日本FP協会会員 CFP®〈サーティファイド ファイナンシャル プランナー〉。
国内損害保険会社に勤務した後、退職し2人の娘さんを出産。育児をしながらFP資格を取得、開業。
個人のマネー相談、企業での女性向け講演のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役
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小学1年生 2016年11月24日の記事
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子です。
私は、ママが楽しく家族と暮らしていく上で知っておくと良いお金の知識を、セミナーや執筆、また個別相談などで発信し、家庭もママ自身も、より満足度の高い生活を過ごしていけるようサポートをしています。
このコラムでは、小学生ママに知っておいて欲しいお金の情報をお届けしています。ちなみに私自身も小学生ママ8年目! 一緒に学んでいきましょう。
■教育資金の一括贈与制度はこういうもの
祖父母等から教育資金を非課税でもらえる制度が2013年4月からスタートしています。祖父母が金融機関から話を聞いてきて乗り気になっているケースもあるのでは?
また、年末年始に帰省する時に、もしかしたらこの制度の話が出るかもしれません。制度の概要と注意するポイントをまとめます。
まず、贈与税とは何かを押さえましょう。誰かが誰かにお金をあげた場合、身内でも(夫婦でも親子でも)お金をもらった人は贈与税という税金を納める必要があります。
ただし、年間110万円までは税金がかからず、超えた分に税金がかかる仕組みになっています。また、扶養している子どもの生活費について税金はかからないので、学費や仕送りにもかかりません。
贈与税には様々な特例があり、そのうちの一つが「1500万円まで一気に贈与されても、教育資金に使うのであれば30歳までは贈与税は払わなくていいよ」というこの制度です。
<教育資金一括贈与制度のルールと注意点>
●利用できる期間
平成31年3月31日までの期間限定
●非課税となる受贈者(お金を受け取る人)
0歳から30歳までの直系卑属(子ども・孫・ひ孫など)
●非課税となる金額
1500万円まで。その内500万円までは塾など学校以外の習い事に使えます。
●非課税になる教育資金とは?
保育所から国内外の大学院等までの入学試験代、入学金、授業料、施設整備費、遠足・修学旅行費、学校給食費、寮費等です。実際に行かなかった学校の受験代や入学金も対象。
また、500万円が限度の学校外費用には、業者に支払う教科書代や制服代、PTA会費、塾や習いごと、学童、自動車の免許の検定料などが含まれます。寮費等以外の下宿代や、留学の滞在費(通う学校に直接支払う場合は対象)、奨学金の返還金等は対象ではありません。
●子どもが30歳になった時
お金をもらった子どもが30歳になった時、もし使い切れず残っていた場合は、その時点で贈与されたとして、「子ども自身」に贈与税を納める義務が生じます。
●契約の流れ
祖父母などが、信託銀行、信託会社、銀行、証券会社などで手続きをして、信託や贈与契約を結び、教育資金贈与専用の口座を作ります。なお、金融機関は子ども1人につき1つ、かつ変更できないのでご注意を。
親などは適宜お金を引き出して教育資金に使うことができますが、必ず所定の領収書や証明書を提出しなければいけません。金融機関によって、年間分をまとめて渡せばいいところや、直接金融機関から振込してもらうことができるなどいろいろあるので、金融機関選びに注意が必要です。
■制度を使わなくても贈与は非課税!?
冒頭で書きましたように、扶養している子どもなどへの教育資金はもともと非課税です。たとえ祖父母からでも、入学する度、授業料を支払う度、という都度生じる支払いについては非課税。
この制度を使うメリットは、「この先30年間使う予定の資金を先に非課税で贈与できる」点にあり、単に税金をかけたくないという目的であれば、支払いの度に非課税でお金をもらう(直接支払ってもらうなど所定の方法はありますが)ことで対応可能です。
相続対策など、大きく資産を減らしたい祖父母にとって、大きなメリットがある制度と言えますね。
■安易利用で起こり得るトラブル
実はこの制度、安易に利用するのはオススメできません。起こり得るトラブルを知った上で、よく話し合い、活用してくださいね。
<一括贈与制度の利用によって起こり得るトラブルの例>
・祖父母の資産が減りすぎて生活費が不足する
・一部の孫だけに贈与したことによる親族間での不公平感
また、それに伴う相続時のトラブル
・使い切れずお金が余った場合の孫からの贈与税支払に対する不満
・孫が感謝しない(教育資金のために祖父母から贈与を受けたことを子どもにきちんと説明していない)
・上限いっぱいまで贈与してしまい、もう一方の祖父母からの不満
いくら相続対策に活用した場合でも、贈与を受けた場合は子どもにも物心ついた頃からきちんと話し、常におじいちゃんおばあちゃんへの感謝の気持ちを持つことと、制度概要と注意点についても話しておくこと、また、親族間での不公平感が出ないよう全体を俯瞰して検討することが大切です。
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日本FP協会会員 CFP®〈サーティファイド ファイナンシャル プランナー〉。
国内損害保険会社に勤務した後、退職し2人の娘さんを出産。育児をしながらFP資格を取得、開業。
個人のマネー相談、企業での女性向け講演のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役
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