中垣俊子(なかがき としこ)
認定心理士。保育士。アドラー心理学・アートセラピー・夢分析・色彩心理学を学び、個性を活かした女性のあり方を研究。女性が抱える心の問題を取り上げ、共に考え、歩むカウンセリングリーム「コルネット」を創設。人と社会の幸せを実現しようとするアドラー心理学に基づく民間学童施設「アドラーこども学校」の校長も務める。著書に『7歳からは、見つめて、待って、ちょっと話す』(PHP研究所刊)などがある。
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生活・しつけ
小学1年生 2016年11月16日の記事
前回は、心が折れやすい、くじけやすい子に対してのほめ方のポイントなどを心理学士であり、学童施設「アドラーこども学校」校長の中垣俊子さんにうかがいました。
今回も引き続き中垣さんに、くじけやすい子に対しての言葉がけについてお聞きします。
●励ますのは逆効果になることも
くじけそうな子どもを励ますときは、どうすればいいでしょう?
中垣 「もし子どもがやる気まんまんで、『明日の運動会はやるぞ!』などというときには、親も『頑張れー!』と、ちょっと大げさに励ましても問題ありません。でも、ちょっと心配になっていたり、不安になっていたりする子に対しては、励ましも逆効果になることもあるので注意が必要です。
本人が『不安だし、うまくいかなかもしれないし、やりたくない』と思っているときに、大丈夫よと言っても、自分の気持ちをわかってくれないとか、イヤイヤやらさせるとか、そういう印象を持ってしまうことがあるからです。
お母さんから見ると、結局嫌でもやらなきゃならないんだからと、愛を持って、成長してほしいから励ましているのですが、子どもにとっては強制されていると感じてしまうんですね。
こんなときは、励ましの言葉よりも『そう不安なんだね』とか『ちょっとおっくうなのかな?』とか『うまくいかなそうで心配?』と、気持ちをわかってあげるような言葉がけをするだけでいいのです」
●やってほしくない行動には、特に注目をしない
くじけていつまでもぐずぐず言っているだけの子に、ハッパをかけるのはどうでしょう?
中垣 「自分からやろうとしない子には、あまり注目しないことがポイント。わざわざ『やりなさい!』などと言わなくてもいいんです。子ども自身がやる気になるのを待つという意味もありますが、やらないことでお母さんの注目をひくという行動をしていることもあるからです。
ダダこねなども同じですね。勉強や宿題をやらないことでお母さんの関心を得ようとしている場合がありますから、それにガミガミ言ってしまうと、子どもの思うつぼです。
子どもが『お母さんは、自分がいい取り組みをしているときにこっちを見てくれるんだな』という感覚をもてるようにするには、こうしてほしいなという行動に注目をするほうが効果的です。
裏返せば、叱るにしても、ほめるにしてもそれだけお母さんの言葉にはパワーがあるということです」
●お母さんは、不安や泣き言が言える存在であればいい
お話をうかがっていると、もう少し深く関わってあげてもよいのでは? という気もしますが……。
中垣 「子どもは子ども同士の間での悔しさ、恥ずかしさも経験しますが、友だちの励ましやほかの先生、大人からのアプローチなど、お母さんがいないところでのいろいろな経験も、勇気を出すということのきっかけになっているはずです。それら全部をひっくるめて、子どもは育っていくのです。
ですから、お母さんが全部自分でやらなくちゃなどと思わずに、お母さんはお母さんの役割だけを果たせばいいのです。どういうことかというと、子どもがお母さんに不安だよとか、泣き言を言えるようにしてあげればいい。
お母さんはわかってくれる、お母さんが『これ、やってみない?』って誘ったことはだいたいできるんだとか、そういう存在でいてくれればいいんです。
くれぐれも『このレベルまで引き上げよう』というコーチにならないでください。コーチはほかでやってくれる人がいます。でもお母さんの代わりはいないのですから」
叱咤激励するのではなく、くじけた子どもの気持ちを親がしっかり受け止めることで、子どもは立ち直れるというわけですね。
中垣さん、ありがとうございました。
次回は、心が折れてしまった子どもへの接し方をタイプ別にうかがいます。
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中垣俊子(なかがき としこ)
認定心理士。保育士。アドラー心理学・アートセラピー・夢分析・色彩心理学を学び、個性を活かした女性のあり方を研究。女性が抱える心の問題を取り上げ、共に考え、歩むカウンセリングリーム「コルネット」を創設。人と社会の幸せを実現しようとするアドラー心理学に基づく民間学童施設「アドラーこども学校」の校長も務める。著書に『7歳からは、見つめて、待って、ちょっと話す』(PHP研究所刊)などがある。
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