるんです。それは、娘が小学1年生の時「器械体操を習いたい」と言ってきたにも関わらず、近場で習える場所がないことや、すでにピアノを習っていることを言い訳にして、真剣に考えてあげなかったこと。

 

しかし、どうしてもやりたいと娘が言い続け、3年生の終わりにようやく体操教室に入れてあげた時、小さい頃からやっていた子はすでに選抜クラスにいて、試合にバンバン出ていることを知りました。「あの時ちゃんと向き合ってあげれば…」と何度も謝りましたが、もう時間は取り返せません。しかも娘にとってピアノは興味がないものだったので、やめてしまえば良かったのでした。それ以来、子どもの希望にはしっかり向き合おうと決めています。

 

貯金をしながらできる範囲の習い事予算を立て、子どもがやりたいこと、夢中になれることにお金をかけてあげたいですね。

 

 

●何にいくら貯めればいいの?

 

低学年が貯め時と言っても、いくらを目標に貯めればよいのでしょうか。

 

貯金の目的は、「収入から出せなくなる時期に使うため」です。一般的に、収入から捻出できなくなるのは子どもが大学生の時期ですが、入学が決まるのは早ければ高校3年生の9月。この時点で入学金の支払いが生じるため、貯金目標時期は高校3年生の秋頃となるでしょう。

 

貯めるべき金額は、入学時にかかる金額に、大学在学中に収入から捻出するには不足する金額を足したものになります。受験費用や1年目の学費を含む入学時にかかる金額は、私立文系の場合は約176万円、私立理系の場合は約219万円。在学中にかかる金額は、私立文系は年100万円、私立理系は約150万円ですので、たとえば年50万円不足するとした場合、

 

■高校3年生の秋までに貯めるべき金額:

(私立文系)176万円+50万円×3年間=326万円

(私立理系)219万円+50万円×3年間=369万円

 

となり、ざっくり350万円から400万円を目標にしておくと安心かと思います。もし遠方の大学に進学した場合はさらに仕送り費用がかかりますので、親が負担する予定の方は、この分も貯めておきましょう。ちなみに医歯薬系の大学は1年目の学費だけで約550万円以上かかりますので、小さい頃からお医者さんに興味を持つなど可能性がある場合は、貯金だけでなく、国立と私立の違いや給付型奨学金制度などについて、親子で早いうちからアンテナを張っておくようにしましょう。

 

 

●上手に貯める方法は?

 

教育費は、「なんとなく余ったら貯めよう」と思っていたら、まず貯まりません。着実に貯められる仕組みづくりを早いうちにすることが大切です。今の時点で特に仕組みがない方は、この機会にチャレンジしてみてくださいね。

 

1:児童手当を貯める

年3回(1回は4か月分)受け取っているはずの児童手当、いつの間にか生活費に消えていませんか? もしそうならば、受取口座を、生活費口座以外の普段使っていない口座に変更しましょう。そうすれば、小学1年生から中学3年生までの9年間で総額108万円(第3子以降は162万円/所得制限にかかる方は54万円)も貯まります。着実に貯めるためには「見えない化」するのが一番! キャッシュカードもお財布に入れないようにしましょう。

 

2:自動積立や自動定額入金サービスなどを利用する

貯金の基本は「先取り貯金」。給料が入ったらすぐに定期預金や別の普通預金口座にスライドするように設定しておきましょう。最近では、他の金融機関の口座から手数料無料で定額を定期的に受け入れる「自動定額入金サービス」を取り扱うネット銀行もありますよ。

 

たとえば貯めどきである低学年の3年間は月4万円、その後の8年間は月1.5万円で設定しておけば、高校2年生までの11年間で288万円貯まります! 児童手当分と合わせると372万円(所得制限にかかる方は318万円)と、目標金額である350万円を超えています。自分の手で毎月お金をスライドするのは続かない場合が多いですが、自動積立ならほとんどの人が続くはず。ぜひチャレンジしてみてください。

 

小学校に入学したら、一度は教育費の貯金プランを考えましょう。大学入学までまだ12年もあり、コツコツと貯めることで大きな資産づくりが可能です。リスク商品にも抵抗がない人は、非課税で運用できる「つみたてNISA」も組み合わせて。その場合は、世界全体にバランスよく分散投資するよう心掛けてくださいね。

 

(記事内データ出典元)

・「平成28年度子どもの学習費調査」/文部科学省

・「平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」/文部科学省

・「教育費負担の実態調査(平成30年2月)」/日本政策金融公庫

 

(執筆:鈴木さや子)

はじめての小学校の運動会。保護者にできるサポートは?

 

 

春に運動会を行う学校では、連休明け早々に練習が始まります。入学後、初めての大きな行事ということで、子ども本人もドキドキ・ワクワク。保護者としては楽しみな反面、練習などで疲れが出ないかちょっぴり心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、保護者にできるサポートなどについて、現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。

 

 

●運動会の春開催が増加したワケ

 

以前は10月10日が「体育の日」だったこともあり、小学校の運動会といえば、秋にやるイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。現在でも秋に運動会を行う学校はあるものの、以前と比べると春開催の割合が増加しているようです。

 

「理由はさまざまでしょうが、大きな要因の一つに、学校行事のバランスの問題があると思います。学校では1〜3学期、あるいは、前期・後期という区分があり、その中に、運動会や学芸会(学習発表会)、展覧会という大きな行事をバランスよく配置しなくてはなりません。学芸会や展覧会はある程度の期間、じっくり取り組むことが必要なので、これまでは2学期や後期に行事が集中していました。そうならないために春に運動会をするようになったのではないかと考えられます」(舟山先生)

 

また、「気候や気温の面から見て、春が外での運動に適しているというのも、理由としてあるかもしれません」と舟山先生。たしかに、台風や残暑のことも考えると、爽やかな5月が運動会日和というのは頷けますね。

 

 

●保護者がやるべきなのは「睡眠」と「朝食」のサポート

 

入学して早々に運動会というのは、1年生にとって大変そうにも思いますが、どんなことをするのでしょうか?

