武田さち子
教育評論家。1958年生まれ。一女の母。
「いじめ」のない社会をめざして活動するNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事。Webサイト「日本の子どもたち」主宰。
著書に『あなたは子どもの心と命を守れますか!』、『わが子をいじめから守る10カ条』(ともにWAVE出版)、『子どもとまなぶ いじめ・暴力克服プログラム 想像力・共感力・コミュニケーション力を育てるワーク』(合同出版)などがある。
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生活・しつけ
小学1年生 2016年11月9日の記事
子どもからクラス内のいじめについて相談されたとき、どのように学校へ相談すればいいのでしょうか。
教育評論家、NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事の武田さち子さんにお話をうかがいます。
●わが子が被害者でなくても学校に相談を
武田 「『クラスのいじめをなんとかしたい』と思っている子は、自分ではどうすることもできないので、お母さんに相談をします。
そこで、『あなたが先生に相談しなさい』と言っても、子どもから先生に伝えるのは、とても荷が重いものです。
親が積極的に行動を起こし、学校に伝えましょう。
いじめがクラス内で常に起きている場合、ターゲットが自分の子どもになることも考えられます。他の子のいじめであっても黙っていないことが、わが子を守ることにつながるのです。
大人が解決のための行動を起こすことで、子どもは、『困ったことをお母さんに相談すれば、助けてくれるんだ』と、親を信頼するようになります。
子どもに、クラス内のいじめについて話を聞くとき、事実を整理するために次の『5W1H』で質問し、メモをとってください。このメモが学校に情報を伝えるときの証拠になります。
また、担任の先生のいじめへの対応の仕方も子どもから聞いておきましょう。
・いつ?(When)
・どこで?(Where)
・だれが?(Who)
・なにを?(What)
・なぜ?(Why)
・どのように?(How)
このメモをもとに、まずは学校の担任の先生に相談をします。
先生に相談する前に、
『お母さん、先生に言ってみようと思うんだけど、どう思う?』
と、子どもの気持ちを聞いてください。
子どもは、自分が大人に言ったことを、いじめをしている子に知られるのを恐れています。
『先生に、あなたの名前を出さないように約束してもらうよ』
と伝えましょう。
また、いじめを受けている子の親にも情報を伝えてください。
被害者は、親を心配させたくなくて、いじめられていることを黙っていることがあります。
子どものクラスのいじめ問題は、学校で起こっていることです。
だから、被害者と加害者の親同士で直接連絡を取り合わず、学校をはさんでいじめの加害者に働きかけ、解決していくことがとても重要です」
●学校で、いじめ問題にチームで取り組んでもらうには?
武田 「担任の先生にいじめについて相談しても、問題を抱え込んでしまい、なかなか解決しないことがあります。
その場合は、学校でチームとしていじめ問題に対応してもらいましょう。
平成25年から『いじめ防止対策推進法』が公布され、すべての学校(小中高)に、いじめ対策チームを設置することが定められました。
このチームのメンバーは、学校管理職や生徒指導担当教員、学年主任、養護教諭など、複数の教職員や心理、福祉などの専門的な知識を持つ人たちで構成されています。
学校に相談をするときは、
『いじめ防止対策推進法で、いじめを通報すれば、法律にのっとってきちんと対応してもらえると聞きました。学校のいじめの対策チームの窓口の方をお願いします』
と問い合わせ、いじめの情報を伝えてください。
子どものいじめは、エスカレートすると暴力、恐喝など悪質な行為につながり、いじめられている子を自殺に追い込んでしまうケースもあります。
いじめのターゲットが変わり、わが子が巻き込まれるかもしれません。
子どものいじめ問題は、先手を打って早めに芽をつむことが、わが子を守ることにつながるのです」
いじめによる自殺のニュースを聞くと、「周りの大人は何もできなかったのか?」と疑問を持つことはないでしょうか。
わが子がいじめに直接関係していなくても、親が“いじめは許さない”という立場で、学校に情報を伝えることで、エスカレートするのを止められます。
普段のお子さんとの会話から「もしかして、いじめかも?」と思ったら、ぜひアクションを起こしてください。
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武田さち子
教育評論家。1958年生まれ。一女の母。
「いじめ」のない社会をめざして活動するNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事。Webサイト「日本の子どもたち」主宰。
著書に『あなたは子どもの心と命を守れますか!』、『わが子をいじめから守る10カ条』(ともにWAVE出版)、『子どもとまなぶ いじめ・暴力克服プログラム 想像力・共感力・コミュニケーション力を育てるワーク』(合同出版)などがある。
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