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小学1年生 2019年5月30日の記事

今どきの小学校、保護者の時代と変わったことは?

 

 

今年入学した1年生も、少しずつ小学校生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。子どもが小学校に入ってみると、自分(保護者)が子どもの頃と比べてさまざまな変化があることに気付きます。そこで今回は、保護者世代が子どもだった頃の小学校と、今の小学校で変わったことを、岡山県苫田郡鏡野町立南小学校教頭の影山知美先生に聞きました。

 

 

●「生活科」という聞きなれぬ教科は、平成元年から登場

 

小学生のとき、理科や社会の時間が好きだったという保護者も多いことでしょう。しかし、今の小学1〜2年生の時間割に理科や社会はありません。その代わり、平成元年から「生活科」という教科が設置されています。

 

「理科と社会に代わって取り入れられたのが『生活科』ですが、その二つを単純に統合した教科ではありません。生活科には、具体的な活動を通して思考するというねらいがあります。そのため、“体験すること”を重視した学習活動では、地域で働いている人のところへ話を聞きに行ったり、身の回りの自然を観察したりします。

 

また、ただ体験させるだけでなく、自分で見たこと、聞いたこと、考えたこと、思ったことを絵や文で表現したり、相手に伝えられたりするようになることも目標の一つです。1~2年での学習を通じて、自分がどう生活していけば良いかを、しっかり考えさせる授業を行なっています。家庭や地域の中で体験したり、学んだりする場が少なくなってきている現代において、自分の身の回りの自然や物、人に目を向けることができる教科が生活科なのです」(影山先生)

 

なお、生活科は学校で学んだことを家庭で再体験したり、親子で一緒に考えたりすることにも向いている教科だと言います。生活科でどんなことをやったのか、帰ってきたお子さんにさっそく聞いてみてはいかがでしょうか。

 

 

●すべての人が共に暮らせる社会を目指す「インクルーシブ教育」

 

新しい教科が取り入れられる一方、「インクルーシブ教育システム」なる取り組みも始まっているそうです。これはいったいどういうものなのでしょうか?

 

「端的に言うと、障がいのある子どもも、そうでない子どもも、可能な限り同じ場で共に暮らし、学ぶことを目指そうという考え方です。保護者世代の中には、障がいのある子どもは別の学校や別の教室で学んでいたと記憶している方もいるでしょう。しかし、今の学校教育では、障害のある子、ない子の双方にとって、共に学ぶことは意味があるとし、それを実現するための整備が進められています。

 

具体的には、校内の段差を減らしたり、スロープやエレベーターを設置することで車いすの子どもにとっての移動困難を解消していくことなどが一例として挙げられます。他にも、支援の必要な子どもが困ることのないように、専門性のある支援体制の整備や教員の育成、ボランティアスタッフの配置なども重要になってきます。そうして、学習や行動面に困難のある子どもも、適切な支援を受けながら通常学級での集団授業に参加できるようにしているのです」(同)

 

こうした動きは日本だけでなく、国連で採択された「障害者の権利に関する条約」をきっかけに世界的に進んでいるそう。「行事などで学校に行った際は、そういった取り組みにも目を向けてみてほしい」(同)とのことでした。

 

 

●法律が整備され、現代に対応した「いじめ防止対策」に

 

子どもが学校生活を送るうえで気になる「いじめ問題」についても、私たち親世代の頃とは状況が変わってきているといいます。

 

「2011年、当時中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺に至った痛ましい事件があり、翌年には当事件が誘因となって『いじめ防止対策推進法』が国会で可決されました。以降、どの学校でも『学校いじめ防止基本方針』を作成し、学年初めに保護者や児童に伝えるなどしています。

 

また、昔と違うのは、SNSの普及によるネット上でのいじめ問題です。学校や保護者が気付きにくく、問題が発覚してからの対処となることが多くなりがちですので、低学年のうちから『情報モラル』の学習を取り入れています」(同)

 

影山先生によれば、学校内にはもちろん、各所にさまざまないじめの相談機関が整備されてきているので、子どもの様子がおかしいと感じたら遠慮なく相談してほしいとのこと。コミュニケーションを密にし、子どもの変化を見逃さないようにしたいものです。

 

 

●学校教育のこれから。2020年度からはじまる「新学習指導要領」

 

ここまで聞いてみて、われわれ保護者が子どもの頃と、多くの点が変化していると分かりました。では、これからの教育はどのようになっていくのでしょうか?

 

「文部科学省は、全国どの学校でも一定の水準が保てるように『学習指導要領』という教育課程の基準を定めています。時間割や教科書はこの指導要領を元に作成されるのですが、2020年度から始まる『新学習指導要領』では、『学校教育を通じてよりよい社会を創る』という目標を、“学校”と“社会”とで共有することが掲げられています。

 

この数十年の間で、児童・保護者と地域の方々との関わりが希薄になってきており、また学校だけで対応できない問題も多くなってきています。それぞれの学校が、社会と連携・協働することが今後ますます大切になっていくでしょう」(同)

 

具体的には、放課後や土曜日の時間を使って、地域の人々と一緒にさまざまな活動をすることなどが進められるそうです。学校教育を学校だけのものに留めず、社会に向けて開き、一緒に行っていくのが新しい時代の小学校なのですね。

 

時代と共に変化していく学校教育。私たち保護者もその変化を知って柔軟に対応していきたいところです。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

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