 

「運動会の競技や演目は、学年単位で行う徒競走(=かけっこ)、団体競技(=玉入れや綱引きなど)、表現(=ダンス・民舞など)に加え、リレーや全校競技(=大玉おくりなど)をプログラムに組み込む学校が多いと思います」(同)

 

入学直後であっても、多くの1年生は保育園や幼稚園で運動会を経験しているので、春に開催することに特に大きな問題はないようです。

 

「運動会そのものは楽しいイベントですし、運動会が終わると、どの子もステップアップした様子が見られます。こうした大きな行事は、子どもを成長させる大事な『しかけ』となっています。まだ体の小さな子や運動が苦手な子もいますが、親御さんも前向きにとらえて、お子さんをサポートしてあげましょう」(同)

 

サポートのポイントとして大切なのは、まず「睡眠」だと舟山先生。

 

「運動会の練習が佳境に入ってくると、1時間目から全校練習が入ってきたりします。開会式や閉会式・行進などの集団の動きを、1年生といえどもしっかり求められます。寝不足の状態では、たとえ大人でも集中するのは難しいでしょう。運動会の練習が始まったら、とにかくいつもより早く寝るように促しましょう」(同)

 

そして、もう一つ大切なのが、「朝ごはん」。

 

「これはスタミナと水分の確保のためです。朝ごはんを食べて登校するには、起床時間も考えなくてはいけませんね。1年生の子どもは、まだまだ自分で時間管理はできませんので、親御さんの協力が重要になってきます。なお、運動会の練習の時期は、いつも以上にたくさん汗をかくので、汗ふきタオルやハンカチを忘れずに持たせましょう」(同)

 

通常の授業の日でも、朝ごはんを食べてこないと午前中にお腹がすいてしまうもの。運動会ならなおさら、朝食は重要ですね。

 

 

●会場の席取りや撮影は、譲り合いの気持ちを第一に

 

小学校に限らず、運動会などの行事の場で問題になりやすいのが、席取りや写真・動画撮影。わが子の頑張っている姿をとらえようと、親は写真や動画撮影に夢中になるあまり、周りが見えなくなりがちです。

 

「運動会当日、ぜひ保護者の方には譲り合って観覧していただきたいと思います。自分本位な席取りや占領はもちろんNG。また、校内の立ち入り禁止の場所に入ったり、撮影に夢中になって、競技しているゾーンに侵入したりしないように気をつけましょう。どの親御さんも、わが子が一番なのは当然のことなので、ぜひ事前に注意事項などに目を通し、お互いに譲り合って楽しく観覧してくださいね」(同)

 

先生の立場としては、子どもたちの目の前で、保護者の方に「○○しないでください!」などとは注意しにくいもの。

 

「学校では、子どもたちに『自分がされて嫌なことは、人にしないこと』と教えています。保護者の方も運動会当日は『子どもの前での節度あるマナーと、お互いに譲り合う態度』を心がけ、本当の『大人らしさ』の手本を、子どもに見せてあげる機会にしてみてはいかがでしょうか」(同)

 

子どもの記憶に残る運動会にするためにも、マナーを守って楽しく過ごすことを心がけたいですね。

 

(取材・執筆:坂本洋子)

公園やエレベーターに注意! 子どもを犯罪から守るには?

 

 

小学校入学後は、登下校を始め、子どもだけでの行動が増えます。いざというときに危険から自分を守れるよう、年長児期には何を・どう教えたらいいのでしょうか? 第3回では、教えておきたい日頃の心がけについて、引き続き『初めてのいってきます! 応援ブック』というパンフレットで子どもの危機回避について啓蒙している、世田谷区に取材します。

 

 

●子どもが家の外で行動するときの心がけ

 

子どもだけでの行動が多くなる小学校生活に備えて、第1回では年長児と交わす基本の約束を、第2回では狙われやすい子どもや場所の特徴を取材しました。最終回では、子どもの生活シーンに合わせた具体的な防犯対策について教えていただきます。

 

はじめに、家の外での心がけについて。

 

■子どもが家の外で心がけること

(1)公園では

・一人で夕方まで遊ばない。保護者、またはお友だちと遊ぶ。

・普段から防犯ブザーを持ち歩く。使えるようにしておく。

・知らない人が大切そうなことを言ってきても、「いやだ」「おうちの人と相談する」とハッキリ言う。

・公園のトイレに一人で行かない。保護者、またはお友だちと行く。

 

(2)駐車場では

・車のそばで遊ばない。

・知らない人の車に乗らない。

 

(3)通りでは

・前後に注意してしっかり歩く。

・夕方や夜は暗い道を避ける。遠回りでも、道幅が広く街灯があり、人気のある道を選ぶ。

・近所の人に会ったらあいさつをする。

 

(4)繁華街では

・一人で繁華街には行かない。

・知らない人に話しかけられたら、必ず保護者に言う。

・歩くときは、必ず保護者と手をつなぐ。つなげないときでも離れない。

・家族で繁華街に行く際は、誰と誰が手をつなぐか決めておく。

・万が一、大きなお店で迷子になった場合はどうするか、保護者と一緒に決めておく。

 

毎日の行動に合わせて、それぞれの項目を日々、言い聞かせたいですね。

 

 

●子どもが自宅や集合住宅内で行動するときの心がけ

 

次に、自宅や集合住宅内で子どもが行動するときの心がけを教えていただきました。

 

■子どもが自宅や集合住宅内で心がけること

(1)自宅では

・子どもだけでの留守番は最低限にする。

・子どもだけで留守番するときは、インターホンに出ない。

 

(2)家から出入りするときは

・家の鍵を開け閉めするときは、周囲に人影がないことを確認する。

・ドアや窓の施錠を忘れない。

・道路と接している(簡単に外から出入りできる)車庫や駐車場で一人遊びをしない。

 

