東ちひろ
幼稚園・小学校教員、中学校相談員、教育委員会勤務 (教育相談総括指導員)の経験を経て、「一般社団法人子育て心理学協会」代表理事。心理学とコーチングの知識を活かし、子育てに関する電話相談や講演などを行っている。プライベートでは二児の母でもある。
著書:『男の子をぐんぐん伸ばす!お母さんのコーチング術』(メイツ出版)、『子どもが伸びる魔法のコーチング』(学陽書房)、『スペシャリスト直伝!教室で使える! ほめ方・しかり方の極意』(明治図書出版)など。
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生活・しつけ
年長 2015年5月29日の記事
こんにちは。子育て心理学カウンセラーの東ちひろです。
お母さんの子育ての悩みの種の1つに「宿題」があります。
学校の宿題、塾での宿題、お稽古事での宿題などをクリアすることによって学んだことが定着し、ステップアップしていけます。
しかし、宿題は毎日地道に根気強くしていくものですので、他の楽しいこと、新しいことに興味を持ちやすい子どもにとってみれば、面倒なこと、できればやりたくないものの部類に属することが多いですね。
子どもが宿題をやらずに、テレビを見ていたり、ゲームをしていたり、遊んでいたりしていたら、お母さんは、「いつになったらやるのよ」「ずっと宿題やらないのでは」と不安になり、何回も子どもに声をかけていくうちに、どんどん怒りに変わっていくことがあります。
今回は、そんなお母さんのお悩みの解消法を3つお伝えします。
【1】子どもが「YES」「NO」で答えやすい質問をする
宿題になかなか取りかからないお子さんに向かって、「早くやりなさい!」と叱ることはないでしょうか? そうすると、子どもは「今やろうと思ってたのに!」と反発し、やる気がなくなってしまうこともあります。
そんなときは、「夕飯までに先に何かやっておいたら? 後がラクよ~」と、お子さんに宿題を先に済ませることのお得感を伝えてみてくさい。
また、子どもの体を心配する母となって、宿題の一部でもやっておくようにすすめるのもいいですね。例えば……
「今日はプールがあったから、早めに眠くなるかもよ。ドリルの宿題だけでも先にやっておいたら~?」
子どもは、なかなか先の見通しを持てません。やるつもりがあっても、ついつい目先のおもしろい遊びにはまって宿題ができなくなってしまうのです。
そして子どもが「YES」「NO」で答えやすい質問をしてみるのも効果的です。例えば……
ママ「今日は、宿題何かあるの?」(毎日あるのをわかってあえて聞く)
子ども「あるよ」
ママ「そうか、たくさんあるの?」
子ども「うん。ドリル2ページと本読み」
ママ「なるほどね。何時からはじめようと思っているの?」(この段階で、おそらく子どもは何も考えてはいない……)
子ども「う~ん、5時かな……」
ママ「なるほどね。ママに手伝えることは何かある?」
子ども「本読みとドリルの答え合わせ!」
ママ「了解! じゃあ、あとで声をかけてね。応援しているね」
「ところで宿題終わったら、何をしたいの?」
子ども「そうだな……(お楽しみを考える)」
こんな感じで、宿題に取りかからないことを叱らずに子どものやる気を引き出します。
【2】「何で?」でなく、「何?」と聞いてみる
子どもが思う通りに動いてくれないとき、「何でやらないの?」「なぜやらないの?」と聞くことはないでしょうか。
この「何で?」「なぜ?」という言い方をされると、子どもは少し責められていると感じます。
人間はそもそも動物の一種なので、自分が責められたと感じたら(親は責めてはないとしても、子どもが感じたら)逃げたり、隠れたり、ウソをついたり、親を攻撃したくなります。攻撃は最大の防御ですから、いざというときは動物的な反応になります。それでは、本当にこちらが言いたいことがうまく伝わっているとはいえません。
そこで、子どもに質問をするときには「何で?」「なぜ?」を使わず「何?」に変換してみましょう? それだけでずいぶん両者の関係がよくなります。例えば……
「なぜ、早く宿題を済ませておかないの!」
↓変換すると
