日本FP協会会員 CFP®
1級FP技能士/キャリアコンサルタント
国内損害保険会社に勤務した後、退職し2人の娘さんを出産。育児をしながらFP資格を取得、開業。企業での講演、研修のほか、コラム執筆、親子向けワークショップも行なう。株式会社ライフヴェーラ代表取締役。
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小学1年生 2019年5月20日の記事
小学校に入学すると、公立であれば1か月の学費(学校教育費)は平均8,700円程度と、それまでかかっていた保育料や幼稚園代より負担が下がる人も多く、浮いたお金を使って習い事を増やしてしまいがちです。でもちょっと待って! その浮いたお金、全部使ってしまって大丈夫? 小学校低学年までの時期はいわゆる「教育費の貯めどき」。かわいいわが子がやりたいことを叶えられるよう、どのように教育資金をプランニングすれば良いのかをお伝えします!
子どもにかかるお金は年齢によってどのように変わるのでしょう。まずは、小学校から公立中学、私立高校、私立大学(文系)へと進学した場合の教育費推移を見ていきましょう。
【公立小→公立中→私立高→私大文系の場合】
グラフを見ると、入学時にお金がかかる小学1年生を除き、成長とともに金額が上がり、中学に入学した後(13歳以降)の教育費は、さらに膨れ上がっていることがわかります。このデータにはピアノや塾といった習い事が含まれていますが、小学生の間の習い事費用が年間20万~25万円である一方、中学生になると、23万~41万円と上昇します。特に高校受験を控えた中学3年生になると、ほとんどの子どもが塾に行くこともあり、習い事にかかる費用が高くなりますね。
次に、中学以降私立に進学した場合の教育費推移を見てみましょう。
【公立小→私立中→私立高→私大文系の場合】
中学受験をする場合、小学校4年生から6年生の3年間、塾に行くのが一般的。塾代の目安は年間50万円から80万円ですので、その分が上記グラフに上乗せされます。こうなると高学年の時期に思い切り貯金をするのはなかなか大変です。
小学校入学から大学卒業までの16年間のうち、比較的教育費を抑えられる時期が、小学校低学年なのです。色々な体験をさせたいと習い事を増やす人も多い時期ですが、取捨選択して、将来のためにお金をとっておくことも常に意識しておきたいですね。
とはいえ、子どもが自らどうしてもやりたい! と言う習い事には耳を傾け、できる限り叶えてあげるのも大事です。筆者には器械体操部で活動する中学生の娘がおりますが、娘の習い事のことで今でも後悔していることがあるんです。それは、娘が小学1年生の時「器械体操を習いたい」と言ってきたにも関わらず、近場で習える場所がないことや、すでにピアノを習っていることを言い訳にして、真剣に考えてあげなかったこと。
しかし、どうしてもやりたいと娘が言い続け、3年生の終わりにようやく体操教室に入れてあげた時、小さい頃からやっていた子はすでに選抜クラスにいて、試合にバンバン出ていることを知りました。「あの時ちゃんと向き合ってあげれば…」と何度も謝りましたが、もう時間は取り返せません。しかも娘にとってピアノは興味がないものだったので、やめてしまえば良かったのでした。それ以来、子どもの希望にはしっかり向き合おうと決めています。
貯金をしながらできる範囲の習い事予算を立て、子どもがやりたいこと、夢中になれることにお金をかけてあげたいですね。
低学年が貯め時と言っても、いくらを目標に貯めればよいのでしょうか。
貯金の目的は、「収入から出せなくなる時期に使うため」です。一般的に、収入から捻出できなくなるのは子どもが大学生の時期ですが、入学が決まるのは早ければ高校3年生の9月。この時点で入学金の支払いが生じるため、貯金目標時期は高校3年生の秋頃となるでしょう。
貯めるべき金額は、入学時にかかる金額に、大学在学中に収入から捻出するには不足する金額を足したものになります。受験費用や1年目の学費を含む入学時にかかる金額は、私立文系の場合は約176万円、私立理系の場合は約219万円。在学中にかかる金額は、私立文系は年100万円、私立理系は約150万円ですので、たとえば年50万円不足するとした場合、
■高校3年生の秋までに貯めるべき金額:
(私立文系)176万円+50万円×3年間=326万円
(私立理系)219万円+50万円×3年間=369万円
となり、ざっくり350万円から400万円を目標にしておくと安心かと思います。もし遠方の大学に進学した場合はさらに仕送り費用がかかりますので、親が負担する予定の方は、この分も貯めておきましょう。ちなみに医歯薬系の大学は1年目の学費だけで約550万円以上かかりますので、小さい頃からお医者さんに興味を持つなど可能性がある場合は、貯金だけでなく、国立と私立の違いや給付型奨学金制度などについて、親子で早いうちからアンテナを張っておくようにしましょう。
教育費は、「なんとなく余ったら貯めよう」と思っていたら、まず貯まりません。着実に貯められる仕組みづくりを早いうちにすることが大切です。今の時点で特に仕組みがない方は、この機会にチャレンジしてみてくださいね。
1:児童手当を貯める
年3回(1回は4か月分)受け取っているはずの児童手当、いつの間にか生活費に消えていませんか? もしそうならば、受取口座を、生活費口座以外の普段使っていない口座に変更しましょう。そうすれば、小学1年生から中学3年生までの9年間で総額108万円(第3子以降は162万円/所得制限にかかる方は54万円)も貯まります。着実に貯めるためには「見えない化」するのが一番! キャッシュカードもお財布に入れないようにしましょう。
2:自動積立や自動定額入金サービスなどを利用する
貯金の基本は「先取り貯金」。給料が入ったらすぐに定期預金や別の普通預金口座にスライドするように設定しておきましょう。最近では、他の金融機関の口座から手数料無料で定額を定期的に受け入れる「自動定額入金サービス」を取り扱うネット銀行もありますよ。
たとえば貯めどきである低学年の3年間は月4万円、その後の8年間は月1.5万円で設定しておけば、高校2年生までの11年間で288万円貯まります! 児童手当分と合わせると372万円(所得制限にかかる方は318万円)と、目標金額である350万円を超えています。自分の手で毎月お金をスライドするのは続かない場合が多いですが、自動積立ならほとんどの人が続くはず。ぜひチャレンジしてみてください。
小学校に入学したら、一度は教育費の貯金プランを考えましょう。大学入学までまだ12年もあり、コツコツと貯めることで大きな資産づくりが可能です。リスク商品にも抵抗がない人は、非課税で運用できる「つみたてNISA」も組み合わせて。その場合は、世界全体にバランスよく分散投資するよう心掛けてくださいね。
(記事内データ出典元)
・「平成28年度子どもの学習費調査」/文部科学省
・「平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」/文部科学省
・「教育費負担の実態調査(平成30年2月)」/日本政策金融公庫
(執筆:鈴木さや子)
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