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生活・しつけ
小学1年生 2018年11月21日の記事
まずはプライベートゾーンから。低学年に教えたい性教育
インターネット経由で多くの情報に触れられる現代。子どもが間違った形で性に関する情報に触れる可能性もあるため、どうしたら正しい知識を教えられるのかと悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。そこで、家庭での性教育について、新宿区立花園小学校の養護教諭である玉置玲奈先生に取材。適切な内容や子どもへの上手な話し方についてお聞きしました。
●性教育とは「性」と「生」について学ぶこと
わが子に正しい性の知識をつけさせたいと思っても、何をどう教えればいいのか迷う保護者も多いと思います。まずは「性教育」の定義を教えていただけますか?
「そもそも性教育とは、『性』だけでなく『生』についても教えるものです。たとえば東京都では、性教育を『人格の完成を目指す〈人間教育〉の一環』と位置付けており、そのテーマには性器や生殖だけでなく、生命の大切さ、男女間の協力なども含まれます。
学校で『保健』の授業が始まるのは小4のとき。体つきが変わったり、初潮や精通が起きたり、異性を意識し始めたりといった変化が起こる年代だからです。低学年では『学級活動』や『生活』『道徳』の授業を通して、性や生というテーマに触れることになります。自分が生まれたときの、お母さん・お父さんの気持ちや状況をインタビューするような授業を行う学校もあるようです」(玉置先生)
道を歩いている虫を踏んではいけないと教えることも、食事の前に「いただきます」と手を合わせることも、男女にかかわらず仲よく遊ぼうと指導することも、すべて性教育の一環とのこと。なるほど、そう考えれば保護者側も構えずにいられそうですね。
●まずは「プライベートゾーン」について教えよう
では保護者は子どもに対して、どのような性教育をすべきなのでしょうか?
「幼い子どもは、性に対して無知ゆえに無防備です。そのために、まずは正しい知識をつけ、自衛できるようにしてあげてほしいなと思います。性教育とは、自分の身を守るための知識でもあるのです。
最初に教えたいのは『プライベートゾーン』について。プライベートゾーンとは、『性』に関係のある部分のことを指します。私が指導する際は、『水着で隠れるところは、他人には簡単に見せたり触らせたりしない、自分だけの大事なものなんだよ』と説明します。たとえ知っている人でも、お友達でもダメなんだと説明してあげてください」(同)
そもそも子どもは、性器を人に見せてはいけないこと、「触られたらいやだ」という感覚を分かっていない、と玉置先生。だからこそ、言い聞かせていくのが大切なのだそう。
「あるママさんは、保育園児の息子さんがお友達の女の子とトイレで性器を見せあいっこしていたという報告を先生から受けたそうです。子どもは教えられない限り、してはいけない行為だと知らないわけです。当然ですよね。子どもは親と一緒にトイレに入るし、親に裸を見られるのも普通。親と一緒に、異性のトイレに入ることも珍しくないでしょう」(同)
こうした折に、プライベートゾーンは人に見せないこと、トイレは本当は一人で入るもので、他の人と入ってはいけないことを、あわせて伝えたいといいます。性教育とは、思った以上に日常生活に根付いたものなのですね。
●冷静に事実を述べ、根気強く言い聞かせること
今までのお話しから、性教育のきっかけは生活のなかにたくさんあるのではないかと思えてきました。
「そうですね。子どもが興味を示し始める3、4歳のころから、折に触れて教えていくといいと思います。『おっぱい』『おちんちん』などと言い始めたら、『女の人にはおっぱいがあるね。男の人にはないんだね』とか、『言ってみたくなるのはわかるけど、外で話したり、大きな声で言ったりすることじゃないんだよ』と言い聞かせてください。知らない人についていかないことも、日常的に伝えていきたいですね」(同)
注意したいのは、恥ずかしがらないこと、ごまかさないこと、怒らないこと。冷静に事実を述べ、根気強く言い聞かせていくこと。
「恥ずかしがったり、ごまかしたり、怒ったりすると、子どもには『そういうものなんだな』と記憶されてしまいます。『怒られるから隠しておこう』という気持ちになったら、万が一、何かがあったときに親に相談できず、子どもが苦しい思いをすることになってしまいます」(同)
説明に自信がない保護者はどうしたらいいでしょうか?
「幼児用の絵本を使ってもいいと思います。例えば『わたしのはなし』(山本直英・和歌山静子/童心社)など、プライベートゾーンについて解説した絵本もあります。何冊か読んでみて、保護者の方が教えてもいいなと思えた内容のものを使ってみてください」(同)
また、万が一何かがあったときのために、子どもが話をしやすい環境を作ることも大事だそう。
「子どもには『体のことでも、お友達のことでも、困ったり、不思議だなと思ったりしたらいつでも言ってね』と話しておいてください。また、子どもが『いつでも聞いてもらえる』と思えるよう、日常的に子どもと話をする時間を作ってあげてほしいですね」(同)
若干、耳が痛くもありますが、確かにおっしゃる通り。S.O.S.を見逃すことのないよう、日頃から子どもとの会話を心がけていきたいものです。後編では引き続き、小4で習う保健の授業の内容と、その時期の家庭でのかかわり方について、玉置先生に伺います。
(取材・執筆:有馬ゆえ)
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