1972年生まれ。雑誌編集者兼ライター。多数の週刊・月刊漫画誌のチェックを生業とし、最新の漫画情報を日々収集し続けている。漫画評論誌などでのコラム記事執筆や、カルチャー誌での漫画の選書など多方面で活躍中。
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週末・その他
小学1年生 2019年5月31日の記事
「日本史」が学べる、おすすめマンガ4選【保護者向け】
ママ&パパも楽しく学ぼう! 大人の“教養”ちょいかじり講座【第2回】
ママ&パパ自身の「学ぶ楽しさ」や「好奇心」に貢献したいという思いで始めた当連載。2回めとなる今回は、前回に引き続き「マンガで楽しく学んじゃおう!」ということで、日本史を主題にした作品を4つご紹介。人間味にあふれるマンガの描写で、教科書に載っている偉人がグッと身近に感じ、どんどん読み進めてしまう作品ばかりです。
◆今回ご紹介する作品
『ねこねこ日本史』そにしけんじ(日本史全般)
『ジパング 深蒼海流』かわぐちかいじ(鎌倉時代)
『信長の忍び』重野なおき(戦国時代)
『アサギロ~浅葱狼~』ヒラマツ・ミノル(幕末)
●ねこたちに和みながら、ゆる~く日本史を学べる『ねこねこ日本史』
「歴史について学ぶ」というと、「年号を覚えなきゃ」「人名や事件を暗記しなくては」などと堅苦しく考えがち。でもまず一番大事なことは「歴史に興味を持つこと」「歴史を好きになること」ではないでしょうか?
そんな歴史好きになるための入口として最適なのがこの作品。本作は日本史上に出てくるさまざまな人物たちを、かわいい「ねこ」として描き、ギャグたっぷりの親しみやすい4コママンガ形式にした作品。例えば卑弥呼が「ねこじゃらし」で民衆を操るねこ巫女だったり、聖徳太子が10匹のねこの鳴き声を聞き分ける天才猫だったり…。
物語は基本的に個々の人物のエピソードをピックアップして紹介していくという形になっています。例えば1巻では、卑弥呼、聖徳太子から始まり、源頼朝、織田信長、坂本竜馬などなど、幅広い時代の重要人物たちをそれぞれ10ページ程度ずつで取り上げ、4コママンガと解説を掲載しています。一人ひとりの人物の物語が簡潔にまとめられているので、好きなときに、好きな人物のエピソードを、自由に楽しむことができます。
『ねこねこ日本史』本編が7巻まで発売されているほか、『ねこねこ日本史でよくわかる 日本史大事件』や『ねこねこ日本史でよくわかる 日本のお城』など関連作品も多数。NHK Eテレでテレビアニメ化もされていますので、お子さんと一緒に楽しみながら学んでいくのにぴったりです。
●源頼朝・義経兄弟の物語を描いた大河歴史ドラマ『ジパング 深蒼海流』
12世紀から19世紀にかけて700年近く続いた、武士の支配する時代(武家政権)。現在でも武士の生き様を描いたマンガや小説は人気がありますが、実は、武家政権誕生に前後する源氏と平家の争いについて、詳しく描いた歴史マンガは多くありません。
『ジパング 深蒼海流』は、ありそうで意外となかった、鎌倉幕府をひらいた源氏の兄弟にスポットを当てた本格的な時代ドラマです。本作の主人公は、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝と、その弟である源義経。彼らの足跡を、『沈黙の艦隊』などで知られるベテラン作家・かわぐちかいじ氏が、全23巻かけてじっくりと丹念に描いています。
長く続いた貴族の時代が終わり、平清盛率いる平家が隆盛を迎え、それとは対照的に窮地に陥った源氏。物語は頼朝・義経の父親である源義朝が平家に敗れて討ち死にするところから始まり、頼朝の挙兵や、義経の活躍、そして兄弟の葛藤などが、人間味たっぷりに描かれていきます。
また本作では、義経と平清盛の娘である徳子とのラブロマンスなど、史実とはまた異なった人間模様も描かれ、読者を物語に引き込んでいきます。現代につながる日本史上の重大な転換点となった武家の時代。その始まりを壮大なスケールで描き出した、読みごたえ抜群の一作です。
●4コマ形式で楽しく読める戦国時代ストーリー『信長の忍び』
日本史の中で最も人気のある時代といえば、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康や、さまざまな戦国武将が群雄割拠した戦国時代でしょう。それだけにこの時代を扱った作品は非常に多く、どの作品から読んだらいいか悩んでしまうほどです。また、活躍した戦国武将の数も膨大で、ちょっとかじっただけではなかなか覚え切れないという人も多いのではないでしょうか。
そこで「戦国時代を気軽に学びたい」という人にオススメなのが、『信長の忍び』です。本作はひょんなことから織田信長に仕えることになった忍者の少女・千鳥が、信長の天下統一を支えていくという物語になっています。
主人公がかわいい忍者の女の子で、形式も4コママンガなのですが、読んでみると意外なほどの読みごたえでびっくり! ギャグ要素もたっぷりで気楽に読めるものの、史実には忠実で、戦国時代を彩った数々の戦いや事件などが細かく取り上げられています。
また、「信長は甘いモノ好き」「信玄は温泉が趣味」など、史実に基づいた各武将の小ネタもたっぷり散りばめられているので、教科書では遠く感じた戦国武将も、グッと身近になるはず。楽しく気軽に読めるのに、戦国時代にかなり詳しくなれる。そんなオトクな一作です。
●力強い剣劇アクションが痛快な新撰組マンガ『アサギロ~浅葱狼~』
日本史を扱ったマンガや小説などで最も人気のあるのは戦国時代ですが、その次に作品数が多いのが幕末でしょう。長く続いた武家の時代が終わり、明治の世へと移り変わろうという激動の時代は、まさに近代日本の始まりであり、個性的な人物たちが数多く存在しました。
幕末にはさまざまな武士や志士らが活躍しましたが、その中でも坂本龍馬と並び人気を集めているのが、反幕府勢力の取り締まりに従事した武装組織である「新選組」。本作は新選組に集った面々や彼らと戦った人々を、天才剣士である沖田総司を中心に描いていく物語です。
本作の特徴は、なんといってもそれぞれのキャラクターが非常に個性的なこと。剣士としては天才的だが世間知らずな沖田総司をはじめ、新選組の主要人物たちが非常に人間くさく、既存のイメージにとらわれずにイキイキと描かれています。歴史の教科書だと詳しく述べられることのない新選組ですが、本作を読めば彼らを生身の人間として感じることができ、そのアツい生き様に心打たれることでしょう。
(選書・執筆:芝田隆広)