(3)エレベーターでは

・エレベーターに乗ったら、必ずボタンの前に立つ。

・知らない人と二人きりでエレベーターに乗らない。

・エレベーターに乗って、後から乗って来る人が怪しいと思ったら、すぐに「閉じる」ボタンを押す。

・知らない人と一緒に乗ってしまったら、いつでも停止ボタンを押せるよう、ボタンに手をかけやすい位置に立つ。

・エレベーター内で危険を感じたら、手のひらを開いてパーの形にし、押せるだけのボタンを押す。エレベーターが止まったらすぐに下りて、大声で大人に知らせる。

・エレベーターホールでは遊ばない。

・エレベーターホールで見知らぬ人を見つけたら、必ずあいさつをするようにする。

 

(4)非常階段では

・必要のないときは非常階段を使わない。

・知らない人が非常階段を利用したり、付近をうろうろしていたりしたら、必ず保護者に知らせる。

・階段で怪しい人が近寄ってきたら、大声をあげながら階段を下に逃げる。絶対に上に上らない。

 

(5)駐輪場では

・知らない人が駐輪場を利用したり、付近をうろうろしていたりしたら、必ず保護者に知らせる。

 

自宅であっても、密室になる可能性はあちこちにあるとわかります。自分で鍵を使うようになるまで、じっくりゆっくり教えていきましょう。

 

 

●危険に直面したらどうする? 教えておくべき3つのポイント

 

最後にお聞きするのは、いざ危機に直面したらどうすればいいかについて。とっさの判断を促すためにポイントを絞るならば、どのように教えるのがいいでしょうか。「まずは『知らない人からの声がけ』への対処法を子どもに教えましょう」(世田谷区担当者)とのこと。

 

■もし知らない人から声をかけられたら…

(1)誘われてもおうちの人以外にはついて行かない。

(2)おうちの人か、あらかじめ決めておいた絶対に信用できる人に連絡を取る。

(3) (どんなに欲しいもの、したいことでも)知らない人からは受けない。

 

「子どもの危機の多くは、『声をかける』という接触から始まります。子どもを狙う犯罪者は、いくつもの声かけを巧妙に組み合わせて実行します。例えば『お母さんが病気だ。すぐに病院に行かなければならない。おじさんが車に乗せて、連れて行ってあげよう』といったようにです。

 

1つだけの声かけだったら、子どもは『車に乗らなくても自分で行きます』と応じられるでしょう。しかし、『すぐに』という声かけが一緒になされることで、子どもの心の動揺は深まり、驚くほど簡単に連れて行かれてしまうのです」(同)

 

また、「自分は怪しい人ではない」「時間もとらせない」「こういうことは普通のことだ」と言葉を重ねることで、子どもに安心感を与えることもあると言います。

 

では万が一、子どもが犯罪者と向かい合ってしまったらどうすればいいのでしょうか? その場合に取るべき行動は、3点に絞って教えるとよいそう。

 

■犯罪者と向かいあったときに取るべき行動

(1)防犯ブザーを鳴らす

「防犯ブザーを持った子どもに、犯罪者は『心のひるみ』を見せます。防犯ブザーは『持っている』とはっきり分かる位置に着けておきましょう。いざ使うときにサッと紐が引けるよう、手がすぐに届く低めの位置に、紐が大きく振れない取り付け方をすること。また、ベルを鳴らす練習、電池が入っているかの確認も定期的に実施して。ただし、ブザーを鳴らすことと『実際に犯罪被害を回避できる』ことは別です。防犯ブザーをつけて安心してはいけません」(同)

 

(2)大声を出す

「声は、体に備わった自然な防犯ブザーですが、子どもたちは、突然大きな声を出すことに慣れていません。年長児か否かにかかわらず、一度でいいので大声を出す練習をしておきましょう。言葉は『助けてー』でもいいですし『ウォー!』でもいいと思います。周囲の注意を引ければいいのです。

 

大声を出す際は、身振り手振りをつけると重大さが伝わります。ふざけていると勘違いされないためにも、犯罪者を驚かせるためにも『大声を出しながら、手足を振り回す』こと。幼児期に、身振り手振りを加えながら大声を出す訓練を実施していると、大きくなってもとっさの時に意識せずに再現されるといわれています。小学校に上がる年長さんの時に、ぜひとも複数回は練習しましょう」(同)

 

(3)ダッシュする

「犯罪者から自分を守る決め手は、『走って逃げろ』です。子どもが犯罪者に追いつかれずに逃げきるためには、小学校低学年の場合、相手の4~6メートル手前から逃げる体勢に入る必要があるそうです。子どもに4~6メートルの体感距離をつかませること、そして怪しい人や犯罪者に少しでも早く気づけるよう、きちんと前を見て歩くことを身につけさせることが大切です。

 

街を歩く際は、少なくとも4メートル先を視野に入れながら歩く練習をしましょう。また、鬼ごっこなどの遊びを通して、ダッシュで逃げたり、身をかわしたりする練習をしましょう。子どもの場合、訓練としてよりも、遊びから自然に身につけることが大切です」(同)

 

危機回避を考える際、もっとも危ないのは「まさか」の気持ち。「まさかそんなことに巻き込まれるまい」「まさかうちの子は大丈夫」といった気の緩みこそ、子どもを危機に近づけるのかもしれません。日々、子どもに言い聞かせるのは手間も時間もかかります。しかし、なるべく根気強く、子どもと一緒に学ぶ気持ちで取り組んでいきたいものですね。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

2020年度入学 メーカー別ランドセル最新事情【セイバン編】

(画像提供:株式会社セイバン)

 

さまざまな種類があるランドセル。それぞれにどんな機能や特徴があり、どんな点を重視してランドセル選びをすればいいのでしょうか。そこで、ランドセルの主要メーカーに直撃取材。メーカーごとの発売時期、イチオシなどを詳しく教えてもらいました。第2回はセイバンです。

 

(※ 記事内の商品価格は、すべて5/15現在のものです)

 

【セイバンのランドセルのポイント】

・素材

約8割がクラリーノ。男の子にはキズと雨に強いセイバンオリジナル素材「クラリーノ® タフロック® ペレアス®」、女の子にはキラキラした光沢感のあるパール生地「クラリーノ® レミニカ® パール」が人気

・重さ

1,100g〜1,200g前後

・人気カラー

男の子はブラック系。女の子はピンク系、パープル系、ブラウン系、赤系と分散傾向に

・販売時期

セイバンの直営店、公式オンラインストアでは3月29日より販売開始

・ポイント

☆人気の「天使のはね」で背負い心地が軽く!

