1997年愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(現パーソルホールディングス)に入社し新規事業責任者等を歴任。転職後、執行役員としてキャリアカウンセリングやマーケティング部門を統括。業界専門誌『月刊人材ビジネス』では営業推進部部長兼編集委員を務める。2010年株式会社ビースタイル入社。2011年より現職。のべ2万件以上の“働く主婦層”の声を調査・分析する傍ら、厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。メディアへの出演・寄稿・連載多数。
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生活・しつけ
小学1年生 2019年6月14日の記事
子どもも新生活に慣れたようだし、そろそろ働きに出ようかな…と考える小1ママも多いのでは?「子どもが学校に行っている間だけ」働きたいと考えたとき、どのように職探しをしたらいいのでしょうか。主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関「しゅふJOB総研」所長の川上敬太郎さんにお話を伺いました。
近年、ますます需要が高まっているという主婦の労働力。人材不足の中、時短勤務でもきっちり結果を残す主婦の仕事力に、企業側も気づき始めているのだとか。ということは、小学生ママの希望に合うパート求人も、増えてきているということですよね?
「増えてはいるのですが、十分ではありません。2018年末、働く主婦の方を対象に行った『この1年を振り返り、女性が働きやすくなっているのか』というアンケートでは、『良くなった』と答えた人は3割しかいませんでした。皆さんの実感として、仕事探しはまだまだ厳しいと感じているようです」(川上さん)
川上さんによると、求人自体はたくさんあるものの、多くの主婦の方が希望するような条件で求人を出している会社はまだまだ少ないのだとか。
「主婦の職探しの話になると、保育園増設など預け先の話題になりがちですが、実は一番足りないのが条件に合う仕事です。最近は少しずつ変わってきていますが、そもそも企業側は『こういう仕事をいつまでに、こんな形で成果を上げてくれる人がほしい』と具体的なイメージを固めきれないまま求人を出していることが多く、ともすると、柔軟に対応してくれる人をとりあえず8時間拘束しておく、といった採用の仕方になりがちです。
また、8割の主婦の方が希望する事務職ですが、全体の求人倍率が1.6倍なのに対し、事務職は0.5倍、2人に1つしかない状況です。就活の際は、希望職種を限定し過ぎると、どうしても可能性が狭まってしまいます。例えば、すでに取引のある相手との関係強化をはかる既存営業や受付、ドラッグストアやスーパーで自社製品を提案するラウンダーなど、主婦が活躍している職種は他にもたくさんあります」(同)
そうした状況で、学童に入れないから時間は14時くらいまで、土日は家族の時間を優先したい、時給は1,000円以上…と希望を出していくと、どんどん求人数が絞られてきますね…。自分に合う仕事を見つけるのに、何かうまい方法はないのでしょうか?
「まずは絶対に譲れない必須条件と、譲ってもいい希望条件を決めましょう。そして期限の目安を決めて、こまめに求人情報をチェックする。情報は都度更新されるので、希望条件を入れると自動的にメールが送られてくる機能などを使い、情報をリアルタイムで把握できる状況にしておくとよいでしょう。また、必須条件と希望条件は人によって違うもの。一度書き出して、整理してみるといいかもしれませんね」(同)
さらに、子育て中の主婦は、家の都合を優先して条件第一で探しがちですが、川上さんいわく、「本当の自分の欲求をみつめ直すことが大事」だとか。
「例えば、独身時代にしていた仕事をまたやりたいと思えば、その職種に近いアシスタント業務を探してみるとか、逆に子育てする中で保育士に興味が出たから資格を取ってみるとか…。人生は長いので、その先につながる仕事を見つけられるとなおいいですね。
弊社では『ご近所ワーク』という、飲食店の覆面調査や空き地発見業務などの単発の仕事も紹介しているので、こうした単発の仕事なども利用しながら、常に求人情報をチェックするなどして、アンテナを張っておくことをおすすめしますよ」(同)
求人に応募しようとなったら、まずは履歴書。採用担当者は「信頼できる人かどうか」を見ているとのことで、基本的なところが埋まっていればOKですが、できる限り空欄はつくらない方がいいようです。また、以下の点に気を付けて書きましょう。
・保有資格の欄には、希望職種と関係のない資格も書いておく(資格をとるために、勉強や努力をしてきたというアピール。ただし書き過ぎはマイナスになることも。資格マニアととらわれない程度に)
・志望理由は「近いので安定してシフトに入れます」など相手側のメリットを考える(企業を受ける際には「近い」だけでなく、事業や職種と自分のスキル・経験などを照らし合わせて書くこと)
・時間や勤務日数などの必須条件をしっかり書いておく
いざ面接となったら、どんな装いで行けばいいのでしょうか?