「宿題をするのが遅くなった理由って、何かしら?」
時間が遅くなった段階では、子どもを責めるよりは、遅くなった理由をわかり、次への課題にした方がいいのです。
また、「何からだったら、はじめられそう?」と聞くことで、子どもの頭の中にあるぐちゃぐちゃの考えをすっきり整理することができます。
「ママが手伝えることは、何かある?」と聞けば、お母さんが代わりに宿題をするのではなく、答え合わせなどで宿題の応援ができることを伝えられます。夏休みの宿題がたまったときにも効果的です。
【3】細かいことを言わずに「ほめるポイント」を見つけながら、一緒に宿題をする
宿題は、親が思っているよりも子どもにとって大変な作業です。これは、内容が難しいということではありません。モチベーションが上がらないのです。
一般的に小学校の宿題は、全員一律に同じ課題が出されます。ということは、同じ漢字を何度も何度も書いたり、毎回定番の本読みだったりします。
まずは、子どもが嫌がらなければ、お母さんが宿題の応援係になってください。当然、夕食を作る時間帯はお母さんも忙しいので、ダラダラとやらず、「5分だけ」「10分だけ」と時間を決めて付き合います。
次は、その時間の使い方です。べったりとそばで見ていなくてもOKですが、ときどき子どもが宿題をしている姿を認めてあげましょう。終わってからではなく、25%程度できたら早めに認めるのがコツです。
以下は、その時の時間の使い方の例です。子どもをサポートするコーチになったつもりで接します。
そばで一緒について宿題をしているといろいろなことが気にかかります。そしてあれこれ注意したくなりますが、宿題をやっていることに「マル」を付けてあげて、いいところを見つけてほめてあげましょう。完璧をめざさないことが重要です。例えば……
・きれいにひらがなや漢字が書けたとき
「いいね~、この文字ハネがきれいよね」
ピンポイントでほめる、まずは部分からほめます。
・ほめるところが見あたらないと感じたとき
「ほ~、がんばっているね。やっぱり○年生の漢字は難しくなったね」
取り組むプロセスをほめます。
・計算などやり方がわからないとき
怒らずに、お母さんがわかりやすく説明をしてあげましょう。コツは、カレンダーの裏などを使って、大きな文字で書くことです。
・算数の文章題に苦戦しているときは
算数などの問題文そのものを読むことが苦手かもしれません。また、計算はできる子の場合は、文章の中にある「あわせて(+)」「ちがいは(-)」「何倍(×)」「分けると(÷)」などの「キーワード」になる言葉を見つけ、それを薄目に鉛筆で丸を使って囲みます。また、長文が苦手なときは、読んでいる文の下に定規を置くと、子どもの目線が逸れません。
・本読みがいい加減なときは
単調になりがちな本読みのゴールを作ります。
「向こうの壁にぶつけるように大きな声で読んでみて!」
「○○山まで声を届けるつもりで読んでみて!」
「会社のお父さんに聞こえるような声で読んでみて!」
すると、ゲーム感覚で楽しみながら本読みができます。
お子さんが小さい頃は、お母さんが宿題のサポート役になり、一緒に楽しんで取り組んでください。そして、少し大きくなったら、答え合わせを手伝うなどしていっぱいほめてあげます。もっと大きくなったら、1人でできることを「ママは、うれしい」とニッコリしてあげてください。
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幼稚園・小学校教員、中学校相談員、教育委員会勤務 (教育相談総括指導員)の経験を経て、「一般社団法人子育て心理学協会」代表理事。心理学とコーチングの知識を活かし、子育てに関する電話相談や講演などを行っている。プライベートでは二児の母でもある。
著書:『男の子をぐんぐん伸ばす!お母さんのコーチング術』(メイツ出版)、『子どもが伸びる魔法のコーチング』(学陽書房)、『スペシャリスト直伝!教室で使える! ほめ方・しかり方の極意』(明治図書出版)など。
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