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学校・まなび
小学1年生 2016年6月10日の記事
★小学生になるとむし歯が増える!?[2016/6/10]
《知っておきたい学校歯科健診のこと 後編》 1年生は、歯を自分で守ることを意識づける大事な時期
前回は、学校の歯科健診の後に通知される「歯科健診の結果のお知らせ」の内容について、小児歯科医の兼元妙子先生からうかがいました。今回は、歯科健診からわかる1年生の歯の状況や問題、学校の歯科健診の目的などについてうかがいます。
●学年が上がるに連れて、むし歯が増加
歯科健診を行って、1年生の時期の歯や口の状態にはどんな傾向がありますか?
兼元 「ひと昔前と比べると、むし歯のある子の数は格段に減っています。特に1年生のうちは幼児期の延長で、親御さんが一生懸命手を加えているので、むし歯も少ないし歯の汚れも少ないですね。
でも学童期全体で見ていくと、1年生のうちはよくても、学年が上がるにつれて口の中が汚れてきて、むし歯のある子の数も増えてきます。だんだんと自立してきて、何でも自分でやりたがるようになるため、歯みがきがきちんとできていないことも大きいと思います。
小学生になると自分で歯みがきをするようになるでしょうが、低学年ではまだ手の発達が未熟で細かいところまでうまく磨けません。少なくとも手の機能が整う3年生くらいまでは、夜の歯みがきのときに、最後の仕上げ磨きをしてあげてください」
●歯の交換の時期。指しゃぶりや爪かみに注意
兼元 「1年生の時期の大きな変化と言えば、永久歯への生え替わりが始まることでしょう。この時期に生えてくるのは下の前歯(永久前歯)と、奥歯の6歳臼歯です。
今の子は永久歯の前歯が1本大きすぎる傾向があるために、前歯が生えてくるとき、本来生え替わるべき乳歯だけでなく、その隣りの乳歯もぐらぐらしてしまうことがあります。
そのときに2本とも抜けてしまうと、2本分のスペースに1本の大きな永久歯の前歯が生えてくることになります。するともう1本の前歯が正しい場所に生えることができず、歯並びが乱れる可能性があります。
また、最近は生えてきた永久歯のエナメル質形成不全も多く見られるようになりました。これは前回のCOのところで説明した、歯の表面のカルシウム質が少ないために白っぽくなってくるものです。ブラッシングなどのケアを怠ると、むし歯になる恐れがあります。
また、歯並びに関して言うと、1年生のうちは、まだ指しゃぶりや爪かみをしている子が見られます。これを続けていると、奥歯の前側が閉じない『開咬』や上下の奥歯が本来と反対の噛み合わせになる『交叉咬合』といった問題が生じてきます。今のうちに直しておきたいですね」
●1年生のうちから歯に対する意識を
兼元 「学校の歯科健診の目的は、前回お話ししたように歯や口の中に問題があるかどうかをふるいわける段階の検査である同時に、『自律的に歯を大切にする意識を育て、生きる力を育てるための学習の機会』でもあります。
ですから、子ども自身が自分の口の中のことを知り、問題があったらどう直そうか、ふだんから歯のためにどういうことをすればいいかを考える力を育てるための機会と考えていただければと思います。
学童期は、身の回りのことを自分でできるようになる時期。このときに子どもが自ら歯を大切にする意識を育てることはとても大切なことです。
そうでなければ、親御さんが手をかけ、学校が指導している今のうちは歯の健康を保てても、周囲のサポートがなくなったらとたんにむし歯が増えてしまうということになってしまうからです。
家庭でも、歯科健診結果のお知らせをきっかけに、家族で歯について話し合う習慣を作りましょう。
もし検診の結果、子どもにむし歯が見つかったら、『むし歯あったわね、じゃあ歯医者さんに行こうね』というだけではなく、こをれ以上むし歯ができないようにするには、どうしたらいいかということ子どもに考える機会を作ってください。むし歯がなかった場合でも、その状態を持続するために毎日何をするかを考えることが大切です。
『むし歯があったら体によくないんだよ』
『むし歯のばい菌があったり、歯肉炎があるとインフルエンザにもなりやすいんだよ』
など、歯はもちろんのこと、体や食事などにも話題をつなげながら、歯の健康を守るためにはどうすればいいか、子どもに伝えていっていただきたいと思います」
歯の健康は寿命にも関わってくると言われています。子どもが将来、自分で歯を守れるようになることが重要なのですね。
兼元先生、ありがとうございました。
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