塩谷 京子(しおや きょうこ)
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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年長 2018年3月16日の記事
4月を前に、入学までにしておくべき親としての準備や心構えについてお伝えしてきました。最終回となる今回は、子どもの中の芽生えに気づいたら、それに反応して共感することの必要性について、引き続き元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に話を聞きました。
これまでのお話で、子どもの中に芽生えた10の項目を念頭に、子どもの成長を見つけることの大切さがわかりました。さらに、その芽生えを認めて、共感することが、小学校入学後の学習や学びに大きく影響してくるのだと塩谷先生。筆者の息子の場合、最近購入した本を夢中で読んでいる姿がよく見られ、何度も「これ見て! ○○なんだって!」などと教えてくれます。どのようにリアクションするといいでしょうか。
「興味のあることに夢中で取り組む、『思考力の芽生え』ですよね。そのとき、『本当だ! おもしろいね!』というように子どもの発見や驚きをキャッチして、共感しましょう。そうすると、子どもはとてもうれしそうにしませんか? 次に楽しいことを見つけたら、きっとまた言いに来てくれますよ。ママたちには、良い聞き手であってほしいと思います。そうやって親が共感することで、入学後も自分の興味があることを見つけて、積極的に取り組んでいくでしょう」(同)
子どもから何か報告してこなくても、子どもの芽生えや成長に気づいたら一言声をかけたり、何か良い行いを目にしたら頭を撫でたりハイタッチをするなどしてリアクションしてもいいそうですよ。
とはいえ、忙しい毎日の中、特に入学前の時期は何かとバタバタすることが多く、子どもに呼ばれても「ちょっと待ってね」「後でね」とつい言ってしまいがちです。
「何も一時間話を聞いてあげなくてはいけないわけではありません。ママたちには、ほんの1分を惜しまないで子どもに接してほしいですね。自分が楽しいこと、聞いてほしいことがあっても、『忙しいから後でね』と言われてしまうと、子どもはそれ以上話してくれなくなってしまいます。話を聞いてもらえない、共感してもらえないとなると、次第に心が膨らまなくなり、せっかく出てきた芽が育ちません」(同)
これには、ドキッとしたママは多いかもしれません。子どもの中の芽生えがそのまま大きくなるか、あるいはそこで成長が止まってしまうかは、親の対応次第ということもあるのですね。小学校に入ってからの学習への意欲にも影響してきそうです。
「また、『今日から一人でやるよ!』と自立心が芽生えだしたとき、親がやった方が早いからといつまでも手伝っていては、それ以上自立心が育ちませんよね。せっかく出てきた芽を摘んでしまうことになってしまいます。子どもがやりたがっていることに向き合わせてあげて、『前はできなかったのに、お兄ちゃんになったね!』などと声をかけ、ぜひ褒めてあげてくださいね」(同)
「砂場で遊んでいる」様子を見ていたとしても、そこから何に気づくかが大切だと塩谷先生。一人で黙々と砂を掘って何かを作っているのか(思考力の芽生え)、お友達と協力しながら遊んでいるのか(協同性)など、10項目を元に子どもを見ると、その遊びを通して子どものどんな面が伸びているかがわかるようになります。少し引いたところから子どもを見るからこそ、良い面に気づけるのですね。
「卒園や入学などの節目は、ママたちの意識の切り替え時でもあります。これまでとは少し違った観点で子どもを見ることで、今まで見えなかった部分が見えてくるかもしれません。その意味でも、子どもの中の芽生えに注目するのは良いことではないでしょうか。ただし、第1回でも話しましたが、子どもの成長には個人差があります。『10項目のうち、○○の部分が見つからない…』とマイナス面に目を向けないようにしてくださいね。
そして、入学以降もこの時期に出た芽がどんどん育っていきます。一年後に、『こんなことまでできるようになったね』といったように、親子で成長を振り返るのもいいですね。そんな時間が、子どもをより大きく育てていきます」(同)
小学校の生活で困らないように、勉強でついていけるようにと、入学前はいろいろな準備が必要だと思っていましたが、節目のときだからこそ、子どもの成長を見つけ、褒め、伸ばしていくことが大切なのだということがわかりました。ママだけでなく、パパの視点や園の先生から見て気づいたことなどを共有してもいいかもしれませんね。
子どもは共感してくれる人がいるから、喜んでくれる人がいるからがんばれるもの。その存在がママやパパでありたいものです。入学式を前に、一日一日、目を輝かせて楽しめる日々を積み重ねることで、キラキラした輝かしい小学校生活が待っています!
(取材・執筆:水谷映美)
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塩谷 京子(しおや きょうこ)
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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