特定非営利活動法人 日本なわとびプロジェクト・常任理事、日本ロープスキッピング連盟・顧問。2000年に順天堂大学を卒業後、おもちゃ会社のなわとびデモンストレーターとして活動を開始する。2003年に『日本ロープスキッピング連盟』を仲間とともに設立し、『全日本ロープスキッピング選手権大会』『DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD』などのなわとびイベントを運営。2004年には世界大会のフリースタイル種目でアジア人初の銅メダルを獲得、ギネス世界記録で3つの記録更新を成し遂げた。
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学校・まなび
小学1年生 2018年12月19日の記事
冬は多くの小学校で「なわとび」の練習が始まります。わが子が学校のなわとび指導についていけるのか心配しているママやパパも多いのでは? そこで、学校へのなわとび訪問指導や、TV出演も多数されている、日本なわとびプロジェクト・常任理事のSADAさんに、なわとび経験の少ない小学1年生に向けた指導法についてお話を伺いました。
「跳び方をレクチャーする前に、大事なことがあります」とSADAさん。
「なわとびは持久力だけでなく、運動能力、創造力、骨なども強くします。遊ぶ人数に制限はなく、1人跳び、2人跳び、長なわ跳び、ダブルダッチなど遊び方も豊富です。ただし、良いことばかりではありません。なわとびは『できる/できない』がはっきりとわかってしまう運動なのです。
できなかった技ができるようになったときの喜びは本当に素晴らしいものですが、『できないこと』に対する自己嫌悪や、周りからの非難はとても辛いものです。まずは、子どもたちの一番の味方であるママ・パパたちが、なわとびが『難しい運動』であることを理解してください。
小学校の先生でなわとび指導歴40年以上の達人も、『なわとびができない子どもには、ゆっくり時間をかけて、なわとび以外のいろいろな運動も合わせて、楽しみながら体験させています』とおっしゃっています」(SADAさん)
「なわとびを教えるぞ」という雰囲気を出した瞬間に、やる気をなくす子もいるのだとか。これを念頭において、「“指導”を感じさせない指導を心がけることが大切」だそうです。
「初めてなわとびに挑戦する子どもは、本人が『いいな!』『これでやりたい!』と思えるとびなわを選ぶことでモチベーションが上がります」とSADAさん。本人が気に入るものを一緒に選んであげたいですが、めやすとしてはどんなものを選べばいいですか?
「初心者は、ある程度の重さと硬さがあるものの方が跳びやすい傾向があります。グリップとロープの接続部分の回転の良さも大切です。この部分の回転が悪いと、回しているうちにロープがよじれてしまって跳びにくくなります。最近はロープにビーズを通すことで跳びやすくなっている『ビーズロープ』というとびなわも人気ですね」(同)
日本なわとびプロジェクトでは、自分でとびなわを作るイベントも開催しているとのこと。道具に愛着がわくと上達が早いそうなので、お気に入りが見つけられると良いですね。
とびなわの長さ調整のめやす
とびなわを手に入れたら、次に大切なのは長さの調節ですが、これが難しいですよね。子どもにとってちょうどいい長さを教えてください。
「ロープの長さを調整した途端にうまく跳べるようになる子もいるくらい、長さ調節は大切です。ベストの長さは人それぞれですが、はじめはロープの中央を片足で踏んで上に引っ張り上げた時、グリップとロープの接続部分の高さが肩の高さになるようにします。上達に合わせてロープを少しずつ短くするのが一般的です。二重跳びを目指すレベルになったら、胸からおへその間で長さ調整するのがおすすめです。
また、たいていのとびなわは、グリップの中に収まっているロープの末端を切って調整する構造になっています。グリップの中でロープに結び目を作って長さを調整するケースも見受けられますが、これはスムーズな回転の妨げになるのでNGです。結び目で微調整する場合は、グリップの外にしましょう」(同)
とびなわが用意できたら、いきなり跳び始めるのではなく、なわとびに慣れるためのワンステップを入れるのがポイントなのだそう。
