- トップページ >
- 生活・しつけ >
- 「中耳炎はクセになる」ってホント?
生活・しつけ
年長 2014年2月12日の記事
「中耳炎はクセになる」ってホント?
《子どもの中耳炎 1 》 子どもに多い耳の病気=中耳炎。何度も繰り返したり、長引かせたりしないポイントを知っておこう!
子どもが突然「耳が痛い!」と訴えて、気付くことが多い中耳炎。
中耳炎は、幼児期の子どもにはよくあるポピュラーな病気ですが、なかには何度も発症を繰り返したり、治り切らずに入院したりというケースもあるようです。
そのため「中耳炎はクセになる」という表現を聞くこともあると思いますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
そして、もし本当ならば「クセにしない」方法はあるの?
今回から3回に渡り、「子どもの中耳炎」の正しい治療や予防の仕方をご紹介します。
教えてくださったのは、「みやのこどもクリニック」院長の小児科医・宮野孝一先生です。
●中耳炎のほとんどは、鼻の症状が原因
そもそも中耳炎とは、どんな病気なのでしょう。「中耳炎になりやすい子」というのは、何か特徴がありますか?
宮野 「中耳炎とは、耳の鼓膜の奥の『中耳』という部分に細菌が感染し、炎症を起こしたものです。
急性中耳炎の典型的な症状は、発熱と耳の痛みです。
ある日突然、高熱と強い耳の痛みが起こる場合もあれば、微熱がある程度で、あまり痛みがないケースもあり、症状はそのときどきで異なります。
急性中耳炎は、風邪などの感染症にかかった後に発症することがよくあります。
人間の鼻と耳は『耳管』という管でつながっていますが、子どもは大人に比べて耳管の長さが短く、角度も水平に近いという特徴があります。
そのため風邪を引いて鼻水が出た後に、鼻水に含まれていた細菌が耳に到達し、中耳炎を起こすわけです。
子どもの中耳炎は鼻の症状から来ることがほとんどなので、風邪をひきやすく鼻水がよく出ている子、また副鼻腔炎などで鼻に慢性的に炎症がある子は、中耳炎にもなりやすいといえます」
●中耳炎や鼻の病気は、しっかり治すことが大事
よく「中耳炎はクセになる」という言い方がありますが、何度もかかってしまう子がいるのは、なぜでしょう?
宮野 「急性中耳炎にかかった後、熱や耳の痛みがなくなったからと、途中で薬や治療をやめてしまうと、残っていた細菌によって再発したり、重症化したりすることがよくあります。
また、急性中耳炎が治り切らずに軽い炎症がずっと続くと、鼓膜のなかに水(滲出液 ※しんしゅつえき)がたまる滲出性中耳炎になることもあります。
こうして慢性化すると、治療にもそれだけ時間がかかってしまいます。
中耳炎を繰り返さないためには、まず『医師の指示を守ってきちんと治す』ことが重要です。
処方された抗生物質をしっかり飲むことはもちろん、最初の受診で医師に『軽い中耳炎なので様子をみましょう。三日後にまた来てください』といわれたときは、必ず三日後にまた受診してください。
『軽いといわれたし、大丈夫だろう』と受診を怠ってしまい、その結果、悪化したり、慢性化してしまうケースも少なくありません。
また中耳炎の予防のためには、鼻水をためておかないことも大事です。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気がある子は、耳鼻科を受診して、きちんと治しておきましょう。
そして『鼻水が出たら鼻をかむ』習慣をつけるようにすることです。
年に6回以上など、あまりにも頻繁に中耳炎を繰り返す場合は、免疫異常の病気が隠れている可能性もあります。
その場合は大きな病院を受診して、必要な治療を受けてください」
医師の指示通りにきちんと治療することと、鼻水をためないこと、それが子どもの中耳炎を「クセにしない」ポイントのようです。
次回は「子どもに鼻をかませる方法」について、さらに詳しくお聞きします。
プロフィール
『みやのこどもクリニック』院長。1955年生まれ。
弘前大学医学部小児科入局後、主に小児白血病、骨髄移植の研究に従事。
秋田赤十字病院、盛岡赤十字病院などを経て、91年青森市民病院小児科NICU部長。
94年墨田区賛育会病院、江戸川区池下クリニック副院長。
98年「みやのこどもクリニック」開業。
日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会認定医、昭和大学医学部兼任講師。