都内を中心に18校でアフタースクール(一体型放課後施設等)を運営するほか、千葉市内17校などで放課後支援を行う。放課後の小学校の施設を活用し、全学年が保護者の就労にかかわらず参加できるアフタースクールを開校。地域住民の参加により、さまざまなプログラムを提供している。子どもたちに安全で豊かな放課後を届けることを目指し、「地域で子どもを育てる」アフタースクールを作り続けている。
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学校・まなび
年長 2019年1月10日の記事
4月1日からスタート。学童の1年、どんなスケジュール?
学童ってどんなところ?【後編】
学童保育(以下、学童)に入所する子どもにとって、そこは小学校と同様に長い時間を過ごす場所。前編では、子どもが毎日、学童でどのようなスケジュールを過ごしているのかをお聞きしました。今回は、新1年生の学童での1年間について、引き続き、関東を中心に学童を開校している放課後NPOアフタースクールの有坂絢子さんにお話しをお聞きしました。
●学童は4月1日からスタート。各自で慣らし期間を作っても
前編では、板橋区立上板橋第四小学校あいキッズを例にして、学童の1日のスケジュールを教えていただきました。今回は1年の流れを教えてほしいのですが、そもそも学童は何月何日から始まるのでしょうか?
「小学校の入学式は4月の第2週あたりですが、学童はそれより早く、4月1日から始まります。保護者の方の就労支援が目的ですから、初日でも午前8時から午後7時まで在室できます。
ただ、保護者の方の判断でお迎えの時間を早めることはできるので、可能ならば1日めは昼まで、2日めは夕方まで……というように、保育園でいう“慣らし保育”のような期間を設けるのもいいと思います」(有坂さん)
保育園児の場合、最終登園日の翌日から学童へ通所というケースもありえます。1日と置かずにガラリと環境が変わるため、できる限り子どもへのフォローをしたいものですよね。
「学童が4月1日から始まるのには、いい面もあります。入学前に新しい環境を経験しておけること、同学年、異学年に知り合いを作れることで、小学校という新しい環境になじむための心身の負担がやや軽減する場合もあります」(同)
なるほど! 確かに、入学式の圧倒的な人数の中に知り合いを見つけられれば、心強く感じられそうですね。
●1学期から夏休みまでは、新しい環境に慣れていく時期
4月1日から開始する学童で、子どもは1学期をどのように過ごすのでしょう? 板橋区立上板橋第四小学校あいキッズを例に挙げて教えていただきました。下記行事のほか、スタッフ主催のプログラムも月2回行われるそうです。
○4月
・新1年生オリエンテーリング
…新1年生に対して、学童での生活の様子やルールを説明。入所数日後と入学直後の2回行われる。他学年の子どもとの自己紹介も。
・通学路探検「あいキッズクエスト」
…新2年生が新1年生の手を引き、まだ明るい時間に集団下校をプレ体験。
・季節の工作
・お誕生日会
・避難訓練
※4月のうちは子どもが生活リズムに慣れていないため、下校時刻になると学童のスタッフが小学校まで子どもを迎えに行くケースも多い。
○5月
・母の日プレゼント工作
・お誕生日会
○6月
・親子向けイベント
…親子で参加できるイベントを開催。2017年は「親子のためのおそうじ学」。
・季節の工作
・お誕生日会
○7月
・七夕イベント「七夕たんざくをかざろう!」
・お誕生日会
○8月
・夏祭りイベント「あいキッズサマーフェス」
・水遊びイベント「ウォーターバトル」(月4回)
・季節の工作
・お誕生日会
では、新1年生にとって4月から夏休みまではどんな期間なのでしょうか?
「初めて過ごす場所や人になじんでいく時期なので、とにかく毎日がハードです。学童に通っていない子どもでさえ、帰宅すると疲れて食事もせずに眠ってしまうことがあるそうですから、小学校と学童の両方で新しい環境に慣れる必要がある子どもは、相当の心身の負担があるはず。わが家の子どもも、特に4月は学童が終わると疲れ切ってフラフラしていました。
夏休みもまた疲れます。せっかく小学校生活に慣れたころに、再び生活リズムが変わりますし、夏休みの宿題という負担もあり、フラストレーションをためがちです。学童という場所で今までにない長時間を過ごすことになるので、学童に楽しみを見出した子にとってはうれしい一方で、不自由さを感じる子もいるでしょう」(同)
1学期から夏休みは、子どもへの負担がとても大きいのですね。保護者は十分な睡眠をとらせたり、一緒に過ごす時間を取るようにしたりと、フォローに努めたいものです。
●2学期から冬休みは、子どもが自分のペースをつかむ時期
続いて、2学期から冬休みまでのスケジュールを教えていただきましょう。
○9月
・敬老の日イベント
・お誕生日会
・避難訓練
○10月
・運動会「あいキッズ運動会」
・十五夜イベント
・ハロウィーンイベント
・お誕生日会
○11月
・お買い物遊びイベント「あいキッズマーケット」
・季節の工作
・お誕生日会
○12月
・冬休みイベント「あいキッズウインターフェス」
・季節の工作
・お誕生日会
・避難訓練
イベントが盛りだくさんの2学期から冬休み。この期間は、子どもにとってどんな時期なのでしょうか。
「2学期になると、新1年生は少し落ち着いた雰囲気に変わります。通学路や小学校、学童といった場所にも慣れ、それぞれの場所での人間関係も少しずつできあがって、本人らしいペースのつかめる子が多いのだと思います。それにともなって、秋以降になると、スタッフが主導しなくても子どもが主体的にイベントを進めることができるようになります」(同)
小学生になると、自分のしたいことを自分で実現する力もついてくるもの。学童では上級生と協力してイベントを実現することで、学校とはまた違った成長も見られるのかもしれません。
●3学期の終わりから春休みは、子どもがぐんと成長する時期
最後に、3学期と春休みについて、子どもたちのスケジュールを教えていただきましょう。
○1月
・書初めイベント
・お正月遊び、昔遊びイベント(2回)
・季節の工作
・お誕生日会
○2月
・節分イベント
・バレンタインデーイベント
・お誕生日会
○3月
・あいキッズみんなの会
・ひなまつりイベント
・お誕生日会
2年生への進級を目前に控えた3学期以降は、子どもにとってどんな時期なのでしょうか。
「特に3月から4月にかけては、子どもの成長が目覚ましい時期です。学童のスタッフが『もうすぐ新1年生が入ってくるから、お兄さん、お姉さんになるね。自分が教わったことをきちんと教えてあげてね』と上手くモチベーションを上げてくれたりするのもあって、本当に顔つきが変わるんですよ。
気持ちの変化は3月くらいからあると思いますが、変化がわかりやすいのはやはり4月。新1年生が入ってくると急にしっかりして、『ランドセルは自分のボックスに入れるんだよ』『靴はぐちゃぐちゃに散らかさないでしまっておこう』など、今まで自分が言われてきたことを指導するようになるんです」(同)
そんな姿を目撃したら、感動で泣いてしまいそうです! なお、保護者向けには年2~3回の保護者会、年1~2回の個人面談といった機会もあるそう。
子どもの1年が楽しく充実したものになるよう、時期に会わせて子どもをフォローするとともに、周囲の保護者や学童のスタッフとも手を取り合っていきたいですね。
(取材・執筆:有馬ゆえ)