「わかきkids’クリニック」院長。小児科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。鬼ごっこ協会が提唱・推進しているスポーツ競技「スポーツ鬼ごっこ」を広める活動も行っている。
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生活・しつけ
年長 2019年6月28日の記事
裸足で過ごすことが少なくなったと言われる今、土踏まずの発育不良や足指の変形など、子どもの足のトラブルが増加中だとか。そこで、正しい靴の選び方から足裏を鍛える生活習慣まで、健やかな足の成長を促すためのポイントを、神奈川県藤沢市の小児科医院「わかきkids’クリニック」の若木均先生に教えていただきます。
扁平足(へんぺいそく)や浮き指の子どもが増えていることは、現場で子どもたちを教える先生方からも指摘する声があるようです。若木先生は最近の子どもの足のトラブルについて、どのように感じていますか?
「小児科に来るお子さんの足のトラブルと言うと、靴ずれや巻き爪、イボ、うおのめなどが多いのですが、一方、小児整形外科をはじめとする足の専門家のお話を聴くと、扁平足や浮き指の子どもが増加傾向にあるようです。
このことからもわかるように、専門家が感じている子どもの足の問題点と、普段の生活の中でおうちの方が感じているお子さんの足の悩みには差があるように思います。お子さんが扁平足や浮き指だとしても、それに気づいていない親御さんも多いのかもしれません」(若木先生)
巻き爪やイボなどは痛みや不快感といったわかりやすい症状がある一方、「わが子が扁平足かもしれない…」と小児科に行くことはなかなかないですよね。
「赤ちゃんの頃は誰もが扁平足ですが、はいはいやつかまり立ち、歩いたりする中で、骨の成長とともに筋肉や腱が鍛えられ『足裏のアーチ』が形成されていきます。ところが、そのアーチがしっかり形成されないまま成長してしまうケースもみられるようです。個人差はあるものの一般的には6、7歳頃になると大人のようなアーチに近づきますが、扁平足のままだと安定性が培われず転びやすかったり、外反母趾につながることもあります」(同)
一方「浮き指」とは、立ったり歩いたりするときに足指が浮いてしまい、しっかり踏ん張れなくなってしまうというもの。最近になって問題視されるようになってきたため、初めてこの言葉を聞いたという方も多いのではないでしょうか。
扁平足や浮き指といった足のトラブルは、どのようなことが原因として考えられますか?
「大きくわけて二つの原因が考えられます。一つめは、子どもの活動量が減り、日常的に足を鍛えられる場面が少なくなったこと。二つめは靴の選び方です。
まず活動量の低下ですが、最近の子どもは安全面の問題や、テレビゲームやスマホの視聴時間、塾や習い事の時間が増えたことで、外遊びの機会が少なくなったと言われています。さらに裸足で遊ぶこともめったにないですよね。
これを克服するためには、足を使った動きにこだわるのではなく、とにかく全身を使って楽しく遊んだり運動することを心がけると良いと思います。歩くことや走ることはもちろん、縄跳びやトランポリンのように跳ぶ動作も大事。それと、鬼ごっこのように、ステップやターンなどの予期せぬ動きが自然に取り入れられる遊びも、足の成長のためには良いと言われています。
あとは、おうちの中や体育館などの屋内でも良いので、できるだけ裸足で遊ぶ時間を増やすこと。直接地面の刺激を受け、自分の足で体重をとらえて活動することになるので、自然と足が鍛えられますよ」(同)
足のアーチがきちんと形成されていくことで、安定が得られて転びにくくなるのでケガの防止につながるほか、かけっこが速くなるといったメリットも。さらに地面からの衝撃を吸収する役割を担うため、大人になってから腰や膝の故障、肥満などにもなりにくくなると考えられるそうです。
次に、靴の選び方について。子どもたちを見ていて気になることがあるとのことですが…。
「小さい靴はもちろんですが、実は大きすぎて足に合っていない靴を履いているお子さんが多いように感じます。子どもは成長が早いからと大きめの靴を買ってしまいがちですが、どんなに機能的な靴だったとしても、靴が大きいと中で足が動いて体重がとらえづらくなります。サイズが合っていない靴は足に負担がかかり、外反母趾や靴ずれといったさまざまなトラブルを招く原因にもなるのです」(同)
子どもの靴を選ぶときは、どのような点に気をつけると良いのでしょうか?
「まずはかかとをしっかり合わせて、指先は5~7mmあいているのが理想です。0.5cm単位でサイズ展開されている靴だと、よりお子さんに合った靴選びができるのでおすすめ。お子さんにつま先立ちをさせてみて、かかとがパカッとはずれてしまうようだと大きかったり、ソールが硬すぎたりすることが考えられるので、サイズを含めフィッティングし直しましょう。
それから、クッション性とソールの柔らかさも大事なポイント。ソールが硬いと、蹴り出すときに靴裏がしっかり曲がらず効果的に蹴り出せません。足の動きに対応してくれる、適度に柔らかいソールの靴がおすすめです。また低学年の場合、紐よりもマジックバンドのほうが、かかとから中足部の固定を調整しやすいので良いと思いますよ」(同)
お子さんの体の大切な土台である「足」の成長。日々の楽しい遊びの中で育んでいけたら良いですね。
(取材・執筆:高野理恵)
「わかきkids’クリニック」院長。小児科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。鬼ごっこ協会が提唱・推進しているスポーツ競技「スポーツ鬼ごっこ」を広める活動も行っている。
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