☆マチ部分の芯材や背中の通気構造など、機能性抜群

☆直営店のランドセルコンシェルジュに、ランドセル選びの相談ができる

 

【男の子人気NO.1】

モデルロイヤル・レジオ バロック(カラー:ブラック)

 

(画像提供:株式会社セイバン)

 

70,000円(税抜)

装飾に頼らない上質なデザインに、ワンランク上の品質や機能を兼ね備えたランドセル。

 

【女の子人気NO.1】

モデルロイヤル・レジオ ベーシック(カラー:カーマインレッド)

 

(画像提供:株式会社セイバン)

 

60,000円(税抜)

シンプルなデザインの中にロイヤルな気品を漂わせたランドセル。快適に背負うための最新機能も充実。

 

【今年のイチオシ!】

モデルロイヤル ドラグーン(カラー:ブラック×マリンブルー)

 

(画像提供:株式会社セイバン)

 

63,000円(税抜)

勇敢な守護獣ドラゴンをイメージした、強さと気品を兼ね備えたランドセル。

 

モデルロイヤル クリスタル(カラー:パステルパープル×マカロンピンク)

 

(画像提供:株式会社セイバン)

 

63,000円(税込)

プリンセスの優雅な世界観を、きらめく雪の結晶やガラスの靴などで演出。

 

 

●毎年、ランドセル購入者へのアンケートを実施

 

「天使のはね」で知られるセイバン。1946年から70年以上もランドセルの製造を続け、国産にこだわった理想のランドセルを追求。最近では、毎年ランドセル購入者への独自のアンケート調査も行い、実際にランドセルを使用する子どもや、その家族の声を大切にしています。

 

「2019年度入学児童の親御さんへのアンケートで『ランドセルを選ぶ時に最も重視するポイントは?』と聞いたところ、6年間保証があること、丈夫さ、フィット感、軽さなどが上位にランクインしました。色やデザインももちろん大切ですが、6年間安心して使える丈夫さや、実際に使うお子さんのことを一番に配慮したランドセルが根強い人気のようです」(セイバン広報担当・舩越瑞枝さん)

 

 

●背負い心地軽々の「天使のはね」など機能性抜群!

 

購入者の声を参考に、どんどん機能性がアップしているセイバンのランドセル。その特徴とは?

 

「おなじみの『天使のはね』とは、肩ベルトに内蔵された樹脂パーツのこと。肩ベルトを根本から立ち上げて、背中とランドセルをぴったりと密着させて重さを分散させることができるので、肩や腰への負担が軽くなります。

 

また、型くずれしやすいマチの部分には、『タフかるプレート』という芯材を使用。軽さと耐久性を備えた、セイバンが独自に開発した芯材で、マチ部分を二重構造にして、三面一体のコの字型にすることで、強度が増して型崩れを防止します。マチの強度をチェックするには、購入時に、ランドセル本体を胸に抱えて軽く押してみましょう。つぶれすぎないか、型くずれしないかをチェックするのがおすすめです」(同)

 

また、セイバンの直営店には、ランドセルコンシェルジュが常駐。ランドセルの機能、デザイン、カラー、サイズなどが多様化していることで、ランドセル選びに迷うケースも多いはず。疑問に答えながら、最新のランドセル事情やフィッティングのポイントなどを、わかりやすく説明してくれるそうです。

 

(取材・執筆:野々山幸)

犯罪に巻き込まれやすい子とは? 再確認したい“子どもの危険”

 

 

小学校に入学すると、登下校を始め、子どもだけで行動するタイミングが増えます。そのとき、子どもはどんな危険に接触する可能性があるのでしょうか? 保護者が知っておくべき、狙われやすい子、狙われやすい場所の特徴とは?『初めてのいってきます! 応援ブック』というパンフレットで子どもの危機回避について啓蒙している、世田谷区に取材しました。

 

 

●犯罪に巻き込まれやすい子どもの特徴とは?

 

子どもが一人で行動できるようになると、連れ去りなどの事件に巻き込まれないかという心配が出てきます。実は、犯罪者に狙われやすい子には特徴があるそう。担当者のコメントとともにまとめました。

 

■狙われやすい子の特徴

(1)一人歩き、一人遊びの子

「犯罪者がもっとも目を向けるのが、一人きりの子ども。道、公園、お店…。どんな場所でも、保護者がちょっとでも目を離せば、犯罪者にとっては『一人だけでいる子ども』なのです。基本的には、保護者は子どもを一人にしないこと、子どもから目を離さないこと、子どもに声がけをすること。逆に、子どもが二人以上いれば、犯罪者は『嫌だな』と思うもの。歩くとき、遊ぶときはだれかと一緒が大切です」

 

(2)周囲への注意力が散漫な子

「周囲への注意力が散漫な子どもは、自分の興味・関心に熱中するあまり周りが見えず、何かが仕掛けられていても避けきる力が弱いと見なされます。前後左右に気を配っていること、何かが起きたらきちんと向き合えることが大切です。保護者は、いつでも周囲を見て行動することを言い聞かせましょう。たとえお友だちと二人で歩いていても、ふざけあって周りに注意を払わなければ危険なのです」

 

