塩谷 京子(しおや きょうこ)
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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生活・しつけ
年長 2018年3月8日の記事
小学校入学を前に、親としてはいろいろと不安に思うことも多いもの。前回は、親と子どもの気持ちの違いや入学までの過ごし方、心構えなどを教えてもらいました。今回は、子どもへの効果的な声がけについて、引き続き元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に話を聞きました。
前回のお話で、子どもの成長には個人差があり、できないことよりもできることに目を向けよう!ということがわかりました。ただ、そうはいっても入学前に最低限のことはクリアさせておきたいのも親心。子どものやる気を削がないような声がけの方法を教えてください。
「ポイントは、すでにできていることを褒めたうえで、できていないことを促すことです。たとえば、幼稚園のカバンを家に帰って玄関に置きっぱなし、という子は多いですよね。小学生になったら、教室に自分のロッカーもできますし、自分のものを決められた場所に片付けることは必要になります。
もしも、遊んだおもちゃを片付けられたときがあれば、そこに目をつけます。『すごいね! 使ったおもちゃを元の場所に片付けられたね! それなら、幼稚園のカバンも自分の部屋に持っていけるだろうな』というように、これができるようになったから、こっちもできるかな?という声がけがおすすめです」(塩谷先生)
この言い方であれば、単に「ちゃんと片付けなさい!」と叱るよりも、ずっとストレスなくイライラしませんね。子どもも受け入れやすそうです。そして、片付けができるようになるためには片付ける場所が必要なので、家庭内で物を片付けられる環境を作っておくことも大切です。
また、学校生活を送るうえで必要な力をつけていくには、子どもと一緒に確認しながらひとつひとつクリアしていくことがおすすめだと塩谷先生。
「たとえば、学校からもらってきた『入学前に身に付けておきたいチェックリスト』の項目が5つあったとします。それを、あえて子どもに見せてみるのも一つの手です。『この間、小学校に行ったら、先生からこの5つはできるようになっていてほしいって言われたの』と言って、子どもと一緒にチェックします。全部ができないということは、ほとんどの場合ないでしょう。『これはできるね、これもできるね!』と見ていき、『だったら、今できていないのはこれだけだね』と伝えると、子どもも自然と意識して行動できるようになるでしょう」(同)
5つのうちできないのは1つだけなのに、その1つに目をつけて「どうしてできないの!」と追い詰めてしまうと、全部ができないように思えてしまいますね。まずはできていることに注目することで、子どもにとっての自信に繋がりそうです。
ちなみに、幼稚園では給食も残さず食べる、自分で進んで歯磨きをする…といったように、しっかりと行動できているのに、家ではまったくやらない!と嘆いているママも多いのでは。かくいう筆者の娘も、幼稚園では優等生のように振る舞っているのに、家ではワガママ放題で何もやらず手を焼いています。このままで小学校に入ってから大丈夫かしらと不安になりますが、このような場合はどんな声がけをしたらいいのでしょうか。
「外と家の中の姿が違うのは、多くの家庭で見られることですよね。そもそも、よほどきょうだいや家族が多い家庭でない限り、集団生活を家の中では体験しにくいものです。家庭でできること、教えられることって限られているのです。
もしも園の先生から、今日あったことや良い行いなどをお迎えのときに聞いたり、連絡帳などで知ったりした場合は、『今日、先生に聞いたんだけど、お友達とケンカした後にごめんねって言えたんだってね。すごいね!』としっかり褒めてあげるといいですね。ただし、子どもは『今』を生きていますから、できるだけその日のうちに伝えることが大切です」(同)
園での様子を先生から聞いて知っておくことも重要なポイントのようです。そして、「幼稚園ではできているのに、どうして家ではできないの!」「1年生になるんだから、これくらい自分でできなくてどうするの?」などと責めてはいけないのですね。できない部分ではなくできている部分に目を向けて、前向きな声がけをすることが、入学前に大切にしたい子どもとの接し方だということがわかりました。
次回は、塩谷先生が入学前の準備としてもっとも大切にしてほしいと述べる「子ども中の芽生えを見つけて共有する」に関して詳しく話を伺います。
(取材・執筆:水谷映美)
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