スミセイアフタースクールプログラムとは
全国の学童保育や放課後クラブなどを対象に、「心臓外科医のシゴト」「足が速くなる方法」「宇宙の未来」といった楽しく学べる出張授業(各60~90分)を無料でお届けするプロジェクト。住友生命のCSR活動のひとつとして2014年からはじまり、これまで160か所、6000人以上の子どもたちにプログラムを届けている。
運営主体:放課後NPOアフタースクール/助成:住友生命
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生活・しつけ
小学1年生 2017年11月30日の記事
学校と同じくらいの時間を過ごすことになる学童や放課後クラブ。共働き世帯が増え、学童や放課後クラブの需要が増えている今、「スミセイアフタースクールプロジェクト」では、学童の“中身”を見直す取り組みを行っています。前編では、埼玉県鳩ヶ谷小学校の放課後学童クラブで実施されたプログラムの様子をレポートしました。
後編では、このプロジェクトを立ち上げた住友生命保険相互会社・ブランドコミュニケーション部・ソーシャルコミュニケーション室の須之内たか美さんと、2005年から小学生の放課後支援活動に取り組み、このプロジェクトにも運営主体として関わっている放課後NPOアフタースクールの押塚岳大さんに、詳しくお話しを聞いてみたいと思います。
【写真左】住友生命・須之内さん/【右】放課後NPOアフタースクール・押塚さん
学童の見学や申込みも始まるこの時期、働くお母さんたちの最重要課題は預け場所の確保だと思います。できれば宿題を見てほしい、ゲーム機以外の遊びが充実したところがいいといった学童の「中身」はやはり後回しになりがちだと思うのですが。
押塚さん「私たちの団体(放課後NPOアフタースクール)も、この時期、保護者の方からたくさんのお問い合わせをいただきます。もちろん、預け場所がないというご相談もありますが、実は多いのが『預けたいと思える施設がない』というお悩みです。近所の学童を見学したけれど、雰囲気が良くないように感じたなど、『預けられればそれでいい』と思っている保護者の方は、実は少ないようです。預けたい施設が見つからないという理由でお仕事を辞めてしまうお母さんたちの話も聞きます」
須之内さん「私自身も我が子が学童のお世話になっていますし、自社にもたくさんのワーキングマザーが在籍していますが、子どもが学童を楽しんでいないと、親は安心して子どもを預けることができないんですよね。このプロジェクトをはじめたきっかけも、子どもが安心して楽しく過ごせる場所としての“学童”を支援することが、子どもの成長や女性の社会進出の応援につながると思ったからです」
押塚さん「学童というのはいろいろなところに場所や物をお借りしながら予算も限られた中で運営していることが多く、何か子どもたちに良いことをやろうと思ってもすぐに実現できない現実があるんです。保護者の方も、学童スタッフの苦しい立場を知っているからこそ、学童に対してより良い質を求めづらい。そこで、まずはきっかけとして『スミセイアフタースクールプログラム』のような外部の力を利用してほしいとお答えしています」
取材では子どもたちがプログラムを楽しんでいる様子が特に印象的でした。一方で学童の運営や関わるスタッフさんにとってこのプログラムにはどんな意義があるのでしょうか?
須之内さん「このプログラムは、子どもたちに向けた授業の前後に、保護者や学童スタッフ、行政関係者等に向けた『アフタースクール勉強会』を実施しています。どうすればもっと充実した放課後を過ごせるかをワークショップ形式で話し合うのですが、『キャッチボールなら、○○君のお父さんが元高校球児だから、教えてくれるかもしれない』『○○ちゃんのお母さんが調理師免許を持っているから、何か一緒にできないか相談してみよう』など、身近なリソースを見付ける良いきっかけにもなるんです」
押塚さん「学童にはスタッフ、保護者、小学校、行政、地域の方々と、たくさんの大人たちが関わっていて、実は皆さん『子どものために何かしたい』という思いをそれぞれが持っている。ただ、どう関わっていいか分からないというのが皆さん本音のようです。この勉強会のような機会を通じて大人同士がコミュニケーションを深めていくことが、子どもにとっての“良い放課後”を作るカギだと思っています」
鳩ヶ谷小学校放課後児童クラブで行われた「アフタースクール勉強会」の資
料。右下にあるのが、先生方がワークショップで考えた「活動計画シート」。
勉強会でコミュニケーションを深めることで、地域を巻き込んだ取り組みにまで発展した例もあるようです。徳島県にある学童クラブで実施された勉強会には、学童スタッフ3名、保護者6名が参加し、日頃学童に対して抱えている思いなどを話し合いました。
ワークショップでは「思いっきり遊びたい」「スポーツをやりたい」という子どもたちの声を取り上げ、さらに「子どもと一緒に遊びたい」という保護者の思いを取り入れたプログラムにしようということに。地域のシニアを巻き込んだスポーツレクリエーションと、小学生v.s.保護者で真剣勝負をする親子ドッジボール対決の2つのプログラムが出来上がりました。
学童スタッフの皆さんは、この勉強会を通じて「保護者の方にもたくさんアイディアがあって、これからはもっと頼ってもいいのかな」との感想を抱いたとのこと。ひとつのきっかけで学童スタッフと保護者の信頼が深まり、良い連携が出来上がった例ですね。
最後に、このプロジェクトの今後の展望を教えてください。
押塚さん「これまで全国160か所以上の学童・放課後クラブにプログラムを届け、こんなのもあるよっていう仕組みをお見せすることができたので、あとはその地域の方々でぜひ取り組みを継続してほしいと思っています」
須之内さん「自分たちが小学生のころは、友だちと集まって秘密基地を作ったり、公園で日が暮れるまで遊んだりしていましたよね。今の子どもたちは様々な理由でそれができないことが多いので、それに取って代わるものとして地域や社会の手を借りた学童が、保育園や小学校のような当たり前の“インフラ”になる日が来るといいなと思います」
地域の繋がりが薄れ、家族の孤立化が様々な社会問題を生んでいるなか、「子ども」という未来ある存在を中心に少しずつ繋がりを取り戻すことができたら……。子どもと地域の可能性を信じて活動を続けるお二人の姿に、明るい未来を見た取材でした。
(取材・執筆:八巻奈緒)
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