鼻づまりに悩む人のための鼻の手術治療専門クリニックとして開業。難治性の慢性鼻炎や副鼻腔炎の治療に力を注ぐ。大人のみならず、子どもの鼻づまりの治療にも積極的に取り組み、これまでに15歳以下の子どもに対して、1,300件以上の手術を行っている。
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生活・しつけ
年長 2019年1月30日の記事
冬の感染症シーズンも落ち着かないうちにスギ花粉症が始まり…と、年がら年中、鼻水や鼻づまりに悩まされている子は少なくありません。風邪などの一時的な症状であればよいものの、慢性的な鼻づまりになってしまうと、子どもの健やかな成長に大きく影響が出てくると言います。どういうことなのでしょうか? 重度の鼻づまりの治療を行う「鼻のクリニック東京」の原亜希子先生に伺いました。
一時的なものであれば、ほとんどの人が経験しているであろう“鼻づまり”。確かに鼻がつまった状態は不快なものですが、それが長く続くと、どのようなデメリットが生じてくるのでしょうか?
「鼻づまりの状態が慢性的なものになると、体や脳の成長に大きな影響を及ぼします。まず鼻づまりは、落ち着きがなくなりイライラするなどの情緒不安定や、頭がぼーっとして集中力が続かないといった状態を引き起こします。このことは、学習意欲や運動能力の低下をはじめとする“生活の質”の低下に直結します。
加えて、夜間は副交感神経が優位になり、鼻づまりの状態が悪化しやすくなるため、さらに問題は深刻です。睡眠時に成長ホルモンが分泌されるためには、寝入りばなの1時間以内にぐっすり眠ることが大事なのですが、鼻がつまっていて眠りが浅いと十分に分泌されません。すると、本来健やかに育つはずの脳や体が育てなくなってしまうのです」(原先生)
睡眠障害は、集中力や学習能力の低下、情緒面でのトラブルの元になるだけでなく、身長が伸びない、夜尿症など、身体面にも悪影響を及ぼす可能性があると原先生。保護者の目から見て夜間の鼻づまりがひどいようなら、なるべく早めに耳鼻科を受診すべきだそうです。
また、鼻づまりにより口呼吸が多くなることも、さまざまなトラブルの元になると原先生は続けます。
「鼻呼吸には、細菌やウイルスの侵入を防ぐ防御機構や、加湿・加温の作用があります。鼻腔内の鼻毛や線毛がホコリや細菌・ウイルスなどをある程度絡め取ってくれるのはもちろん、鼻を通ることで外気の温度は33℃前後に調整され、加湿もされます。これによって、乾いた空気がダイレクトに喉や気道の粘膜を刺激することを防ぎ、また、冷たい外気が肺に直接届くことによるダメージも防げるわけです。
さらに、口呼吸によって常に口が開いた状態になると、口周りの筋肉がバランスよく成長しないため、あごの発達や歯並びにも影響が出てきます。あごが十分に発達しないままだと、気道が狭くなってしまうため、生涯にわたって就寝時のいびきや無呼吸に悩まされることになる可能性も。あごの発達の傾向は9歳前後でだいたい決まってくるので、鼻づまりの治療は早期に開始することをおすすめします」(同)
学校現場でも、口呼吸の子どもの増加は問題視されていると聞きます。クセになってしまうと、例え鼻が通っていても口呼吸になってしまうのだとか。あごの発達を考えても、早めに対策を取りたいですね。
お話しを聞いて、鼻づまりにはたくさんの問題があることが分かりました。では、保護者が子どもの鼻づまりの有無を確認するには、どうすればいいのでしょうか。
「日頃から、ほんの少し口を開けて呼吸しているだけでも、鼻づまりが疑われます。ただし、口呼吸というのは見慣れてしまうと気づきにくいもので、本人も周りもそれが普通だと思ってしまうんです。子どもは鼻づまりがあっても症状を自覚するのが難しいので、自己申告に期待せず、保護者が日中や寝ている間の様子をチェックすることが大切です」(同)
例えば、
<就寝時>
・口を開けて寝ている
・いびきをかいている
・寝相がわるい
・睡眠が浅く、覚醒しやすい
<日中>
・朝なかなか起きない
・起床後、ぼーっとしていたり、機嫌が悪い
・集中力に欠けたり、集中できる時間が短い
・食時の時に、噛まずに飲み込んでいる
・運動時、息苦しそう
・姿勢が悪い
などの様子が見られたら、鼻づまりのある可能性があるそう。さらに詳細なチェックは、『子どもの鼻づまり、ここをチェック!』の記事も合わせてご覧ください。
鼻づまりが引き起こすさまざまなトラブルについて、「本当に鼻づまりでそこまで?」と思う方もいるかもしれません。しかし、原先生によると、治療や手術で鼻づまりが治った子の親御さんたちからは、「集中力が続かないという問題が解消された」、「読書嫌いだった子が本を読んで集中できるようになった」、「攻撃的で感情的に不安定だった子が落ち着きを取り戻した」などといった声が寄せられるそうです。
後編では、鼻づまりの原因と効果的な対処法や治療法について、引き続き原先生にお話しを伺います。
(取材・執筆:坂本洋子)
鼻づまりに悩む人のための鼻の手術治療専門クリニックとして開業。難治性の慢性鼻炎や副鼻腔炎の治療に力を注ぐ。大人のみならず、子どもの鼻づまりの治療にも積極的に取り組み、これまでに15歳以下の子どもに対して、1,300件以上の手術を行っている。
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