(3)ボンヤリしている子ども

「同様にボンヤリしている子どもも、何かが起きたときに、素早く気づいて向き合う力が弱いと見なされます。心ここにあらずの子どもは、犯罪者に話しかけられやすいのです。お子さんに、周囲をしっかり見回す力をつけさせましょう。同時に、このタイプの子は、周囲の誰かがしっかり見守ることも大切。特に一人きりになってしまうときは、その行動範囲にどんな見守り役がいるか、保護者も考えてみてください」

 

(4)ハッキリしない子ども

「犯罪者は、自分できっちり何かを決められない子どもにも関心を向けます。そうした子は、人の言うことに動かされやすい子どもと考えられるからです。子どもに突然、何も言わずに襲いかかる犯罪者はほとんどいません。犯罪者と子どもの間には、何らかの『言葉』のやりとりがあります。その際、犯罪者は子どものあいまいな言葉や態度に巧みに入り込みます。嫌なことは嫌だと言える『キッパリした態度』を取れることが大事です」

 

 

●子どもが犯罪者に狙われやすい場所の特徴とは?

 

次に、子どもが犯罪者に狙われやすい場所の特徴を確認しましょう。こちらも、担当者の方のコメントとともにまとめました。

 

■犯罪者に狙われやすい場所の特徴

(1)車道と歩道が分かれていない、見通しの悪い道

「犯罪者が子どもを狙うのは、まちの“死角”です。その一つが、車道と歩道が分かれていなくて、しかも見通しの悪い場所。車道と歩道とが近ければ、車で子どもに近づきやすく、また、見通しが悪ければ、人目にもつきづらいからです」

 

(2)特に人気のない公園、人気のない駐車場

「公園や管理人のいない駐車場は、不特定の人が行き来しても許される空間。さらに、人の視線をさえぎる物に満ちてもいます。子どもを狙う犯罪者は、どこにどんな公園、駐車場があるのかを熟知しています。こうした場所での子どもの一人遊びは危ないと、子どもも保護者もしっかり気をつけておきましょう」

 

(3)人混みのあるまち

「実は、人混みのあるまちもまた、狙われやすい場所。これらの多くは繁華街ですが、犯罪者からすれば、人混みにまぎれて子どもに接近しやすく、同時に逃走しやすい空間です。彼らは巧みに言葉をかけて、その場で、あるいは都合の良い場所まで子どもの後をつけて、犯行に及びます。人と人とで混み合っているからこそ、保護者は子どもを見失わないようにしっかり目を配っておくことが大切です」

 

(4)灯りがあっても人気のない場所

「夜間は、灯りがあるかどうかよりも、人気があるかどうかがポイント。むしろ、灯りがなければ『犯罪者にとって都合の良い被害者』を見定めることができないので、少しの灯りは犯罪者にも好都合なのです。一方で、灯りがある場所は、一歩離れれば危険な『暗い場所』ということ。子どもの安全にとって望ましいのは、灯りも人気もある場所です。夜道を歩く際は、灯りがあって人気が絶えない道路、街並みを選びましょう」

 

(5)その他

「そのほかの注意したい場所は、以下の通り。子どもと歩く際は、少し遠回りでも、できるだけ避けて通りましょう」

 

・街路樹の手入れがなされていない

・曲がり角が多く、見通しの悪い道路が多い

・車がすれ違えないほど細い道が入り組んでいる

・道幅の違う道路が交差している

・脇道が多く、抜け道になるような道路が多い

・車や自転車が不法放置されている

・昼間に人気のないアパート、マンションが多い

 

樹木の手入れがなされていない、不法駐車が放置されているというのは、大人の関心が薄く、犯行に及びやすい場所だということ。また、見通しが悪かったり、細い道が入り組んでいたりする場所は、人目につきにくく、かつ犯罪者が逃げやすいという傾向があります。なぜ避けるべきなのかを合わせて考えると、覚えやすいですね。

 

 

●安全な地域にするため、周囲の大人が気に掛けるべきことは?

 

最後に、保護者が普段からできることがあれば、教えてください。

 

「多くの場合、危機には前兆があります。子どもの安全・安心を確保するためには、その前兆を見逃さないことが大切です。怪しい人、怪しい場所を見つけたら、周囲と情報共有しましょう。

 

例えば、犯罪者のほとんどは犯行までに3回以上の『下見』をすることが多いそうです。それは、実行の2~3日前かもしれませんし、1か月前かもしれません。時間帯もまちまちで、同じ人が下見をするとも限りません。

 

少なくとも、『ここ半年の間に3回以上、同じ人ではないけれど怪しい人、変なことを見かけた』というのは、立派な危機の“前兆”。園や学校の先生方、保護者の皆さんで情報を交換し、話しあいを持つことが大切です」

 

また、“怪しい場所”についても、気づいたらアクションを取ることが重要だそう。

 

「例えば、よく行く公園に、内部が見えにくい掃除用具入れがある、街路樹によって人目に付きづらい物陰ができているなど、防犯面で気になる箇所に気付いたら、ぜひ自治体の担当部署に相談してください。街灯が切れていたり、汚れて暗くなったりしている場合も同様です。

 

また、犯罪者は人の関心が薄い場所を巧みに見つけて利用します。そういった意味で、おうちの周りの清掃や整理整頓がなされていない家は狙われやすく、子どもの留守番中に空き巣が入り、たまたま子どもが被害にあってしまったというケースもあります。家の周りの整理整頓は、近隣住民に配慮しながら暮らしている証。犯罪抑制につながります」

 

こうした日々の積み重ねが、子どもの安全を作っていくのですね。一人ひとりの保護者が日々の「ちょっと変だな」に敏感になることで、子どもを取り囲む環境は変化していくのかもしれません。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

一人歩きに備えて“防犯力”を! 子と交わしたい9つの約束

 

 

年長になると、園生活もあと1年。小学校入学が現実的になってくる時期です。世田谷区では、きたるべき小学校生活に備え、『初めてのいってきます! 応援ブック』というパンフレットを配布しています。これは、子どもの危険に対応できる能力を年長の1年間で身につけようというもの。そこで、家庭で子どもに教えたい“防犯”の基本について、世田谷区に取材しました。

 

 

●防犯は「自分が大切な存在である」と知るところから始まる

 

そもそも、なぜ年長で危険に対応できる能力をつける必要があるのでしょうか?

