日 本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)東日本支部の研究会として2008年に設立。日常生活を安全・安心・便利にしている「規 格」について、その目的や意義を理解し、標準化について研究・啓発・提言を行なう主旨で発足した。今回の子ども服JIS規格も提案から策定まで深く関わっ ている。
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生活・しつけ
年長 2015年5月28日の記事
☆子ども服のJIS規格って、知ってますか?[5/28]
《安全な通学服の選び方 その2》 首まわりや背中、股下のヒモが禁止されます
前回は、子ども服の安全性について、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会東日本支部「標準化を考える会」代表の田近秀子さんに、具体的な危険事例なども交えてお話をうかがいました。
子ども服が原因で、危険を感じた人が7割以上もいるということですが、ではいったい、子ども服を選ぶときにどのような点に注意すればいいのでしょうか。今回は、2015年12月から発効される子ども服の安全基準、JIS規格(日本工業規格)では、どのような子ども服が禁止されるのか、その内容についてお聞きします。
●JIS規格って何?
12月から、子ども服の安全性に対するJIS規格が発効されるということですが、そもそもJIS規格って何なのでしょうか?
田近 「私たちはJIS規格のことを、『生活を安全に、便利にする約束事』と紹介しています。
例えば、電池の大きさは、どんなメーカーが作っても単一、単三などと統一されています。統一した決まり事(規準)がなければそれぞれバラバラな大きさになってしまって不便ですよね。
ただし、JIS規格は法律ではないので、『こういうものは作ってはいけない』という決まりはありません。あくまでもメーカーの自主性にまかせられています」
●JIS規格が適用されるのは子ども服の「ヒモ」の部分
なるほど。どんな内容になっているのでしょうか?
田近 「今回、子ども服にJIS規格ができたのは『ヒモ』に関するものです。
厳密には、出生から7歳未満の『年少』と7歳以上13歳未満の『年長』に分けて規定されていますが、一部を除き、ほぼ共通と言っていいでしょう。ここでは主に小学生ということで『年長』の規定をご紹介します。
1.頭、および首まわりのヒモ
上の写真のように、フードのヒモなど、頭や首まわりに垂れ下がっているヒモを付けることが禁止されています。
ちなみに、6歳までの『年少』の場合は、首まわりより上の部分のヒモは一切禁止になっています。
また、女の子のトップスやワンピースでよく見られる、ホルターネックという首の後ろで結ぶヒモがついているデザインも禁止です。ただし、ヒモの部分が結びひもではなく輪になっているタイプであればよいとされています。
2.背中のヒモ
後ろから出たり、後ろで結ぶヒモが禁止されています。女の子のワンピースなどにつけられている背中でリボン結びにするひもなどが代表的です。
3.裾のヒモ
股から下の部分にある衣服の裾に垂れ下がったヒモをつけることが禁止されています。
例えば、スポーツ系のパンツ類などにも多く見られます。
上着の裾が股下までくる場合、ヒモを付けることは禁止されます。ウィンドブレーカーなど防寒着でよく見られます。
また、ウエストのヒモ自体は付けてもよいのですが、15cm以上垂れ下がっているものは禁止されます。
このほかにも、ヒモの端に結び目やトグルボタン(木・プラスチック・金属などでできたボタンのような留め具)を付けないことも決められています」
安全規準がヒモだけになったのはなぜですか?
田近 「ヒモ、とくに首まわりについたものは、窒息につながりやすいからです。窒息には『中程度』とか『軽症』といった段階はなくて、“ひやり・ハッと”ですむか、生命の危険を及ぼす重大な事故になるかのどちらかです。子どもの場合、短時間の窒息でも脳などに与えるダメージが非常に大きいため、まず首まわりのヒモに適用されたというわけです。
メーカーがこれらのJIS規格を守って作っても、適合マークなど、それを証明するものは付かないかもしれません。その場合、それぞれの親御さんが、このJIS規格を頭に入れて、選ぶときにチェックする必要があります」
考えてみればヒモを身につけて遊ぶなんて、とても怖いことですね。子ども服を見る目が、少し変わったような気がします。
田近さん、ありがとうございました。
次回は、JIS規格以外でチェックしたい子ども服選びのポイントをうかがいます。