宮川知士
東京都立小児総合医療センター 呼吸器科・結核科医長。
日本小児科学会専門医。専門分野は小児呼吸器疾患。
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生活・しつけ
小学1年生 2014年1月21日の記事
★カゼだけではない!? 咳が出る理由を教えて!
《子どもの咳・前編》 咳は、身体に有害なウイルス・細菌などを追い出すために起こる反応です。
「コン、コン」「ゴホン、ゴホン」… 子どもが咳をしていると心配になってしまいますよね。特に咳が長引いていると、何か病気が隠れているのでは… と、なおさら気になります。
子どもの咳について、東京都立小児総合医療センター 呼吸器科医長・宮川知士先生にお話を伺いました。
●咳は体内の異物を出すために起こる
そもそも、咳はなぜ起こるのでしょうか?
宮川 「口から肺への空気の通り道にはセンサーがあり、ウイルスや細菌などの異物が入ってくると、反射的に咳が起こります。
また、体内に溜まった痰を出そうとするために起こる咳もあります。
さらに、アレルギーがある場合は、冷たい空気、化学物質、煙(タバコなど)が入ってくることによって咳込むことも。
ただし、これらが全くないのに起こる咳の場合は、心因性の可能性もあります」
●咳止め薬を服用しないほうがいいケースも!?
なるほど、咳は外敵から身体を守るための反応なんですね。咳が続くと、咳止め薬を服用したほうがいいのかなと思ってしまいますが…。
宮川 「咳止め薬は、あくまでも症状をやわらげる対処療法にすぎません。咳の出る原因を特定して治療することが大切です。
例えば、鼻づまりにともなう咳であれば、鼻水を止める抗ヒスタミン剤、鎮痛薬を、アレルギー性鼻炎が原因であれば抗アレルギー剤を処方します。
また、痰を出したくて咳をしているのに、無理に咳止め薬で止めてしまうと、かえって症状が悪化することがあるため注意が必要です」
●乳幼児期は大人と同じように咳ができない
幼稚園から小学校低学年の子どもの場合、大人と咳の仕方に違いはあるのでしょうか?
宮川 「はい。子どもの咳を診断するときは、『乳幼児期(幼稚園以下)』、『学童期(小学生)』とで分けて考えます。
乳幼児期は、呼吸に関わる臓器や機能が大人と同じように発達しきっていないため、空気の通り道もやわらかく未熟です。ですので、咳をする力がまだ弱い傾向にあります。
一方、学童期は、身体が大人に近づいてきているので、しっかりと咳ができるようになります。
これは、体に有害なものを排除しようとする力が備わってきているということ。
乳幼児期と比べ、学童期になると咳の原因も特定しやすくなります。
これまで、たくさんの子どもたちを診察してきましたが、乳幼児期から学童期に成長するとカゼをこじらせにくくなると感じていますね」
なるほど。咳がしっかりできるのは、大人の身体へと近づいてきているということでもあるんですね。
次回は、咳の出る時間帯などから考えられる原因を教えていただきます。
ぜひチェックしてください!
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