 

「小学校に上がると、通学をはじめ、一人、または子どもだけのグループで行動することが多くなります。そうなったときに毎日、笑顔で『いってきます』を言うためには、年長のうちに自分で自分の身を守る方法を身につけることが大切です。

 

特に犯罪に対する安全・安心は、無意識で行動できるように『体で覚える』ことが大切。年長のときから繰り返し、体を使って記憶していくと、小学校入学時にはしっかり身につけることができるでしょう」(世田谷区『初めてのいってきます! 応援ブック』担当者)

 

とっさに行動できるようになるためには、1年あまりの準備期間が必要というわけですね。子どもが自ら危機を回避する能力をつけるためには、まず3つのことを教えたいといいます。担当者のコメントとともにまとめました。

 

「自分の身を守るマインド」を作るために必要なこと

(1)自分を大切にすること

「子どもはまだ、自分がどんなに大切な存在かがわかっていません。命という二つとないものを子ども自身が持っていて、それを失わないように自らを守ることの大切さを伝えましょう。同時に、保護者など周りの人たちが、その子を大切に思い、いつでも見守っていることも、じっくりと教えていってください」

 

(2)お友だちを大切にすること

「自分と同様に、周囲のお友だちも大切であると教えることで、周囲と共感しながら多くの人の安全・安心を考え、それを実行に移す能力を育みます」

 

(3)周りの人の言うことをしっかり聞く態度

「これは、安全に気を配る基本です。今後、防犯について教えていくためにも、あらためて心の通い合う大切で大好きな人の言うことはしっかり聞こうね、と言い聞かせてください」

 

子ども自身が自分を大切にするために、保護者もまた子どもに「あなたは守られるべき大切な存在である」と伝えていきたいですね。

 

 

●年長時代にクリアしたい8つの目標とは?

 

先ほどの3つの基礎を踏まえ、具体的に年長でできるようになりたい目標は8つあるそう。

 

■年長時代にできるようになりたい8つの目標

(1)心の通い合う大切で大好きな人がいる。

(2)近所の人、知っている人に自分からあいさつができる。

(3)ふざけずに、きちんと前を見て歩ける。

(4)とっさのときに身近な大人の言うことに従い、行動することができる。

※むやみに他人の言うことを信じてはいけないが、いざというときには素直に従えるように教えたい。

(5)とっさのときに、おうちの人の名前や電話番号が言える。

(6)先生やおうちの人に、その日の出来事をお話しできる。

(7)みんなで決めた約束を守ることができる。

(8)嫌なことは「いや!」と言えて、身振り手振りでも表せる。

 

目標をクリアする難易度は、下に行くほど高くなります。数の小さい項目から、保護者は折に触れて子どもに話していくといいかもしれません。

 

「教える側の保護者は、子どもは一人ひとりに違うものだと心得てください。子どもはそれぞれ、年齢、性別、体力、育ってきた環境などが異なります。他の子どもと比べるのではなく、その子の性格や性質に合わせて、何をどう教えるかを考えましょう」(同)

 

これらの目標を見るだけでも、一人ひとりつまずくポイントは違いそうですよね。集中して歩くことが苦手な子もいれば、気持ちを言語化するのが苦手な子もいるはず。わが子に寄り添いながら、自分の身を守る力をつけさせたいものですね。

 

 

●子どもと交わしたい「自分を守るための9つの約束」

 

最後に、日々の行動について子どもと交わしておきたい約束について教えていただきました。

 

■自分を守るための9つの約束

(1)「危ない!」と感じたらすぐに逃げよう。

(2)嫌なことをされそうになったら大きな声を出そう。

(3)公園などでは一人で遊ばない。暗くなる前に帰ろう。

(4)知らない人についていかない。知らない人の車に乗らない。

(5)心配なことがあったら家族や先生に話して相談しよう。

(6)普段から近所の人とあいさつをかわそう。

(7)出かけるときは必ず行先と帰る時間を家族に伝えておこう。

(8)自分の名前、住所、電話番号を言えるようにしよう。でも、知らない人にはむやみに教えないこと。

(9)困った時の親の連絡先(仕事場、携帯電話の番号)を知っておこう。

 

上記は、1年かけて必ず守れるようにしてほしいとのこと。とっさに行動できるよう、大きな声を出す練習、住所や親の連絡先の暗唱などは、日頃から取り組んだほうがよさそうです。

 

また保護者は、こんな点にも注意したいそう。

 

「5、6歳児は探検や冒険が大好きです。約束をしていても、つい何かに夢中になって忘れてしまうことも多いでしょう。ですから、無意識に約束が守れるよう、繰り返しお話ししてください。

 

また、犯罪に遭う危険性はありながらも、すべての大人が信用できないわけではないことも、あわせて伝えましょう。防犯について話をすると、子どもは他人と接することを怖がってしまいがち。過剰に不安にならないよう、心配りをしてください」(同)

 

これらの約束は、紙に書いて壁に貼ったり、定期的にいっしょに読み上げたりするのもいいかもしれません。子ども任せにするのではなく、保護者もともに学ぶ気持ちも大切なのかもしれませんね。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

学童潜入! 世田谷区・下北沢小 新BOPに行ってみた【後編】

 

 

さまざまな自治体の学童に取材し、今どきの学童について調査している本連載。第2回では、世田谷区の「下北沢小 新BOP(ボップ)」にお邪魔しています。世田谷区では、区内にある61の小学校のすべてで「新BOP(Base of Playing)」という事業を展開。その利用方法の一つに「学童」があり、親の就労等を問わず利用できる「BOP」と合わせて「新BOP」として運営されています。

 

