鼻づまりに悩む人のための鼻の手術治療専門クリニックとして開業。難治性の慢性鼻炎や副鼻腔炎の治療に力を注ぐ。大人のみならず、子どもの鼻づまりの治療にも積極的に取り組み、これまでに15歳以下の子どもに対して、1,300件以上の手術を行っている。
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生活・しつけ
年長 2019年1月31日の記事
子どもの鼻づまりが慢性的になると、学習能力や情緒面、体の成長など、さまざまな面に影響が出るとのこと(前編参照)。保護者としては早めに気づいて対処したいところですが、「うちの子、風邪でもないのに年中鼻づまりで…」という場合、原因は何なのでしょうか? 引き続き「鼻のクリニック東京」の原亜希子先生に、子どもの鼻づまりの原因と対処法をお聞きしました。
鼻づまりが起きるのは何が原因なのでしょうか。さっそく教えてください。
「一時的なものでは、いわゆる風邪の症状のひとつとして起こることがありますが、この場合、風邪が治れば鼻づまりの症状も治まってきます。一方、当院を受診する患者さんのように長く鼻づまりの症状が続いている場合、最も多い原因は鼻炎です。なかでも、ハウスダストやダニ、花粉などによるアレルギー性の鼻炎が多くを占めています」(原先生)
鼻炎による鼻づまりには、どんな治療法が効果的なのでしょうか。
「鼻炎による鼻づまりの治療で、最も効果が高いのは『鼻洗浄とステロイド点鼻薬の併用』です。この治療を実施したお子さん300例のうち、その84%で鼻づまりの症状が改善したというデータもあります。鼻の中は結構汚れているので、歯を毎日磨くのと同じように、鼻の中の汚れ(アレルギー性鼻炎の原因となるハウスダストやダニなど)を取り除くことで鼻粘膜の炎症が和らぐんです。ちなみに同調査では、鼻づまりの改善によりQOL(Quality Of Life)が高まったというアンケート結果も出ています」(同)
鼻洗浄を行うには専用のキットが必要だそうですが、これは医師の処方箋がなくても(ステロイド点鼻薬は処方箋が必要)、ドラッグストアやネットショップでも購入が可能とのこと。
「ただし、できれば、かかりつけの耳鼻科医などに相談して、最初に正しい洗浄の方法を教えてもらうと良いでしょう。鼻うがいは、洗浄液を入れた側の鼻から出すのが正解。また、無理に力んで多量の洗浄液を通そうとすると、鼻の奥にある耳の管に入り込んで中耳炎を起こす危険性がありますので、優しく洗うことが重要です。
鼻洗浄はできれば朝と夜の1日2回、毎日行えると良いですね。鼻づまりは夜に悪化しやすいので、2回やるのが難しい場合は、夜だけでも行うようにしましょう。3歳くらいの子だとまだ嫌がって難しいかもしれませんが、5~6歳なら『これをすると、鼻がスーッとなるんだよ』などと説明すれば、納得してやる子が多いです。実際に鼻洗浄をして気持ち良くなることが実感できれば、嫌がることはありません。ぜひ、親御さんも一緒にやってみてください。鼻から汚いものが出てきて、親子でびっくりすると思いますよ!」(同)
鼻炎に効果の高い鼻洗浄ですが、大人の患者さんでは効果の現れる率が半分に低下してしまうのだとか。これは長い期間、鼻の粘膜が炎症を起こし腫れた状態が続くことで、リモデリングと言って粘膜が変性し、硬くなってしまうためで、元に戻りにくい状態になるのだそう。やはり、早くから治療を始めるのが大切ということですね。
鼻洗浄とステロイド点鼻薬を試しても、どうしても改善しない重症の慢性鼻炎の場合には、手術を提案することがあると原先生。
「当クリニックでは、鼻の中の形を整え、粘膜の腫れや鼻水が過剰に出る原因となる神経を切断する手術を行っています。これらの治療は成人では一般的なもので、当院では多くの成人の患者さんに手術を行ってきた経験を活かし、鼻の小さな小児にも治療を行っています。体への負担が少なく出血もほとんどないため、お子さんにも安全に行うことができます。
しかし慢性鼻炎は、今のところどんな方法をもってしても完治できる病気ではありません。ですので、手術の目的は、副作用のない安全な方法で鼻からの呼吸を取り戻すこと、良い状態を維持しやすい状況を作ることにあります。そのため手術後も、鼻洗浄を基本に、症状に応じて薬を用いるといった鼻のケアを続けていく事が重要です」(同)
また、鼻づまりの原因として、アデノイド増殖症(ぞうしょくしょう)や口蓋扁桃肥大(こうがいへんとうひだい)が考えられる場合も、耳鼻咽喉科などでの手術が必要になることがあるのだそう。
「アデノイドは鼻の奥、口蓋扁桃は喉の奥にあり、どちらも幼少期に大きくなります。アデノイドは6~7歳をピークに大きくなり、その後だんだん小さくなってくるので、年齢と症状に応じて手術が必要か検討します。口蓋扁桃に関しては、ピークが10~12歳と若干高めなうえ、重度の睡眠時無呼吸症候群を招く恐れもあるので注意が必要です。そのため、
・1年に4~5回扁桃炎(バイキン感染)を繰り返している
・夜寝ている間にいびきと無呼吸を引き起こしている
このいずれかに当てはまる場合は、耳鼻咽喉科を受診し、手術の必要があるか診察してもらうことをお勧めします」(同)
さまざまな原因で起こる「鼻づまり」。わが子がどれに当てはまるのかチェックして、早めに症状を改善してあげたいですね。
(取材・執筆:坂本洋子)
鼻づまりに悩む人のための鼻の手術治療専門クリニックとして開業。難治性の慢性鼻炎や副鼻腔炎の治療に力を注ぐ。大人のみならず、子どもの鼻づまりの治療にも積極的に取り組み、これまでに15歳以下の子どもに対して、1,300件以上の手術を行っている。
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