都内を中心に18校でアフタースクール(一体型放課後施設等)を運営するほか、千葉市内17校などで放課後支援を行う。放課後の小学校の施設を活用し、全学年が保護者の就労にかかわらず参加できるアフタースクールを開校。地域住民の参加により、さまざまなプログラムを提供している。子どもたちに安全で豊かな放課後を届けることを目指し、「地域で子どもを育てる」アフタースクールを作り続けている。
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学校・まなび
年長 2019年1月9日の記事
学童の1日のスケジュール。平日の放課後は? 夏休み中は?
学童ってどんなところ?【前編】
4月からの新生活、学童保育(以下、学童)に入所するお子さんもいますよね。小学校と同様、学童は親にとっても新しい環境。子どもがどのように生活するのか、気になっている保護者の方も多いと思います。そこで、関東を中心に学童を開校している放課後NPOアフタースクールの有坂絢子さんに取材。学童の概要と、平日の放課後、長期休みのそれぞれの過ごし方についてお話しを伺いました。
●学童の雰囲気は地域や場所により異なる
放課後NPOアフタースクールは、関東圏を中心に放課後施設を運営しているとのことですが、まず、学童とはどんな場所なのかを教えてください。
「学童は、保護者が就労などで不在にしている家庭の児童が、放課後の時間、安全にのびのび過ごすための場所です。学童には、登録した児童だけが所属するものと、すべての児童が参加できる“一体型”と呼ばれるものがあります。
一体型は、放課後児童クラブ(学童・厚労省管轄)と放課後子ども教室(文科省管轄)を一体的に運営するもので、スポーツや工作、英語、職業体験など多様な活動プログラムが用意されているのが特徴です。放課後NPOアフタースクールでは、“一体型”の施設を運営しています。
一口に学童と言っても、一体型か否か、どんな施設で運営されているのか、また自治体によっても、雰囲気はかなり変わります。学童の利用は小1から小6まで可能ですが、低学年がメインのところもあれば、中学年、高学年の子たちが遊びに来るところもあります」(有坂さん)
こうした背景から、子どもたちの過ごし方や年間行事・活動プログラムなどは各学童によって差があるそう。とはいえ学童は、放課後、学年の枠を超えた友達と一緒に、スタッフの見守る安全な環境で過ごす場だというのは同じとのことです。
●学童での過ごし方(平日の放課後編)
では、学童の子どもたちは、学校が終わった後、どのように過ごしているのでしょうか。同NPOが運営する板橋区立上板橋第四小学校あいキッズを例にして、まずは5時間授業が終わった後の小学1年生の過ごし方を教えていただきました。
■平日の放課後のスケジュール
○午後2時半
授業が終わると学校から直接、ランドセルのまま「ただいま!」と子どもたちがやってくる。ここでは、入室の際にQRコードで打刻を行うと、入室した旨が保護者にメールで送られるシステムになっている。個々のロッカーにランドセルを置き、まずは30分程度の学習タイム。学校から解き放たれてテンションが高くなっているので、気持ちを落ち着かせる意味もある。最後に、宿題が終わったかどうかスタッフがチェック。
○午後3時
全員が席に着いた状態で、その日の連絡事項を伝える。例えば、『今日は雨が降っているので校庭では遊べません』など。学童によっては、ここでおやつ(補食)タイムを取る。
○午後3時半
室内、校庭、体育館など学童の敷地内で、自由遊びや活動プログラムを行う。行事の準備やスポーツなどの活動プログラムはここで行われる。同施設で開催されている活動プログラムは、ダンス教室(週1回)、体操教室(週1回)、そろばん教室(週1回)、フットサル教室(週1回)、プログラミング教室(月2回)、習字教室(月1回)、英会話教室(月1回)など。子ども自身がやりたいプログラムを決めて参加する。
○午後5時
自宅に保護者のいる児童は退室、帰宅。5時以降も在室する子どもたちはおやつタイム。提供されるおやつは、事前に伝えておけばアレルギーへの配慮もしっかりされる。なお安全確保のため、習い事や塾などのために学童を中抜けすることはできない。