前編では、下北沢小 新BOPでの子どもたちの過ごし方について伺いました。後編では、学童からの自立をどう支援していくかというお話をお聞きします。

 

 

●自立を支援するため、学童は原則“小3”まで

 

世田谷区では、学童の利用は小3までと定められています。なぜなのでしょうか。

 

「小4からは、自分で考えて、放課後の時間を使えるようになってほしいからです。保護者にとって学童は、確かに安心な場所かもしれません。しかし、いつまでも大人に決められた場所へ行き、みんなと同じようなスケジュールで過ごしていれば、その子は自立の機会を失ってしまいます。

 

放課後は、小学生にとって自分でスケジュールを組み立てられる貴重な時間。宿題や習い事、家庭での役割などのやるべきことにどう時間を割り振るか、自由な時間を誰とどうやって過ごすかを考えることは、小学生生活の醍醐味です。我々スタッフの大きな役割の一つには、学童の子どもたちがそうした生活にスムーズに移行するための自立支援があると考えています」(下北沢小 新BOPの事務局長さん)

 

具体的には、どうやって支援していくのでしょうか?

 

「一番は保護者との連携です。保護者の方には、保護者会や個人面談などの場で、子どもが学童から自立するタイミングや、そのために必要なスキルについてお話ししています。

 

子どもは成長にともない、学童だけで過ごすことに違和感を抱き始めます。それを自立のチャンスとするためには、事前に学童を退会しても放課後を過ごせるように準備する必要があります。例えば、鍵の扱い方を知っておいたり、一人で留守番をする練習をしておいたりする必要がありますよね」(同)

 

こうした準備については、具体的なアドバイスもしているそう。留守番の練習であれば、小1の夏休みという日が長い時期に、少しずつ練習を始め、今日は5分、明日は10分、明後日は15分…と時間を伸ばしていくこと。また、留守番中は楽しく過ごさせることを優先に、「ゲームしていいよ」「好きなDVDを観ていてもいいよ」など子どもに任せること。都度、各家庭と話し合いながら、個々にステップを踏めるよう心がけているのだそうです。

 

ちなみに、新BOPでは17時からの30分を学習の時間と定めつつも、職員が宿題を済ませたかなど確認することはしていません。これも自立支援の一つで、「自分自身で帰宅時間に合わせて宿題の時間を決められるようになってほしい」(同)との思いからだといいます。

 

 

●小4以降の利用が多い「児童館」。新BOPとの連携も

 

学童を退会した子どもたちは、「BOP」として新BOPに遊びに来ることもできますね。

 

「そうですね。学童の子もBOPの子も同じ場所で遊べるのは、新BOPのいいところだと思います。一人で安全に移動でき、留守番ができるようになれば、BOPの利用でも十分になってくるんですよ。

 

BOPと学童との違いは、利用時間が短いこと(BOPは3~9月が17時まで、10~2月が16時半まで)、利用料やおやつがないこと、土曜日などの学校休業日の昼食は帰宅してとること。また、帰宅時間は保護者と約束するルールになっています。誰がBOP利用で来ているかを職員が把握できるように下北沢小 新BOPでは部屋に入ったら名簿に〇をして名前の書かれたバッジを付け、帰宅する際は名簿に×を付けてバッジを外すことになっています」(同)

 

前編では、小学校とはもちろん、休日の校庭開放を運営する「遊び場開放委員会」やPTAとも連携し、地域で子育てをしているというお話がありました。地域と子どもがつながることは、学童を退会して以降の安心、安全にもつながりそうですね。

 

「地域の目があるだけで、私たちにも安心感があります。世田谷区では、学童が小3までと定められていることもあり、下北沢小 新BOPでは小3まではおもに新BOP、小4以降はおもに児童館と、遊び場のすみ分けが自然と起きるように。後者は、代田児童館と、北沢中学校の空き教室を使った『きたっこ』という遊び場が、おもな居場所となっています。

 

先ほども触れたとおり、児童館長も新BOPの責任者であるため、週に一度の児童館の職員会議では相互の情報共有を行っています。また年に3回、児童館の職員が新BOPに来て綱引きなどの遊びを指導する『BOP de 児童館』という催しがあり、子どもと職員の交流の機会になっています」(同)

 

それぞれのスタッフが新BOPを中心としてつながることで、子どもたちが自由で安全な放課後を過ごすことができる――。世田谷区の学童取材からは、子どもたちのためにつながりあう大人たちの大きな輪が見えた気がしました。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)

学童潜入! 世田谷区・下北沢小 新BOPに行ってみた【前編】

 

 

一口に「学童クラブ(以下、学童)」といっても、その特徴は自治体ごと、施設ごとに多種多様。本連載では、都内を中心にさまざまな自治体の学童に取材を行い、今どきの学童の実態を調査していきます。

 

第2回で訪れたのは、世田谷区にある「下北沢小 新BOP(ボップ)」。世田谷区の学童への入所要件もおさらいしつつ、同区の学童がどのように運営されているのかを伺いました。

 

 

●世田谷区独自の放課後事業「新BOP」

 

子育て支援、教育、そして福祉に力を入れており、近年は子どもの数が急増していることでも知られる世田谷区。実は、ずいぶん前から独自の放課後事業「新BOP事業」を実施しています。

 

世田谷区で区内の小学校に「BOP(Base Of Playing)」という場所ができたのは1995年。小学校の校庭開放事業(のちの遊び場開放事業)から発展した事業で、保護者や地域住民による運営のもと、子どもたちの放課後に安全な遊び場を提供しようという試みでした。

 

2005年からは、全校で「BOP」と「学童クラブ」を統合した「新BOP事業」が開始。現在、世田谷区内に61校あるすべての小学校で展開されており、すべてが公設公営です。利用方法は、「BOP」と「新BOP学童クラブ(以下、学童)」の2種類。前者の「BOP」は全児童が登録できるもので、出入りなどは家庭との約束のもと自己管理。後者の「学童」は保護者就労等の条件下で登録するもので、出入りなどは職員の管理のもと行います。