「思った通りに回せないし、当たると痛い。そんなわけで、なわとびに苦手意識を持ってしまう子どもは多いです。お子さん本人が『跳ぶ練習をしたい』と望んでいるならともかく、まずはロープという道具に慣れる遊びから始めることが必要です。回転させたロープを腕に巻きつけてみたり、ロープを使ったかっこいいポーズをとってみるだけでいい。私が小学校で指導する際も、かなりの時間を、ロープを跳ばないロープ操作に使い、苦手意識の前に楽しさを感じてもらっています」(同)
まずは遊びから、思った通りにロープを扱うことに慣れる
大人がやっても楽しい、的ひき遊び
「もう少し動きをつけるなら、正面でくるくる回して扇風機ごっこ、頭上で回してヘリコプターごっこをしたり、地面に置いたボールなどの的をロープで引っ掛けたり(弾いたり)して遊ぶのもいいですね」(同)
このような動きの中でロープコントロールを覚えることができ、苦手意識を持たずにとびなわを扱えるようになるのですね。
次に跳ぶ練習に移りますが、まずはとびなわを使わずに、リズムをとってジャンプする感覚をつかむと良いのだそう。
「リズムをとってジャンプし、着地と同時に一回手を叩きます。好きな曲に合わせてやるのもいいでしょう。これができたら、今度は着地のときでなく、跳んだ時に手を叩きます。これで、ロープに引っかかることなく脚と手を上手に連携させる動作の練習ができます。さらに、手を叩くのではなくジャンプ中に太ももを叩く(タッチする)動作にかえれば、よりなわとびの動きに近づけますね」(同)
ジャンプ中に太ももを叩く動作
これは今後、上達して二重跳びに挑戦するときにも使える練習なのだとか。二重跳びなら手を叩く動作を一度に2回に増やせばいいのですね。
お子さんがなわとびに興味を持ったら、ロープを使って跳ぶ練習に入ります。
「まずはロープを跳び越す練習です。長なわ跳びの要領で片側を柱などに固定し、ロープを左右に大きく揺らしてあげましょう。ロープの真ん中に紙やテープなどを巻きつけると、わかりやすい目印になり、跳び越えるタイミングがつかみやすくなります。さらに、炎の絵を描いてあげると『炎が危ないから跳び越えて!』といった遊びで興味を引きやすくなりますよ。踏んでも滑りづらくしたり、少し重くなるように工夫するとより安全です」(同)
ロープを跳び越すことに慣れてきたら、いよいよ自分の手でとびなわを持って前跳びに挑戦してみましょう。
「前跳びする時のフォームは、肩の力を抜いたうえで、腕は伸ばしきらず余裕を持たせた状態に。グリップの高さは腰の脇あたりが基本です。ただし、初めからフォームを矯正しすぎないでください。はじめは肩を大きく動かしたり、ジャンプが高くなりがちですが、回数を重ねるうちに自然と無駄がなくなっていきます。お子さんが自分で試行錯誤することが大事です。そうして跳べた最初の一回は本人にとって格別の体験となるはず! 1回が難しいお子さんには、ロープの真ん中に目印をつける方法を試してください。
跳んだ数を一緒に数えてあげるのも励みになります。1回跳べたら1回の壁を超えたすごさ、2回、3回、10回…と連続で跳べたら、そのたびに褒めてあげてください。ただし、大人が指導モードに入ってしまうと途端にやる気をなくす子どももいます。『別に跳べなくてもいい』と思って気長に付き合ってあげることが大切です」(同)
小学1~2年生はとにかく「見てほしい欲」でいっぱいだとSADAさん。大人が見てあげることが一番の上達になるそうです。学校での評価だけにとらわれず、なわとびを通して親子のコミュニケーションを深めていきたいですね。
(取材・執筆:宇都宮薫)
特定非営利活動法人 日本なわとびプロジェクト・常任理事、日本ロープスキッピング連盟・顧問。2000年に順天堂大学を卒業後、おもちゃ会社のなわとびデモンストレーターとして活動を開始する。2003年に『日本ロープスキッピング連盟』を仲間とともに設立し、『全日本ロープスキッピング選手権大会』『DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD』などのなわとびイベントを運営。2004年には世界大会のフリースタイル種目でアジア人初の銅メダルを獲得、ギネス世界記録で3つの記録更新を成し遂げた。
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