佐藤 和紀(さとう かずのり)
常葉大学 教育学部 初等教育課程 専任講師 。
上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭・主任教諭を経て現職。この間、東北大学大学院博士課程後期に編入学。文部科学省「情報通信技術を活用した教育振興に資する調査研究」パフォーマンス評価検討委員、同 学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議 効果的なICT 活用検討チーム委員、同 次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」企画検討委員等を務める。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年6月19日の記事
私たちの生活には、もはやコンピューターやスマートフォンなどのIT機器が欠かせません。また、今後はさらに加速するとともに、子どもの教育としても無視できないものになっています。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット、プログラミング教育やゲーム……。そんな時代に必要なのは、インターネットやコンピューターと上手に付き合って行く能力。これからの時代は、どんな人にもITリテラシーが必要です。子どもに教えるためにはまず親から、ということで、この連載では全5回にわたり、ITリテラシーについて紹介します。
連載の第1回は、メディア(=情報を得る手段)がテーマ。雑誌やテレビ、ラジオくらいしかなかった昔と違い、インターネットが普及した今は、スマホやタブレットから多くの情報を簡単に手に入れられます。そこで、お母さんが備えておくべきメディアリテラシーについて、常葉大学教育学部初等教育課程 専任講師の佐藤和紀さんに教えてもらいます。
インターネットの時代になり、どんな人でも情報を発信できるようになりました。それにより粗悪な情報も多く、受け取る側が注意しなくてはなりません。受け取る側の力としてよく言われるのが「メディアリテラシー」。それはどのようなものなのでしょうか。
「メディアリテラシーとは、ひと言で言うと『情報を正しく見るための力』です。文字を書いたり計算をする能力と同様に、生活のさまざまな場面で必要になる汎用的な能力と考えていいでしょう。しかし、親の世代は、学校でメディアリテラシーを教わっていません。インターネットだけでなく、テレビや新聞などを含め、情報を正しく見るための力を親自らが備える必要がある。特に、ニュースなどを批判的に見ていく力が求められると思います」(佐藤さん)
新聞や雑誌などの場合、情報を発信するのは専門家やプロの書き手。そこに校閲者のチェックも入り、間違えた情報はできるだけ載せないように何重ものチェックを経てから世の中に出るのが一般的でした。しかし、インターネットが普及した今、誰でも情報を発信できるようになっている、と意識しておかなければなりません。見聞きした情報をそのまま鵜呑みにしてしまうと、間違った解釈のまま生活してしまうこともあります。それによって、子どもが被害に遭ったり、家族の健康などを害することもあるかも……。そうならないためにも、まずは情報を疑ってかかる姿勢が大切なようです。
「情報が正しいかどうかをチェックするためには、いくつかの別のメディアを見てみたり、出典を確認したりして、さまざまな情報源をチェックするとよいでしょう。書いているのが誰なのか、ということも1つの判断基準になります。インターネットの場合は新聞やテレビに比べて個人が発信できるため、チェック機能が少なく、信頼性が低いと捉えた方がいいでしょう。その場合は発信している人が、ライターなのか、ジャーナリストなのか、専門家なのか。さらには普段どんな考えを持っている人なのかを知っておくと、より正確な内容が掴めます」(佐藤さん)
同様に、LINEなどで友だちから届く情報も、疑ってかかるほうがよいとのこと。
「情報に対する姿勢は、メディアもLINEなどのSNSも同じ。情報源を辿る必要があるでしょう。SNSの場合、子どもがやる『伝言ゲーム』を想像するとわかりやすいと思います。伝言ゲームは、間に入る人の人数が多ければ多いほど、情報がゆがんでいきます」(佐藤さん)
あらゆる情報を「本当だろうか?」と疑ってみたあと、正しさを裏づける情報を自ら取りにく――そういう姿勢が大切なのですね。
ただし、発信元の信頼性に重きを置きすぎると、大切なことを見失うこともあるそう。
「例えば、匿名のブログが国家や政治に影響を及ぼすこともあります。『保育園落ちた日本死ね』のエントリーなどはひとつの例です。個人の発信は、今の社会が抱えている問題を凝縮していることも多い。こういった内容の発信は、現代社会に起こっているひとつの事実として捉える。そんなバランス感覚も必要です」(佐藤さん)
子どもと一緒に調べ物をするときなど、親として注意すべきことはあるのでしょうか。
「夏休みの自由研究のテーマになるようなことは、しっかりした出版社や機関が情報提供していることが多いため、信頼できる提供元から発信されている情報を当たるのがよいでしょう。その上で、ニュースなどと同様に、いろいろな情報源に当たることも有効です。例えば、都道府県の人口を調べる際に、インターネットや地図帳、書籍などで調べられると思いますが、それぞれ数字が異なっていることがあります。その場合『どうして違うのだろうね』『どれが一番信頼できそう?』『新しい方が正確かな?』などと、一緒に考えながら進めることが、親と子どものメディアリテラシーを育てるのではないかと思います」(佐藤さん)
情報を鵜呑みにせず、疑いの目で見たり、複数の情報源を当たるといった姿勢が、メディアリテラシーの基本。親だけでなく、子どもにも同じようにリテラシーを身につけてあげられるよう、心がけたいですね。
(取材・執筆:栃尾江美)
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佐藤 和紀(さとう かずのり)
常葉大学 教育学部 初等教育課程 専任講師 。
上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭・主任教諭を経て現職。この間、東北大学大学院博士課程後期に編入学。文部科学省「情報通信技術を活用した教育振興に資する調査研究」パフォーマンス評価検討委員、同 学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議 効果的なICT 活用検討チーム委員、同 次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」企画検討委員等を務める。
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