兼元妙子 (かねもと たえこ)
タエ小児歯科クリニック院長。日本小児歯科学会専門指導医として、約40年子どもの歯の治療に携わる。現在、千葉県小児歯科医会会長、日本学校歯科医会常務理事などを務める。
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学校・まなび
小学1年生 2016年6月9日の記事
学校で行われる歯科健診の結果のお知らせが通知されてくる時期。あまりなじみのない表現や記号にちょっと戸惑う人もいるのでは。日本学校歯科医理事で、タエ小児歯科クリニック院長の兼元妙子先生に、検診結果の通知の読み方や1年生の歯で気をつけたいことなどについてうかがいました。
●今年度からむし歯のない子にも通知がいくように
歯科健診の結果を見ていると、ちょっとなじみのない表現などがあって、わかりにくく感じます。どう判断したらいいかを教えてください。
兼元 「すでにお手元に歯科健診の結果のお知らせが届いているご家庭も多いかと思います。実はこれまで健診結果は、主にむし歯など治療が必要と判断された子に送られていました。
しかし平成26年度に学校保健安全法施行規則の一部改正があり、今年度(平成28年度)からは、歯科健診を受診した児童全員へ通知することになりました。むし歯の有無に関わらず、通知がきたらそれをきっかけとして、家族で歯の健康について話し合っていただきたいと思います。
歯科健診を含む学校健診については、ほかにもいくつかの改正点があります。
例えば、健診を受ける前に、親御さんたちは『調査票』を書かれたかと思います。これも今年度から、健診の前に必ず家庭で記入してもらうことが決められました。歯の痛みや歯肉の腫れ、噛み合わせなど、地域や学校の状況に応じた疑問点や、学校保健会や学校歯科医会などで定められた5〜6項目を入れています。
何の前情報もない状態で歯科健診をしても、短い時間ではわからないこともいっぱいあります。でも調査票があれば、症状がありそうな部分を念入りに診たり、それを見ながら子どもに質問することもできます。だから事前の調査はとても大事なんです」
●「異常なし」でもむし歯がないとは限らない
兼元 「歯科健診結果のお知らせには、大きく分けて3つの項目があります。『歯・口の健康診断結果のお知らせの例』で見てみましょう。
1つめは『とくに問題が見つからなかった』です。親御さんとしては、ひとまず安心でしょうが、この結果でも油断は禁物です。学校健診は、あくまで歯や口の中に問題があるかどうかをふるいわける検査。歯科医院でレントゲンなどを使って精密検査を行うことで、むし歯などがあるかどうか確定診断ができるのです。かかりつけ医の定期検診など、継続的な指導や管理を受けるようにしましょう。
2つめが『経過観察』の項目です。軽い段階の問題があり、観察が必要な状態です。ここにCOとGOと出てきます。COはごく初期のむし歯のことで、むし歯の一歩手前の状態と言ってもいいでしょう。同様に、GOは、歯茎の炎症のみで歯石などがついておらず、歯肉炎になる手前の状態を表します。ちなみにむし歯『C』、歯肉炎は『G』で表わされます。
むし歯というのは、穴があくなど歯が欠損している状態なのですが、COというのは、まだ穴があいておらず、表面のエナメル質の部分が透明感をなくし、白っぽくなっている状態です。ただし基本的には治療の必要はなく、フッ素入りの歯みがき剤でブラッシングするなど、歯のケアをきちんとしていれば自然治癒も可能とされてきました。
ほかに『経過観察』としては、歯みがきの不足(歯垢)や噛み合わせ不良などが該当します」
むし歯はもちろんですが、子どもにも歯肉炎があるということはちょっと驚きですね。
●「CO要相談」という項目に注意!
兼元 「3つめが『受診のおすすめ』です。ここにチェックが入った人は、この紙を持って歯科医を受診してください。
ただ、COであっても、限りなくCに近い状態のCOもあります。今は穴があいていないけれど、このままでいくと短期間でむし歯になりそうな状態ということです。この場合はCOでも歯科医の検査の必要があるということで、『CO要相談』と通知されます。これも今年度に新たに加わった項目です。
また、×の記号で表される『要注意乳歯』というのは、ぐらぐらしていたりして、抜いたほうがよい乳歯があり、そこに後ろから永久歯が生えかけていて、後々の歯並びに影響が出るかもしれないという状態です。学校歯科医は、抜いたほうがいいかどうかという判定ができませんので、歯科医に診断してもらう必要があります」
ひとくちにむし歯と言っても、いろいろな状態があることがわかりました。兼元先生、ありがとうございました。
次回は、1年生の歯の傾向や学校の歯科健診の目的などについてうかがいます。
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