「スーツは無難で、嫌な思いをする企業の方はいません。ただ重要なのは、面接先に合わせ、TPOをわきまえることです。その職場で働いているママ友がいれば、アドバイスをもらったり、職場をお客側として覗けるなら、実際に働いている人の服装を参考にしたりするとよいでしょう。ジーパンなどのラフ過ぎる格好は避けましょう」(同)
ちなみに銀行のパートを受ける場合は、やはりスーツがおススメ。きっちりし過ぎるくらいでちょうどよさそうです。
「とはいえ、どうしても心配な場合、先方の人事の方に聞いてみてもいいですね。『当日はスーツで伺うつもりでおりますが、もし服装で気を付けておくべきことがあれば教えていただけませんでしょうか』と。よい印象を与えたい、と相手に伝えているわけですから、聞かれて嫌な印象を受ける採用担当者はいないと思います」(同)
では実際に働きだした主婦たちの本音とは? まずは良いことから聞いてみましょう。
【働き始めて良かったこと】
「生活にハリが出た」
「家事を短時間で済ませるようになった」
「煩わしいママ友付き合いがなくなった」
「子どもがお手伝いをしてくれるようになった」
「自由になるお金が増えたため、私自身がイライラしなくなり、子どもに八つ当たりをしなくなり、子どもが学校での事を話してくれるようになり、親子関係がよくなった」
「アパレルの仕事を始めて、自分の親兄弟周囲から『垢抜けて綺麗になった』と褒められた」などなど。
一方、つらかったこと、大変なことはどうでしょうか。
【働き始めてマイナスに感じたこと】
「疲れとストレスで帰宅してからドカ食いしてしまい太った」
「夫が思いのほか非協力的だった」
「子どもにきつくあたってしまうことがある。絶対に風邪引かないでね、引いてもお仕事休めないよ、など心ないことを言ってしまった」
「子どもの具合が悪い時に自分の母親に来てもらわなくてはならず、家族に迷惑をかけるようになった」
「勉強を見てあげる時間が減り、子どもの成績が下がった」
子どものこと、家事のこと…。仕事を始めると状況は変わりますが、そのぶん、皆さんいろいろ工夫もしているようです。
【仕事を始めたことで工夫していること】
「夕飯、朝飯は必ず子どもと一緒に食べる」
「完璧を求めない。適度に手を抜いたり、ほかの家族に協力してもらったりすることが大事」
「とにかくお休みをしないよう、家族の健康に気を付けている。近くの気の置けない友人に、何かあった時(学校からの引き取り)は、お願いできる体制を整えている」
「何事にも楽しく過ごす。人のせいにも自分のせいにもしない」
とのこと
(以上、しゅふJOB総研のアンケート「仕事を始めて降りかかった家庭での想定外って?~しゅふJOB総研調査~ 想定外「ある」87.5% 「良い想定外」14.8%、「悪い想定外」25.8%、「良いことと悪いこと両方」52.1%」より)
最後に、気になる夏休み問題。学童に入れないで働くママたちはどうしているのでしょうか? 就労証明が要らない「放課後子供教室」が学童代わりに利用できる場合、これに登録して通わせている保護者が多いよう。しかし、それができない地域の場合、「民間の学童に入れる」「夏休みに学童へ入れるためだけに勤務日数を増やす」という厳しい現実もあるようです。中には「夏休みなどの長期休みは出勤しないことを必須条件にした」という人もいました。
十人十色の職探し。日々更新される求人の中から、自分にぴったりハマる仕事を見つけられるといいですね!
(取材・執筆:井ノ口理代)
1997年愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(現パーソルホールディングス)に入社し新規事業責任者等を歴任。転職後、執行役員としてキャリアカウンセリングやマーケティング部門を統括。業界専門誌『月刊人材ビジネス』では営業推進部部長兼編集委員を務める。2010年株式会社ビースタイル入社。2011年より現職。のべ2万件以上の“働く主婦層”の声を調査・分析する傍ら、厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。メディアへの出演・寄稿・連載多数。
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