○午後6時~
お迎えタイム。6時以降の帰宅は保護者のお迎えがマストという学童もある。
○午後7時
閉室。
なお、学童の休業日は日曜日、祝日、年末年始。土曜日は、就労の状況次第では利用することもできるそうです。
●学童での過ごし方(土曜日・長期休暇編)
次に、土曜日や長期休暇中など、学校に登校しない日の過ごし方を教えていただきましょう。
■学校に登校しない日のスケジュール
○午前8時から午前9時
入室した子どもから、まずは学習タイム。宿題や読書をして過ごしたのち、朝の会、室内自由遊び。2018年は猛暑だったので、午前中に外遊びという場合もあったそう。
○午前12時
昼食。お弁当を持たせる必要があるケースと、学童が仕出し弁当を手配してくれるケースがある。
○午後1時
食休みの時間。体を休めてゴロゴロしたり、室内で静かに遊んだり。なお、このタイミングで1時間程度、昼寝の時間を取っている学童も多いという。
○午後2時
室内、校庭、体育館など学童の敷地内で、自由遊び、体験交流活動。長期休み中は普段はできない体験活動をしたり、いつもは60分程度しか時間の取れないプログラムを数時間~半日かけてじっくり行ったり、普段より時間をかけて集中して行事の準備をしたりも。
○午後5時
学童に登録した子どもたちはおやつタイム、室内自由遊び。それ以外の児童は退室、帰宅。
○午後6時~
お迎えの保護者が来た子どもから退室、帰宅。
○午後7時
閉室。
板橋区立上板橋第四小学校あいキッズでは、長期休暇中は丸一日を使ったイベントも行われると言います。
「例えばここ数年は、『ウォーターバトル』が夏の定番イベントに。ウォーターガンで水をかけあって、みんなでびしょ濡れになって、すごく盛り上がるんです。お昼には本物の竹を割って流しそうめん、おやつには小さなビニールプールで冷やしたスイカでスイカ割り……と、夏を満喫できるイベントです」(同)
その他、遠足に行ったり、夏休みと春休みには親子参加のレクリエーションとして「フェス」を開催したりしているそう。長い時間を同じ場所で過ごす休み中、こうしたイベントは子どもが日々を楽しむモチベーションにつながりそうですね。
●学童は子どもにとってよき“第三の居場所”にも
有坂さんは最後に、学童に通うメリットについて話してくださいました。
「学童は、好きな仲間、好きなスタッフがいたり、好きな遊びが発見できたりといった場になれば、その子にとってよき“第三の居場所”になります。また、異学年交流は小学校ではなかなかできないので、上の学年、下の学年と触れることで子どもが成長する機会にもなると思います。
放課後は、場合によっては学校で過ごす時間よりも長かったりします。ですから私たちは、学童という放課後施設が、学校の45分の授業ではできないことを思いっきり好きなだけできる場所、失敗や試行錯誤を繰り返すことのできる場所、普段できないことを体験できる場所にしていきたいという思いがあります。ここで一人ひとりが好きなこと、得意なことを見つけ、伸ばすことができれば一番だと考えているんです」(同)
保護者にとっては、チームで子育てをしている感覚が得られるというメリットもあるそう。
「小学校は、保育園や幼稚園に比べて先生と話す機会がかなり減るので、子どもの日中の様子が見えにくくなるという面があります。一方、学童はお迎えの際にスタッフと話す機会があったり、連絡帳があったりするので、子どもを一緒に育てているという感覚が得られるはず。私自身、子どもを学童に通わせる母親ですが、子どもについて客観的な意見を聞けたりすることで、気が楽になることがあります」(同)
ただし、子どもによっては「ここは合わないから行きたくない」と感じることがあるのも事実。その際は、子どもやスタッフの方にじっくり話を聞きながら、学童に通う日数を調整したり、場合によっては別の放課後の過ごし方を試してみたりと、フレキシブルに対応するのがいいとアドバイスしてくださいました。
後編では、学童の子どもたちがどんな1年間を過ごすのか、同じく板橋区立上板橋第四小学校あいキッズを例に挙げながら解説していただきます。
(取材・執筆:有馬ゆえ)