公益社団法人日本一輪車協会 専務理事
1937年広島県生まれ。40才で自ら一輪車に乗り、一輪車は楽しみながら健康と体力を養う、青少年に適切なスポーツであることを確信。その後、一輪車がスポーツとして定着することを目的に昭和53年日本一輪車協会を設立。以来、一輪車の普及・発展に力を注いでいる。
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小学1年生 2018年12月4日の記事
多くの小学校に置かれている一輪車。休み時間や学童の時間などに自由に使えるようになっている学校が多いものの、授業で習うことはあまりなく、よけいに乗れる子は羨望の眼差しを受けるのだとか。そこで今回は、公益社団法人日本一輪車協会理事の菅野耕自さんに一輪車に乗るコツを教えてもらいました。
まずは、一輪車の選び方や、適切なサイズについて教えてください。
「一輪車は金属スポーク製のものと樹脂製のものがあります。一般的にはスポークの方が高価で回転が良く、安定感も高い。対して樹脂製のものは比較的安価である反面、メーカーによっては回転の悪いものもあるので、使用の際はより注意が必要です。回転の良さは乗りやすさ、上達の早さに直結するので、せっかくならしっかりとしたものを選んであげたいもの。日本一輪車協会が発行している認定マークの有無を参考にしても良いでしょう。
サイズは基本的には身長に合わせ、身長110~140cmの年長~小2あたりのお子さんであれば、16インチが適合サイズとなります。
サドルは子どもの足の長さに合わせて調整しましょう。ペダルを上下にした際、下のペダル側になる伸ばした脚がやや膝に余裕を残した状態になるような高さにするのがベストです。サドルがへそ上あたりに位置する程度に調整すれば良いでしょう」(菅野さん)
サドルがへそ上あたりに来るように調整
なお、一つのタイヤで体重を支える一輪車は、自転車よりも高い空気圧が必要とのこと。タイヤは指で押しても凹まないくらいまで、しっかりと空気を入れた状態にしておきましょう。
一輪車の練習に適しているのは、凸凹がないフラットな場所。芝生の上、砂利や小石のある場所、柔らかい土の上は練習に不適切だそうです。補助者は両側に1人ずつが理想ですが、手すりかそれに代わるものがあれば、補助者が1人でも十分練習できるとのこと。
準備ができたところで、次からは、具体的な練習方法を菅野さんに解説してもらいます。
ペダルの動きがそのまま車輪の回転とつながっている一輪車は、自転車とは異なる特性があります。そのため慣れないうちは、ペダルの初期位置にも注意を払いたいところ。
はじめに足を乗せる時、左右のペダルは上下に並んだ位置ではなく、利き足(先に乗せたい側の足)のペダルを手前に位置させた前後の並び(地面に対しては水平)に。さらに利き足側のペダルを若干、下がり気味にしておくのが初心者が乗り始めるのにベストな状態です。ペダルは土踏まずで包むようにするか、もしくは親指の付け根を載せるようにしましょう。
練習の始めは、横倒しすることなく安全に乗り降りするための動作を身につける「乗り越え」から行いましょう。
まず、車輪が後ろに回らないよう、後部に輪止めになる台などをあて、サドルを持ったまま車体後方に立ちます。次にサドルを手前に倒してまたがったら、利き足をペダルに載せて軽く踏み込み、その勢いを保ったままに反対の足はペダルをまたぎ越して前方に着地させます。このとき、後ろ手でサドル後方を持つと一輪車が倒れません。
これが慌てずゆっくりとできるようになったら、次のステップに進みましょう。
・指導のポイント
前方向に倒れる分には恐怖心も抑えられるので「降りるとき、倒れるときは前から」の癖をつけてあげましょう。また、補助する際は手のひらを上にし、子どもの手を置かせる程度にとどめること。握ってしまうと子どもの肩に力が入り、良い姿勢になりません。倒れてしまうときだけ握って助けてあげて。
ステップ1の要領で利き足をペダルに載せたら、今度はもう一方の足も反対のペダルに載せます。乗車後は、高い位置にある方のペダルを少しだけ踏み込み、両方のペダルが地面に対して水平になるようにして姿勢を安定させます。一輪車はペダルが平行にあるこの状態が一番安定するのです。
・指導のポイント
正しい姿勢がとれたら、両足をペダルに載せたまま「止まり続ける」練習をさせましょう。止まること、前に降りることができたら、あとは漕げるようになるまでもうすぐです。
両足をペダルに載せて止まることができるようになったら、「漕ぐ練習」に入ります。ステップ2の体勢をとったら前方のペダルをグッと踏み込んでペダルを一気に半回転させましょう。このとき、半回転ができたら一旦止まる、また半回転させて一旦止まると「半回転ずつ」にすることが大切です。
・指導のポイント
いきなり連続回転を目指すことは、後の上達を考えても良くありません。半回転で一旦止まってバランスを取ることを実践させましょう。
ペダルの半回転と止めができるようになったら、今度は止めの動作をはさまずに1回転させてみましょう。そして1回転のあとは、やはり一度「止め」を意識させること。
この1回転と止めができれば、あとは止めの動作を抜くだけで、自然と連続回転までできるようになるはず。連続回転のコツとして、ペダルは回転の勢いに任せ、軽く踏み込む程度にとどめましょう。
・指導のポイント
ペダルを連続して漕ぎ始めると、一輪車は左右に揺れながら進みます。この揺れを抑えようとすると、上半身が硬くなり結果バランスを崩してしまいます。揺れは自然に任せ、肩の力を抜き、上半身は常に柔らかく保つことを教えてあげましょう。また、補助者は一輪車のスピードに合わせて進んでやり、一定の勢いがつきバランスが整ったタイミングで手を離してみましょう。
うまく乗りこなせないときのポイントも教えていただきました。
「一輪車を乗りこなすにあたって、一番大切なのは上半身の姿勢です。サドルにはしっかりと腰掛けて背筋はまっすぐにし、へっぴり腰にしない。『おへそを前に出すように』これが最大のアドバイスです。この、へそが前にでる姿勢ができると、失敗しても後ろではなく前に落ちるようになります。そうなれば乗れるのはもうすぐです」(同)
遊びで使うイメージのある一輪車ですが、乗れるように練習することで様々なメリットがあるのだそう。
「一輪車に乗ることは平衡感覚や反射機能の向上、心肺機能の強化が図れるというメリットがあります。また、バランスを崩しても、必ずどちらかの足が体のどの部分より先に地面につく安全な乗り物なので、心配しすぎず、なるべく子ども本人の自主性に任せて練習しましょう。
一輪車は突然乗れるわけではなく、練習が必要な乗り物ですから、諦めない、諦めさせないような指導が大切です。言い換えれば、乗りこなせたときには、お子さんの精神面もちょっと成長しているはず。できないことができるようになる喜び、達成感をぜひ味わわせてあげてください」(同)
アドバイスをもとに毎日練習すれば、だいたい2週間もあれば一人で乗れるようになるとのこと。親子で楽しく練習して一輪車デビューを目指したいですね!
(取材・執筆:宇都宮薫)
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