佐藤 和紀(さとう かずのり)
常葉大学 教育学部 初等教育課程 専任講師 。
上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭・主任教諭を経て現職。この間、東北大学大学院博士課程後期に編入学。文部科学省「情報通信技術を活用した教育振興に資する調査研究」パフォーマンス評価検討委員、同 学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議 効果的なICT 活用検討チーム委員、同 次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」企画検討委員等を務める。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年8月8日の記事
これからの子どもが必然的に触れることになるコンピュータやITの世界。来たる日のために大人が知っておくべきことを紹介する「ITリテラシー」の連載5回目は「ゲーム機器」がテーマ。おそらく、どの親も気になっているのではないでしょうか? 与えるときのポイントを常葉大学教育学部初等教育課程 専任講師の佐藤和紀さんに教えていただきました。
最近では持ち運べるポータブルゲーム機から、パソコンやタブレットなどを使ってオンラインでプレイするものまで、さまざまな「ゲーム」がありますが、親としては心配の種。「本はいいけど、テレビやゲームはダメ」と思ってしまいがちです。
「本や絵本は子どもによくて、テレビやゲームはよくないと言われることがあります。『読み聞かせ』は親子の関わりがとても多く、子どもがひとりで読んでも国語力や想像力の向上などが期待できます。ただし、暗い場所では目に負担がかかったり、内容によっては好ましくなかったりする場合も。テレビやゲームは、子どもだけで完結できるという特徴があり、没頭すると生活習慣が乱れたり、親子の関わりが少なくなったりするかもしれません。しかし、教養が身につくテレビ番組や教育的価値の高いゲームなど、有益なものもあります。つまり、いずれもメリットとデメリットがあるのです」
では子どもがゲームをするときに、メリットを生かす方法はあるのでしょうか?
「ゲームの時間を、親子で関わり合える時間にすることが大切なのではないでしょうか。そのために、親が一緒に楽しむのもよいと思います」
親が没頭してしまうと生活に支障を来しそうですが……、一度も触ったことがないより、少しでも経験するとよいことがありそうです。
「一緒にゲームをやってみると、なぜ多くの人がそのゲームにはまるのか、子どもが何に対して面白さを感じているのか、そのゲームが子どもにとって有害な点はないかなど、これまでわからなかったことが、わかるようになることがあります。一緒にやるのが難しいなら、ときどき見てあげるだけでもいいでしょう。親御さんも毎日忙しいとは思いますが、『放置しない』が大切です」
最近はゲームの中での課金やオンラインでのつながりなど、これまでのゲームにはなかったさまざまな環境があります。何ができて、何が危なくて、何が楽しいのか、といったことを親が知っておいた方が安心でしょう。
また、子どもがゲームの話をしても理解ができるので、親子のコミュニケーションが増えたり、子ども自身が経験をアウトプットする力につながったりするのかもしれません。
そうはいっても「やり過ぎないでほしい」と思うのが親心。やはり厳格なルールが必要なのではないでしょうか。
「ルールは必要です。ただし、親が強制的に押しつけないことが大事だと思います。子どもと一緒に作るようにしてください。子どもが自分で作ったルールなら、納得した上で守ることができます」
親が勝手に作ってしまいがちですが、それでは破りたくなってしまうもの。自分で作れば責任が持てることでしょう。また、親がゲームを一緒に楽しんで面白さなどを理解していることで、ルールを作りもスムーズに進みそうです。
ルール作りのポイントは、次の5つだそう。
・時間に関するルール
どの時間帯にするか、1日にどれくらいか、など
・料金に関するルール
ソフトやアイテムの購入をしてもよいのか、自分のお小遣いで買うのか、など
・ネット利用に関するルール
ネット利用を許可するか、ネットでの交流を許可するか、アプリのダウンロードを許可するか、など
・場所に関するルール
充電器をどこに置くか、充電器を持ち運べるようにするか、自分の部屋でやってもよいか、など
・その他(ルールを破ったときのルールなど)
ルールを破ったら1回目は警告、1週間取り上げる、1カ月お小遣いなし、など
「ルールを破ったときのルール」とは、目から鱗。これも子ども自身が決めれば、納得感が増すでしょうね。
ルールを決めても、こっそり破ってしまうこともあるかもしれません。また、ルールを破るつもりがなくても、うっかり危ない目に遭うことは避けたいものです。
「ペアレンタルコントロールはぜひ設定してください。保護者による機能制限のことで、ネット利用ができないようにもできます」
例えば、現在のゲーム機では、年齢制限のあるソフトやインターネットブラウザー、商品やサービスの購入など、さまざまな項目を禁止できます。スマートフォンでも設定項目やアプリが用意されているので、子どもを守るために活用しましょう。
「絶対にゲームを与えない」「好きなだけやらせてあげたい」など、家庭によって方針はまちまちでしょう。でもルールを決めるなら、親子で一緒に考えることが大切。また、危ない目に遭わせないような設定をしてあげるのも親の役目と言えそうです。
(取材・文:栃尾江美)
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