 

世田谷区の学童の利用要件を見てみましょう。

 

■世田谷区の学童利用要件(2019年3月現在)

○対象となる児童=放課後の時間帯、就労等の理由から保護者が家庭において保護・育成にあたることができない区内在住、または区立小学校在籍中の小1~小3の児童(個別的配慮が必要な児童は小6まで)

○利用時間帯

・授業のある日:放課後から18時15分まで

・授業のない日:午前8時15分から18時15分まで

○休業日=日曜日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)

○費用=月額5000円(おやつ代含む)

○活動場所=校内にある「新BOP」の部屋、小学校の校庭、体育館、図書室など

○お迎え=小学校内にあるため、子ども一人での通学(通所)が基本。ただし、新1年生の入会当初や悪天候等によりお迎えを要する場合も

○おやつ=提供(土曜日は持参)

〇授業がない日の昼食=お弁当を持参

 

2018年度については、全61校の全児童のうち59%が「BOP」に登録し、約13%が「学童」に登録しているそうです。長い歴史を持つ新BOPには、どんな特徴があるのでしょうか。

 

 

●下北沢小 新BOPってどんなところ?

 

下北沢小 新BOPのある下北沢小学校は、守山小学校と東大原小学校が統合されて2016年にできた学校。2018年にはさらに北沢小学校が統合され、2018年5月時点で665人の児童が在籍しています。利用者は小3までの児童が多く、2018年度はBOPに404人、学童に110人の登録があったそうです。事務局長さんに、子どもたちの過ごし方についてお聞きしました。

 

「ここでは、2部屋ある『新BOP室』が主な遊び場です。1つは主に学童の子がおやつを食べる部屋で、隣の事務室にはミニキッチンが付いています。おやつには、お菓子や果物などが出ます。もう1部屋は、BOPと学童の両方の子が使う遊び部屋。おもちゃや本などがたくさんあり、学童の子のランドセルロッカーもここにあります。

 

授業などで使っていなければ、校庭や体育館でも遊ぶことができます。体育館や校庭で遊ぶ際は、新BOP室の子ども全員に参加者を募り、指導員と一緒に移動します。今はドッジボールが流行っています」(下北沢小 新BOP事務局長さん)

 

ここの指導員は、ほとんどが教職免許や保育士、介護福祉士資格を持っており、世代も20~50代までさまざま。また「Playing Partner」と呼ばれる臨時職員として勤務するのは、大学生や子育てが終わった主婦の方々で、元PTA会長、主任児童委員、青少年委員といった肩書を持つ人も多いそう。「そのため、子どもの扱いに慣れていたり、子どもに親身に関わってくれたりする人が多いんです」(同)。

 

臨時職員のなかにはピアノの先生や画家もいて、ひとり3分の簡易なピアノ教室を開いたり、お絵かきなどのイベントで講師を務めてもらったりと、特技を生かしてもらうこともあるそうです。

 

 

●「下北沢小 新BOP」の学童での過ごし方は?

 

この学童でも、基本的なタイムスケジュールは一般的な学童とほぼ変わりません(「学童の1日のスケジュール。平日の放課後は? 夏休み中は?」記事参照)。平日は下校後、校舎と同じ敷地にある新BOP室に来室し、連絡帳を置いたらランドセルをロッカーへ。自由遊びの後、15:00からおやつの時間。17:00から17:30は学習の時間(宿題・読書)ですが、帰宅時間によって各々で調整してもいいそうです。

 

「新BOPの目的のひとつは、友だち同士が学童に入っているかどうかを問わず、一緒に遊べること。ですから、基本的に遊ぶスペースも同じですし、両方が同じイベントに参加できます。イベントは、お話し会や映画会、工作といった文化系のものと、ドッジボール大会や『夏のスプラッシュタイム』(水遊び)といった運動系のものが、それぞれほぼ月1回ペースで行われます。

 

なかでも、10月に行われる『代田児童館こどもまつり』は一大イベント。近隣の子どもたちが作った大規模ゲームや子どもたちの手作り雑貨などのお店が並び、地域住民の方々が飲食物の模擬店を出店し…と、指導員も子どもたちも1か月以上かけて準備をします」(同)

 

 

●それぞれの組織が連携し、「学童」の子も楽しめる配慮を

 

こうした地域とのつながりは、世田谷区の新BOPの特徴のひとつ。「地域での子育てが実現できていると思う」と事務局長さんは語ります。小学校とはもちろん、PTAや児童館など、すべての大人たちが密に連絡を取り合い、子どもたちのためを考えて調整し合うのだそう。

 

「小学校の公開授業に職員が見学に行くこともありますし、PTAの講演を聴講することもあります。児童館長が新BOPの責任者でもあるため、週に一度の児童館の職員会議では、新BOPと児童館の情報共有が行われます」(同)

 

土日など休日の校庭開放を運営する「遊び場開放運営委員会」の方々は、学童の子への配慮もしてくださるといいます。

 

「学童の子どもたちは、決まった時間は新BOPにいて指導員と過ごさねばなりません。たとえば、遊び場開放運営委員会主催で土曜日にイベントがあったとして、その条件に『保護者同伴』『お昼は一度自宅に帰ってごはんを食べてくること』とあったら、学童の子たちは参加できないんです。

 

こうした事情がわかったうえで、遊び場開放運営委員の方は初めから『このイベントの日、学童の子は何人いる? 〇時から〇時まで指導員と一緒に参加して、その後新BOP室でお弁当を食べる形なら参加できると思うんだけど…』というように提案してくれるんです」(同)

 

核家族が増え、一方で地域とのつながりが薄れたともいわれる都内の保護者にとっても、地域の方々が子育てに参加してくれるのはとてもうれしいことですね。後編では、下北沢新BOPの学童では、子どもたちの自立をどう見守っていくのかについてお聞きします。

 

(取材・執筆:有馬ゆえ)