藤咲ちとせ
大手エンタメ情報誌の映画担当を経てフリーランスのエンタメライターに。2003年、2007年に女児を出産した後、日本初の子どものための映画サイト「こども映画プラス」の立ち上げに関わる。長女が年少の頃から10年以上映画館、テレビ、DVDなどで子どもと映画を鑑賞しながら、“親子の映画の楽しみ方”“映画で子どもの好奇心や知識、語彙力、コミュニケーション力がどのように育つのか”を研究し続けている。
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年長 2018年3月2日の記事
3月は卒園式など別れの季節。初めての“友だちとの別れ”に直面する年長さんも多いのではないでしょうか。そんな季節に紹介するのは、名作童話「泣いた赤おに」をベースにしたアニメーション『フレンズ もののけ島のナキ』。人間が大嫌いでひねくれ者の赤おに“ナキ”と、ナキの唯一の友だちである青おに“グンジョー”との友情と切ない別れの物語です。
恐ろしいもののけが住み、人間が近づいてはいけないと言われているもののけ島。しかし島に住むもののけたちも人間を恐れ、身を寄せ合って静かに暮らしていました。そこに迷い込んだのが人間の子どもコタケ。人間の襲来を恐れたもののけ島の長老はコタケを人質にすることを決め、暴れん坊の赤おにナキと、その友だちで明るくしっかり者の青おにグンジョーにコタケの面倒をみるように命じます。200年前の人間との戦いで母を亡くし人間が大嫌いなナキはコタケを何度も追い払おうとするのですが、コタケはナキになついてしまいます。無邪気なコタケと一緒に暮らすうちに、いつしかナキの心には優しい気持ちが芽生えていきます。
暴れん坊でひねくれ者のナキが、コタケに振り回される様子に何度も笑ってしまいます。ユーモア抜群のグンジョーとのやりとりや、“恐ろしいもののけ”とはほど遠い、愛嬌抜群のもののけたちの言動も楽しめます。ナキがコタケを乗せて海の上を猛スピードで走ったり、年長さんの目をくぎ付けにする躍動感あふれるシーンも満載です。
一度は母親の元に返したコタケにもう一度会いたい。人間とも仲良くしたい。そんな風に思うようになったナキですが、もののけを恐れる人間から襲われてしまいます。ナキの想いを叶えるため、ナキが人間に好かれるようにわざと悪者になるグンジョーの行動が涙を誘います。そこまでしなければいいけなかったのだろうか?とやるせない気持ちになりますが、本当に大切なものを守るためには何かを手放さなければいけないこともある、という大人になったからこそわかるメッセージも感じ取れます。
卒園を迎え、幼稚園や保育園でずっと仲良く遊んでいたお友だちと離ればなれになってしまう、というお子さんも多いはず。この映画にはそんな“友情と旅立ち”に関する切なくもあったかい気持ちになれるシーンがたくさんあります。
この映画を見て、今の子どもの気持ちに寄り添い「友だちとたくさん遊べてよかったね」と楽しかった思い出を振り返ったり、「悲しい経験の後には楽しいこともいっぱい待ってるんだよ」など、小学校という新しい環境へ期待を持てるような言葉をかけてあげたりしてもいいかもしれません。
元になった童話「泣いた赤おに」を親子で一緒に読んでみるのもおすすめです。映画と併せて子どもと一緒に、感じたことをいろいろ話してみてはいかがでしょうか。
<データ>
2011年/1時間27分/日本/監督:山崎貴、八木竜一/声:香取慎吾、山寺宏一、阿部サダヲ、YOU、加藤清史郎
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